6 マルチマスター・クラスタ環境での以前の21.xリリースからのOracle Key Vaultのアップグレード
リリース21.xのスタンドアロンまたはプライマリ/スタンバイのアップグレードと同様に、このタイプのアップグレードには、Oracle Key Vaultサーバー・ソフトウェアおよびエンドポイント・ソフトウェア関連のユーティリティが含まれます。
- マルチマスター・クラスタ環境での以前の21.xリリースからのOracle Key Vaultのアップグレードについて
このアップグレードを実行するには、各マルチマスター・クラスタ・ノードをアップグレードする必要があります。 - ステップ1: 以前の21.xリリースからのアップグレードのためのアップグレード前タスクの実行
スタンドアロンやプライマリ/スタンバイ環境と同様に、Oracle Key Vaultサーバーのバックアップなどのアップグレード前タスクを実行する必要があります。 - ステップ2: 各マルチマスター・クラスタ・ノードのアップグレード
マルチマスター・クラスタをアップグレードするには、各マルチマスター・クラスタ・ノードを1つずつアップグレードする必要があります。 - ステップ3: ノード・バージョンおよびクラスタ・バージョンの確認
1つ以上のノードのアップグレードを完了した後は、アップグレードしたノードのいずれかにログインしてノードおよびクラスタのバージョンを確認できます。 - ステップ4: アップグレードしたノードのネットワーク・インタフェースの変更(必要な場合)
Oracle Key Vaultリリース21.1より前のリリースで作成されたノードでは、クラシック・モードが使用されます。クラシック・モードでは、単一のネットワーク・インタフェースのみが使用されていました。 - ステップ5: エンドポイント・ソフトウェアのアップグレード
クラスタ内のすべてのノードをアップグレードした後は、以前のリリースのOracle Key Vaultで作成されたエンドポイントを再エンロールするか、エンドポイント・ソフトウェアを更新する必要があります。 - ステップ6: スワップ領域を拡張するためのディスク領域の追加(必要な場合)
必要に応じて、各ノードでスワップ領域を拡張します。Oracle Key Vaultリリース21.5では、1 TB以上のハード・ディスク・サイズと約64 GBのスワップ領域が必要です。 - ステップ7: 古いカーネルの削除(必要な場合)
マルチマスター・クラスタ・ノードごとに、アップグレード後に残った古いカーネルをクリーン・アップすることをお薦めします。 - ステップ8: SSH関連のDSAキーの削除(必要な場合)
マルチマスター・クラスタ・ノードごとに、アップグレード後に残ったSSH関連のDSAキーを削除する必要があります。これらによって、一部のコード分析ツールで問題が発生する可能性があるためです。
6.1 マルチマスター・クラスタ環境での以前の21.xリリースからのOracle Key Vaultのアップグレードについて
このアップグレードを実行するには、各マルチマスター・クラスタ・ノードをアップグレードする必要があります。
アップグレード・プロセスでは、各マルチマスター・クラスタ・ノードでアップグレードを実行します。クラスタ・アップグレードを開始した後は、必ずクラスタ内のすべてのノードを順々にアップグレードし、2つのノードのアップグレードの間で時間が空きすぎないようにします。
Oracle Key Vaultマルチマスター・クラスタのアップグレードには、各クラスタ・ノードの新しいバージョンへのアップグレードが含まれます。すべてのノードを同じOracle Key Vaultバージョンにアップグレードする必要があります。まず、クラスタの読取り専用ノードをアップグレードし、次に読取り/書込みペアをアップグレードします。各クラスタ・ノードがアップグレードされると、ノード・バージョンがOracle Key Vaultの新しいバージョンに更新されます。すべてのクラスタ・ノードのアップグレードを完了すると、クラスタ・バージョンはOracle Key Vaultの新しいバージョンに更新されます。ノード・バージョンまたはクラスタ・バージョンを確認するには、「Cluster」タブを選択した後、左側のナビゲーション・バーで「Management」を選択します。各クラスタ・ノードのノード・バージョンおよびクラスタ・バージョンが最新バージョンのOracle Key Vaultに更新されると、Oracle Key Vaultマルチマスター・クラスタのアップグレードは完了したと見なされます。
アップグレードを実行する前に、次の点に注意してください。
- すべてのマルチマスター・クラスタ・ノードで、中断なしにアップグレード・プロセス全体を実行します。つまり、クラスタのアップグレード・プロセスを開始した後、必ずすべてのノードを相互に、または読取り/書込みペアで個別にアップグレードしてください。環境内のすべてのノードのアップグレードが完了するまで、重要な操作を実行したり、Oracle Key Vaultの構成を変更したりしないでください。
- すべてのマルチマスター・クラスタ・ノードのアップグレードを完了するまで、このリリースで導入された新機能は使用できないことに注意してください。アップグレードされたノードからそのような機能が使用されると、エラーが戻されます。すべてのクラスタ・ノードのアップグレードを互いに間隔を空けずに計画して、新機能が早く使用できるようにすることをお薦めします。
- Oracle Key Vaultリリース21.2以降、非アクティブ化または破棄されたオブジェクトに対する期限切れのアラートは生成されません。Oracle Key Vaultリリース21.1以前からアップグレードする場合、次の動作が予期されます。
- クラスタ・ノードがアップグレードされるたびに、Oracle Key Vaultは証明書およびシークレット・オブジェクトと、取り消されるか破棄されたキー・オブジェクトに対する、すべての期限切れのアラートを削除します。
- まだアップグレードされていないクラスタ・ノードは、引き続きこれらの同じオブジェクトに対してアラートを生成し、これらのアラートの電子メール通知を送信します。この動作によるアラートの削除と再作成は、最後のクラスタ・ノードがアップグレードされるまで繰り返される場合があります。
- アップグレードが完了すると、証明書およびシークレット・オブジェクトの期限切れのアラートはそれぞれ、アラート・タイプが
Certificate Object Expiration
およびSecret Object Expiration
になります。
6.2 ステップ1: 以前の21.xリリースからのアップグレードのためのアップグレード前タスクの実行
スタンドアロンやプライマリ/スタンバイ環境と同様に、Oracle Key Vaultサーバーのバックアップなどのアップグレード前タスクを実行する必要があります。
6.3 ステップ2: 各マルチマスター・クラスタ・ノードのアップグレード
マルチマスター・クラスタをアップグレードするには、各マルチマスター・クラスタ・ノードを1つずつアップグレードする必要があります。
6.4 ステップ3: ノード・バージョンおよびクラスタ・バージョンの確認
少なくとも1つのノードのアップグレードを完了すると、アップグレードしたノードのいずれかにログインしてノードおよびクラスタのバージョンを確認できます。
- システム管理者ロールを持っているユーザーとしてOracle Key Vault管理コンソールにログインします。
- 「Cluster」タブを選択します。
- 左側のナビゲーション・バーで、「Management」を選択します。
- 次の領域をチェックします。
- ノード・バージョンを確認するには、「Cluster Details」領域をチェックします。
- クラスタ・バージョンを確認するには、「Cluster Information」領域をチェックします。
6.5 ステップ4: アップグレードしたノードのネットワーク・インタフェースの変更(必要な場合)
リリース21.1より前のOracle Key Vaultリリースで作成されたノードでは、単一のネットワーク・インタフェースのみが使用されていたクラシック・モードが使用されます。
2つのネットワーク・インタフェースの使用をサポートするデュアルNICネットワーク・モードを使用する場合は、コマンドラインからこのモードを使用するようにノードを切り替えることができます。
6.6 ステップ5: エンドポイント・ソフトウェアのアップグレード
クラスタ内のすべてのノードをアップグレードしたら、以前のリリースのOracle Key Vaultで作成されたエンドポイントを再エンロールするか、エンドポイント・ソフトウェアを更新する必要があります。
暗号操作中にOracle Key Vaultからのオブジェクトの抽出を制御する機能をエンドポイントで利用できるようにするには、Oracle Key Vaultの最新リリースにアップグレードする必要があります。
6.7 ステップ6: スワップ領域を拡張するためのディスク領域の追加(必要な場合)
必要に応じて、各ノードでスワップ領域を拡張します。Oracle Key Vaultリリース21.5では、1 TB以上のハード・ディスク・サイズと約64 GBのスワップ領域が必要です。
swapon -s
コマンドを実行して、使用しているスワップ領域の量を確認できます。デフォルトでは、リリース18.1より前のOracle Key Vaultリリースは、約4 GBのスワップ領域でインストールされていました。リリース18.1以降へのアップグレードが完了したら、Oracle Key Vaultをアップグレードしたサーバーに割り当てられているスワップ領域を増やすことをお薦めします。Oracle Key Vaultの新しいインストールには十分なスワップ領域が自動的に構成されます。ただし、以前のリリースからアップグレードし、システムに必要な量のスワップ領域が構成されていない場合、特にアップグレードしたサーバーをマルチマスター・クラスタの最初のノードに変換することを意図している場合、ディスク領域を手動で追加してスワップ領域を拡張する必要があります。
6.8 ステップ7: 古いカーネルの削除(必要な場合)
マルチマスター・クラスタ・ノードごとに、アップグレード後に残った古いカーネルをクリーン・アップすることをお薦めします。