7 Oracle WebLogic ServerにおけるOracle Coherenceの保護
この章の内容は次のとおりです。
Oracle WebLogic ServerにおけるOracle Coherenceの保護の概要
クラスタの無許可の使用に対して保護するには、次のセキュリティ機能を構成する必要があります。
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Oracle Coherenceアクセス・コントローラ – クラスタ・メンバー間の認可を提供します
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Oracle WebLogic Server認可 – Oracle Coherenceキャッシュおよびサービスへ認可を提供します
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Oracle Coherence IDトークン – Extendクライアントの認証を提供します
Oracle WebLogic ServerドメインにおけるOracle Coherenceのセキュリティの多くは、既存のセキュリティ機能を再利用します。これらの既存のセキュリティ・コンポーネントの知識が前提となっています。可能な場合は、このドキュメント内で既存のコンテンツへの参照が提供されます。
Oracle Coherenceクラスタ・メンバーシップの保護
Oracle WebLogic Serverでは、アクセス・コントローラは、管理対象Coherenceサーバーのキーストアを使用してOracle Coherenceクラスタ・メンバー間のコール元IDを確立します。デモアイデンティティ・キーストアがデフォルトで使用され、それにはデフォルトのSSL ID (DemoIdentity)が含まれています。デフォルトのキーストアおよびIDは、設定の必要がなく、開発およびテストに適しています。特定のキーストアおよびIDを本番環境に作成する必要があります。『Oracle WebLogic Serverセキュリティの管理』のキーストアの構成に関する項を参照してください
この項には次のトピックが含まれます:
Oracle Coherenceセキュリティ・フレームワークの有効化
Oracle WebLogic Serverドメインでセキュリティ・フレームワークを有効化するには:
- 「Coherenceクラスタのサマリー」ページから、「Coherenceクラスタ」をクリックして、その設定を構成します。
- クラスタの設定ページから、「セキュリティ」タブをクリックします。
- 一般タブから、セキュリティ・フレームワーク有効オプションをクリックし、セキュリティ・フレームワークを有効化します。
- 「保存」をクリックします。
セキュリティ・フレームワークで使用するIDの指定
Oracle Coherenceセキュリティ・フレームワークでは、認証を実行する際にプリンシパル(ID)が必要です。SSLデモアイデンティティ・キーストアがデフォルトで使用され、それにはデフォルトのSSL ID (DemoIdentity)が含まれています。SSLデモ・キーストアおよびIDは通常、開発中に使用されます。本番環境では、SSLキーストアおよびIDを作成する必要があります。たとえば、Javaのkeytool
ユーティリティを使用して、admin
IDを含むキーストアを作成します。
keytool -genkey -v -keystore ./keystore.jks -storepass password -alias admin -keypass password -dname CN=Administrator,O=MyCompany,L=MyCity,ST=MyState
ノート:
SSLキーストアおよびIDを作成する場合、そのSSLキーストアおよびIDを使用するようにOracle WebLogic Serverを構成する必要があります。さらに、クラスタ内のすべての管理対象Coherenceサーバーのキーストアに、同じSSL IDが存在する必要があります。「設定」ページの「キーストア」および「SSL」タブを使用して、管理対象CoherenceサーバーにキーストアおよびIDを構成します。
デフォルトのSSL IDをオーバーライドして、セキュリティ・フレームワークで使用するIDを指定するには:
- 「Coherenceクラスタのサマリー」ページから、「Coherenceクラスタ」をクリックして、その設定を構成します。
- クラスタの設定ページから、「セキュリティ」タブをクリックします。
- セキュリティ・フレームワークがまだ有効でない場合は、一般タブから、セキュリティ・フレームワーク有効オプションをクリックし、有効化します。
- 「秘密キーの別名」フィールドに、IDの別名を入力します。
- 「秘密キーのパスフレーズ」フィールドに、IDのパスワードを入力します。
- 「秘密キーのパスフレーズを確認」フィールドに、パスワードを再入力します。
- 「保存」をクリックします。
Oracle Coherenceのキャッシュおよびサービスの認可
認可ロールおよびポリシーは、キャッシュおよびサービスに明示的に構成されます。保護されることになるキャッシュ名およびサービスを知っておく必要があります。キャッシュ構成ファイルの調査によって、キャッシュ名およびサービス名が提供される場合があります。ただし、Oracle Coherenceのキャッシュ・マッピングのワイルドカード・サポートのために、アプリケーションで使用されているキャッシュ名を知っているアプリケーション開発者またはアーキテクトに確認する必要がある場合があります。たとえば、キャッシュ構成ファイル内のキャッシュ・マッピングは、ワイルドカード(*
またはdist-*
など)を使用する可能性があり、アプリケーションで実際に使用されているキャッシュの名前を示しません。
ノート:
サービスまたはキャッシュ・リソースを削除しても、リソースに対して定義されているロールおよびポリシーは削除されません。ロールおよびポリシーは、サービスまたはキャッシュ・リソースを削除する前に、明示的に削除する必要があります。
この項には次のトピックが含まれます:
キャッシュ認可の指定
Oracle WebLogic Server認証を使用して、特定のOracle Coherenceキャッシュへのアクセスを制限できます。キャッシュ認証を指定するには:
- 「Coherenceクラスタのサマリー」ページから、「Coherenceクラスタ」をクリックして、その設定を構成します。
- クラスタの設定ページから、「セキュリティ」タブおよび「キャッシュ」サブタブをクリックします。
- Click 「新規」をクリックして、ロールやポリシーを定義するキャッシュを定義します。Coherenceキャッシュの作成ページが表示されます。
- 「名前」フィールドにキャッシュの名前を入力します。キャッシュの名前は、アプリケーションで使用されるキャッシュの名前と正確に一致する必要があります。
- 「終了」をクリックします。Coherenceのキャッシュ・ページに、キャッシュがリストされます。
- キャッシュをクリックしてその設定ページにアクセスし、「ロール」タブと「ポリシー」タブをそれぞれ使用してスコープ指定ロールとスコープ指定ポリシーを定義できます。たとえば、特定のユーザーにキャッシュへのアクセスを許可するポリシーを作成できます。グローバル・ロールのメンバーシップに基づいてユーザーを選択するか、またはCoherence固有のスコープ指定ロールを作成して、キャッシュにアクセスできるユーザーの定義のために使用できます。詳細は、『Oracle WebLogic Serverロールおよびポリシーによるリソースの保護』のWebLogicリソースの保護の概要に関する項を参照してください。
IDトークンでのExtendクライアント・アクセスの保護
有効なIDトークンを渡すクライアントのみに、クラスタ・サービスへのアクセスが許可されます。null
IDトークンが渡される場合(Subject
のスコープ外で接続するクライアント)、クライアントはOracle WebLogic Serverの匿名ユーザーとして処理されます。Extendクライアントは、匿名ユーザーがアクセスできるキャッシュおよびサービスにアクセスできます。
ノート:
IDが確立されたら、認可ポリシーを使用してそのIDを特定のキャッシュおよびサービスに制限する必要があります。「Oracle Coherenceのキャッシュおよびサービスの認可」を参照してください。
IDトークン・セキュリティでは、IDトークンを作成するIDトランスフォーマの実装、およびIDトークンを検証するアイデンティティ・アサータの実装が必要です。デフォルトのIDトランスフォーマの実装(DefaultIdentityTransformer
)およびアイデンティティ・アサータの実装(DefaultIdentityAsserter)が用意されています。デフォルトの実装では、IDトークンとしてSubject
またはPrincipal
を使用します。ただし、いずれのセキュリティ・トークン・タイプもサポートする必要がある場合には(たとえばKerberosトークンのサポート)、カスタム実装を作成できます。「IDトークンを使用したクライアント接続の制限」を参照してください。
この項には次のトピックが含まれます:
Oracle WebLogic Serverで使用するIDトランスフォーマの有効化
IDトランスフォーマはIDトークンとIDとを関連付けます。ローカル(Oracle WebLogic Server内)のExtendクライアントの場合、デフォルトのIDトランスフォーマは置換できません。デフォルトのIDトランスフォーマは、現在のOracle WebLogic Serverユーザーを示すweblogic.security.acl.internal.AuthenticatedSubject
のタイプのトークンを渡します。
リモート(Oracle WebLogic Server外)のExtendクライアントの場合、IDトランスフォーマの実装クラスをアプリケーションのクラスパスの一部として含める必要があり、実装クラスの完全修飾名をクライアントのオペレーション・オーバーライド・ファイルに定義する必要があります。「カスタムIDトランスフォーマの有効化」を参照してください。次の例では、デフォルトのIDトランスフォーマを有効化します。
... <security-config> <identity-transformer> <class-name> com.tangosol.net.security.DefaultIdentityTransformer</class-name> </identity-transformer> </security-config> ...
リモートのExtendクライアントは、Subject.doAS
メソッド内のキャッシュ操作を実行する必要があります。たとえば、
Principal principal = new WLSUserImpl("user"); Subject subject = new Subject(); subject.getPrincipals().add(principal); Subject.doAs(subject, new PrivilegedExceptionAction() { NamedCache cache = CacheFactory.getCache("mycache"); ...
Oracle WebLogic Serverで使用するアイデンティティ・アサータの有効化
アイデンティティ・アサータは、Oracle Coherenceクラスタに対して有効化する必要があり、クライアントのIDトークンをアサート(検証)するために使用されます。ローカル(Oracle WebLogic Server内)のExtendクライアントの場合、アイデンティティ・アサータはweblogic.security.acl.internal.AuthenticatedSubject
のタイプのトークンをアサートするためにすでに有効化されています。
リモート(Oracle WebLogic Server外)のExtendクライアントの場合、カスタム・アイデンティティ・サータの実装クラスがGARにパッケージ化されている必要があります。ただし、リモートのExtendクライアントがトークンとしてnull
を渡す場合、アイデンティティ・アサータは必要ありません。プロキシ・サービスがnullでないトークンを受信し、アイデンティティ・アサータの実装クラスが構成されていない場合、SecurityException
がスローされ、接続試行が拒否されます。
クラスタに対してアイデンティティ・アサータを有効化するには: