9 DG PDB構成(21c)でのDGMGRLの使用例
次の各使用例では、1つ以上のプラガブル・データベース(PDB)に対してデータ保護および障害時リカバリを提供するOracle Data Guard Broker構成を作成、管理および監視する方法について説明します。
Oracle Data Guardコマンドライン・インタフェース(DGMGRL)の使用を開始するための前提条件を知ることで、自身の事例に備えることができます。さらに、使用例を読んで、DGMGRLを使用してブローカ構成を作成、管理および監視する方法を理解してください。
DG PDBを使用するための前提条件
DG PDB環境を使用するための前提条件が満たされていることを確認します。
- ソース・データベースとターゲット・データベースが存在している必要があります。
- サーバー・パラメータ・ファイルを使用する必要があります。ソース・データベースまたはターゲット・データベースが初期化パラメータ・ファイル(PFILE)を使用する場合は、このファイルをサーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)に変換します
- サーバー・パラメータ・ファイルを使用してインスタンスが起動されていない場合は、そのインスタンスを停止し、サーバー・パラメータ・ファイルを使用して再起動する必要があります。
- DG PDB構成のソース・データベースおよびターゲット・データベースでは、
DG_BROKER_START
初期化パラメータをTRUE
に設定する必要があります。
DG PDBの使用例では、次を前提としています。
- TCP/IPは、ターゲット・データベースでソース・データベースに接続するために使用されます。
- DG PDB構成は、次のもので構成されます。
- ソース構成の名前は
MyConfig1
です。ソース・データベースの一意名(DB_UNIQUE_NAME
)はboston
です。ソースPDBの名前はsales
です。 - ターゲット構成の名前は
MyConfig2
です。ターゲット・データベースの一意名(DB_UNIQUE_NAME
)はnewyork
です。ターゲットPDBの名前はdgpdb_sales
です。 - 保護モードは最大パフォーマンスです。
- 転送モードは
ASYNC
モードです。
- ソース構成の名前は
使用例1: ソースおよびターゲット構成の作成
- ソース構成
MyConfig1
を作成します。ソース・データベースboston
およびPDBsales
、acct
およびfinance
が含まれている必要があります。DG PDB構成を使用して保護する必要があるソースPDBは、sales
です。 - ターゲット構成
MyConfig2
を作成します。これには、MyConfig1
のソースPDBsales
に対するデータ保護を提供するために使用されるターゲット・データベースnewyork
が含まれている必要があります。ソースPDBのsalesは、ターゲット・データベースnewyork
のPDBdgpdb_sales
によって保護されます。PDBdgpdb_sales
は、次の使用例3のコマンドで作成されます。
使用例2: 構成間の接続の確立
ソース構成とターゲット構成の間の接続を確立します。
構成MyConfig1
のプライマリ・データベースboston
に接続している場合は、次のコマンドを実行して、構成MyConfig2
との接続を確立します。
ADD CONFIGURATION MyConfig2 CONNECT IDENTIFIER IS newyork_ci;
使用例3: ソースPDBのData Guardの設定
ターゲット・データベースで保護するソースPDBを特定します。
-
ADD PLUGGABLE DATABASE
コマンドを使用して、ターゲット・コンテナ・データベースでソースPDBのDGPDBを作成します。DGMGRL> ADD PLUGGABLE DATABASE 'dgpdb_sales' AT 'newyork' SOURCE IS 'sales' AT 'boston' PDBFileNameConvert IS 'dbs/boston-sales, dbs/newyork-sales-dg';
ソースPDB sales
のスタンバイPDBは、ターゲット・データベースnewyork
にdgpdb_sales
として作成されます。
ADD PLUGGABLE DATABASE
コマンドの前提条件および使用方法の詳細は、「ADD PLUGGABLE DATABASE」を参照してください。
使用例4: DG PDB構成の有効化およびREDO転送の開始
前提条件
ソースPDBを追加した後、ターゲットPDBでリカバリを開始する前に、ソースPDBに対応するデータベース・ファイルがターゲット・データベースにコピーされていることを確認します。RMANまたはオペレーティング・システムのコピー・コマンドを使用して、ソースPDBファイルをインスタンス化します。
コピーされたデータ・ファイルは、ターゲットPDBの作成前、作成中、または作成後の時点から作成できます。ただし、ターゲットPDBの作成時にソースCDBでアクティブだったREDOの同じブランチからのものである場合です。
ノート:
ソースPDBに関連付けられたデータ・ファイルをコピーする場合、ネーミングはADD PLUGGABLE DATABASE
...コマンドのPDBFileNameConvert
句で指定された内容に従う必要があります。
DG PDB構成を有効にするには:
-
ENABLE CONFIGURATION
コマンドでALL
キーワードを使用します。DGMGRL> ENABLE CONFIGURATION ALL; Enabled “MyConfig1” with primary database “boston”. Enabled “MyConfig2” with primary database “newyork”.
- これが最初に追加されるDGPDBである場合は、ターゲット・データベースに接続し、コンテキストをDGPDBに設定して、スタンバイREDOログを追加します。
使用例5: ソースPDBのターゲットPDBへのスイッチオーバー
SWITCHOVER TO
コマンドを使用して、DG PDB環境でのソース・データベースおよびターゲット・データベースのロールを切り替えます。
前提条件
- プライマリ・データベースの状態が
TRANSPORT-ON
で、ターゲットPDBの状態がAPPLY-ON
であること。 - ソース・データベースおよびターゲット・データベースがエラーや警告なしで正常であること。
- ソース・データベースでスタンバイREDOログ・ファイルが構成されていること。
ソースPDBに対してスイッチオーバーを実行するには:
使用例6: ターゲットPDBへのフェイルオーバー
フェイルオーバー操作は、通常はソースPDBが使用できないかこれにアクセスできない場合に、緊急の状況で起動します。ソースPDBおよびその指定されたターゲットPDBのロールが逆になります。
DG PDB環境では、ソースPDBが使用不可またはアクセス不可であるがコンテナ・データベースやその他のPDBがすべて正常に機能している場合、フェイルオーバー操作は、コンテナ・データベース内の元のソースPDBが変換されてフィジカル・スタンバイとしてマークされるという意味において、スイッチオーバー操作と非常によく似ています。ただし、リカバリは開始されません。
フェイルオーバーを実行するには:
使用例7: DG PDB構成の監視
DGMGRLを使用して、DG PDB構成のメンバーのステータスを監視します。
DGMGRLを使用した構成情報の表示
SHOW CONFIGURATION
コマンドを使用して、DG PDB構成の現在のステータスを表示します。このコマンドは、両方のブローカ構成でプライマリ・データベースによって再生される構成ステータスおよびロールを表示します。
DGMGRL> SHOW CONFIGURATION;
Configuration – MyConfig2
Protection Mode: MaxPerformance
Members:
newyork - Primary database
boston – Primary database at MyConfig1 configuration
Data Guard Pluggable Database: ENABLED (Target role)
Configuration Status:
ENABLED
DGMGRLを使用したデータベースおよびPDB情報の表示
SHOW PLUGGABLE DATABASE
コマンドを使用して、DG PDB構成のソース・データベースまたはターゲット・データベースのステータスおよび詳細を表示します。DGMGRL> SHOW DATABASE boston;
Database - boston
Role: PRIMARY
Intended State: TRANSPORT-ON
DGPluggable State: SOURCE
Instance(s):
bos1
Data Guard Source PDB(s): 1
Database Status:
SUCCESS
SHOW PLUGGABLE DATABASE
コマンドを使用して、ソースPDBまたはターゲットPDBのステータスを表示します。その他の情報には、PDBが果たすロール、状態、転送ラグおよび適用ラグが含まれています。
DGMGRL> SHOW PLUGGABLE DATABASE dgpdb_sales AT newyork;
Pluggable database - DGPDB_SALES at newyork
Data Guard Role: DataGuard Standby
Con_ID: 7
Source: con_id 6 at boston
Transport Lag: 0 seconds (computed 29 seconds ago)
Intended State: APPLY-ON
Apply State: Running
Apply Instance: ny1
Average Apply Rate: 23 KByte/s
Real Time Query: OFF
Pluggable Database Status:
SUCCESS