3 Oracle JETアプリケーションに対する監査の実行
デフォルトのOracle JAF構成に変更を加えずに監査を実行することも、様々な構成プロパティをカスタマイズして監査の動作を変更することもできます。
コマンドラインを使用したアプリケーションの監査
ojaf --init
コマンドを使用してOracle JAFを構成した場合は、「コマンド・プロンプト」ウィンドウで監査を実行できます。
JETアプリケーションで、「コマンド・プロンプト」ウィンドウを開き、ルート・ディレクトリで引数を指定せずにJAFコマンドを使用して、HTML、JS、CSSおよびJSONのすべてのファイルに対して、アプリケーション全体の現在のJAF構成に基づいた監査を実行します。
ojaf
完全なコマンドライン構文には、オプションのフラグと、オプションのディレクトリ・パスまたはファイル・パス(あるいは両方)の引数のスペース区切りリストが含まれます。
ojaf [ <flags> ] [ <files>]
監査の実行は、コマンドライン・インタフェースでコマンドを呼び出すディレクトリから始まります。アプリケーション・ファイルのサブセットを監査するには、必要な開始ディレクトリに異動して、監査コマンドを呼び出します。あるいは、単純な監査の場合は、コマンドラインでファイルとファイル・パスを現在の作業ディレクトリに対して相対的に指定できます:
ojaf myFile1[, myFile2, myFilex]
たとえば、次のように、現在の作業ディレクトリ内の2つのファイルの監査と、テスト・ディレクトリのみのサブフォルダ内のすべてのファイルの監査を行うことができます:ojaf file1 file2 ./test/**/*
プラットフォームによってはコマンドライン引数のワイルドカード拡張が実行されることに注意してください。これを回避するには、ワイルドカード文字を含むojaf
引数は引用符で囲む必要があります。
ojaf
コマンドに指定できるコマンドライン・フラグは、JAF構成ファイルの対応するプロパティ設定をオーバーライドするために使用できます。たとえば、デフォルトのフラット化テキスト出力をオーバーライドして、監査用の標準レポート・スタイル出力を表示する場合は、--format
フラグを追加できます。
ojaf --format prose
他のコマンドライン・フラグを使用すると、ojaf
ユーティリティと相互作用して必要な情報を戻すことができます。たとえば、アプリケーションのOracle JETバージョンがJAFでサポートされている現在のバージョンに含まれることを確認する場合は、--jetlist
フラグを追加します。
ojaf --jetlist
また、コマンドラインを使用して、監査でレポートされた特定の問題に関する詳細情報を取得することもできます。このためには、--help
フラグと引数(メッセージのIDまたはメッセージを出力したルールの名前)を付加します。
ojaf --help msgID
コマンドライン・フラグの完全なリストは、引数なしの--help
フラグを使用して表示できます。
ojaf --help
--help
コマンドでは、次の表に示すojaf
ユーティリティのコマンドライン・フラグのオプションが表示されます。Oracle JAFコマンドライン・フラグでは、大文字と小文字は区別されないことに注意してください。
--help
フラグを使用し、--help
または-h
に引数としてフラグを追加することによって(ojaf -h dr
など)、コマンドライン・フラグのマニュアル・ページ(manpage)ドキュメントを表示することもできます。
または、コマンドを?
で終了する(ojaf -rc?
など)ことで、フラグのマニュアルページを表示できます。*nixシェルの場合、疑問符をエスケープするか、引数を引用符で囲む(ojaf -rc\?
またはojaf "-rc?"
)必要があります。
OJAFコマンド・フラグ(長/短) | 説明 |
---|---|
または
|
この表で説明するコマンドライン・フラグの使用方法を表示します。 |
または
|
メッセージのIDまたは名前で識別されるルールの説明を表示するか、コマンドのマニュアルページを表示します。たとえば、次の場合は、JAF監査メッセージID
次の場合は、JAF監査ルール
次の場合は、JAFコマンドライン・フラグ
|
|
-h <command> を使用するかわりに、コマンドのマニュアルページを表示します。たとえば、ojaf -h dr とojaf -dr? はどちらも、コマンド・オプション--dryrun のマニュアルページを表示します。
*nixシェルの場合、コマンドラインの展開を回避するために、疑問符をエスケープするか、引数を引用符で囲む( |
または
|
現在のディレクトリに |
または
|
スケルトンのカスタム監査ルール実装ファイルを現在のディレクトリにスキャフォールドします。引数の後ろには、 ユーザー定義のカスタム監査ルールの作成の詳細は、「カスタム監査ルール・テスト・プロジェクトの設定」を参照してください。 |
または
|
構成ファイルのファイル・パスを後に指定すると、指定の構成で監査が実行されます。 省略した場合は、現在のディレクトリで |
または
|
JETのリリース・バージョンを表す部分的または完全なセマンティック・バージョン値を後に指定すると、そのJETリリース・バージョンの監査が実行されます。Oracle JAFルール・セットをアプリケーションのバージョンと一致させる場合に使用します。 部分的なセマンティック・バージョン定義( ヒント: コマンドojaf --jetlist (またはojaf -jl )を使用して、ojaf コマンドライン・ユーティリティでサポートされる現在のJETリリース・バージョンを表示します。
省略した場合、ルール・セットは |
または
|
指定されたルール・セット・グループを使用して監査を実行します。組込みルール・セット・グループのリストは、「特定のルールによる監査」を参照してください。 |
または
|
出力表示形式を後に指定すると、監査の出力の形式が設定されます。標準のレポート・スタイル出力は |
または
|
ファイル・パスを後に指定すると、指定のディレクトリに監査の出力が書き込まれます。 パスが相対パスの場合、出力ディレクトリは現在のディレクトリに対して相対的に解決されます。省略した場合、監査出力のディレクトリは現在のディレクトリです。 |
または
|
outPath構成プロパティによって構成ファイル内で指定されているファイルへの出力を抑止し、監査出力をコンソールに送ります。 |
または
ノート: 比較演算子を使用する場合、重大度条件は引用符で囲む必要があります。 |
重大度レベルを後に指定すると、監査でレポートされる問題の重大度が制限されます。重大度レベルの説明は、「監査ルールの重大度レベルの制限」を参照してください。 オプションの比較演算子
省略すると、すべての重大度レベルの問題が監査でレポートされます。構成プロパティsevMapを使用してこれらが再定義された場合は、再定義された重大度もここで使用できます。 |
または
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監査でスタイルシートの 省略した場合、デフォルトで、リンク先スタイルシートが監査の対象になります。 |
または
|
監査でスタイルシートの |
または
|
追加の詳細情報を出力として表示します。たとえば、特定の問題の作成に使用されたルールおよび問題のメッセージIDが含まれます。 |
または
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proseモードを構成( JAF構成プロパティproseFormatにより定義されたカスタム形式は、このフラグをオーバーライドします。 |
または
|
構成ファイルの完全な起動と分析が実行されます。監査されるはずのファイルが表示されますが、ファイル・セット(JAF構成プロパティ設定filesおよびexcludeで指定される)に対してルールは起動されません。 これは、構成ファイルにエラーがないことを確認する場合に役立ちます。filesおよびexcludeプロパティの設定が複雑な場合には特に便利です。 |
または
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JAFで現在サポートされているJETのバージョンが表示されます。 これは、アプリケーションの作成に使用したJETのバージョンが、現在のJAFインストールでサポートされているバージョンであることを確認する場合に便利です。 |
または
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継承できる使用可能な構成プロファイルを表示します。コマンド・フラグのあとにオプションのプロファイル名が続く場合は、そのプロファイルが表示されます。 |
または
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JAFで認識されているネームスペースを表示します。 これは、ユーザー定義のカスタムWebコンポーネントへの参照のファイル・セットを監査し、有効なWebコンポーネント参照の誤った監査レポートを抑制する必要がある場合に便利です。詳細は、「カスタムのJET Webコンポーネントの使用方法の監査」を参照してください。 |
または
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JET組込みルール・パックでデフォルトで無効になっているルールのリストを表示します。 宣言されたパックに出力を限定するために、すぐに続けてオプションのパック接頭辞を付けることができます。 |
または
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非推奨のルールのリストを表示します。 宣言されたパックに出力を限定するために、すぐに続けてオプションのパック接頭辞を付けることができます。 |
または
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組込みJETルール・パック・グループおよびその関連ルールを表示します。 指定したパックのみに出力をフィルタするために、すぐに続けてオプションのパック接頭辞名を付けることができます。 |
または
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外部(JET以外)のルール・パック・グループおよびその関連ルールを表示します。 指定したパックのみに出力をフィルタするために、すぐに続けてオプションのパック接頭辞名を付けることができます。 このコマンドには、rulePacksプロパティが設定された構成ファイルが必要です(つまり、コマンドラインで OJAFはrulePacksプロパティのみを参照するため、それ以外のプロパティは存在する必要がありません。 |
または
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JAF組込みルールパックのAMDモードでのルールの利用可否を表示します。オプションのルールパック接頭辞を指定して、出力を指定されたパックのみに制限できます。 |
または
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JAF組込みルールパック内のルールのロード順序を表示します。オプションのルールパック接頭辞を指定して、出力を指定されたパックのみに制限できます。 |
または
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JAF組込みルールパックのルールのステータスを表示します。オプションのルールパック接頭辞を指定して、出力を指定されたパックのみに制限できます。 |
または
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削除および名前変更されたクラス、および削除されたクラス・メソッドとメンバーについて、JAFで認識されているすべてのJETバージョンのメタデータ履歴を表示します。 これは、非推奨または名前の変更によって発生する問題の診断に役立ちます。JAFでは、メッセージJET-3070およびJET-3071でこれらが報告されていることに注意してください。 |
または
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継承の結果を評価するためのアクティブな構成ファイルを表示します。監査は実行されません。 |
または
または
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選択したプロパティの現在のJAF構成デフォルト値を表示します。 |
または
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デバッグ・モードが有効化され、非常に詳細な出力が可能になります。 これは、問題の診断に役立ちます。 |
または
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アクティブなルールの情報とそのオプションがテキストとして表示されますが、監査は実行されません。
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または
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アクティブなルールの情報とそのオプションがJSONとして表示されますが、監査は実行されません。
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または
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アクティブなルールの情報とそのオプションがXML (SONAR形式)として表示されますが、監査は実行されません。
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または
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OJAFコマンドライン・インタフェースのリターン・コード動作をオーバーライドします。デフォルトの動作の場合、autoを指定します。異常終了でデフォルト・モードの場合と同様に-1が返される場合を除き、リターン・コードを0にする場合はerrors指定します。リターン・コードとして使用する数値を指定します。OJAFバージョン2.9.11以降が必要です。 |
または
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メッセージのIDまたは名前で識別されるルールの説明が表示されます。たとえば、次の場合は、JAF監査メッセージID
次の場合は、JAF監査ルール
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または
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スケルトンのカスタム監査ルール実装ファイルを現在のディレクトリにスキャフォールドします。引数の後ろには、 ユーザー定義のカスタム監査ルールの作成の詳細は、「カスタム監査ルール・テスト・プロジェクトの設定」を参照してください。 |
事前定義済実行時オプションによるアプリケーションの監査
オプションのJAF構成プロパティoptionsを使用し、コマンドラインから監査を実行するたびに使用する実行時オプションを定義します。
コマンドライン・フラグを使用してojaf
コマンドを呼び出すかわりに、対応する設定をJAF構成ファイルのoptionsプロパティで構成することで、様々な実行時オプションを事前に定義できます。たとえば、ojaf
コマンドを呼び出すたびに--extra
--nocolor
を付けるかわりに、構成オプションdebugおよびcolorを定義できます。
JETおよびECMAスクリプトの特定バージョンによる監査
監査中、Oracle JAFは、アプリケーション固有のメタデータを参照してJAFルール・セットを処理します。JAF構成ファイルのオプションのjetVerプロパティを使用してJETバージョンのメタデータを設定し、オプションのecmaVerプロパティを使用してECMAバージョンのメタデータを設定します。プロパティを省略した場合、JAFは、アプリケーションの作成に使用されるJETのバージョンに固有のメタデータを使用してルール・セットを処理します。
JAF組込み監査ルール・セットは、JETの特定のバージョンおよび特定のJavaScript ECMA実装用に最適化されたメタデータに対して機能します。デフォルトでは、JAFはアプリケーション固有のJET JavaScript APIリファレンス・ドキュメントからルールのメタデータを導出します。ただし、監査をカスタマイズして、アプリケーション以外のJETとJavaScript/TypeScriptのバージョン用の組込みルール・セットを処理できます。
-
Oracle JETバージョン"5.2.0" (引用符で囲まれた文字列)以降が、JETメタデータで有効な設定です。JETリリース候補で実行する必要がある場合、"9.0.0-rc3"のように末尾の文字を使用できます。
-
JavaScript ECMAの場合、バージョン5、6、7、8、9、10、11、12、13および14 (引用符なしの数字)は有効で、ECMAバージョン番号またはESバージョン年(ES14の2023など)で指定できます。
特定のルールによる監査
JAFによって起動される監査ルール・セットは、オプションで構成プロパティgroups、ruleNamesおよびruleModsを使用して条件付きにできます。これらのプロパティは、ランタイム・ルール・セットのルールを有効化および無効化して、実行されるルールのリストを指定し、他のすべてのルールを間接的に無効化する様々な方法を提供します。
JAFルールはすべてルール・パックで定義されます。一部のルール・パックはJAFに組み込まれており、builtinで始まる構成プロパティを設定するだけで選択できます。たとえば、builtinJetRulesをtrueに設定すると、その中で定義されているすべての(有効な)ルールをJAFで使用できるようになります。(省略した場合、builtinJetRulesはデフォルトでtrueになるため、JET組込みルールを使用して標準監査を実行するために何も宣言する必要はありません。)JET組込みルール・パックに含まれないルール・パックの場合、構成プロパティrulePacksを使用して、ロードする外部ルール・パックを宣言できます。
したがって、デフォルトでは、組込みOracle JAFルール・パックが有効になっており、オプションで外部ルール・パックをロードでき、これらのルール・パック内のすべてのルールを監査で実行できます。ルール・パック内のルールを無効にしてそのルールを実行しないようにすることもできますが、少数のルールのみを実行する必要がある場合は、不要なルールをすべて無効にするよりも、実行するルールを指定するほうが簡単です。
JAF構成プロパティruleNamesを使用して、実行する特定のルールおよびルール・グループのリストを指定し、他のすべてのルールを間接的に無効にします。または、プロパティgroupsを使用して、実行するルール・グループのリストを指定し、ほかのすべてのルール・グループを間接的に無効にします。JAF監査では、名前付きルールまたはルール・グループのみが呼び出されます。
groupsおよびruleNames構成プロパティのみがルールを有効にするわけではなく、使用する予定のルールのみを宣言することに注意してください。これらのルールが実行されるかどうかは、監査構成によって異なります。たとえば、グループが指定されているが、それを含むルール・パックがロードされていない場合、グループのルールは実行されません。同様に、ruleNamesで宣言されたルールがデフォルトで無効になっている場合(またはruleModsプロパティを介して他の場所で無効になっている場合)、ルールは実行されません。
したがって、ruleNamesおよびgroupsプロパティを使用すると、構成エントリの編集やコメント・アウトを行わずに、ロードされたルール・パックの既存の構成を一時的にオーバーライドできます。これは、ルールの開発またはデバッグ時に特に役立ちます。これらのプロパティは、実行しないルールを無効にするのではなく、実行するルールを指定する場合にも役立ちます。
カスタム・ルール・パックによる監査
Oracle JAF構成プロパティrulePacksを使用して、ユーザー定義のカスタム監査ルールのセットをOracle JAF監査に含めます。
オプションで、rulePacksプロパティを使用して、ユーザー定義のカスタム監査ルールのセットを有効にすることができます。プロパティでは、ルールを含むzipファイルまたはフォルダを指定します。Oracle JAFを使用してユーザー定義ルールを作成する方法の詳細は、「Oracle JET Audit Frameworkの拡張」を参照してください。
"rulePacks" : [
{
"path" : "path/to/myrulepack.zip",
"enabled" : [true (default) | false]
"status" : ["all" (default), "production", "deprecated", "beta", "alpha"]
},
{
"path" : "path/to/my/rulepack/folder",
"enabled" : [true (default) | false]
"status" : ["all" (default), "production", "deprecated", "beta", "alpha"]
},
...
]
enabledプロパティはオプションであり、完全なルール・パックを簡単に無効にできます。省略した場合、デフォルトは有効になります。
指定するpathは、相対パスにできます。相対パスの場合、構成ファイルの場所または構成ファイルのbaseプロパティ(定義されている場合)に対して相対と見なされます。
Oracle JETコンポーネントを含むHTMLファイルのみの監査
Oracle JAF構成ファイルのオプション・プロパティjetPagesOnlyを使用して、ページにOracle JETカスタム要素が含まれていない場合にHTMLファイルの監査を抑止します。このプロパティが無効の場合、JAFは、アプリケーション内のすべてのHTMLファイルで問題を処理してレポートします。
カスタムのJET Webコンポーネントの使用方法の監査
Oracle JET Webコンポーネントはユーザー定義であるため、カスタムHTMLの監査は、監査を開始する前のWebコンポーネントのメタデータの処理によって異なります。オプションのJAF構成プロパティcomponentsおよびcomponentsUrlsを使用し、JAFにWebコンポーネント・メタデータを探して抽出できる場所を通知することで、このようなカスタムHTML要素の監査に対応できるようになります。
アプリケーションのカスタムのOracle JET Webコンポーネントは、component.json
ファイルを利用して、タグ名やサポートされるプロパティ、メソッド、イベントなど、APIのメタデータを定義します。Webコンポーネント固有のルールをJAFで処理する場合、component.json
ファイルを探す場所をJAFに通知するためにローカルWebコンポーネントのJAF構成componentsプロパティを設定する必要があります。
前処理フェーズ中に、JAFは指定された場所を再帰的に検索して、コンポーネント・メタデータを抽出します。この初期フェーズの後は、構成プロパティは不要になります。監査の以降のフェーズでは、事前に抽出されたコンポーネント・メタデータがjet-cca
グループによって定義された組込みJETルールによって使用され、Webコンポーネント参照が解決されます。
一旦適切に構成された後では、jet-cca
グループ内のJAFルールが完全に確認されることはありませんが、次のような実装の詳細がJAFによって強制されます。
- コンポーネントで予約済ネームスペース接頭辞(
oj-
など)が使用されていないことを確認します。 for
属性に接頭辞が付いており、式を指していることを確認します。- ハードコーディングされた要素IDがコンポーネント実装内で使用されていないことを確認します。
ユーザー定義のWebコンポーネントは名前の競合を避けるためにネームスペースに関連付けられるため、JAFにネームスペースについて通知して、監査ファイル・セット内の参照が有効でないと報告されないようにする必要があります。慣例により、Webコンポーネント名の接頭辞によってネームスペースが識別されます。oj
ネームスペースで定義されていないWebコンポーネントのネームスペースを宣言するには、JAF構成プロパティnameSpacesを設定します。
カスタムのJET Webコンポーネント・プロジェクトの監査
JAF構成ファイルでルール・セットbuiltinJetWcRulesを有効にすることで、Oracle JETツールを使用して作成したWebコンポーネント・プロジェクトに対して拡張監査を実行できます。
作成したカスタムWebコンポーネントを共有する前に、Webコンポーネントを実装するスタンドアロンJETプロジェクトを監査できます。ルール・セットbuiltinJetWcRulesは、Webコンポーネント実装の詳細の妥当性を保証するベスト・プラクティスやその他の考慮事項の検証に使用するために、コンポーネント開発者向けに提供されています。
builtinJetWcRulesルール・セットは、起動するルールを個別に細かく制御できる多数の監査グループによって定義されます。たとえば、本番に取り掛かる直前にルール・グループjetwc-pre-releaseを有効にできます。ルール・セットには、プロジェクトに固有の構成可能なルールも含まれます。すべてのルール・グループおよびグループを持つ個々のルールは、接頭辞jetwcで定義されます。
Webコンポーネント・プロジェクトで監査を実行するには、プロジェクトがカスタム・コンポーネントのソースとして作成した標準のJETプロジェクトである必要があります。具体的には、ルール・セットでは、ojet create component
およびcreate pack
コマンドを使用して新しいコンポーネントまたはコンポーネント・パックを作成するときに、プロジェクト・フォルダの編成がOracle JET CLIによって作成された編成と一致している必要があります。
builtinJetWcRulesルール・セットでは、次のような実装詳細が適用されます。
- フォルダ構造およびフォルダ内のコンポーネント名がOracle JETツールで想定されているとおりであることを確認し、その他の構造関連の問題を確認します。
- semvar値、JETバージョン値、requireJSパス、コンポーネントAPI実装など、コンポーネント間の依存関係の妥当性をチェックします。
- カスタム・コンポーネントのネームスペース内のコンポーネントAPIの一貫性と正確性、非テンプレート・スロットが宣言され、イベントが宣言されていること、およびプロパティが指定されたレベルにのみネストされていることを確認して、API監査上の多数の懸念事項のいくつかを特定します。
- JETで非推奨のAPIスタイル、使用方法およびプラクティスを確認します。
- NLSサポートをチェックして、ルート言語バンドルの場所と、指定されたロケールに翻訳バンドルが提供されていることを確認します。
- ojcss!プラグインの存在など、テーマ適用可能なコンポーネントに関連する問題を確認します。
- 定義した表示名の長さ制限や指定したアイコンの可用性など、Oracle Visual Builderでのコンポーネントの使用に影響する可能性がある問題を確認します。
VComponentを含むJET Webコンポーネント・プロジェクトの監査
builtinJetWcRulesルール・セットは、従来のCCAコンポーネントで使用されるJSおよびTSファイルに加えて、VComponent TSXファイルを使用するWebコンポーネント・プロジェクトの監査をサポートします。
builtinJetWcRulesを有効にして、カスタム・コンポーネントの監査を有効にするには、oraclejafconfig.json
ファイルを編集し、builtinJetWcRulesをtrue
に設定する必要があります。
builtinJetWcRulesルール・セットでは、Webコンポーネントが、カスタム・コンポーネントのソースとして作成された標準JETプロジェクトであると想定されます。つまり、ルール・セットでは、プロジェクトのコンテキストおよびフォルダ編成が、Oracle JET CLIツールを使用して作成されたプロジェクトと一致していると想定されます。
TSXファイルをプロジェクト監査に含めるためには、最初にコードに対してTypeScriptコンパイルを実行する必要があります。したがって、JAF構成oraclejafconfig.json
ファイルにはいくつかの追加要件があります:
- JAF 3.3.0以降を実行している必要があります。
- VComponentが確実に処理されるように、JAF構成のfilesプロパティ配列に
.tsx
ファイルが含まれている必要があります。 - JAF構成で
"typescript":{"compile":true}
オプションを設定する必要があります。これがない場合、.tsx
ファイルはスキップされます。 - 監査対象のプロジェクトで使用されるJETバージョンはコンパイルにも使用されるため、
@oracle/oraclejet
を含めるnode_modules
がプロジェクトに移入されている必要があります。 - 監査を実行するには、プロジェクトが正常にコンパイルされている必要があります。
Typescript CCAとVComponentが混在するプロジェクトの場合、oraclejafconfig.jsonファイルは次のようになります:
{
"jetVer": "16.0.0",
"base": "$jafcwd",
"typescript":{
"compile":true,
},
"files": [
"./src/**/*.html",
"./src/**/*.ts",
"./src/**/*.tsx",
"./src/**/component.json"
],
"components": [
"./src/js/jet-composites"
],
"builtinJetRules": true,
"builtinJetWcRules": true,
. . .
}
CSSスタイルとWebコンポーネント・スタイルの監査
オプションのOracle JAF構成プロパティstylesetsを使用して有効なユーザー定義Webコンポーネント・スタイルのホワイトリストを作成し、未定義のJETコア・スタイル、スペルミスのあるスタイル名、(JAFには)不明なWebコンポーネント・スタイルについて監査サポートを有効にします。
Oracle JETの非推奨機能の監査
デフォルトでは、Oracle JAF構成は組込みJETルール・パックのすべてのルールを処理します。これには、非推奨のOracle JET機能を検出するルールも含まれます。JAF構成ファイルのオプションのgroupsプロパティを使用して、jet-deprecatedルール・グループをJAF構成に追加することで、非推奨機能に関連するルールのみを処理するように監査をカスタマイズします。
- oj-js-ojcomp-deprecated - 非推奨のJETコンポーネント・クラスをインスタンス化しないでください。
- oj-html-ojtag-deprecated - 非推奨のJETカスタム・コンポーネントを使用しないでください。
- oj-js-comp-attr-deprecated - 非推奨のJETコンポーネント・クラスを参照しないでください。このルールの範囲は、後で説明するようにJAF構成ファイルのruleModsプロパティによって構成できます。
- oj-js-comp-meth-deprecated - 非推奨のJETコンポーネント・クラス・メソッドを呼び出さないでください。このルールの範囲は、後で説明するようにJAF構成ファイルのruleModsプロパティによって構成できます。
- oj-html-ojattr-deprecated - 非推奨のJETコンポーネント属性を使用しないでください。
- oj-html-ojslot - 非推奨のJETコンポーネント<oj-slot>を使用しないでください。これはバインディング専用要素であり、アクセス可能なプロパティとメソッドがある完全なカスタム要素ではないためです。
- oj-html-style-deprecated -非推奨CSSスタイルのJETコンポーネントclass属性を使用しないでください。
- oj-css-style-deprecated -非推奨のJET CSSクラス・セレクタは使用しないでください。