18 DBCAの概要

この章では、DBCAコマンドライン構文、テンプレートおよびユーザー認証の概要について説明します。

DBCAコマンドライン構文の概要

この項では、サイレント・モードでのDBCAのコマンドライン構文の概要を示します。

DBCAサイレント・モードのコマンド構文は、次のとおりです。

dbca  [-silent] [command [options]] [-h|-help]

ノート:

Windowsでは、ユーザー・アクセス制御(UAC)が有効な場合、DBCAを管理者として実行する必要があります。

次の表では、DBCAサイレント・モード・コマンドの構文について説明します。

表18-1 DBCAサイレント・モード・コマンドの構文の説明

オプション 説明

-silent

DBCAをサイレント・モードで実行する場合は、-silentを指定します。

サイレント・モードのDBCAは、コマンドライン・オプションとして指定された値を使用してデータベースを作成または変更します。

command options

DBCAコマンド、およびコマンドの有効なオプションを指定します。

-h | -help

DBCAのヘルプを表示します。

特定のコマンドのヘルプを表示するには、次のように入力します。

dbca command -help

たとえば、-createDatabaseコマンドのヘルプを表示するには、次のように入力します。

dbca -createDatabase -help

次の例では、DBCAのサイレント・モードでデータベースを作成する方法を示します。

dbca -silent -createDatabase -templateName General_Purpose.dbc
                             -gdbname oradb.example.com 
                             -sid oradb
                             -characterSet AL32UTF8 
                             -memoryPercentage 30 

Enter SYSTEM user password:
password
Enter SYS user password:
password
Copying database files
1% complete
3% complete
...

完全なサイレント操作が実行されるように、stdoutをファイルにリダイレクトできます。ただし、その場合は、コマンドライン引数またはレスポンス・ファイルに管理ユーザーのパスワードを指定する必要があることがあります。

ノート:

Oracleウォレットを管理ユーザーのパスワードを格納するためのセキュアな外部パスワード・ストアとして使用する場合、これらのユーザーのパスワードをコマンドライン引数またはレスポンス・ファイルで指定する必要はありません。詳細は、Oracleウォレットを使用したDBCAコマンドでのデータベース・ユーザー認証を参照してください。

DBCAコマンドライン引数の概要のヘルプを表示するには、次のコマンドを入力します。

dbca -help

デフォルトなど、引数の詳細は、配布媒体に同梱されているレスポンス・ファイル・テンプレートを参照してください。レスポンス・ファイル・テンプレートの名前と場所に関する情報は、ご使用のプラットフォームの『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』を参照してください。

DBCAテンプレートについて

DBCAを使用して、オラクル社提供のテンプレートまたは自分で作成したテンプレートからデータベースを作成できます。

DBCAテンプレートは、データベースの作成に必要な情報が含まれたXMLファイルです。次の2つのタイプのワークロードのテンプレートが提供されています。

  • 汎用またはオンライン・トランザクション処理

  • データ・ウェアハウス

使用するデータベースでサポートされるワークロードのタイプに適したテンプレートを選択します。どちらを選択するか不明な場合は、「汎用またはオンライン・トランザクション処理」テンプレートを使用します。特定のワークロード要件を満たすために、カスタム・テンプレートを作成することもできます。

ノート:

「汎用またはオンライン・トランザクション処理」テンプレートおよび「データ・ウェアハウス」テンプレートでは、COMPATIBLE初期化パラメータを12.1.0.2.0に設定してデータベースを作成します。

Oracleウォレットを使用したDBCAコマンドでのデータベース・ユーザー認証

DBCAサイレント・モード・コマンドで、データベース・ユーザー認証用のセキュアな外部パスワード・ストアとしてOracleウォレットを使用できます。

Oracleウォレットは、Oracle Databaseの外部にあるセキュアなソフトウェア・コンテナであり、Oracle Databaseユーザーの認証資格証明の格納に使用できます。データベース・ユーザーの認証にOracleウォレットを使用するには、次のDBCAサイレント・モード・コマンド・パラメータを使用します。

  • useWalletForDBCredentials : データベース・ユーザー認証にOracleウォレットを使用する場合はtrueを指定し、それ以外の場合はfalseを指定します。デフォルトはfalseです。

    trueを指定する場合は、次のパラメータを追加指定します。

    • dbCredentialsWalletLocation: Oracleウォレット・ファイルを格納するディレクトリ。

    • (オプション) dbCredentialsWalletPassword: Oracleウォレット・アカウント・ユーザーのパスワード。Oracleウォレットで自動ログインが有効になっている場合、このパスワードを指定する必要はありません。

ユーザーを認証するために、サイレント・モードのDBCAで使用可能な、次のキーおよび関連パスワードをOracleウォレットに格納できます。

  • oracle.dbsecurity.sysPassword: SYSユーザーのパスワード

  • oracle.dbsecurity.systemPassword: SYSTEMユーザーのパスワード

  • oracle.dbsecurity.pdbAdminPassword: プラガブル・データベース(PDB)管理者のパスワード

  • oracle.dbsecurity.dbsnmpPassword: DBSNMPユーザーのパスワード

  • oracle.dbsecurity.asmsnmpPassword: ASMSNMPユーザーのパスワード

  • oracle.dbsecurity.lbacsysPassword: LBACSYSユーザーのパスワード

  • oracle.dbsecurity.sysdbaUserPassword: 作成または構成しているデータベースのSYSDBAロール・ユーザーのパスワード

  • oracle.dbsecurity.oracleHomeUserPassword: Oracleホーム・ユーザーのパスワード

  • oracle.dbsecurity.dvUserPassword: Oracle Data Vaultユーザーのパスワード

  • oracle.dbsecurity.dvAccountManagerPassword: Oracle Data Vaultアカウント・マネージャのパスワード

  • oracle.dbsecurity.emPassword: Enterprise Manager管理者のパスワード

  • oracle.dbsecurity.asmPassword: ASMユーザーのパスワード

  • oracle.dbsecurity.asmsysPassword: :ASMSYSユーザーのパスワード

  • oracle.dbsecurity.walletPassword: ディレクトリ・サービスでの認証用のOracleウォレット・アカウント・ユーザー・パスワード

  • oracle.dbsecurity.userDNPassword: ディレクトリ・サービスのユーザーのパスワード

  • oracle.dbsecurity.srcDBsysdbaUserPassword: データベースの複製などの特定の操作を実行するためにソースとして使用しているデータベースのSYSDBAロール・ユーザーのパスワード

  • oracle.dbsecurity.dbLinkUserPassword: データベース・リンクのユーザーのパスワード

ノート:

Oracle Unified Directory (OUD)を使用している場合は、次のキーを使用してOUDアカウントのパスワードをウォレットに格納する必要があります。

  • oracle.dbsecurity.walletPassword

  • oracle.dbsecurity.userDNPassword

関連項目:

mkstoreコマンドライン・ユーティリティを使用してセキュアな外部パスワード・ストアとしてOracleウォレットを構成する方法については、Oracle Databaseセキュリティ・ガイドを参照してください。