2 制限付きライセンス

この章には、Oracle Exadata Database Machineの制限付きライセンスのオプションに関する情報が含まれています。

ノート:

次のオプションは無料であり、相互に連結して使用できます。

2.1 Capacity-On-Demand

Exadataデータベース・サーバーのアクティブなコアの数を減らしてソフトウェア・ライセンスの初期コストを下げることはできますが、これによってハードウェアのコストが変わることはありません。

Capacity-On-Demand (CoD)は、データベース・ソフトウェア・ライセンス・コストを下げるために、そのコアのサブセットを無効にしてインストールされたExadataデータベース・サーバーを指します。システムの初期構成時に、Oracle Exadata Deployment Assistant (OEDA)を使用してアクティブ・コアの数を設定できます(適用可能な制限内)。アクティブ・コアの数は、必要な容量が増えたときに、後で増やすことができます。ただし、初期インストール後にアクティブ・コアの合計数を増やすことはできますが、減らすことはできません。Capacity-On-Demandは、Oracle Exadataストレージ・サーバー・コアには適用されません。

初期インストール後、アクティブ・コアを非アクティブ化するケースとして唯一考えられるのは、Exadata構成にデータベース・サーバーを追加して、バランス・クラスタ構成を維持するためにアクティブ・コアを再配分する場合です。その場合、すべてのデータベース・サーバー全体でアクティブ・コアの総数を減らすことはできず、終了状態はCapacity-On-Demandの制限に準拠している必要があります。たとえば、2台のデータベース・サーバー上に96個のアクティブ・コアを持つExadata X10Mシステムについて考えます。3台目のデータベース・サーバーを追加し、コアの合計数を120に増やす場合は、最初の2台のデータベース・サーバーのそれぞれでアクティブ・コア数を48から40に減らし、新しいデータベース・サーバーを40個のアクティブ・コアでインストールします。

ノート:

クラスタ内のすべてのデータベース・サーバーで、同じ数のアクティブ・コアを使用することをお薦めします。

Capacity-On-Demandを仮想マシン(VM)と連結して使用すると、VMサーバー(OVM管理ドメイン[Dom0]またはKVMホスト)によって各物理CPU上に1つのコアが予約されます。たとえば、2つの物理CPUおよび合計192のCPUコアを持つExadata X10Mデータベース・サーバーでは、最大で190のコアをVMで使用できます。VMサーバーに予約されたCPUコアには、Oracle Databaseライセンスは必要ありません。

必要なソフトウェア・ライセンスを取得することは、自身の責任において行ってください。アクティブなコア数を増やす方法の手順は、『Oracle Exadata Database Machineメンテナンス・ガイド』を参照してください。

ヒント:

Oracle Exadata Deployment Assistant (OEDA)を実行してExadataシステムの初期構成を実行する場合、Capacity-On-Demandを使用するかどうか、また、使用する場合は、システム上でアクティブにするコアの数を指定する必要があります。インストール後にアクティブ・コアの総数を減少させることはできないため、ライセンス付与計画を再検討し、ライセンスを付与して使用するアクティブ・コアの数を正しく指定することをお薦めします。

2.1.1 Oracle Exadata Database MachineのCapacity-On-Demandに関する制限事項

Capacity-On-Demandは、X4-2システム以降のExadata Database Machineに使用できます。

Capacity-on-demandについては、次の制約に注意してください。

  • X5-2、X6-2、X7-2、X8-2、X8M-2、X9M-2およびX10Mシステムでは、有効にする必要があるコアの最小数は、データベース・サーバー当たり14です。1/8ラック構成の場合、最小値はデータベース・サーバーあたり8コアである点に注意してください。
  • X5-8、X6-8、X7-8、X8-8、X8M-8およびX9M-8システムでは、有効にする必要があるコアの最小数は、データベース・サーバーあたり56です。
  • X4-2システムでは、有効にする必要があるコアの最小数は、データベース・サーバーあたり12です。X4-2 1/8ラック構成ではCapacity-On-Demandを使用できません。
  • X4-8システムでは、有効にする必要があるコアの最小数は、データベース・サーバーあたり48です。
  • 追加のコアは、X4-2以降の2ソケット・システムではデータベース・サーバー当たり2コアずつ、X4-8以降の8ソケット・システムでは8コアずつ増やすことができます。
  • 同じExadataシステム内で、異なる数のコアに対して各データベース・サーバーをライセンス可能ですが、クラスタ・フェイルオーバーへの対応でパフォーマンスに重大な影響が生じないように、同じクラスタの各サーバーのアクティブなコアの数は同じにしてください。
  • Exadata X10M KVMホストでCapacity-On-Demandを使用している場合、KVMゲストのCPU超過サブスクリプションは許可されません。Exadata X10MでCPU超過サブスクリプションが許可されるのは、すべてのCPUコアがKVMホストでアクティブ化されている場合のみです。

2.1.2 監視ツール要件

Capacity-on-demand機能を使用するには、Exadataシステムは、アクティブ・コアの数を検証できるように、認定された監視ツールを実行している必要があります。

監視ツールは、インストールから3か月以内にインストールする必要があります。この要件を満たすには、次のいずれかを実行します。

  • Oracle Platinum Servicesを利用するために必要なOracleテクニカル・サポート・サービスを購入し、これらのサービスに継続して加入します。

  • Oracle Enterprise Managerをインストールし、継続的に利用します。

    ベース・インストールは、サーバー・システムから、アクティブ・コアの数など、適切な情報を収集します。アドオン・パックを購入する必要はありません。Oracle Enterprise Managerを使用するためのルールは、Oracle Trusted Partitionsに適用されるものと同じです。

2.2 Trusted Partition

Trusted Partitionでは、仮想マシン(VM)を使用してOracle Exadata Database Machine上のOracleソフトウェアで必要となるプロセッサ・ライセンスの数を制限できます。

ノート:

Trusted Partitionは、2ソケットのExadataデータベース・サーバーでのみサポートされています。仮想化は8ソケットのExadataデータベース・サーバーではサポートされていないため、8ソケットのExadataシステムでTrusted Partitionは使用できません。

Oracle Exadata Database Machineでは、仮想マシン(VM)をTrusted Partitionとして使用できます。この場合、VMで稼働しているすべてのOracleソフトウェアには、そのVMで使用されているCPUリソースに応じたライセンスが必要になります。

Trusted PartitionでのOracleプログラムのライセンス供与では、2個の仮想CPU (vCPU)が1個の物理CPUコアに相当するものとしてカウントされます。また、Oracleプロセッサ・ライセンス規則、1つのプロセッサ・ライセンスが物理CPUコア2個に適用されます。そのため、4つのVM vCPUにつき、1つのプロセッサ・ライセンスが必要になります。

各Exadataデータベース・サーバーではOracle Database Enterprise Editionの最小ライセンス要件も満たす必要があります。これはCapacity-On-Demandのアクティブ・コアの最小数と同じです。最小ライセンス要件は、その他のOracleソフトウェア(データベース・オプションやEnterprise Managerパックなど)には適用されません。これらは使用に応じたライセンス供与となります。

たとえば、Exadata X10Mシステムで2台のデータベース・サーバーを稼働する例を考えます。各データベース・サーバーに2つの物理CPUが含まれており、合計の物理CPUコア数は192です。さらに、このシステムでは、次の特性を持つ2つのデータベース(D1およびD2)を別個のVMクラスタで稼働していると想定します:

  • 両方のデータベースでOracle Database Enterprise EditionをOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)およびOracle Partitioningオプションとともに使用しています。

  • D2ではOracle Advanced Securityオプションも使用しています。

  • 各サーバーでは、D1が32個のvCPUを使用するVM内で、D2が24個のvCPUを使用するVM内で稼働しています。

この条件においてTrusted Partitionを使用する場合、Oracle Database Enterprise Edition、Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)およびOracle Partitioningでは112個のvCPU (2サーバー、32個のvCPU + 24個のvCPU)のライセンスが供与される必要があり、各ソフトウェア・アイテムについて28個のプロセッサ・ライセンスが必要になります。

また、D2で使用しているOracle Advanced Securityオプションでは48個のvCPU (2サーバー、それぞれに24個のvCPU)のライセンスが供与される必要があり、12個のプロセッサ・ライセンスが必要になります。

Oracle Exadata Database MachineでTrusted Partitionを使用するには、Oracle Exadata System Software 12.1.2.1.0以降を実行し、Oracle Enterprise Managerを常時使用してシステムの監視と構成の検証を実施する必要があります。