複数セグメントによる追跡を実施しているときの再評価仕訳の例

次の例を使用して、複数セグメントによる再評価追跡を実施しているときにプライマリ元帳とレポート通貨にどのような再評価仕訳が作成されるかを説明します。

この例では、月末に再評価する勘定科目に当月の外貨仕訳は1つしかないものと仮定します。

次は、プライマリ元帳の設定からの重要情報です。

  • 元帳通貨: AUD

  • 勘定体系セグメントおよびセグメント・ラベル

    セグメント

    セグメント・ラベル

    会社

    プライマリ貸借一致セグメント

    部門

    再評価損益追跡セグメント

    勘定科目

    勘定科目セグメント

    補助科目

    なし

    ディビジョン

    再評価損益追跡セグメント

    製品

    再評価損益追跡セグメント

    プロジェクト

    再評価損益追跡セグメント

    ノート: プライマリ貸借一致セグメント(会社)も再評価損益追跡セグメントです。
  • 累積換算調整(CTA)勘定: 01-000-3500-0000-000-0000-000

  • 再評価テンプレート:

    • 未実現収益勘定科目: 01-000-7842-0000-000-0000-000

    • 未実現損失勘定科目: 01-000-7844-0000-000-0000-000

    • 勘定科目フィルタ: 勘定科目 = 1110(現預金勘定科目)

次は、レポート通貨の設定からの重要情報です。

  • 通貨: USD

  • 通貨換算レベル: 仕訳

  • 再評価基準: 入力通貨

例1: 再評価仕訳ソースをレポート通貨で有効にする場合

この例では、レポート通貨のデフォルトの仕訳換算ルールを変更しません。つまり、再評価仕訳ソースが有効になっています。次に、レポート通貨用の再評価テンプレートを定義する方法を示します。

  • 未実現収益勘定科目: 01-000-3500-0000-000-0000-000

  • 未実現損失勘定科目: 01-000-3500-0000-000-0000-000

    ノート: どちらの勘定科目もプライマリ元帳のCTA勘定科目です。
  • 勘定科目フィルタ = 1110(プライマリ元帳再評価テンプレートにある現預金勘定科目と同じ)

次に、プライマリ元帳およびレポート通貨に作成される5つの仕訳の概要図を示します。

1つ目の仕訳は、プライマリ元帳に入力された外貨仕訳です。2つ目の仕訳は、レポート通貨でのその仕訳の自動換算です。3つ目の仕訳は、プライマリ元帳に生成された再評価仕訳です。4つ目の仕訳は、レポート通貨での再評価仕訳の自動換算です。5つ目の仕訳は、レポート通貨に生成された再評価仕訳です。

詳細を見ていきます。

2019年1月1日の会計日を使用して、プライマリ元帳に外貨仕訳を作成します。その日付の有効な換算レートは、1ユーロ= 1.642883オーストラリア・ドルです。プライマリ元帳の外貨仕訳は次のとおりです。

明細

勘定科目

入力済借方(EUR)

入力済貸方(EUR)

計上済借方(AUD)

計上済貸方(AUD)

1

01-100-1110-1001-001-1001-101

1000.00

1642.88

2

01-200-1110-1002-002-1002-102

1200.00

1971.46

3

01-000-1210-0000-000-0000-000

2200.00

3614.34

合計

該当なし

2200.00

2200.00

3614.34

3614.34

外貨仕訳は、レポート通貨で自動的に換算されます。2019年1月1日の有効な換算レートは、1ユーロ= 1.155463 USドルです。レポート通貨での換算済仕訳は次のとおりです。

明細

勘定科目

入力済借方(EUR)

入力済貸方(EUR)

計上済借方(USD)

計上済貸方(USD)

1

01-100-1110-1001-001-1001-101

1000.00

1155.46

2

01-200-1110-1002-002-1002-102

1200.00

1386.56

3

01-000-1210-0000-000-0000-000

2200.00

2542.02

合計

該当なし

2200.00

2200.00

2542.02

2542.02

ここで、2019年1月31日のプライマリ元帳に対して「残高の再評価」プロセスを実行します。その日付の有効な換算レートは、1ユーロ= 1.57286オーストラリア・ドルです。

このプロセスでは、再評価テンプレートの勘定科目定義、貸借対照表および再評価追跡セグメントに基づいて未実現損失勘定が生成されます。この例の再評価仕訳で記録されるのは、元の外貨仕訳の会社、部門、ディビジョン、製品、プロジェクトのセグメント値から追跡した現預金勘定の未実現損失です。

プライマリ元帳の再評価仕訳は次のとおりです。

明細

勘定科目

入力済借方(EUR)

入力済貸方(EUR)

計上済借方(AUD)

計上済貸方(AUD)

1

01-100-1110-1001-001-1001-101

0.00

0.00

0.00

70.02

2

01-100-7844-0000-001-1001-101

0.00

0.00

70.02

0.00

3

01-200-1110-1002-002-1002-102

0.00

0.00

0.00

84.03

4

01-200-7844-0000-002-1002-102

0.00

0.00

84.03

0.00

合計

該当なし

0.00

0.00

154.05

154.05

レポート通貨の仕訳換算ルールで再評価仕訳ソースが有効になっています。そのため、プライマリ元帳の再評価仕訳がレポート通貨で自動的に換算されます。2019年1月31日の有効な換算レートは、1オーストラリア・ドル= 0.728134 USドルです。レポート通貨はプライマリ元帳の換算形態であるため、プライマリ元帳からCTA勘定科目に相殺が転記されます。この時点でこの仕訳は、レポート通貨用のCTA調整を一部行ったにすぎません。

レポート通貨での換算済仕訳は次のとおりです。

明細

勘定科目

入力済借方(EUR)

入力済貸方(EUR)

計上済借方(USD)

計上済貸方(USD)

1

01-100-7844-0000-001-1001-101

0.00

0.00

50.98

0.00

2

01-200-7844-0000-002-1002-102

00.00

0.00

61.19

0.00

3

01-100-3500-0000-001-1001-101

0.00

0.00

0.00

50.98

4

01-200-3500-0000-002-1002-102

0.00

0.00

0.00

61.19

合計

該当なし

0.00

0.00

112.17

112.17

次に、2019年1月31日のレポート通貨で「残高の再評価」プロセスを実行して、プライマリ元帳から換算された外貨仕訳を再評価します。EURからUSDへのレートが2019年1月1日以降変更されている可能性があります。2019年1月31日の有効な換算レートは、1ユーロ= 1.145253 USドルです。

このプロセスによって、CTA勘定科目に再評価調整が記録されます(レポート通貨の再評価テンプレート、貸借対照表および再評価追跡セグメントから)。レポート通貨の損益の相殺はすでに前の仕訳で計上されているため考慮されません。ここでの相殺は前の仕訳で計上されたCTAに対するもので、これがレポート通貨に計上する最終的なCTA額にネッティングされます。

レポート通貨での再評価仕訳は次のとおりです。

明細

勘定科目

入力済借方(EUR)

入力済貸方(EUR)

計上済借方(USD)

計上済貸方(USD)

1

01-100-1110-1001-001-1001-101

0.00

0.00

0.00

10.21

2

01-100-3500-0000-001-1001-101

0.00

0.00

10.21

0.00

3

01-200-1110-1002-002-1002-102

0.00

0.00

0.00

12.26

4

01-200-3500-0000-002-1002-102

0.00

0.00

12.26

0.00

合計

該当なし

0.00

0.00

22.47

22.47

例2: 再評価仕訳ソースをレポート通貨で無効にする場合

この例では、レポート通貨の仕訳換算ルールで再評価仕訳ソースを無効にします。次の勘定科目を使用して、レポート通貨用の再評価テンプレートを設定します。

  • 未実現収益勘定科目: 01-000-7842-0000-000-0000-000

  • 未実現損失勘定科目: 01-000-7844-0000-000-0000-000

  • 勘定科目フィルタ = 1110(プライマリ元帳再評価テンプレートにある現預金勘定科目と同じ)

次に、プライマリ元帳およびレポート通貨に作成される4つの仕訳の概要図を示します。

1つ目の仕訳は、プライマリ元帳に入力された外貨仕訳です。2つ目の仕訳は、レポート通貨でのその仕訳の自動換算です。3つ目の仕訳は、プライマリ元帳に生成された再評価仕訳です。4つ目の仕訳は、レポート通貨に生成された再評価仕訳です。

詳細を見ていきます。

例1と同様に、2019年1月1日の会計日を使用して、プライマリ元帳に外貨仕訳を作成します。その日付の有効な換算レートは、1ユーロ= 1.642883オーストラリア・ドルです。プライマリ元帳の外貨通貨は次のとおりです。最初の例と同じです。

明細

勘定科目

入力済借方(EUR)

入力済貸方(EUR)

計上済借方(AUD)

計上済貸方(AUD)

1

01-100-1110-1001-001-1001-101

1000.00

1642.88

2

01-200-1110-1002-002-1002-102

1200.00

1971.46

3

01-000-1210-0000-000-0000-000

2200.00

3614.34

合計

該当なし

2200.00

2200.00

3614.34

3614.34

例1と同様に、外貨仕訳はレポート通貨で自動的に換算されます。2019年1月1日の有効な換算レートは、1ユーロ= 1.155463 USドルです。レポート通貨での換算済仕訳は次のとおりです。最初の例と同じです。

明細

勘定科目

入力済借方(EUR)

入力済貸方(EUR)

計上済借方(USD)

計上済貸方(USD)

1

01-100-1110-1001-001-1001-101

1000.00

1155.46

2

01-200-1110-1002-002-1002-102

1200.00

1386.56

3

01-000-1210-0000-000-0000-000

2200.00

2542.02

合計

該当なし

2200.00

2200.00

2542.02

2542.02

最初の例と同じように、2019年1月31日のプライマリ元帳に対して「残高の再評価」プロセスを実行します。その日付の有効な換算レートは、1ユーロ= 1.57286オーストラリア・ドルです。

このプロセスでは、再評価テンプレートの勘定科目定義、貸借対照表および再評価追跡セグメントに基づいて未実現損失勘定が生成されます。この例の再評価仕訳で記録されるのは、元の外貨仕訳の会社、部門、ディビジョン、製品、プロジェクトのセグメント値から追跡した現預金勘定の未実現損失です。

プライマリ元帳の再評価仕訳は次のとおりです。最初の例と同じです。

明細

勘定科目

入力済借方(EUR)

入力済貸方(EUR)

計上済借方(AUD)

計上済貸方(AUD)

1

01-100-1110-1001-001-1001-101

0.00

0.00

0.00

70.02

2

01-100-7844-0000-001-1001-101

0.00

0.00

70.02

0.00

3

01-200-1110-1002-002-1002-102

0.00

0.00

0.00

84.03

4

01-200-7844-0000-002-1002-102

0.00

0.00

84.03

0.00

合計

該当なし

0.00

0.00

154.05

154.05

2019年1月31日のレポート通貨で「残高の再評価」プロセスを実行して、プライマリ元帳から換算された外貨仕訳を再評価します。2019年1月31日の換算レートは、1ユーロ= 1.145253 USドルです。

このプロセスでは、レポート通貨の再評価テンプレートの勘定科目、貸借対照表および再評価追跡セグメントを使用して、再評価仕訳が生成されます。この例の再評価仕訳で記録されるのは、元の外貨仕訳の会社、部門、ディビジョン、製品、プロジェクトのセグメント値から追跡した現預金勘定の未実現損失です。

明細

勘定科目

入力済借方(EUR)

入力済貸方(EUR)

計上済借方(USD)

計上済貸方(USD)

1

01-100-1110-1001-001-1001-101

0.00

0.00

0.00

10.21

2

01-100-7844-0000-001-1001-101

0.00

0.00

10.21

0.00

3

01-200-1110-1002-002-1002-102

0.00

0.00

0.00

12.26

4

01-200-7844-0000-002-1002-102

0.00

0.00

12.26

0.00

合計

該当なし

0.00

0.00

22.47

22.47