C XMLIndex非構造化コンポーネント

Bツリー索引は、個々のXML要素または属性を表す特定のデータベース列や、構造化ドキュメントの特定部分に適用されるXMLIndex構造化コンポーネントに対して定義します。これに対し、XMLIndex索引の非構造化コンポーネントは、デフォルトで非常に汎用性に富んでいます。

ノート:

非構造化XML索引は23aiでは非推奨であり、XML検索索引に置き換えられています。Oracleでは、非構造化XML索引をXML検索用索引として再作成し、トランスポータブル・バイナリXMLとともに使用することをお薦めします。

索引付けに使用する特定のXPath式や使用しない特定のXPath式を限定することにより焦点を絞り込んだ場合を除き、非構造化XMLIndexコンポーネントはXMLデータのすべての使用可能なXPath式に適用されます。

XMLIndex索引の非構造化コンポーネントは、次の3つの論理部分で構成されます。

  • パス索引 – これは文書のXMLタグを索引付けし、様々な文書のフラグメントを識別します。

  • 順序索引 – XML文書におけるノードの階層的な位置を索引付けします。親と子、祖先と子孫、および兄弟の関係を追跡します。

  • 値索引 – XML文書のを索引付けします。値の等価性または値の範囲による参照が可能です。値索引は、問合せ述語(WHERE句)の値に使用されます。

XMLIndex索引の非構造化コンポーネントは、パス表と、そのパス表の一連の(ローカルの)2次索引を使用します。これらは前述の論理部分を実装します。2つの2次索引が自動的に作成されます。

  • pikey索引: パスおよび順序の両方の論理索引を実装します。

  • 値索引: 論理値の索引を実装します。

これらの2つの索引を変更したり、追加の2次索引を作成できます。パス表とその2次索引はすべて、XMLIndex索引が作成される実表の所有者によって所有されます。

pikey索引は、パスと順序の関係を処理し、ほとんどの場合で最適なパフォーマンスが得られます。値索引を取得すべきときに取り出されない場合は、パスおよび順序の関係で個別の索引をpikey索引のかわりに使用できます。このような(オプション)の索引は、それぞれパスID索引および順序キー索引と呼ばれます。特定の場合の要件でpikey索引が不十分の場合は、最適な結果を得るためにOracleサポートに問い合せてください。

パス表では、XML文書で索引付けされる1つのノードに対して1行が使用されます。索引付けされたノードごとに、パス表には次のものが格納されます。

  • 文書を格納する表に対応するROWID

  • 対応する文書のフラグメントへの高速アクセスを提供するロケータ。XML Schemaに基づくデータのバイナリXML記憶域については、データ型情報も格納します。

  • 文書におけるノードの階層的な位置を記録するための順序キー。これは、図書目録やインターネット・プロトコルSNMPで使用されるような、デューイ10進分類キーのようなものです。このようなシステムでは、3.21.5というキーは、文書のルート・ノードの3番目の子の21番目の子の5番目の子というノード位置を表します。

  • ノードに対するXPathパスを表す識別子。

  • ノードの有効なテキスト値

表C-1に、パス表に含まれる主な情報脚注 1を示します。

表C-1 XMLIndexのパス表

データ型 説明

PATHID

RAW(8)

ノードのXPathパスに対する一意の識別子です。

RID

ROWID

XMLデータを格納するために使用される表のROWIDです。

ORDER_KEY

RAW(1000)

ノードの階層的な位置を識別するための、10進数の順序キーです。(ドキュメントの順序は保持されます。)

LOCATOR

RAW(2000)

フラグメント位置情報です。フラグメント抽出に使用されます。XML Schemaに基づくデータのバイナリXML記憶域では、データ型情報もここに格納されます。

VALUE

VARCHAR2(4000)

ノードの有効テキスト値。

非構造化コンポーネントを含むXMLIndex索引に関連するタスクは、非構造化コンポーネントを含むXMLIndex索引に関連するいくつかのユーザー・タスクのドキュメントを識別します。

表C-2 構造化されていないコンポーネントを含むXMLIndex索引に関連するタスク

操作の詳細 参照先

非構造化コンポーネントが含まれるXMLIndex索引の作成

例C-2例C-4例C-17例C-19例6-17例6-18例C-15

XMLIndex索引の非構造化コンポーネントの削除(パス表の削除)

例C-5

XMLIndex索引作成時の、パス表への名前付け

例C-2

XMLIndex索引作成時の、記憶域オプションの指定

例C-4

XMLIndexパス表にある既存の2次索引すべての表示

例C-6例C-14

XMLIndex索引に対するパス表名の取得

例C-3

パス表の指定による、構造化されていないコンポーネントを含むXMLIndex索引の取得

例C-7

XMLIndexパス表に対する2次索引の作成

非構造化コンポーネントを含むXMLIndexの使用

XMLIndexパス表にあるすべての2次索引に関する情報の取得

例C-14

パス表のVALUE列に対するファンクション索引の作成

例C-9

パス表のVALUE列に対する数値索引の作成

例C-11

パス表のVALUE列に対する日付索引の作成

例C-12

パス表のVALUE列に対するOracle TextのCONTEXT索引の作成

例C-13

XMLIndex索引の使用における、特定のXPath式の除外または包含

XMLIndexパスのサブセット化: 索引付けするパスの指定

XMLIndexで使用されるXPath式の名前空間接頭辞の指定

XMLIndexパスのサブセット化: 索引付けするパスの指定

XMLIndex索引の使用における、特定のXPath式の除外または包含

XMLIndexパスのサブセット化: 索引付けするパスの指定

XMLIndexで使用されるXPath式の名前空間接頭辞の指定

XMLIndexパスのサブセット化: 索引付けするパスの指定

図C-1 XMLのユース・ケースとXML索引付け

図C-1の説明が続きます
「図C-1 XMLのユース・ケースとXML索引付け」の説明

述語を含む非定型XML問合せをサポートする必要がある場合は、非構造化コンポーネントXMLIndexを使用できます(「XMLIndex非構造化コンポーネント」を参照)。

pikey索引では、パス表の列PATHIDRIDおよびORDER_KEYを使用して、パスと順序の索引を表します。オプションのパスID索引では、列PATHIDおよびRIDを使用して、パス索引を表します。値索引は、VALUE列に対する索引です。

例C-1では、2つの購買オーダーのパス表の内容を見ていきます。

例C-1 2つの購買オーダーのパス表の内容

<PurchaseOrder>
 <Reference>SBELL-2002100912333601PDT</Reference>
 <Actions>
  <Action>
   <User>SVOLLMAN</User>
  </Action>
 </Actions>
 . . .
</PurchaseOrder>

<PurchaseOrder>
 <Reference>ABEL-20021127121040897PST</Reference>
 <Actions>
  <Action>
   <User>ZLOTKEY</User>
  </Action>
  <Action>
   <User>KING</User>
  </Action>
 </Actions>
 . . .
</PurchaseOrder>

これらの発注書を格納するXMLType表または列のXMLIndex索引には、XML文書で索引付けされたノードに対し、1行ずつ使用するパス表が含まれます。仮に、XPath式に従ってノードに索引付けする際、システムによって次のPATHIDが割り当てられるとします。

PATHID 索引付けされたXPath

1

/PurchaseOrder

2

/PurchaseOrder/Reference

3

/PurchaseOrder/Actions

4

/PurchaseOrder/Actions/Action

5

/PurchaseOrder/Actions/Action/User

結果として作成されるパス表は、次のようになります(LOCATOR列は示されません)。

PATHID RID ORDER_KEY VALUE

1

R1

1

SBELL-2002100912333601PDTSVOLLMAN

2

R1

1.1

SBELL-2002100912333601PDT

3

R1

1.2

SVOLLMAN

4

R1

1.2.1

SVOLLMAN

5

R1

1.2.1.1

SVOLLMAN

1

R2

1

ABEL-20021127121040897PSTZLOTKEYKING

2

R2

1.1

ABEL-20021127121040897PST

3

R2

1.2

ZLOTKEYKING

4

R2

1.2.1

ZLOTKEY

5

R2

1.2.1.1

ZLOTKEY

4

R2

1.2.2

KING

5

R2

1.2.2.1

KING

非構造化コンポーネントを含むXMLIndexを使用するためのガイドライン

非構造化コンポーネントを含むXMLIndexを使用する際に役立つ複数のガイドラインがあります。

これらのガイドラインは、ここで説明する2つの方法によって同じ結果セットが戻される場合にのみ該当します。

  • 祖先要素の接頭辞として//を付加しないでください。たとえば、同じ結果セットを戻す場合、/a/b//cではなく//cを使用します。

  • 祖先要素の接頭辞として/*を付加しないでください。たとえば、同じ結果セットを返す場合、/a/*/*ではなく/*/*/*を使用します。

  • WHERE句では、XMLQueryXMLCastではなく、XMLExistsを使用します。これにより最適化が可能になり、パス表VALUE列に対して副問合せが実際に起動されます。たとえば、次のように記述します。

    SELECT count(*) FROM purchaseorder p 
      WHERE 
        XMLExists('$p/PurchaseOrder/LineItems/LineItem/Part[@Id="715515011020"]'
                  PASSING OBJECT_VALUE AS "p");
    

    次のように記述しないでください。

    SELECT count(*) FROM purchaseorder p
      WHERE XMLCast(XMLQuery('$p/PurchaseOrder/LineItems/LineItem/Part/@Id'
                             PASSING OBJECT_VALUE AS "p" RETURNING CONTENT)
                    AS VARCHAR2(14))
            = "715515011020";
    
  • 可能な場合、SELECT句では、count(XMLCast(XMLQuery(...))ではなくcount(*)を使用します。たとえば、発注書のLineItem要素にDescriptionの子が1つしかないことがわかっている場合は、次のように記述します。

    SELECT count(*) FROM po_binxml, XMLTable('//LineItem'
      PASSING OBJECT_VALUE);
    

    次のように記述しないでください。

    SELECT count(li.value)
     FROM po_binxml p,
          XMLTable('//LineItem' PASSING p.OBJECT_VALUE
                   COLUMNS value VARCHAR2(30) PATH 'Description') li;
    
  • 問合せのFROMリストで使用されるXPath式の数は、なるべく少なくしてください。たとえば、次のように記述します。

    SELECT li.description
      FROM po_binxml p,
           XMLTable(
             'PurchaseOrder/LineItems/LineItem' PASSING p.OBJECT_VALUE
             COLUMNS description VARCHAR2(256) PATH 'Description') li;
    

    次のように記述しないでください。

    SELECT li.description
      FROM po_binxml p,
           XMLTable('PurchaseOrder/LineItems' PASSING p.OBJECT_VALUE) ls,
           XMLTable('LineItems/LineItem'      PASSING ls.OBJECT_VALUE
                    COLUMNS description VARCHAR2(256)
                                        PATH 'Description') li;
    
  • 仮想表(XMLTable SQL/XML関数などで作成)の内部をドリルダウンするために、問合せでXPath式を使用する場合は、sys_orderkey_depth Oracle SQL関数を使用してパス表の順序キーの2次索引を作成します。このような問合せを次に例示します。選択により仮想的な明細項目表li内のDescription要素にナビゲートします。

    SELECT li.description
      FROM po_binxml p,
           XMLTable(
             'PurchaseOrder/LineItems/LineItem' PASSING p.OBJECT_VALUE
             COLUMNS description VARCHAR2(256) PATH 'Description') li;
    

    このような問合せはsys_orderkey_depth関数によって評価されます。この関数は、order-key値の深度を戻します。順序索引は2列を使用するため、必要となる索引は、ORDER_KEY列およびRID列、およびORDER_KEY値に対して適用されたsys_orderkey_depth関数のコンポジット索引です。たとえば:

    CREATE INDEX depth_ix ON my_path_table
      (RID, sys_orderkey_depth(ORDER_KEY), ORDER_KEY);

例C-8も参照してください。

表パスは透過的であり、無視

パス表の列に2次索引を作成した場合でも、パス表そのものは通常は無視できます。

パス表には、それをDESCRIBEしたり、(2次)索引を作成したりする以外はアクセスできません。パス表に関する統計を明示的に収集する必要はありません。統計は、XMLIndex索引、またはXMLIndex索引が定義されている実表についてのみ収集する必要があります。統計は収集され、パス表と2次索引に透過的に保持されます。

XMLIndexパス表のVALUE列

VALUE列の2次索引は、一致する文字列に関する述語を有するWHERE句のXPath式で使用されます。たとえば:

/PurchaseOrder[Reference/text() = "SBELL-2002100912333601PDT"]

VALUEには、要素または属性ノードの有効テキスト値が格納されます。索引付けの際、コメントおよび処理命令は無視されます。

  • 属性では、有効テキスト値は属性値です。

  • 単純な要素(子のない要素)では、有効テキスト値は、要素のすべてのテキスト・ノードを連結したものになります。

  • 複雑な要素(子のある要素)では、有効テキスト値は、(1)要素そのもののテキスト・ノードを連結したもの、(2)単純要素のすべての子孫の有効テキスト値になります。(これは再帰的定義です。)

ただし、有効テキスト値は4000バイト(単純な要素または属性の場合)および80バイト(複雑な要素の場合)に制限(切捨て)されます。

VALUE列のサイズは、VARCHAR2(4000)に固定されています。索引の作成または更新時のオーバーフロー(4000バイト超)は、すべて切り捨てられます。

VALUE列に対する4000バイトの上限に加え、当該列に対して作成される2次索引のキーのサイズにも制限があります。これは、Bツリー索引とファンクション索引にも該当します。XMLIndexの制限ではありません。索引キーのサイズの限界は、データベースのブロック・サイズの関数です。VALUEに対してどの程度の索引付けがなされるかは、この制限値によって決定します。

つまり、有効テキスト値の最初の4000バイトのみがVALUE列に格納され、VALUE列の最初のNバイトに対してのみ索引が作成されるということです。ここでNとは、索引キーのサイズの制限を表します(N < 4000)。索引キーのサイズの制限が課されることにより、VALUE列の索引は、有効テキスト値の事前フィルタとしてのみ機能します。

たとえば、データベースのブロック・サイズにより、VALUE列の索引を800バイト以内に抑え、有効テキスト値のうち最初の800バイト分のみを索引付けするとします。有効テキスト値の最初の800バイト分に対してXMLIndexを使用してテストを実行し、そのテキスト接頭辞が問合せ値に一致した場合のみ、残りの有効テキスト値がテストされます。

VALUE列の2次索引は、substr SQL関数(サブストリング等価性)です。この関数を使用して、テキスト接頭辞をテストするためです。このファンクション索引は、VALUE列に対するXMLIndexの実装の一環として自動的に作成されます。

たとえば、問合せのWHERE句のXPath式/PurchaseOrder[Reference/text() = :1]は、実質的に、次のようなテストにリライトされることがあります。

substr(VALUE, 1 800) = substr(:1, 1, 800) AND VALUE = :1;

この結合は2つの部分から構成され、左から右に向かって処理されます。1つ目のテストでは、substr関数の索引を事前フィルタとして使用し、冒頭800バイトがバインド変数:1の冒頭800バイトに一致しないテキストを削除します。

索引は、1つ目のテストでのみ使用されます。VALUE列の完全な値は索引付けされません。1つ目のテストで事前フィルタリングを実行した後、2つ目のテストで有効テキスト値全体をチェックします。つまり、VALUE列の完全な値と、:1の値の等価性を確認します。このチェックでは索引は使用されません。

テキストの冒頭800バイトのみが索引付けされる場合でも、問合せパフォーマンスでは、最大4000バイトをVALUE列に格納することが重要になります。これにより、CLOBインスタンスのXML文書内の深い部分からデータを抽出することなく、データに迅速かつ直接的にアクセスできるようになるからです。有効テキスト値が4000バイトを超える場合は、WHERE句結合の2つ目のテストにおいて、実表データにアクセスする必要があります。

VALUE列に対する4000バイト上限も、索引キーのサイズも、問合せ結果には何の影響も与えません。これらはパフォーマンスにのみ影響を与えます。

ノート:

VALUEに対して作成されたOracle Text CONTEXT索引は、VALUE列が切り捨てられることがあるために、間違った結果を戻す可能性があります。

前述したように、XMLIndexはXML Schemaに基づくデータで使用できます。XML Schemaが特定の要素または属性に対してdefaultValue値を指定し、特定の文書が当該の要素または属性に対して値を指定しない場合、defaultValue値がVALUE列で使用されます。

VALUE列に対する2次索引

XMLIndex索引を作成する際、VALUE列に対して2次索引を指定しない場合でも、VALUE列に対してデフォルトの2次索引が作成されます。このデフォルト索引には、デフォルトのプロパティがあります。具体的には、これはtext(文字列値)データでのみ使用される索引です。

ただし、異なる種類のVALUE索引を作成できます。たとえば、数値の索引が問合せの大半に適している場合は、数値の索引を作成できます。VALUE列に対し、複数の2次索引を作成できます。特定の種類の索引は、それが適切な場合にのみ使用されます。たとえば、数値の索引は、VALUE列が数値である場合にのみ使用されます。その他の値の場合は無視されます。パス表の列の2次索引は、その他の2次索引と同様に扱われます。つまり、これらの索引は変更、削除、不使用としてマーキングするなどが可能です。

関連項目:

XMLIndex非構造化コンポーネントによって索引付けされないXPath式

いくつかのタイプのXPath式は、XMLIndexにより索引付けされません

  • XPath関数の適用。特に、ユーザー定義のXPath関数は索引付けされません

  • childdescendant、およびattribute以外の軸(parentancestorfollowing-siblingpreceding-siblingfollowingpreceding、およびancestor-or-selfの各軸)。

  • 共用体演算子|(垂直バー)を使用する式。

非構造化コンポーネントを含むXMLIndexの使用

非構造化コンポーネントを含むXMLIndex索引に対して、該当コンポーネントのパス表や2次索引の操作など、様々な操作を実行できます。

XMLIndex索引に非構造化コンポーネントを含めるには、XMLIndex索引の作成または変更時に、PARAMETERS句でpath_table_clauseを使用できます。path_table_clause ::=を参照してください。

構造化コンポーネントを指定しない場合、パス表を指定しなくても、索引に非構造化コンポーネントが含まれます。ただし、一般的にはパス表を指定することをお薦めします。これにより他のXMLIndex操作で参照できる、ユーザー指向の認識可能な名前が含まれるようになります。

例C-2に、非構造化コンポーネントを含むXMLIndex索引の作成時に、パス表(my_path_table)の名前を付ける方法を示します。

パス表に名前を付けなかった場合、名前はCREATE INDEXに与えた索引名に基づき、システムによって自動的に生成されます。例C-3に、例6-6で作成したXMLIndex索引を使用した例を示します。

デフォルトでは、パス表と2次索引の記憶域オプションは、XMLIndex索引が作成された実表の記憶域プロパティから生成されます。例C-4で示すように、索引の作成時にPARAMETERS句を使用すると、異なる記憶域オプションを指定できます。CREATE INDEX (およびALTER INDEX)のPARAMETERS句は、一重引用符(')で囲む必要があります。

XMLIndexは論理的なドメイン索引であり、物理索引ではないため、すべての物理属性はゼロ(0)またはNULLになります。

XMLIndex索引に非構造化コンポーネントと構造化コンポーネントの両方が含まれる場合は、ALTER INDEXを使用して非構造化コンポーネントを削除できます。これを実行するには、パス表を削除します。例C-5に、これを示します。(この場合は、構造化コンポーネントも含むことを前提とします。例6-11では、索引に構造化コンポーネントと非構造化コンポーネントの両方が含まれるようになります。)

例C-4では、パス表に対する記憶域オプションの指定に加え、パス表に対する2次索引にも名前を付けています。

パス表の名前と同様、パス表の列の2次索引の名前は、PARAMETERS句で指定しないかぎり、索引名をベースとして使用して自動的に生成されます。例C-6にこれを示します。これらの名前をパブリック・ビューUSER_IND_COLUMNSで決定する方法を示します。また、pikey索引で3つの列を使用することも示します。

関連項目:

例C-14に、類似するが、さらに複雑な例を示します。

例C-2 XMLIndex索引のパス表への名前付け

CREATE INDEX po_xmlindex_ix ON po_binxml (OBJECT_VALUE) INDEXTYPE IS XDB.XMLIndex
  PARAMETERS ('PATH TABLE my_path_table');

例C-3 XMLIndexパス表のシステム生成名の決定

SELECT PATH_TABLE_NAME FROM USER_XML_INDEXES
  WHERE TABLE_NAME = 'PO_BINXML' AND INDEX_NAME = 'PO_XMLINDEX_IX';
 
PATH_TABLE_NAME
------------------------------
SYS67567_PO_XMLINDE_PATH_TABLE
 
1 row selected.

例C-4 XMLIndex索引の作成時における記憶域オプションの指定

CREATE INDEX po_xmlindex_ix ON po_binxml (OBJECT_VALUE) INDEXTYPE IS XDB.XMLIndex
  PARAMETERS
    ('PATH TABLE po_path_table
      (PCTFREE 5 PCTUSED 90 INITRANS 5
       STORAGE (INITIAL 1k NEXT 2k MINEXTENTS 3 BUFFER_POOL KEEP)
       NOLOGGING ENABLE ROW MOVEMENT PARALLEL 3)
      PIKEY INDEX po_pikey_ix (LOGGING PCTFREE 1 INITRANS 3)
      VALUE INDEX po_value_ix (LOGGING PCTFREE 1 INITRANS 3)');

例C-5 XMLIndex非構造化コンポーネントの削除

ALTER INDEX po_xmlindex_ix PARAMETERS('DROP PATH TABLE');

例C-6 XMLIndex索引の2次索引の名前付け

SELECT INDEX_NAME, COLUMN_NAME, COLUMN_POSITION FROM USER_IND_COLUMNS
  WHERE TABLE_NAME IN (SELECT PATH_TABLE_NAME FROM USER_XML_INDEXES
                         WHERE INDEX_NAME = 'PO_XMLINDEX_IX')
  ORDER BY INDEX_NAME, COLUMN_NAME;
 
INDEX_NAME                     COLUMN_NAME  COLUMN_POSITION
------------------------------ ------------ ---------------
SYS67563_PO_XMLINDE_PIKEY_IX   ORDER_KEY                  3
SYS67563_PO_XMLINDE_PIKEY_IX   PATHID                     2
SYS67563_PO_XMLINDE_PIKEY_IX   RID                        1
SYS67563_PO_XMLINDE_VALUE_IX   SYS_NC00006$               1
 
4 rows selected.

XMLIndexパス表に対する追加の2次索引の作成

XMLIndex非構造化コンポーネントに、2次索引をさらに追加できます。

例C-9例C-11例C-12および例C-13では、例C-4で作成したXMLIndex索引に2次索引を追加しています。

XMLIndex索引のパス表のVALUE列に対し、2次索引をいくつでも追加で作成できます。ファンクション索引やOracle Text索引など、様々な種類が可能です。

問合せの処理時に、指定の索引が指定の要素に対して使用されるかどうかは、その索引が当該値に対して適切であるかどうかや、その索引の使用が費用効率に優れているかどうかによって決まります。

例C-9では、SQL関数substrを使用して、パス表のVALUE列に関数索引を作成します。問合せにおいて、XML要素のテキスト・ノードに対してsubstrがよく使用される場合は便利な方法です。

テキスト・ノードが数値を表す要素が多数ある場合、VALUE列に対して数値索引を作成すると有効です。ただし、例C-9と同じような方法で数値索引を直接作成すると、要素値のいずれかが数値ではない場合にORA-01722エラー(無効な数値)が発生します。これを例C-10に示します。

ここで必要となるのは、数値の要素に対して使用されるが、数値を持たない要素に対しては無視される索引です。特に、DBMS_XMLINDEXパッケージのcreateNumberIndexプロシージャは、この目的でのみ存在するものです。このプロシージャに、データベース・スキーマの名前、XMLIndex索引、および作成される数値索引を渡します。数値索引の作成は、例C-11に示します。

このような索引は数値を持たない要素を無視するよう設計されているため、この索引が数値を持たない要素を検出することはありません。非数値要素がある場合に、なんらかの理由によりXMLIndex索引が問合せで使用されなければ、ORA-01722エラーが発生します。ただし、索引が使用されると非数値データは無視されるため、エラーは発生しません。ここでも、索引の使用により結果セットが変わることはありません。結果はまったく同じですが、索引を使用すると、誤ったデータの検出を防ぐことはできます。

日付値の索引の作成は、数値索引の作成と似ています。この場合は、DBMS_XMLINDEX.createDateIndexプロシージャを使用します。これを例C-12に示します。

例C-13では、Oracle TextのCONTEXT索引をVALUE列に作成します。これは、XML要素のテキスト値に対する全文問合せにおいて便利です。CONTEXT索引がVALUE列に対して定義されている場合、述語の評価時に使用されます。Oracle Text索引は、他のすべてのVALUE列の索引に依存しません。

例C-14の問合せは、XMLIndex索引のパス表に対して作成されたすべての2次索引を示します。作成された索引は、明確に太字で示されます。特に注意する必要があるのは、VALUE列に作成されたファンクション索引などは、この例のように表示されない点です。これらの索引の列名は、SYS_NC00007$などのシステム生成名になります。そのため、WHERE句でCOLUMN_NAME = 'VALUE'を使用して問合せを実行しても、これらの列を見ることはできません

特定のXMLIndex索引が問合せの解決に使用されたかどうかを把握するには、問合せの実行計画を検証します。

構造化コンポーネントでのXMLIndexと同様に、特定のXMLIndex索引を使用できるかどうかは、問合せのコンパイル時にOracle Databaseにより決定されます。つまり、索引に対する問合せにその問合せをリライトできるかどうかによって決まります。

非構造化XMLIndexコンポーネントの場合、問合せ内のXPath式が、XMLIndex索引付けに使用するよう指定したパスのサブセットであることをコンパイル時に断定できない場合、索引の非構造化コンポーネントは使用されません。

特定のXMLIndex索引が問合せの解決に使用されたかどうかを把握するには、問合せの実行計画を検証します。

索引の非構造化コンポーネントが使用される場合、そのパス表、順序キー、またはパスIDが実行計画において参照されます。実行計画は、ドメイン索引が使用されていることを直接的に示したり、XMLIndex索引を名前で参照したりすることはありません。「例C-8」を参照してください。

例C-7に示すように、このような実行計画からパス表の名前から、XMLIndex索引の名前を取得できます

XMLIndexの非構造化コンポーネントは、SELECTリストのXPath式、FROMリストおよび問合せのWHERE句に使用でき、SQL/XML関数XMLQuery、XMLTable、XMLExistsおよびXMLCastに有用です。関数索引(XMLTypeでは非推奨)とは異なり、XMLIndex索引は、文書内のXMLフラグメントからデータを抽出するために使用できます。

関連項目:

例C-7 パス表名からのXMLIndex索引名の取得

SELECT INDEX_NAME FROM USER_XML_INDEXES
  WHERE PATH_TABLE_NAME = 'MY_PATH_TABLE';
 
INDEX_NAME
------------------------------
PO_XMLINDEX_IX
 
1 row selected.

例C-8 XMLIndexを使用したXMLフラグメントからのデータ抽出

SET AUTOTRACE ON EXPLAIN
 
SELECT li.description, li.itemno
  FROM po_binxml, XMLTable('/PurchaseOrder/LineItems/LineItem'
                           PASSING OBJECT_VALUE
                           COLUMNS "DESCRIPTION" VARCHAR(40) PATH 'Description',
                                   "ITEMNO"      INTEGER     PATH '@ItemNumber') li
  WHERE XMLExists('/PurchaseOrder[Reference="SBELL-2002100912333601PDT"]'
                  PASSING OBJECT_VALUE);
 
DESCRIPTION                                  ITEMNO
---------------------------------------- ----------
A Night to Remember                               1
The Unbearable Lightness Of Being                 2
Sisters                                           3
 
3 rows selected.
Execution Plan

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
| Id  | Operation                         | Name                         | Rows  | Bytes |Cost (%CPU)| Time    |
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
|   0 | SELECT STATEMENT                  |                              |     1 |  1546 |   30   (4)|00:00:01 |
|*  1 |  FILTER                           |                              |       |       |           |          |
|*  2 |   TABLE ACCESS BY INDEX ROWID     | MY_PATH_TABLE                |     1 |  3524 |    3   (0)|00:00:01 |
|*  3 |    INDEX RANGE SCAN               | SYS67616_PO_XMLINDE_PIKEY_IX |     1 |       |    2   (0)|00:00:01 |
|*  4 |  FILTER                           |                              |       |       |           |         |
|*  5 |   TABLE ACCESS BY INDEX ROWID     | MY_PATH_TABLE                |     1 |  3524 |    3   (0)|00:00:01 |
|*  6 |    INDEX RANGE SCAN               | SYS67616_PO_XMLINDE_PIKEY_IX |     1 |       |    2   (0)|00:00:01 |
|   7 |  NESTED LOOPS                     |                              |       |       |           |         |
|   8 |   NESTED LOOPS                    |                              |     1 |  1546 |   30   (4)|00:00:01 |
|   9 |    NESTED LOOPS                   |                              |     1 |    24 |   28   (4)|00:00:01 |
|  10 |     VIEW                          | VW_SQ_1                      |     1 |    12 |   26   (0)|00:00:01 |
|  11 |      HASH UNIQUE                  |                              |     1 |  5046 |           |         |
|  12 |       NESTED LOOPS                |                              |     1 |  5046 |   26   (0)|00:00:01 |
|* 13 |        TABLE ACCESS BY INDEX ROWID| MY_PATH_TABLE                |     1 |  3524 |   24   (0)|00:00:01 |
|* 14 |         INDEX RANGE SCAN          | SYS67616_PO_XMLINDE_VALUE_IX |    73 |       |    1   (0)|00:00:01 |
|* 15 |        TABLE ACCESS BY INDEX ROWID| MY_PATH_TABLE                |     1 |  1522 |    2   (0)|00:00:01 |
|* 16 |         INDEX RANGE SCAN          | SYS67616_PO_XMLINDE_PIKEY_IX |     1 |       |    1   (0)|00:00:01 |
|  17 |     TABLE ACCESS BY USER ROWID    | PO_BINXML                    |     1 |    12 |    1   (0)|00:00:01 |
|* 18 |    INDEX RANGE SCAN               | SYS67616_PO_XMLINDE_PIKEY_IX |     1 |       |    1   (0)|00:00:01 |
|* 19 |   TABLE ACCESS BY INDEX ROWID     | MY_PATH_TABLE                |     1 |  1522 |    2   (0)|00:00:01 |
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
Predicate Information (identified by operation id):
---------------------------------------------------
 
   1 - filter(:B1<SYS_ORDERKEY_MAXCHILD(:B2))
   2 - filter(SYS_XMLI_LOC_ISNODE("SYS_P2"."LOCATOR")=1)
   3 - access("SYS_P2"."RID"=:B1 AND "SYS_P2"."PATHID"=HEXTORAW('28EC')  AND "SYS_P2"."ORDER_KEY">:B2 AND
              "SYS_P2"."ORDER_KEY"<SYS_ORDERKEY_MAXCHILD(:B3))
       filter(SYS_ORDERKEY_DEPTH("SYS_P2"."ORDER_KEY")=SYS_ORDERKEY_DEPTH(:B1)+1)
   4 - filter(:B1<SYS_ORDERKEY_MAXCHILD(:B2))
   5 - filter(SYS_XMLI_LOC_ISNODE("SYS_P5"."LOCATOR")=1)
   6 - access("SYS_P5"."RID"=:B1 AND "SYS_P5"."PATHID"=HEXTORAW('60E0')  AND "SYS_P5"."ORDER_KEY">:B2 AND
              "SYS_P5"."ORDER_KEY"<SYS_ORDERKEY_MAXCHILD(:B3))
       filter(SYS_ORDERKEY_DEPTH("SYS_P5"."ORDER_KEY")=SYS_ORDERKEY_DEPTH(:B1)+1)
  13 - filter("SYS_P10"."VALUE"='SBELL-2002100912333601PDT' AND "SYS_P10"."PATHID"=HEXTORAW('4F8C')  AND
              SYS_XMLI_LOC_ISNODE("SYS_P10"."LOCATOR")=1)
  14 - access(SUBSTRB("VALUE",1,1599)='SBELL-2002100912333601PDT')
  15 - filter(SYS_XMLI_LOC_ISNODE("SYS_P8"."LOCATOR")=1)
  16 - access("SYS_P10"."RID"="SYS_P8"."RID" AND "SYS_P8"."PATHID"=HEXTORAW('4E36')  AND
              "SYS_P8"."ORDER_KEY"<"SYS_P10"."ORDER_KEY")
       filter("SYS_P10"."ORDER_KEY"<SYS_ORDERKEY_MAXCHILD("SYS_P8"."ORDER_KEY") AND
              SYS_ORDERKEY_DEPTH("SYS_P8"."ORDER_KEY")+1=SYS_ORDERKEY_DEPTH("SYS_P10"."ORDER_KEY"))
  18 - access("PO_BINXML".ROWID="SYS_ALIAS_4"."RID" AND "SYS_ALIAS_4"."PATHID"=HEXTORAW('3748') )
  19 - filter(SYS_XMLI_LOC_ISNODE("SYS_ALIAS_4"."LOCATOR")=1)
 
Note
-----
   - dynamic sampling used for this statement (level=2)

例C-9 パス表のVALUE列に対する関数索引の作成

CREATE INDEX fn_based_ix ON po_path_table (substr(VALUE, 1, 100));

例C-10 パス表のVALUE列に対する、数値索引の直接作成

CREATE INDEX direct_num_ix ON po_path_table (to_binary_double(VALUE));
CREATE INDEX direct_num_ix ON po_path_table (to_binary_double(VALUE))
                                             *
ERROR at line 1:
ORA-01722: invalid number

例C-11 createNumberIndexプロシージャによる、VALUE列に対する数値索引の作成

CALL DBMS_XMLINDEX.createNumberIndex('OE', 'PO_XMLINDEX_IX', 'API_NUM_IX');

例C-12 createDateIndexプロシージャによる、VALUE列に対する日付索引の作成

CALL DBMS_XMLINDEX.createDateIndex('OE', 'PO_XMLINDEX_IX', 'API_DATE_IX', 
                                   'dateTime');

例C-13 パス表のVALUE列に対するOracle Text CONTEXT索引の作成

CREATE INDEX po_otext_ix ON po_path_table (VALUE)
  INDEXTYPE IS CTXSYS.CONTEXT PARAMETERS('TRANSACTIONAL');

例C-14 XMLIndexのパス表上にある、すべての2次索引の表

SELECT c.INDEX_NAME, c.COLUMN_NAME, c.COLUMN_POSITION, e.COLUMN_EXPRESSION
  FROM USER_IND_COLUMNS c LEFT OUTER JOIN USER_IND_EXPRESSIONS e
    ON (c.INDEX_NAME = e.INDEX_NAME)
  WHERE c.TABLE_NAME IN (SELECT PATH_TABLE_NAME FROM USER_XML_INDEXES
                           WHERE INDEX_NAME = 'PO_XMLINDEX_IX')
  ORDER BY c.INDEX_NAME, c.COLUMN_NAME;
 
INDEX_NAME           COLUMN_NAME  COLUMN_POSITION COLUMN_EXPRESSION
-------------------- ------------ --------------- ----------------------
API_DATE_IX          SYS_NC00009$               1 SYS_EXTRACT_UTC(SYS_XMLCONV("V
                                                  ALUE",3,8,0,0,181))
API_NUM_IX           SYS_NC00008$               1 TO_BINARY_DOUBLE("VALUE")
FN_BASED_IX          SYS_NC00007$               1 SUBSTR("VALUE",1,100)
PO_OTEXT_IX          VALUE                      1
PO_PIKEY_IX          ORDER_KEY                  3
PO_PIKEY_IX          PATHID                     2
PO_PIKEY_IX          RID                        1
PO_VALUE_IX          SYS_NC00006$               1 SUBSTRB("VALUE",1,1599)
 
8 rows selected.

XMLIndex索引の非同期(遅延)メンテナンス

非構造化コンポーネントのみを含むXMLIndex索引メンテナンスのコストを遅延して、コミット時やデータベースの負荷が軽減されているときにのみ、メンテナンスを実行できます。これにより、DMLパフォーマンスを向上させることができ、索引の同期化時に非同期索引行のバルク・ロードを有効にできます。

この機能は、非構造化コンポーネントのみが含まれるXMLIndex索引に適用されます。構造化コンポーネントが含まれるXMLIndex索引に非同期メンテナンスを指定すると(非構造化コンポーネントも含まれている場合でも)、エラーが発生します。

デフォルトでは、XMLIndex索引はDML操作のたびに更新(メンテナンス)されますので、実表と常に同期化されます。状況によっては、このようなことは必要なく、従来の索引の使用が許可される場合があります。そのような場合、索引メンテナンスのコストを遅延するよう決定し、コミット時のみまたはデータベースの負荷が軽減されているある時期に実行できます。これにより、DMLのパフォーマンスを向上させることができます。また、索引の同期化を行う際に、非同期索引行のバルク・ロードを有効にすると、索引メンテナンスのパフォーマンスを向上させることができます。

DML操作では従来の索引を使用しても、パフォーマンス以外には影響がありません。ただし、問合せ結果に影響を与えることもあります。問合せ時に索引が最新の状態でない場合は、問合せ結果も最新でない可能性があります。実表の1列のみがXMLTypeデータ型であったとしても、その表のすべての問合せには、XMLIndex列のXMLIndex索引の最終同期時のデータベース・データが反映されます。

CREATE INDEX文またはALTER INDEX文のPARAMETERS句を使用し、索引メンテナンスの遅延を指定できます。

XMLIndex索引の同期化を遅延しても、次のデータベース操作により、索引が自動的に同期化されるので注意が必要です。

  • 索引に対するDDL操作 – ALTER INDEXまたは2次索引の作成

  • 実表に対するDDL操作 – ALTER TABLEまたは他の索引の作成

表C-3に、同期化オプションと、オプションの指定に使用されるASYNC句の構文をまとめます。ASYNC句は、CREATE INDEXPARAMETERS句またはXMLIndexALTER INDEX文で使用されます。

表C-3 索引の同期化

同期化するタイミング ASYNC句の構文

常時

ASYNC (SYNC ALWAYS)

これはデフォルトの動作です。前のASYNC指定を無効にするため、明示的に指定できます。

コミット時

ASYNC(SYNC ON COMMIT)

定期的

ASYNC (SYNC EVERY "repeat_interval")

repeat_intervalは、DBMS_SCHEDULERのカレンダ構文と同じです

EVERYを使用するには、CREATE JOB権限が必要です。

手動、オン・デマンド

ASYNC (SYNC MANUAL)

PL/SQLプロシージャDBMS_XMLINDEX.syncIndexを使用すると、索引を手動で同期化できます。

ASYNC構文のオプションのパラメータであるSTALEは、将来に備えて用意されているものであり、明示的に指定する必要はありません。ALWAYSが使用されていれば、値は常にFALSEになります。それ以外の場合の値はTRUEです。このルールに反して明示的なSTALE値を指定すると、エラーが発生します。

例C-15では、明日から毎週月曜日の午後3時に同期化されるXMLIndex索引を作成します。

例C-16では、例C-15で作成された索引を手動で同期化します。

XMLIndex索引の同期化が遅延されると、索引に対する最終同期化以降、実表に対して加えられたすべてのDML変更(挿入、更新、削除)は、DML操作当たり1行ずつ、保留中の表に記録されます。この表の名前は、静的なパブリック・ビューUSER_XML_INDEXESALL_XML_INDEXES、およびDBA_XML_INDEXESPEND_TABLE_NAME列の値です。

この表を検証すると、指定のXMLIndex索引を同期化させる最適な時期を決定できます。保留中の表の行数が多くなると、同期化が必要な索引も多くなります。

保留中の表のサイズが大きい場合、syncIndexのコール時にパラメータREINDEXTRUEに設定すると、例C-16に示すようにパフォーマンスを向上できます。REINDEXTRUEの場合は、すべての2次索引が削除され、保留中の表データを一括ロードした後に再作成されます。

関連項目:

例C-15 XMLIndexに対する遅延同期の指定

CREATE INDEX po_xmlindex_ix ON po_binxml (OBJECT_VALUE) INDEXTYPE IS XDB.XMLIndex
  PARAMETERS ('ASYNC (SYNC EVERY "FREQ=HOURLY; INTERVAL = 1")');

例C-16 SYNCINDEXを使用したXMLIndex索引の手動同期化

EXEC DBMS_XMLINDEX.syncIndex('OE', 'PO_XMLINDEX_IX', REINDEX => TRUE);

エラーORA-08181が発生した場合のXMLIndex索引の同期化

問合せを行うとエラーORA-08181が発生する場合は、問合せのXMLType実表に対して、非構造化コンポーネントを含むXMLIndex索引が作成されているかどうかを確認してください。その場合は、DBMS_XMLINDEX.syncIndexを使用して、XMLIndex索引を手動で同期化します。

これは、エラーORA-08181が次の状況で発生した場合にのみ適用されます。

  1. プラガブル・データベースPDB1で、XMLType表または列XTABCOLを作成し、非構造化コンポーネントが含まれるXMLIndex索引を使用して索引付けを行った。
  2. PDB1をコンテナ・データベースに接続している。
  3. PDB1を新しいプラガブル・データベースPDB2にクローニングした。
  4. PDB2で問合せXTABCOLを実行すると、エラーORA-08181が発生する。

同期化しても引き続きエラーが発生する場合は、別の原因を探します。エラーORA-08181は様々な状況で発生する可能性のある一般的なエラーで、これは原因の1つにすぎません。

非構造化XMLIndexの利点

オブジェクト・リレーショナル形式のXMLType記憶域では、Bツリー索引を効果的に使用できます。基礎となるオブジェクトを直接ターゲット化することで、焦点がより明確に絞られます。ただし、バイナリXMLを使用して格納されているXML文書の詳細な構造(要素および属性)を指定する場合、通常は効果を発揮しません。これはXMLIndexの特殊ドメインです。

XMLIndexドメイン索引で、XMLデータのドメイン用に特化して設計されています。これは論理的索引です。XMLIndex索引は、SQL/XML関数XMLQueryXMLTableXMLExistsおよびXMLCastに対して使用できます。

XMLIndexには、他の索引付け方式に比べ、次のような利点があります。

  • 非構造化コンポーネントを含むXMLIndex索引では、SELECTリスト・データとFROMリスト・データの両方に対するアクセスを高速化でき、特にXMLフラグメント抽出において有用です。ファンクション索引は非推奨になったため、文書のフラグメントの抽出には使用できません。

  • 問合せに使用されるXPath式に関する事前の知識は不要です。XMLIndex索引の非構造化コンポーネントは、汎用性に富んでいます。ファンクション索引の場合とは異なります。

非構造化XMLIndexに関連するデータ・ディクショナリの静的なパブリック・ビュー

非構造化XMLIndex索引に関する情報をレポートするデータ・ディクショナリ・ビューは、パブリック・ビューUSER_XML_INDEXESALL_XML_INDEXESおよびDBA_XML_INDEXESを介して構造化XMLIndex索引と共有されます。

構造化XMLIndexと同様に、統計情報は複数のビューで共有されます。

USER_TAB_STATISTICSALL_TAB_STATISTICSDBA_TAB_STATISTICSを問い合せる場合、パス表名を使用してTABLE_NAME列をフィルタ処理することで、パス表に対する統計を問い合せることができます。

XMLIndexパスのサブセット化: 索引付けするパスの指定

問い合せる可能性の高いXPath式がわかっている場合は、XMLIndexの索引付けの焦点を絞り、パフォーマンスを高めることもできます。

非構造化コンポーネントを含むXMLIndex索引は、非常に汎用性が高いという利点があります。索引付けするXPathの位置を指定する必要もなければ、問合せされるXPath式に関する事前の知識も必要ありません。デフォルトでは、非構造化XMLIndexコンポーネント索引では、XMLデータのすべての使用可能なXPath位置に索引が作成されます。

ただし、問い合せる可能性の高いXPath式を認識している場合は、XMLIndexの索引付けの焦点を絞り、パフォーマンスを高めることもできます。索引付けされたノードが少ないほど、索引付けに必要な領域も削減されるため、DML操作中の索引のメンテナンスが向上します。索引付けされたノードの数が少ないほどDDLのパフォーマンスが向上し、パス表が小さいほど問合せのパフォーマンスも向上します。

索引付けされるXMLフラグメントに対応する一連のXPath式(パス)をプルーニングし、可能なすべてのパスのサブセットを指定することで、索引付けの焦点を絞れます。これを行うには、他に2通りの方法があります。

  • 除外 – 可能なすべてのXPath式を含めるというデフォルト動作を実行した後に、索引付けに不要なものを除外します。

  • 包含 – 索引付けに使用する空白のXPath式の包含セットにパスを追加します。

CREATE INDEXを使用してXMLIndex索引を作成するとき、またはALTER INDEXを使用して索引を修正するときに、パスのサブセット化を指定できます。いずれの場合でも、文のPARAMETERS句のPATHSパラメータで、サブセット化情報を提供します。除外の場合は、キーワードEXCLUDEを使用します。包含の場合は、ALTER INDEXのときはキーワードINCLUDEを使用し、CREATE INDEXのときはキーワードを使用しません(含めるパスをリストします)。また、PATHSパラメータによってターゲット化されるノードに対し、名前空間マッピングも指定できます。

ALTER INDEXの場合、キーワードINCLUDEまたはEXCLUDEの後にキーワードADDまたはREMOVEを付加すると、キーワードの後に続くパスのリストを包含リストや除外リストに追加するか削除するかを指定できます。たとえば、この文では、索引付けから除外するパスのリストにパス/PurchaseOrder/Referenceを追加します。

ALTER INDEX po_xmlindex_ix REBUILD
  PARAMETERS ('PATHS (EXCLUDE ADD (/PurchaseOrder/Reference))');

すべてのパスが含まれるようにXMLIndex索引を変更するには、キーワードINDEX_ALL_PATHSを使用します。alter_index_paths_clause ::=を参照してください。

ノート:

構造化および非構造化コンポーネントの両方を持つXMLIndex索引を作成した場合、デフォルトで、構造化コンポーネント内で索引付けされているノードはすべて、非構造化コンポーネント内でも索引付けされます。つまり、非構造化コンポーネントから自動的に除外されません。非構造化XMLIndexの索引付けを適用しないようにするには、パスのサブセット化を明示的に使用してそれらを除外する必要があります。

XMLIndexパスのサブセット化の例

XPath式のサブセットに対し、XMLIndex索引を定義する例をいくつか示します。

例C-17 CREATE INDEXによるXMLIndexパスのサブセット化

CREATE INDEX po_xmlindex_ix ON po_binxml (OBJECT_VALUE)
  INDEXTYPE IS XDB.XMLIndex
  PARAMETERS ('PATHS (INCLUDE (/PurchaseOrder/LineItems//* 
                               /PurchaseOrder/Reference))');

この文では、次に示すように、最上位要素であるPurchaseOrderおよびその子に対してのみ索引付けする索引を作成します。

  • すべてのLineItems要素およびその子孫

  • すべてのReference要素

索引に使用される一連の空白のパスに対し、指定のパスを含めていきます。

例C-18 ALTER INDEXによるXMLIndexパスのサブセット化

ALTER INDEX po_xmlindex_ix REBUILD
  PARAMETERS ('PATHS (INCLUDE ADD (/PurchaseOrder/Requestor 
                                   /PurchaseOrder/Actions/Action//*))');

この文では、索引付けに使用されたパスに対し、2つのパスを追加します。これらのパスは、Requestor要素と、Action要素の子孫(およびその祖先)に対して索引付けします。

例C-19 名前空間接頭辞を使用したXMLIndexパスのサブセット化

XMLIndex索引付けに使用されるXPath式で名前空間接頭辞が使用される場合、NAMESPACE MAPPING句をPATHSリストで使用して接頭辞を指定できます。次はその例です。

CREATE INDEX po_xmlindex_ix ON po_binxml (OBJECT_VALUE) INDEXTYPE IS XDB.XMLIndex
  PARAMETERS ('PATHS (INCLUDE (/PurchaseOrder/LineItems//*   /PurchaseOrder/ipo:Reference)
                     NAMESPACE MAPPING (xmlns="http://xmlns.oracle.com"
                                        xmlns:ipo="http://xmlns.oracle.com/ipo"))');

XMLIndexパスのサブセット化のルール

XMLIndexパスのサブセット化に適用されるルールについて説明します。

  • パスはchild軸およびdescendant軸のみを参照し、さらに、要素ノードおよび属性ノード、またはその名前(ワイルドカードを使用可能)のみをテストする必要があります。特に、パスには述語を含めないでください。

  • パス除外とパス包含を一度に指定できません。いずれかの方法を指定する必要があります。

  • パス除外(包含)によって索引が作成された場合は、パス除外(包含)によってのみ修正が可能です。索引の修正は、パスのサブセット化をさらに制限するか、さらに拡張するかのいずれかです。たとえば、特定のパスを含める索引を作成した後に、特定のパスを除外するよう修正することはできません。

非構造化索引のCREATE INDEXおよびALTER INDEXのPARAMETERS句

PATHS句の使用

PATHS句を使用する場合は、特定の考慮事項が適用されます。

  • CREATE INDEX文では、PATHS句を最大で1回使用できます。つまり、create_index_paths_clauseの前に、PATHSを最大で1回使用できます。

  • create_index_paths_clause句はCREATE INDEXでのみ、また、alter_index_paths_clause句はALTER INDEXでのみ使用されます。

create_index_paths_clauseおよびalter_index_paths_clauseの使用

create_index_paths_clauseおよびalter_index_paths_clauseを使用する場合は、特定の考慮事項が適用されます。

  • INDEX_ALL_PATHSキーワードは、すべてのパスが含まれた状態で索引を再構築します。このキーワードは、alter_index_paths_clauseでのみ使用でき、create_index_paths_clauseでは使用できません。

  • 索引に対するパスの明示的なリストには、ワイルドカードおよび//を使用できます。

  • XPaths_listは1つ以上のXpaths式で構成されるリストです。それぞれのリストには、child軸、descendant軸、名前テスト、およびワイルドカード(*)構造のみが含まれます。

  • create_index_paths_clauseからXPaths_listが省略されていると、すべてのパスが索引付けされます。

  • XPaths_listのXPath式で使用される一意の名前空間接頭辞に対し、対応する名前空間情報を提供するには、標準的なXML名前空間宣言が必要です。

  • 索引を削除した後で必要に応じて作成しなおすと、構文に直接反映されない方法で索引を変更できます。たとえば、パスを含めることで定義される索引を、パスを除外することで定義される索引に変更する場合は、索引を削除した後で、EXCLUDEを使用して作成しなおします。

pikey_clause、path_id_clauseおよびorder_key_clauseの使用

pikey_clausepath_id_clauseおよびorder_key_clauseの各句は、構文的にそれぞれ省略可能です。pikey索引は、pikey_clauseを指定しない場合でも作成されます。パスID索引または順序キー索引を作成するには、path_id_clauseまたはorder_key_clauseをそれぞれ指定する必要があります。

value_clauseの使用

value_clauseを使用する場合は、特定の考慮事項が適用されます。

  • VALUE列は、VARCHAR2(4000)として作成されています。

  • value_clause句がキーワードVALUEでのみ構成される場合は、通常のデフォルト属性によって値索引が作成されます。

  • path_id_clause句がキーワードPATH IDでのみ構成される場合は、通常のデフォルト属性によってパスID索引が作成されます。

  • order_key_clause句がキーワードORDER KEYでのみ構成される場合は、通常のデフォルト属性によって順序キー索引が作成されます。

async_clauseの使用

ASYNC句を使用する場合は、特定の考慮事項が適用されます。

  • この機能は、非構造化コンポーネントのみが含まれるXMLIndex索引のみで使用します。構造化コンポーネントが含まれるXMLIndex索引にASYNC句を指定すると、エラーが発生します。

  • ALWAYSとは、各DML文に対して自動同期が行われることを意味します。

  • MANUALとは、自動同期が行われないことを意味します。DBMS_XMLINDEX.syncIndexを使用して、索引を手動同期させる必要があります。

  • EVERY repeat_intervalとは、repeat_intervalの間隔で索引を自動同期させることを意味します。repeat_intervalの構文は、PL/SQLパッケージDBMS_SCHEDULERと同じで、二重引用符(")で囲む必要があります。EVERYを使用するには、CREATE JOB権限が必要です。

  • ON COMMITとは、コミット操作の直後に索引を同期させることを意味します。コミットは、同期が完了するまでは戻されません。同期は個別の処理として実行されるため、データがコミットされてから、索引の変更がコミットされるまで短い間隔が生じることがあります。

  • STALEはオプションです。値がTRUEの場合は、問合せ結果が失効している可能性があります。値がFALSEの場合は、問合せ結果は常に最新です。デフォルト値と、明示的に指定可能な唯一の値は次のとおりです。

    • ALWAYSの場合、STALEFALSEです。

    • ALWAYS以外のASYNCオプションの場合、STALETRUEです。



脚注の説明

脚注1:

実際のパス表の実装は多少異なることがあります。