9 ストレージの管理

Oracle Database Applianceデプロイメントのストレージ・オプションと、ストレージの管理方法について説明します。

ストレージの管理について

Oracle Database Applianceのストレージ・オプションを理解します。

Oracle Database Applianceでは、RAWストレージを使用して、次の方法でデータを保護します。

  • 高速リカバリ領域(FRA)のバックアップ。FRAは、REDOログ、制御ファイル、アーカイブ・ログ、バックアップ・ピースとコピーおよびフラッシュバック・ログを含むストレージ領域(ディスクまたはOracle ASMディスクグループのディレクトリ)です。

  • ミラーリング。双方向ミラーリングまたは3方向ミラーリングで、機械的な問題に対する保護が提供されます。

使用可能なストレージの量は、FRAバックアップの場所(外部または内部)と、双方向ミラーリングが使用されるか、3方向ミラーリングが使用されるかによって決定します。オンライン・バックアップ、データ・ステージングまたは追加のデータベース・ファイルのために、外部NFSストレージがサポートされています。

Oracle Database Appliance X10-LおよびX10-HAモデルでは、基本構成にストレージ拡張オプションが用意されています。また、Oracle Database Appliance X10-HAマルチノード・プラットフォームでは、オプションのストレージ拡張シェルフを追加できます。

FLASHの冗長性レベルは、DATAおよびRECOの選択に基づきます。高冗長性(3方向ミラーリング)を選択した場合、FLASHも高冗長性になります。

ノート:

このリリースのOracle Database Applianceでは、X10のストレージは初期デプロイメント時にのみ拡張でき、後では拡張できません。

Oracle ASMディスクの管理について

Oracle Database ApplianceがサポートするOracle ASMディスク管理機能を理解します。

Oracle Database Applianceでは、Oracle ASMディスクを管理できます。

Oracle ASMディスク・グループの自動オンライン化

Oracle Database Applianceは、ディスク・グループ内のOracle ASMディスクのステータスを定期的にチェックします。一時的なディスク・エラーによっていずれかのOracle ASMディスクがオフラインになると、Oracle Database Applianceによってそのディスクのオンライン化が試行されます。

Oracle ASMディスク・グループの再バランス操作の最適化

Oracle Database Applianceでは、システムとディスクに同時に負荷がかかりすぎることなく、Oracle ASMディスクの再バランスが可能なかぎり迅速に完了するようになります。これにより、適切な冗長性で、システムが安定した状態で動作するようになります。再バランス操作の値にはデフォルトのしきい値があり、カスタムのしきい値を設定することもできます。たとえば:
odacli update-agentconfig-parameters -n ASMRM_CPU_RQ -v 50 -d "CPU RUN QUEUE THRESHOLD" -u
odacli update-agentconfig-parameters -n ASMRM_MAX_HDD_DISK_RQ -v 2 -d "HDD DISK QUEUE THRESHOLD" -u
odacli update-agentconfig-parameters -n ASMRM_MAX_SSD_DISK_RQ -v 32 -d "SSD DISK QUEUE THRESHOLD" -u
odacli update-agentconfig-parameters -n ASMRM_MAX_NVME_DISK_RQ -v 50 -d "NVME DISK QUEUE THRESHOLD" -u

前述のコマンド・オプションで、Oracle ASMディスクの再バランスを監視するためのカスタムのしきい値制限が設定されます。

再バランス操作は、odacli describe-schedule -i Schedule IDおよびodacli list-scheduled-executionsのコマンドを使用して監視できます。

単一ノード・システムでのストレージの管理

Oracle Database Appliance X10-SおよびX10-Lシステムのストレージ・オプションを理解します。

ノート:

このリリースのOracle Database Applianceでは、X10のストレージは初期デプロイメント時にのみ拡張でき、後では拡張できません。

Oracle Database Appliance X10-SおよびX10-Lのストレージについて

Oracle Database Appliance単一ノード・システムのストレージを理解します。

Oracle Database Appliance X10-Sには、DATAおよびRECOディスク・グループをホストする2つの6.8TB NVMeディスクがあります。Oracle ASMストレージ情報用にDATAとRECOを分割できるパーティションは10個あります。デフォルトでは、DATAには8つのパーティション構成があり、RECOには2つのパーティション構成があります。ストレージ容量は固定されており、拡張できません。

Oracle Database Appliance X10-Lには、スモール・フォーム・ファクタ(SFF)およびAIC (Add-in-Card)という2つのフォーム・ファクタ・ベースのNVMeディスクがあります。どちらのフォーム・ファクタNVMeディスクもストレージ容量が6.8TBです。SFFは容量が6.8TBの単一ディスクですが、AICにはそれぞれ容量が3.4TBの2つのNVMeディスクがあり、合計ストレージ容量は6.8TBです。Oracle Database Appliance X10-Lのデフォルト構成は、DATAおよびRECOディスク・グループをホストする2つの6.8TB NVMeディスクです。

このリリースでX10-Lを初めてデプロイおよび構成する場合、NVMeおよびAICドライブの2個パックの倍数(2個、4個、6個など、8個までのディスク)で、ストレージをX10-Lに設定できます。

Oracle Database Appliance X10-Lでは、4つのSFF NVMeディスクおよび4つのAIC NVMeディスクがサポートされています。AIC NVMeディスクをシステムに追加する前に、4つのSFF NVMeディスクすべてを移入する必要があります。

この表では、単一ノード・システムの拡張メモリーとストレージ・オプションを含むNVMeストレージ構成について説明します。

表9-1 Oracle Database Appliance X10-SおよびX10-Lのストレージ・オプション

構成 Oracle Database Appliance X10-S Oracle Database Appliance X10-L

基本構成

2台の6.8 TB NVMe = 13.6 TB NVMe

2台の6.8 TB NVMe = 13.6 TB NVMe

ストレージ追加オプション

なし

54.4TB NVMeの合計ストレージ用の6x6.8TB NVMeストレージ・ドライブ。

AIC NVMeディスクをシステムに追加する前に、4つのSFF NVMeディスクすべてを移入する必要があります。

追加の2つのSFF NVMeについて、次を注文します:

数量: 1 - 7606150 (2つの6.8TB 2.5インチNVMe PCIe SFF SSD (Oracle Database Appliance X10-Lのマーリン・ブラケット付き))

追加の4つのNVMe AIC SSD (これらは、取付けにカバーの取外しが必要なPCIe NVMeフラッシュ・カードです)については、次を注文します:

2の場合は数量:1、4の場合は数量:2:

数量: 1 - 7605325 (Oracle Database Appliance X10-L用の2つの6.8TB NVMe PCIeカード)

高可用性システムでのストレージの管理

Oracle Database Appliance X10-HAシステムのストレージを理解します。

ノート:

このリリースのOracle Database Applianceでは、X10のストレージは初期デプロイメント時にのみ拡張でき、後では拡張できません。

Oracle Database Appliance X10-HAのストレージ・オプションについて

Oracle Database Applianceの高可用性システムには、高パフォーマンスおよび大容量のストレージ構成のためのオプションがあります。

Oracle Database Appliance X10-HAハードウェア・モデルの基本構成には、7.68TBのSSD RAWストレージ・ドライブを備えた6つのスロット(スロット0-5)があります。最大限のストレージ容量を注文してデプロイする場合は、残りの18個のスロット(スロット6-23)にSSDドライブまたはHDDドライブを装着できます。さらにストレージを拡張するために、ストレージ拡張シェルフを追加してアプライアンスのストレージ容量を2倍にできます。

すべての構成で、ベースストレージとストレージ拡張シェルフにはそれぞれ、SSDオプションでのDATA/RECO用、またはHDDオプションでのFLASH用に6台のSSDがあります。

Oracle Database Appliance X10-HAでは、REDOディスク・グループ専用のSSDドライブは割り当てられません。かわりに、必要に応じて、SSDドライブでREDOログ用の領域が割り当てられます。

Oracle ASMストレージの場合、REDOログは、選択したデータベース・シェイプに基づいて、データベース作成時に使用可能なディスク・グループ領域に格納されます。Oracle ACFSストレージの場合、REDOログ用の領域が、データベース・ストレージの作成時に最小データベース・シェイプ(odb1s)を想定して割り当てられます。データベースなしでデータベース・ストレージを作成する場合、REDOログ用に割り当てられる領域は、最小データベース・シェイプ(odb1s)を想定して、4 GBです。その後、既存のデータベース・ストレージで必要なデータベース・シェイプを使用してデータベースを作成すると、REDOログ領域がデータベースのシェイプに基づいて拡張されます。

SSDドライブのみを使用するOracle Database Appliance X10-HA高パフォーマンス構成では、DATAおよびRECOディスク・グループは、6、12、18、24または48 (ストレージ拡張シェルフを使用)のいずれであっても、すべてのSSDドライブを使用します。REDOログはRECOディスク・グループに格納されます。

Oracle Database Appliance X10-HA大容量構成(HDDドライブとSSDドライブの両方を使用)では、DATAおよびRECOディスク・グループはHDDドライブを使用し、SSDドライブでFLASHディスク・グループが格納されます。REDOログはFLASHディスク・グループに格納されます。

高パフォーマンス構成と大容量構成の両方で、REDOログは、以前のOracle Database Applianceハードウェア・モデルと同様に、常にSSDドライブに作成されます。REDOログは、RECOまたはFLASHのいずれであっても、ディスク・グループの冗長性レベルに関係なく、常に高冗長性で作成されます。

高パフォーマンス

高パフォーマンス構成では、DATAおよびRECOストレージにソリッド・ステート・ドライブ(SSD)が使用されます。基本構成には6台のディスクがあり、それぞれにDATAおよびRECO用の7.68 TBのSSD RAWストレージがあります。

基本構成で、SSDの6個パックを最大で3つ追加して、合計184.32 TBのSSD RAWストレージにできます。さらにストレージが必要な場合は、SSDドライブの拡張シェルフを追加することで容量を2倍にできます。拡張シェルフで、それぞれにDATAおよびRECO用の7.68TBのRAWストレージがある追加の24台のSSDが提供されるため、合計で184.32 TBのSSD RAWストレージが追加されます。

拡張シェルフを追加するには、ベース・ストレージ・シェルフと拡張シェルフが、SSDドライブで完全に埋められている必要があります。ストレージを拡張する場合、停止時間は発生しません。

高パフォーマンス用に完全に構成されたシステムには、DATAおよびRECO用の368.64 TBのSSD RAWストレージがあります。

大容量

大容量構成では、SSDドライブとHDDドライブの組合せが使用されます。

基本構成には6台のディスクがあり、それぞれにFLASH用の7.68 TBのSSD RAWストレージがあります。

次の拡張オプションがあります。

  • ベース・シェルフ: DATAおよびRECO用の追加の396TBのHDD RAWストレージ(それぞれ22 TBのストレージを持つ18台のHDD)

  • 拡張ストレージ・シェルフ: 追加のシェルフ・ストレージ構成は、ベース・シェルフのストレージ構成と同じである必要があります。

大容量用に完全に構成されたシステムには、DATA、RECOおよびFLASH用の合計884.16 TBのRAWストレージ(92.16 TBのSSDと792 TBのHDD)があります。

表9-2 Oracle Database Appliance X10-HAのストレージ・オプション

構成 高パフォーマンスのためのOracle Database Appliance X10-HAのSSDのみの構成 大容量のためのOracle Database Appliance X10-HAのSSDとHDDの構成
基本構成

ベース・ストレージ・シェルフには、7.68 TBのSSDが6台含まれています。

  • 6台の7.68 TBのSSD = 46 TBのSSD

ベース・ストレージ・シェルフは、7.68 TBのSSDの6個パックと18個の22 TBのHDDドライブで完全に埋められています。

  • 6台の7.68 TBのSSD = 46 TBのSSD

  • 18台の22 TBのHDD = 396 TBのHDD

  • 最初のJBODの合計ストレージ = 442 TB (46 TBのSSDと396 TBのHDD)
ストレージ追加オプション

ベース・シェルフには6台のSSDが含まれています。追加の18台のSSDは、6個パックで追加する必要があります。

  • ベース・システム: 6台の7.68 TBのSSD = 46 TBのSSD

  • 6台のSSDを追加: 12台の7.68 TBのSSD = 92 TBのSSD

  • 12台のSSDを追加: 18台の7.68 TBのSSD = 138 TBのSSD
  • 18台のSSDを追加: 24台の7.68 TBのSSD = 184 TBのSSD (完全に埋められたシェルフ)

該当なしベース・ストレージ・シェルフは完全に埋められています。

ストレージ・シェルフの拡張オプション

ノート: このリリースのOracle Database Applianceでは、X10のストレージは初期デプロイメント時にのみ拡張できます。

  • オプションの拡張ストレージ・シェルフは、ベース・ストレージ・シェルフが完全に埋められた後でのみ取り付けることができ、ベース・ストレージ・シェルフと同じ構成である必要があります。
  • ベース・ストレージ・シェルフの合計ストレージ = 184 TBのSSD
  • 拡張シェルフのストレージ = 24台の7.68 TBのSSD = 184 TBのSSD
  • 両方のJBODを含む合計ストレージ = 368.6 TBのSSD
  • オプションの拡張ストレージ・シェルフは、ベース・ストレージ・シェルフが完全に埋められた後でのみ取り付けることができ、ベース・ストレージ・シェルフと同じ構成である必要があります。
  • ベース・ストレージ・シェルフの合計ストレージ = 442 TB (46 TBのSSDと396 TBのHDD)
  • 両方のJBODを含む合計ストレージ = 884 TB (92 TBのSSDと792 TBのHDD)