35.1 データ要件

Oracle Machine Learningのデータの保存方法と表示方法について説明します。

機械学習の操作には、1つの表またはビュー内で定義されたデータが必要です。各レコードの情報は別個の行に格納する必要があります。このデータ・レコードは一般的にケースと呼ばれます。各ケースは、必要に応じて一意のケースIDで識別されます。表またはビュー自体は、ケース表と呼ばれます。

機械学習に使用できる表の一例として、SHスキーマのCUSTOMERS表が挙げられます。各顧客のすべての情報は、1つの行に格納されています。CUST_ID列にケースIDが格納されます。次の例に示されている行は、SH.CUSTOMERSから選択されています。

ノート:

Oracle Machine Learningには、すべての種類のモデルに単一レコード・ケースのデータが必要です。ただし、ネイティブ・トランザクショナル・データで構築できる相関モデルを除きます。

例35-1 ケース表の例

SQL> select cust_id, cust_gender, cust_year_of_birth, 
           cust_main_phone_number from sh.customers where cust_id < 11;

出力内容は次のようになります。


CUST_ID CUST_GENDER CUST_YEAR_OF_BIRTH CUST_MAIN_PHONE_NUMBER
------- ----------- ---- ------------- -------------------------
1        M               1946          127-379-8954
2        F               1957          680-327-1419
3        M               1939          115-509-3391
4        M               1934          577-104-2792
5        M               1969          563-667-7731
6        F               1925          682-732-7260
7        F               1986          648-272-6181
8        F               1964          234-693-8728
9        F               1936          697-702-2618
10       F               1947          601-207-4099

35.1.1 列のデータ型

ケース表の列データの様々なタイプについて理解します。

ケース表の列には、各ケースを説明する属性が含まれます。例35-1では、それらの属性はCUST_GENDERCUST_YEAR_OF_BIRTHおよびCUST_MAIN_PHONE_NUMBERです。属性は、教師ありモデルの予測子または教師なしモデルの記述子です。ケースIDのCUST_IDは、特別な属性として表示できます(これは予測子または記述子ではありません)。

OML4SQLは、DATETIMESTAMPRAWおよびLONGを除く標準のOracleデータ型をサポートしています。Oracle Machine Learningでは、case_idで日付型(datetime、date、timestamp)がサポートされるほか、テキスト列として解釈されるCLOB/BLOB/FILEおよび次のコレクション型がサポートされます:

  • DM_NESTED_CATEGORICALS
  • DM_NESTED_NUMERICALS
  • DM_NESTED_BINARY_DOUBLES
  • DM_NESTED_BINARY_FLOATS

ノート:

データ型がBOOLEANの属性は、次の値を持つ数値として処理されます。TRUE1FALSE0NULLは不明な値として解釈されます。CASE_ID_COLUMN_NAME属性では、BOOLEANデータ型はサポートされません。

35.1.2 分類および回帰用のデータ・セット

モデルのトレーニングおよびテストに対するデータセットの使用方法について理解します。

分類モデルと回帰モデルを作成して検証するには、2つのケース表が必要になります。1つの行セットはモデルのトレーニング用、もう1つの行セットはモデルのテスト用に使用されます。作成データおよびテスト・データは多くの場合、同じデータ・セットから導出すると便利です。たとえば、モデルのトレーニング用に行の60%をランダムに選択し、残りの40%をモデルのテストに使用できます。

その他の機械学習ファンクションを実装するモデル(属性重要度クラスタリング相関または特徴抽出)では、別個のテスト・データは使用しません。

35.1.3 スコアリング要件

Oracle Machine Learning for SQLでのスコアリングの実行方法を学習します。

ほとんどの機械学習のモデルは、スコアリングというプロセスで別個のデータに適用できます。Oracle Machine Learning for SQLは、分類回帰異常検出クラスタリングおよび特徴抽出のスコアリング操作をサポートします。

スコアリング・プロセスでは、スコアリング・データ内の列名と、モデルの作成に使用された列の名前とがマッチングされます。スコアリング・プロセスでは、スコアリング・データ内にすべての列が存在している必要はありません。データ型が一致しない場合、OML4SQLでは型の強制が試行されます。たとえば、PRODUCT_RATINGという列がトレーニング・データ内ではVARCHAR2型であり、スコアリング・データ内ではNUMBER型である場合、OML4SQLは実質的にTO_CHAR()関数を適用することで型を変換します。

テスト・データまたはスコアリング・データ内の列には、作成データ内の対応する列と同じ変換を行う必要があります。たとえば、作成データ内のAGE列が数値から値CHILDADULTおよびSENIORに変換された場合、スコアリング・データ内のAGE列にも同じ変換を実行して、モデルが適切に評価できるようにする必要があります。

ノート:

OML4SQLでは、ユーザー指定の変換指示をモデルに埋め込んで、その指示をモデルの適用時に再適用できます。変換指示がモデルに組み込まれているときは、テスト・データセットまたはスコアリング・データセットに対してその変換指示を指定する必要はありません。

OML4SQLは、自動データ準備(ADP)もサポートしています。ADPを有効にすると、アルゴリズムで必要とされる変換が自動的に実行され、ユーザーが指定した変換とともにモデル内に組み込まれます。

関連項目:

自動データ変換と組込みのデータ変換の詳細は、「自動データ準備」および「モデルへの変換の組込み」を参照してください