ダウングレードおよびリカバリ・オプションを保持するためのファイルのバックアップ

必要に応じて、アップグレードの問題からリカバリして以前のリリースにダウングレードできるように、データベースおよび特定のファイルのバックアップ計画の実装をお薦めします。

Oracle Databaseをアップグレードする前のバックアップ計画の準備

アップグレードを確実に成功させるため、適切なバックアップ計画を設計して実行する必要があります。

Oracle Database Enterprise Editionの場合、主なフォールバック・メカニズムはフラッシュバック・データベースです。ただし、フラッシュバック・データベースを使用して切断/接続アップグレードやPDB変換を元に戻すことはできません。切断/接続アップグレードの場合は、RMANバックアップなどの他のフォールバック計画を使用します。

AutoUpgradeを使用する場合は、AutoUpgrade構成ファイル内でtarget_pdb_copy_option=file_name_convertを指定することをお薦めします。ここで、file_name_convertは、データ・ファイルに接頭辞として付ける変換パターンです。これを行うと、AutoUpgradeは、データベースを接続する前にデータ・ファイルのコピーを作成するようにデータベースに指示します。この方法の使用を選択すると、元のデータベースをフォールバックとして使用できます。ただし、データ・ファイルのコピーを作成する場合はアップグレードにさらにディスク領域と時間が必要になることに留意してください。

バックアップ戦略を展開するには、次のような問題について考慮する必要があります。

  • 業務上、本番データベースの実行不可能状態の許容範囲がどの程度の期間か。
  • 可用性要件を満たすには、どのバックアップ戦略が必要か。
  • サイトから離れた安全な場所にバックアップをアーカイブする必要があるか。
  • バックアップが正しく動作するようにテストされているか。
  • どのくらいの時間でバックアップをリストアできるか(オフサイト記憶域でのバックアップを含む)。
  • 障害時リカバリ手順は正常にテストされているか。

バックアップ計画は、これらの問題のすべてに答え、データベースを正常にバックアップおよびリカバリするための手順を備えている必要があります。RMANを使用したバックアップ計画の実装の詳細は、Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・アドバンスト・ユーザーズ・ガイドを参照してください。

また、ダウングレードの準備を確実に行うには、ダウングレードに関する章を確認し、リリースの準備に必要な準備ステップを完了してください。

Oracle Data Guard Brokerの構成ファイルおよびダウングレード

Oracle Database 19c以上のリリースへのアップグレードにより、以前のリリースにダウングレードする機能を保持するためにData Guard Broker構成ファイルをバックアップする必要があります。

Oracle Database 19cより前のリリースでは、Oracle Data Guard BrokerプロパティにマップされるOracle Database設定はOracle Data Guard Broker構成ファイルに保持され、DGMGRLコマンドライン・インタフェースを使用して変更できます。ただし、Oracle Database 19c以上では、これらのデータベース設定はブローカ構成ファイルに格納されなくなりました。この変更の結果、DGMGRLを使用して引き続きこれらのプロパティを変更できますが、変更した値はOracle Data Guard Broker構成ファイルに格納されなくなります。かわりに、DGMGRLコマンドで、Oracle Data Guard BrokerプロパティがマップされるOracle Database初期化パラメータまたはデータベース設定を直接変更します。

プロパティ設定の管理方法に対するこの変更のために、Oracle Data Guard Brokerを使用する場合、アップグレードを開始する前に、以前のリリースのOracle Data Guard Broker構成ファイルを安全なバックアップの場所にエクスポートすることをお薦めします。アップグレード前にOracle Data Guard Broker構成ファイルをバックアップしない場合、アップグレード後は、以前のリリースにダウングレードできなくなり、以前にOracle Data Guardに選択したプロパティ・オプションを保持できなくなります。

ブローカ構成のエクスポート

EXPORT CONFIGURATIONコマンドを使用して、ブローカ構成ファイルに含まれるメタデータをテキスト・ファイルにエクスポートします。

ブローカ構成ファイルが格納されるディレクトリは、Oracleサーバー・プロセスからアクセスできる必要があります。

  1. プライマリ・データベースに接続します。
    DGMGRL> CONNECT sys@south_sales
    Password: password
    Connected to "South_Sales"
    Connected as SYSDBA.
    
  2. ブローカ構成をエクスポートします。

    次のコマンドは、ブローカ構成をエクスポートし、トレース・ディレクトリ内のmyconfig.txtという名前のファイルに格納します。

    DGMGRL> EXPORT CONFIGURATION TO 'myconfig.txt';
    Succeeded.

    ノート:

    myconfig.txtという名前のファイルがtraceディレクトリにすでに存在する場合、次のエラーが生成されます:
    DGMGRL> EXPORT CONFIGURATION TO 'myconfig.txt';
    ORA-16527: Unable to create output file for broker configuration metadata.
    

    既存のファイルと同じ名前の新しい構成ファイルを作成するには、まず既存のファイルを削除するか、名前を変更してください。