3.12.11.1.12 環境間でのフィードバックの同期

開発、テストおよび本番環境からのフィードバックを同期するためのベスト・プラクティスについて学習します。

3.12.11.1.12.1 環境間でのフィードバックの同期について

APEXアプリケーションでは、開発プロセスに役立つフィードバックをエンド・ユーザーが報告できます。SQLclを使用して、テスト環境または本番環境からフィードバックをエクスポートして開発環境にインポートできます。必要に応じてフィードバックに開発部門が応答および対処した後、開発環境でSQLclを再び使用して個別にエクスポートできます。

  • テスト環境から発信されたフィードバック

  • 本番環境から発信されたフィードバック

このアプローチでは、適切なフィードバックを発信元の環境に再度インポートし、その環境のフィードバック情報を常に同期させることにより、テスターおよびエンド・ユーザーが自分のフィードバックがアプリケーションの進化にどのように影響したかを適切に把握できるようにします。

3.12.11.1.12.2 DEV、TESTおよびPROD環境の区別

フィードバック同期のソース識別子およびワークスペース環境バナーを指定して、アクティブな開発(DEV)、テスト(TEST)および本番(PROD)の環境を区別します。

通常、APEX開発チームは、同じワークスペース名とワークスペースIDを共有する3つの環境をプロビジョニングします。1つはアクティブな開発用、もう1つはテスト用で、3つ目の環境にはエンドユーザーが使用する本番アプリケーションおよびデータが含まれます。

3つの環境すべてが同じワークスペースIDを共有するため、各ワークスペース・インスタンスを次のように設定すれば簡単に区別できます。

  • フィードバックの同期に使用する、フィードバック同期のソース識別子の個別値。

  • アプリケーション・ビルダーでの作業中に視覚的に区別するためのワークスペース環境バナー。

たとえば、3つの環境それぞれにTEAMWORKという名前のワークスペースがあるとします。3つのワークスペース環境すべてに同じワークスペース名(TEAMWORK)とワークスペースID (1908816359534887)が設定されているため、次の表に示す値を使用してそれらを相互に区別できます。

メッセージ名 英語のテキスト

DEV

Development

TEST

Testing

PROD

Production

3.12.11.1.12.3 テストまたは本番からのフィードバックのエクスポート

テスト環境または本番環境からフィードバックをエクスポートするには、SQLclで適切なデータベース・ユーザーに接続し、apex export-expFeedbackオプションで使用して、ワークスペースIDを指定します。

SQL> apex export -expFeedback -workspaceid 1908816359534887
Exporting Feedback for Workspace 1908816359534887:'TEAMWORK'

前の例では、現在のディレクトリにfb1908816359534887.sqlという名前のファイルが生成されます。このファイルには、本番環境のフィードバック同期のソース識別子のPROD値を反映する行が含まれています。次に例を示します。

:
wwv_flow_api.set_feedback_origin('PROD', 'DEVELOPMENT');
:

この例がテスト環境で実行された場合は、エクスポートされたSQLファイルのこの値がTESTになります。

開発環境にフィードバックをインポートするには、開発環境のデータベースのワークスペース・スキーマ・ユーザーに接続したときに、このSQLスクリプトを実行します。

3.12.11.1.12.4 開発からフィードバックをエクスポートしてテストまたは本番に同期

インポートされたフィードバック・エントリを開発チームが開発環境で処理し終わったら、-deploymentSystemオプションを使用して、特定のターゲット環境に固有のフィードバック・エントリをエクスポートできます。たとえば、PROD環境から発信された項目に対する開発部門のフィードバックをエクスポートするには、フィードバック・エクスポート・コマンドは次のようになります。

SQL> apex export -expFeedback -workspaceid 1908816359534887 -deploymentSystem PROD
Exporting Feedback for Workspace 1908816359534887:'TEAMWORK'

この例では、現在のディレクトリにfb1908816359534887.sqlファイルが生成されます。このファイルには、本番環境にインポートするのに適切なフィードバック・エントリのみが含まれ、本番環境から発信された項目に対するフィードバックの最新ステータスで更新されます。本番環境にフィードバックをインポートするには、本番環境のデータベースのワークスペース・スキーマ・ユーザーに接続したときに、このスクリプトを実行します。

3.12.11.1.12.5 増分フィードバック・エクスポートの実行

多くのフィードバック・エントリを処理する場合は、特定の日付以降に作成または変更されたフィードバック・エントリのみをエクスポートすることを検討してください。この増分フィードバック・エクスポートを実行するには、apex export -expFeedbackのコマンドラインに-expFeedbackSinceオプションを追加し、日付をYYYYMMDD形式で指定します。

たとえば、2022年1月22日以降に行われた本番からのフィードバック・エントリをエクスポートする場合、コマンドは次のようになります。

SQL> apex export -expFeedback -workspaceid 1908816359534887 -expFeedbackSince 20220122

本番環境で変更を同期するために、本番環境から発信されて開発環境で更新されたフィードバック・エントリを増分エクスポートするには、-expFeedbackSinceオプションを追加します。

たとえば、本番環境から発信されて2022年3月21日以降に更新された開発部門のフィードバック・エントリをエクスポートする場合、コマンドは次のようになります。

SQL> apex export -expFeedback -workspaceid 1908816359534887 -deploymentSystem PROD -expFeedbackSince 20220321