プライマリ元帳、セカンダリ元帳およびレポート通貨

会社は、プライマリ元帳と、必要な場合はセカンダリ元帳およびレポート通貨で自社の会計処理を行います。補助元帳からのトランザクションはプライマリ元帳に転記され、残高、補助元帳または仕訳レベルの設定によっては、セカンダリ元帳またはレポート通貨にも転記されます。

オプションのセカンダリ元帳を使用して、ローカル・コンプライアンスおよびコーポレート・コンプライアンスを達成できます。代替会計処理基準、または場合によっては異なる勘定体系が提供されます。子会社のプライマリ元帳とセカンダリ元帳の両方を現地通貨で保守できます。レポート通貨または換算を使用して、その現地通貨を親会社の元帳通貨に換算して連結財務結果をレポートできます。

プライマリ元帳

プライマリ元帳とは、次のようなものです。

  • 主要な記録保持元帳です。

  • 会計処理基準で実装された、一貫したカレンダや通貨を備えた勘定体系および会計基準を使用して、トランザクションの残高を記録します。

  • 補助元帳トランザクションに緊密に関連付けられ、そのトランザクションに対するコンテキストと会計を提供します。

プライマリ元帳数を決定するには、企業体系分析を財務、法的および管理レポート要件から開始する必要があります。たとえば、会社が世界中の複数の国に個別の子会社を持っている場合は、各国を表す複数のプライマリ元帳を現地の通貨、勘定体系、カレンダおよび会計処理基準を使用して作成することで、各国の認証当局に対するレポートが可能になります。外国の子会社から親会社へのレポートには、国固有のプライマリ元帳にリンクされているレポート通貨を使用します。必要なプライマリ元帳数に影響するその他の考慮事項は、次のとおりです。

  • 企業年度末

  • 所有率

  • 地方行政規制および課税

  • セカンダリ元帳

セカンダリ元帳

セカンダリ元帳とは、次のようなものです。

  • 代替会計の追跡のためにプライマリ元帳にリンクされるオプションの元帳です。

  • プライマリ元帳とは異なる会計処理基準、勘定体系、会計カレンダ、通貨または処理オプションを使用することで、プライマリ元帳と区別できます。

「セカンダリ元帳の管理」タスクを使用してセカンダリ元帳を設定するときに、データ変換レベルを選択します。データ変換レベルは、セカンダリ元帳にコピーされる情報のレベルを決定します。レベルは、「残高」「仕訳」「補助元帳」または「修正のみ」の中から選択できます。

  • 残高: 「セカンダリ元帳への残高の転送」プロセスを実行すると、プライマリ元帳からセカンダリ元帳に残高が転送されます。

  • 仕訳: プライマリ元帳に仕訳を転記すると、「プライマリ元帳からセカンダリ元帳へのマッピング」ページの「仕訳換算ルール」セクションで指定したソースおよびカテゴリの仕訳が、転記プロセスによりセカンダリ元帳にコピーされます。

    「仕訳換算ルール」セクションで、次のいずれかを実行できます。

    • 仕訳ソースとカテゴリの組合せの「その他」のデフォルト設定である「はい」を受け入れ、そのソースとカテゴリの組合せを換算から除外するように指定します。

    • 仕訳ソースとカテゴリの組合せの「その他」「いいえ」に設定し、そのソースとカテゴリの組合せを換算に含めるように指定します。

    セカンダリ元帳を割り当てることができるのは、プライマリ元帳とその法的エンティティに割り当てられているプライマリ貸借一致セグメント値のサブセットのみです。この機能の詳細は、「プライマリ元帳からの複製が制御された法的エンティティ固有のセカンダリ元帳」のトピックを参照してください。

  • 補助元帳: プライマリ元帳で「会計の作成」プロセスを実行すると、このプロセスによって、プライマリ元帳とセカンダリ元帳両方の補助元帳仕訳が作成されます。プライマリ元帳で、「会計の作成」プロセス以外の方法で作成された仕訳に対して「仕訳の転記」プロセスを実行すると、転記プロセスによって、プライマリ元帳仕訳がセカンダリ元帳にコピーされます。転記によりコピーされないようにする仕訳がある場合は、「プライマリ元帳からセカンダリ元帳へのマッピング」ページの「仕訳換算ルール」セクションで、設定を変更できます。重複を避けるために、「仕訳換算ルール」セクションの設定にかかわらず、転記では補助元帳から発生した仕訳をコピーしません。

    注意: 仕訳換算ルールはOracle General Ledgerからの転記にしか適用されないため、補助元帳に仕訳換算ルールを指定する必要はありません。仕訳換算ルールの設定にかかわらず、プライマリ元帳およびセカンダリ元帳両方の会計が「会計の作成」プロセスにより自動的に生成されます。
  • 修正のみ: このレベルは、修正のみを保持する不完全な会計表示です。修正は、一般会計で手動仕訳として入力できます。このタイプのセカンダリ元帳は、関連するプライマリ元帳と同じ勘定体系、会計カレンダ、期間タイプおよび通貨を共有する必要があります。

ヒント: トランザクション・データと修正の両方を含む完全なセカンダリ会計表示を取得するには、レポートの実行時に元帳セットを使用して元帳を結合します。

プライマリ元帳で米国の一般会計原則(GAAP)を使用し、国際財務報告基準(IFRS)会計要件に対応するためにセカンダリ元帳を保守するとします。まず、IFRSセカンダリ元帳に対して、「補助元帳」変換レベルを使用することを決定しました。ただし、会計の大部分は米国のGAAPとIFRSで同一であるため、より優れたソリューションは、セカンダリ元帳に対して「修正のみ」レベルを使用することです。「補助元帳」レベルでは、ほとんどの補助元帳仕訳、一般会計仕訳および一般会計残高の複製が必要です。「修正のみ」レベルでは、米国のGAAP会計をIFRS会計に換算するために必要な修正仕訳および残高のみが転送されます。そのため、必要な処理リソースが少なくて済みます。

ヒント: 難しい突合せを避けるには、プライマリ元帳とセカンダリ元帳で同じ通貨を使用します。内部的なレポート要件および連結に準拠するために異なる通貨表示を生成するには、レポート通貨または換算を使用します。

レポート通貨

レポート通貨は、会計トランザクションを追加通貨で保守およびレポートします。レポート通貨の使用を決定する前に、次のことを考慮してください。

  • 各プライマリ元帳およびセカンダリ元帳は、その元帳に対するビジネス・トランザクションおよび会計データの記録に使用する元帳通貨で定義されます。

  • ベスト・プラクティスとして、そのトランザクションの大部分で使用されている通貨で元帳を保守することをお薦めします。たとえば、同じ通貨でトランザクションを作成、記録およびクローズすると、処理および突合せの時間を節約できます。

  • ローカル・トランザクション税金の支払などのコンプライアンスも現地通貨を使用すると容易になります。

  • 多くの国で、会計記録を自国通貨で保持する必要があります。

会計記録を複数の異なる通貨で保守およびレポートするには、元帳に対して1つ以上のレポート通貨を定義します。「レポート通貨の管理」タスクを使用してレポート通貨を設定する場合は、通貨換算レベルを選択します。通貨換算レベルは、レポート通貨にコピーされる情報のレベルを決定します。

レベルは、「残高」「仕訳」「補助元帳」の中から選択できます。

  • 残高: 「総勘定元帳勘定科目残高の換算」プロセスを実行すると、指定した元帳からレポート通貨に残高が転送されて換算されます。

  • 仕訳: 仕訳を転記すると、「レポート通貨の作成」ページまたはレポート通貨の編集ページの「仕訳換算ルール」セクションで指定したソースおよびカテゴリの仕訳が、転記プロセスによりレポート通貨にコピーされます。

    「仕訳換算ルール」セクションで、次のいずれかを実行できます。

    • 仕訳ソースとカテゴリの組合せの「その他」のデフォルト設定である「はい」を受け入れ、そのソースとカテゴリの組合せを換算から除外するように指定します。

    • 仕訳ソースとカテゴリの組合せの「その他」「いいえ」に設定し、そのソースとカテゴリの組合せを換算に含めるように指定します。

  • 補助元帳: プライマリ元帳で「会計の作成」プロセスを実行すると、このプロセスによって、プライマリ元帳とレポート通貨両方の補助元帳仕訳が作成されます。プライマリ元帳で、「会計の作成」プロセス以外の方法で作成された仕訳に対して「仕訳の転記」プロセスを実行すると、転記プロセスによって、プライマリ元帳仕訳がレポート通貨にコピーされます。転記によりコピーされないようにする仕訳がある場合は、レポート通貨の編集ページの「仕訳換算ルール」セクションで、設定を変更できます。重複を避けるために、「仕訳換算ルール」セクションの設定にかかわらず、転記では補助元帳から発生した仕訳をコピーしません。

    注意: 仕訳換算ルールはOracle General Ledgerからの転記にしか適用されないため、補助元帳に仕訳換算ルールを指定する必要はありません。仕訳換算ルールの設定にかかわらず、プライマリ元帳およびレポート通貨両方の会計が「会計の作成」プロセスにより自動的に生成されます。
ノート: プライマリ元帳の完全な会計表示は、補助元帳レベルのレポート通貨で保守されます。セカンダリ元帳では、補助元帳レベルのレポート通貨を使用できません。

連結のために財務諸表の親会社通貨への換算を行う頻度が低い組織の場合は、仕訳または補助元帳レベルのレポート通貨を使用しないでください。この需要には、標準の換算機能で対応できます。仕訳または補助元帳レベルのレポート通貨は、次のいずれかの条件が該当する場合に使用を検討してください。

  • 通貨が不安定であるため、ビジネスの管理には適していない国で事業を運営している場合。この場合、不安定な現地通貨でレポートする機能を保持しながら、より安定した通貨でビジネスを管理します。

  • 欧州経済通貨同盟(EMU)に属する国で事業を運営しており、会計処理およびレポートを欧州連合通貨と自国通貨単位の両方で行うことを選択している場合。

ノート: 2番目のオプションは、ほとんどの会社がEMU通貨への初期換算を完了しているためまれです。ただし、今後の決定によってはEMUにその他の国が加盟し、その換算段階でこのオプションが再度使用される可能性があります。