1 アプリケーションの起動と停止
このトピックには、次の項があります。
1.1 アプリケーションの起動と停止に必要なタスク
次の図に、Oracle Tuxedoアプリケーションの起動と停止に必要なタスクを示します。
タスク名をクリックすると、そのタスクの実行方法が表示されます。
図1-1 起動と停止のタスク
図1-1 起動と停止のタスク

親トピック: アプリケーションの起動と停止
1.2 環境変数の設定
Oracle Tuxedoアプリケーションを管理するには、Oracle Tuxedoの実行可能ファイルおよびデータ・ライブラリにアクセスできなければなりません。アプリケーションの起動と停止に必要なコマンドは%TUXDIR%\bin
(Windowsホスト・マシンの場合)および$TUXDIR/bin
(UNIXホスト・マシンの場合)に格納されています。
親トピック: アプリケーションの起動と停止
1.2.1 Windowsの場合
Windowsホスト・マシンの環境を設定するには、コマンド・プロンプトで次のコマンドを入力します。
set TUXCONFIG=path_name_of_TUXCONFIG_file
set TUXDIR=path_name_of_Oracle_Tuxedo_system_root_directory
set APPDIR=path_name_of_Oracle_Tuxedo_application_root_directory
set PATH=%APPDIR%
;%TUXDIR%
\bin;%PATH%
斜体の文字列は、インストール先の適切な絶対パス名に置き換えてください。
Windowsは、PATH
変数設定を介して、動的にロード可能な必須のライブラリ・ファイルにアクセスします。具体的には、次の順序で動的に読込み可能なライブラリ・ファイルが検索されます。
- Oracle Tuxedoアプリケーションのインストール元ディレクトリ
- 現在のディレクトリ
- Windowsシステム・ディレクトリ(
C:\Win2003\System32
など) - Windowsディレクトリ(
C:\Win2003
など) PATH
環境変数に設定されているディレクトリ
親トピック: 環境変数の設定
1.2.2 UNIXの場合
UNIXホスト・マシンの環境を設定するには、次のように環境変数を設定し、エクスポートします。
TUXCONFIG=path_name_of_TUXCONFIG_file
TUXDIR=path_name_of_Oracle_Tuxedo_system_root_directory
APPDIR=path_name_of_Oracle_Tuxedo_application_root_directory
PATH=$APPDIR:$TUXDIR/bin:/bin:$PATH
LD_LIBRARY_PATH=$APPDIR:$TUXDIR/lib:/lib:/usr/lib:$LD_LIBRARY_PATH
export TUXCONFIG TUXDIR APPDIR PATH LD_LIBRARY_PATH
プラットフォーム | 変更 |
---|---|
HP-UX (HP 9000) | を使用します
|
RS/6000 (AIX) | を使用します
|
斜体の文字列は、インストール先の適切な絶対パス名に置き換えてください。
ノート:
アプリケーション管理者は、UBBCONFIG
ファイルのMACHINES
セクションで、TUXCONFIG
、TUXDIR
、およびAPPDIR
の3つの環境変数を定義するか、またはアプリケーション内の各マシンに対してTM_MIB
のT_MACHINE
クラスを定義してください。これらの環境変数の詳細は、UBBCONFIG(5)またはTM_MIB(5)を参照してください。
親トピック: 環境変数の設定
1.3 TUXCONFIGファイルの作成
各Oracle Tuxedoドメインは、構成ファイルによって制御され、インストール時の設定に基づくパラメータが定義されています。テキスト形式の構成ファイルはUBBCONFIG
と呼ばれます。バイナリ形式のUBBCONFIG
ファイルは、TUXCONFIG
と呼ばれます。UBBCONFIG
ファイルと同じように、TUXCONFIG
ファイルにも任意の名前を付けることができます。実際の名前は、TUXCONFIG
環境変数で指定されたデバイスまたはシステム・ファイル名です。
ノート:
構成ファイルの詳細は、『ファイル形式、データ記述、MIBおよびシステム・プロセス・リファレンス』のUBBCONFIG(5)に関する項を参照してくださいtmloadcf(1)コマンドは、テキスト形式の構成ファイルをTUXCONFIG
と呼ばれるバイナリ形式のファイルに変換し、TUXCONFIG
変数で指定されている位置に書き込みます。次のようにコマンドを実行します。
$ tmloadcf [-n] [-y] [-c] [-b blocks] {UBBCONFIG_file | - }
ノート:
このコマンドを実行するには、MASTER
マシンにログインして、構成ファイルのオーナーとしての有効なユーザーIDを取得する必要があります。
各オプションの機能は、次のとおりです。
-n
オプションは、構文チェックのみを行い、エラーを報告します-y
オプションは、既存のTUXCONFIGファイルを上書きします。オーバーライドするかどうかの確認は行いません-c
オプションは、構成のIPC (プロセス間通信)リソースの最小値を計算します。-b
オプションは、TUXCONFIGファイルのサイズを制限します
-c
および-n
オプションを使用すると、TUXCONFIG
ファイルはロードされません。IPC資源はプラットフォームに固有です。-c
オプションを使用する場合は、『Oracle Tuxedoインストレーション・ガイド』に記載されているご使用のプラットフォーム用データシートを確認して変更を加える必要があるか判断します。IPC資源を変更する必要がある場合は、ご使用のプラットフォームの管理者ガイドを確認してください。-n
オプションにより、構成ファイルの構文エラーが見つかった場合は、エラーを修正してから作業を進めてください。(なお、UBBCONFIG_file
には、構成ファイルの完全修飾名を指定します。)
-b
オプションには、引数として、TUXCONFIGファイルを格納するためのブロック数の制限値を指定できます。初期化されていないrawディスク・デバイスにTUXCONFIGをインストールする場合は、このオプションを使用してください。TUXCONFIGが通常のUNIXシステム・ファイルに格納されている場合、このオプションはお薦めできません。
親トピック: アプリケーションの起動と停止
1.4 全サイトでのtlistenの起動
ネットワーク・アプリケーションを実行するには、リスナー・プロセスを各マシン上で実行している必要があります。ネットワーク・アプリケーションとは、複数のマシン上で稼働するアプリケーションであり、UBBCONFIG
ファイルのRESOURCES
セクションにあるMODEL
MP
パラメータで設定します。
ノート:
TUXDIR
、TUXCONFIG
、APPDIR
およびその他の関連する環境変数を定義してから、tlisten
を起動してくださいプロセスが接続をリスニングするポートは、構成ファイルの
で指定されているポートと同じである必要があります。各マシン上で、NETWORK
セクションにあるNLSADDRtlisten(1)
コマンドを次のように使用します。
tlisten [ -d device ] /> -l nlsaddr [-u {uid-# | uid-name}] [ -z bits ] [ -Z bits ]
例: tlisten -l //machine1:6500
tlistenのコマンド・オプション:
-
- d
デバイス - ネットワーク・デバイスのフルパス名。Oracle Tuxedoのリリース6.4以降では、このオプションは省略可能です。Oracle Tuxedoシステムの以前のバージョン(リリース6.3以前)では、TCP/IPなど一部のネットワーク・プロバイダでこの情報が必要になります。 -
-l nlsaddr
- プロセスが接続をリスニングするネットワーク・アドレス。TCP/IPアドレスは次の形式で指定します。"//hostname:port_number "//#.#.#.#:port_number"
最初の例では、tlisten
はローカル名を解決する手法(通常はDNS)を使用してhostname
のアドレスを検索します。hostname
にはローカル・マシン名を指定し、ローカル名解決機能でhostname
がローカル・マシンのアドレスに明確に解決されなければなりません。
2番目の形式の場合、#.#.#.#
にはドット区切りの10進数を指定します。ドット区切りの10進数形式では、それぞれの#
に0から255の数字を指定します。このドット区切りの10進数は、ローカル・マシンのIPアドレスを表します。どちらの形式の場合も、port_number
にはtlisten
プロセスが接続リクエストの受信をリスニングするTCPポート番号を指定します。port_number
には、0 - 65535までの数字または名前を指定します。port_number
が名前の場合は、ローカル・マシンのネットワーク・サービス・データベースになければなりません。アドレスは、先頭に0x
をつけ、16進形式で指定することもできます。先頭の0x
に続く文字として、0 - 9までの数字か、またはAからFまでの文字(大文字と小文字は区別しない)を指定できます。IPX/SPX
やTCP/IP
のような任意のバイナリ・ネットワーク・アドレスには、16進数の形式が便利です。アドレスはまた、任意の文字列として指定することもできます。値は、構成ファイル内のNETWORK
セクションのNLSADDR
パラメータに指定された値と同じでなければなりません。
tmloadcf(1)は、nlsaddr
がMASTER LMIDのエントリから欠落している場合は警告を出力し、これ以外のエントリから欠落している場合はエラーを出力します。ただし、nlsaddr
がMASTER
LMID
エントリから欠落している場合には、tmadmin(1)
をリモート・マシンから管理者モードで実行することはできません。可能な処理は、読取り専用操作に限定されています。これは、MASTER
サイトで障害が発生しても、バックアップ・サイトから再起動できないことも意味します。
- -u
uid-#
またはuid-name
- ユーザーを指定してtlisten
プロセスを実行する場合に使用します。このオプションは、リモート・マシンのrootでtlisten(1)
コマンドを実行する場合に必要です。 -z [bits]
- Oracle Tuxedoシステムの管理プロセスとtlisten
との間のネットワーク・リンクを確立する場合に必要な最低レベルの暗号化を指定します。ゼロ(0)は、暗号化が行われないことを示し、56および128は暗号化キーの長さ(ビット単位)を指定します。ここで指定する最小レベルの暗号化が満たされない場合、リンクの確立は失敗します。デフォルトは、0です。-Z [bits]
- Oracle Tuxedoシステムの管理プロセスとtlisten
との間のネットワーク・リンクを確立する場合に可能な最大レベルの暗号化を指定します。ゼロ(0)は、暗号化が行われないことを示し、56および128は暗号化キーの長さ(ビット単位)を指定します。デフォルトは128です。
親トピック: アプリケーションの起動と停止
1.5 アプリケーション固有のディレクトリとファイルを手動で伝播する
TUXCONFIG
が自動的に伝播されますただし、手動で伝播しなければならないファイルもあります。次の表は、ネットワーク・アプリケーションに必要なファイルとディレクトリの一覧です。まず、Oracle Tuxedoシステムをマシンにインストールしてください。
ノート:
tlisten
プロセスは、アプリケーションを起動する前に、ネットワーク接続されたOracle Tuxedoアプリケーションの各マシンで起動する必要があります。詳細は、tlisten(1) を参照してください。TUXDIR
、TUXCONFIG
、APPDIR
およびその他の関連する環境変数を定義してから、tlisten
を起動してくださいディレクトリ/ファイル | 説明 |
---|---|
APPDIR |
各ノードに対して、APPDIR 変数に指定した名前のディレクトリを作成する必要があります。すべてのノードで同じディレクトリ・パス名を使用すると便利です。
|
Executables |
プラットフォームごとにアプリケーション・サーバーのセットを1つ作成し、プラットフォームで実行中のほかのすべてのマシンには、適切なアプリケーション・サーバーのセットを手動で伝播する必要があります(これは自動的には行われません)。実行可能ファイルはAPPDIR 変数で指定したディレクトリに格納するか、または構成ファイルのMACHINES セクションのENVFILES にあるPATH 変数で指定されたディレクトリに格納します。
|
フィールド表 VIEW表 |
バッファ型としてFML またはVIEWS を使用する場合は、これらのバッファ型を使用するマシンにフィールド表とVIEW 記述ファイルを手動で伝播し、再コンパイルする必要があります。フィールド表ファイルからヘッダー・ファイルを作成するにはmkfldhdr、mkfldhdr32(1)を使用します。VIEW ファイルをコンパイルするにはviewcs、viewcs32(1)を使用します。FML フィールド表およびVIEW 記述ファイルは、環境変数のFLDTBLDIR 、FIELDTBLS 、VIEWDIR 、VIEWFILES 、またはこれらの32ビット版を通じて使用できます。
|
親トピック: アプリケーションの起動と停止
1.6 TLOGデバイスの作成
分散トランザクション処理を作成するには、トランザクションに参加するマシンにグローバル・トランザクション・ログ(TLOG
)を作成する必要があります。TLOG
を定義するには、次のステップに従います。
- 最初に、構成ファイルの
MACHINES
セクションで、TLOGDEVICE
、
、TLOGOFFSET
TLOGNAME
およびTLOGSIZE
パラメータを設定する必要があります - トランザクションに参加する各マシンに対して、
TLOGDEVICE
の汎用デバイス・リスト(UDL)のエントリを作成する必要もあります。(このタスクは、TUXCONFIG
をロードする前でも後でもかまいませんが、システムを起動する前に行う必要があります。)TLOG
デバイス用のエントリをUDLに作成するには、アプリケーションを起動していない状態のMASTER
マシンでtmadmin -c
を実行します。(-c
オプションを指定すると、構成モードでtmadmin
が呼び出されます。) - 次のコマンドを入力します:
crdl -z config -b blocks
-z
configには、UDLが作成されるデバイス(TLOG
の常駐先デバイス)のフル・パス名を指定します。-b
blocksには、デバイスに割り当てるブロック数を指定します。config
の値は、MACHINESセクションのTLOGDEVICE
パラメータの値と一致する必要があります。ブロック数は、TLOGSIZE
より大きくなければなりません。-
z
config
の値に変数FSCONFIG
の値(アプリケーションのデータベースを指す)が使用されます。 - グローバル・トランザクションに参加する各マシンで、ステップ1と2を繰り返します。
TLOGDEVICE
が2つのマシン間でミラーリングされる場合は、片方のマシンに対してステップ4を実行する必要はありません。TLOG
を障害から回復できるようにするには、TLOGをミラーリング可能なデバイス上に配置する必要があります。TLOG
は、ディスク・パーティション全体を割り当てるほど大きくないため(通常は100ページ程度)、一般にはOracle Tuxedo /Qデータベースと同じrawディスク・スライスに格納されます。
親トピック: アプリケーションの起動と停止
1.7 アプリケーションの起動
すべての前提条件が整ったら、tmboot
を使用してアプリケーションを起動できます。tmboot(1).を実行できるのは、TUXCONFIG
ファイルを作成した管理者のみです
アプリケーションは通常、構成ファイルの
として指定されたマシン、またはRESOURCES
セクションでMASTERMASTER
マシンとして動作するBACKUP
マシンから起動します。これ以外のマシンから起動する場合は、-b
オプションを使用します。tmboot
の実行時に実行可能ファイルが検索されるようにするには、BBLなどのOracle Tuxedoシステムのプロセスが$TUXDIR/bin
になければなりません。アプリケーション・サーバーは、構成ファイルのAPPDIR
変数で定義されたディレクトリになければなりません。
tmboot
は、アプリケーション・サーバーの起動時に、構成ファイルのCLOPT
、SEQUENCE
、SRVGRP
、SRVID
およびMIN
パラメータを使用します。SEQUENCE
オプションを指定した場合、アプリケーション・サーバーはSEQUENCE
パラメータに指定された順序で起動します。SEQUENCE
を指定しない場合、サーバーは構成ファイルに記述されている順序で起動します。コマンド行の形式は、以下のとおりです。
$ tmboot [-g
grpname
] [-o sequence
] [-S] [-A] [-y]
次の表に、 tmboot
オプションを示します。
オプション | 関数 |
---|---|
-g grpname |
このgrpnameパラメータを使用して、グループ内のすべてのTMSとアプリケーション・サーバーを起動します。 |
-o sequence |
SEQUENCEパラメータで指定された順序ですべてのサーバーを起動します。 |
-s server-name |
サーバーを個別に起動します。 |
-S |
SERVERSセクションに記述されているすべてのサーバーを起動します。 |
-A |
MACHINES セクションに記述されているマシンのすべての管理サーバーを起動します。このオプションにより、DBBL、BBL、およびBRIDGEプロセスは、正しい順序で開始されるようになります。
|
-y |
管理サーバーとアプリケーション・サーバーをすべて起動するかどうかを確認するプロンプトに対し、自動的に「はい」でレスポンスします。このプロンプトは、コマンドのスコープを制限するオプション( など)を指定しない場合にのみ表示されます。
|
1.7.1 小規模アプリケーション(マシン2台による構成)でtmbootを実行する
構成全体を起動するには、次のコマンドを入力します。
prompt>tmboot -y
tmboot
を実行すると、次のタスクが実行されます。
図1-2 小規模アプリケーションの起動手順(デフォルト)

親トピック: アプリケーションの起動
1.7.2 大規模アプリケーション(50台を超えるマシン構成)でtmbootを実行する
大規模アプリケーション(50台を超えるマシン構成)の場合は、tmboot
は1つのステップですべてのマシンを起動します。デフォルト・シーケンス(マシン2台の構成の場合)のすべてのステップは実行しません。図1-3は、最適化された一連のタスクを示しています。
図1-3 大規模アプリケーションの起動手順

ノート:
この起動手順では、システム・メッセージの数が大幅に少ないため、大規模アプリケーションをより高速に処理できます。この方法では、起動にかかる時間を50%短縮できます。ネットワークの速度が遅い構成では、MASTER
マシンに高速で接続できるマシンを最初に起動することにより、起動時間を短縮できます。
親トピック: アプリケーションの起動
1.8 アプリケーションの停止
tmshutdown(1)コマンドを使用して、Oracle Tuxedoアプリケーションの一部または全体を停止します。このコマンドの使用上の規則は、tmboot(1)と似ています。tmshutdown
はtmboot
とは逆の処理を行います。
アプリケーション全体が停止すると、tmshutdown
はOracle Tuxedoシステムに関連付けられたIPCリソースを削除します。起動する範囲を指定するためのtmboot
のオプション(-A
、-g
、-I
、-S
、-l
-M
、-B )
は、tmshutdown
でも使用できます。MASTER
マシン以外からtmboot
を使用するための -b
オプションは、tmshutdown
ではサポートされていません。つまり、tmshutdown
コマンドは、必ずMASTER
(またはBACKUP
MASTER
)マシンで実行する必要があります。
サーバーを移行するには、-
オプションを使用します。このオプションは、掲示板のエントリを削除せずにサーバーを停止します。マシンが分断されている場合、R
tmshutdown
に-
オプションを指定して、分断されたマシン上で実行することにより、そのマシン上のサーバーを停止することができます。
P
LMID
tmshutdown
を実行しても、クライアントの接続先であるマシンの管理サーバーのBBLは停止しません。ただし、-c
オプションを使用すると、この特性をオーバーライドできます。直ちにマシンを停止する必要がある場合や、クライアントと通信できない場合に、このオプションを使用してください。
-w
delay
オプションを使用すると、delay
で指定した秒数が経過した後で強制的に停止を実行できます。このオプションにより、すべてのサーバーが直ちに中断されます。以降の作業がキューに登録されることはありません。delay
には、キューに登録済のリクエストを処理するための時間を指定します。delay
で指定した秒数が経過するとSIGKILL
信号がサーバーに送られます。管理者はこのオプションを使用して、アプリケーション・コードでループ状態にあるかまたはブロックされているサーバーを停止することができます。
1.8.1 tmshutdownの実行
tmshutdown(1).を実行できるのは、TUXCONFIG
ファイルを作成した管理者のみですアプリケーションの停止は、構成ファイルでMASTER
として指定されているマシンからのみ実行できます。BACKUP
マシンがMASTER
マシンとして動作している場合、停止プロセスでは、このマシンがMASTER
マシンと見なされます。ただし、分断されたマシンは例外です。-p
オプションを使用すると、管理者は分断されたマシンからtmshutdown
コマンドを実行して、そのサイトのアプリケーションを停止できます。
アプリケーション・サーバーは、SEQUENCE
パラメータで指定されている、または構成ファイルにリストされている順序とは逆の順序で停止します。SEQUENCE
で順序が指定されたサーバーと、順序が指定されていないサーバーが混在する場合、まず番号が指定されていないサーバーが停止し、次にSEQUENCE
番号が指定されたアプリケーション・サーバーが(逆の順序で)停止します。最後に、管理サーバーが停止します。
アプリケーションが停止すると、Oracle Tuxedoシステムが割り当てたIPCリソースはすべて削除されます。tmshutdown
により、DBMSが割り当てたIPCリソースが削除されることはありません。
親トピック: アプリケーションの停止
1.8.2 アプリケーションが正常に停止できない場合にIPCツールを使用する
IPC資源とは、メッセージ・キュー、共有メモリー、セマフォなどのオペレーティング・システムの資源のことです。tmshutdown
コマンドを使ってOracle Tuxedoアプリケーションが正常に停止すると、Oracle Tuxedoアプリケーションで使用されるIPCリソースは、すべてシステムから削除されます。ただし、アプリケーションが正常に停止せず、システムにIPC資源が残る場合もあります。これが起こると、アプリケーションを再起動できなくなることがあります。
この問題の解決策として、IPCS
コマンドを実行するスクリプトを使用してIPCリソースを削除し、特定のユーザーが保有するすべてのIPCリソースをスキャンする方法があります。しかし、この方法ではIPC資源の識別が困難です。たとえば、特定のOracle Tuxedoアプリケーションに属する資源か、Oracle Tuxedoシステムとは無関係の資源かを識別することができません。誤ってIPC資源を削除するとアプリケーションが破損する可能性があるため、資源の種類を識別できることは重要です。
Oracle TuxedoのIPCツール(tmipcrm(1)コマンド)を使用すると、実行中のアプリケーションでOracle Tuxedoシステムによって割り当てられているIPCリソース(コア・システムとWorkstationコンポーネントのみ)を削除できます。
IPCリソースを削除するコマンド tmipcrm(1)は、TUXDIR/bin
に格納されています。 このコマンドは、バイナリ形式の構成ファイル(TUXCONFIG
)を読み込み、このファイルの情報を使用して掲示板に書き込みます。tmipcrm
を使用できるのは、ローカル・サーバー・マシンに対してのみです。Oracle Tuxedoの構成のリモート・マシンにあるIPCリソースは削除できません。
このコマンドを実行するには、次のコマンド行を入力します。
tmipcrm [-y] [-n] [code]
ノート:
このコマンドは、TUXCONFIG
環境変数を正確に設定するか、またはコマンド行で適切なTUXCONFIG
ファイルを指定しないと利用できません。
/QのIPCリソースを削除するには、qmadmin(1) ipcrm
コマンドを使用します。
親トピック: アプリケーションの停止