28 RMANバックアップを使用した簡易データ・トランスポート
Oracle Database 23ai以降、RMANでは、プラットフォーム間でデータをトランスポートするための簡易化された方法が提供されています。
28.1 簡易データ・トランスポートの概念
テープに格納された通常のRMANバックアップを使用して、ソース・プラットフォームから宛先プラットフォームに表領域とプラガブル・データベース(PDB)をトランスポートできます。
簡易データ・トランスポートの方法により、通常の本番バックアップ・スケジュールの一部として利用可能な既存のバックアップを活用できます。宛先プラットフォームでは、RMANはデータ・トランスポート・プロセスを簡略化された効率的な方法で完了するために、RMANバックアップからデータファイルをリストアして、宛先データベースの表領域またはPDBをプラグインします。
たとえば、PDBを迅速にトランスポートするには、PDBの既存のバックアップからデータファイルをリストアしてから、宛先CDBにPDBをプラグインします。
RMANは、バックアップ情報をリカバリ・カタログまたはトランスポート・ファイルのどちらかから取得します。NOCATALOG
モードでは、トランスポート・ファイルはXML
形式のバックアップ情報をRMANに提供します。
- ソース・プラットフォームから宛先プラットフォームへのデータのトランスポートとリストアに関連するすべての複雑性をオフロードできます。
- 通常のRMANバックアップを使用してデータをトランスポートできます。これにより、表領域またはPDBをトランスポートするための準備に追加のステップが不要になります。
- データをトランスポートするためのアプリケーション・ダウンタイムを大幅に短縮できます。ソース・プラットフォームでバックアップを作成し、宛先プラットフォームでバックアップからデータファイルをリストアするときに、ソース・データベースは期間全体にわたって運用状態を維持できます。このプロセスでは、RMANが宛先プラットフォームで最終的なリストア操作を実行する必要があるときにのみ、最小限のアプリケーション停止時間が必要になります。
28.1.1 RMANバックアップを使用したデータのトランスポートの方法
Oracle Database 23ai以降では、PDBと表領域に対応するRMANバックアップを使用してそれらをトランスポートするために、次のいずれかの方法を使用します:
- リカバリ・カタログ接続を使用したプラットフォーム間でのPDBと表領域のトランスポート
この方法では、バックアップを作成してリストアを実行するときに、RMANは同じリカバリ・カタログに接続しておく必要があります。
宛先データベースでは、インメモリー・トランスポート・リストを生成するために、最初に
RESTORE PREVIEW
コマンドをTO TRANSPORT LIST
オプション付きで実行する必要があります。その後で、トランスポート・リストを使用してRESTORE
コマンドを実行できます。RMANは、バックアップからデータファイルをリストアし、増分バックアップを適用することでリストアしたデータファイルをロールフォワードしてから、宛先データベースの表領域またはPDBをプラグインします。 NOCATALOG
モードのプラットフォーム間でのPDBと表領域のトランスポートこの方法では、ソース・データベースにトランスポート・ファイルを作成する必要があります。
RESTORE PREVIEW
コマンドをTO TRANSPORT FILE
オプション付きで実行して、ソース・データベースのバックアップに関する情報をトランスポート・ファイルに格納します。宛先データベースで、トランスポート・ファイルを使用して
RESTORE
コマンドを実行します。RMANは、バックアップからデータファイルをリストアし、増分バックアップを適用することでリストアしたデータファイルをロールフォワードしてから、宛先データベースの表領域またはPDBをプラグインします。- ネットワーク経由でのプラガブル・データベースと表領域のトランスポート
この方法では、RMANはソース・データベース・ファイルを使用して、ネットワーク経由でデータを最適にトランスポートします。RMANでは、ソース・プラットフォームへの接続、必要なバックアップの作成、バックアップのネットワーク経由での宛先プラットフォームへのトランスポートおよびリストア操作を実行できます。
28.1.2 RMANバックアップを使用したデータのトランスポートの前提条件
- 別のプラットフォームにPDBをトランスポートする前に、次の事項を確認してください。
- 宛先プラットフォームは、ソース・プラットフォームと同じエンディアン形式に従っている
- PDBはローカルUNDOを使用する
- 表領域をトランスポートする前に、表領域が自己完結型であることを確認します。表領域セットが自己完結型かどうかを判別するには、オラクル社が提供する
DBMS_TTS
パッケージのTRANSPORT_SET_CHECK
プロシージャを実行します。表領域については、ソース・プラットフォームとは異なるエンディアン形式を使用する宛先プラットフォームにトランスポートできます。
- リカバリ・カタログ・ベースの方法では、次の事項を確認します。
- ソース・データベースおよびターゲット・データベースの
COMPATIBLE
初期化パラメータは、23.0に設定されている必要があります。 - ソース・データベースと宛先データベースは、どちらも同じリカバリ・カタログに登録されます。
- ソース・データベースおよびターゲット・データベースの
NOCATALOG
モード・ベースの方法では、RMANにはXML
形式で格納されたバックアップ情報を含むトランスポート・ファイルが必要です。宛先データベースでバックアップからデータファイルをリストアする前に、トランスポート・ファイルを共有の場所または宛先ホストからアクセスできるネットワーク・ファイルの場所(NFS)のパスに格納してください。- ネットワークベースの方法:
- PDBまたは表領域の宛先プラットフォームへの最終的なトランスポートを実行する前に、宛先データベースでデータベース・リンクを作成する必要があります。
SQL*PLUS
CREATE DATABASE LINK
文を使用してPUBLIC
dblink
を作成します。たとえば、次の文では、宛先データベースのユーザーrco
が、CDBcdb1
のプラガブル・データベースpdb1
を参照するnetworklink
というデータベース・リンクを定義しています。CREATE PUBLIC DATABASE LINK pluginlink CONNECT TO rco IDENTIFIED BY password USING 'cdb1_pdb1'
dblink
は、ソース・データベースから宛先データベースにエクスポート・ダンプ・ファイルまたはPDBアンプラグXMLファイルをトランスポートするために使用されます。 - ネットワーク経由で表領域の最終的なトランスポートを実行する前に、ソース・データベースの
SYSBACKUP
ユーザーにEXP_FULL_DATABASE
権限を付与します。
- PDBまたは表領域の宛先プラットフォームへの最終的なトランスポートを実行する前に、宛先データベースでデータベース・リンクを作成する必要があります。
28.2 リカバリ・カタログを使用したプラットフォーム間でのPDBのトランスポート
RMANがリカバリ・カタログに接続されているときに、PDBのバックアップを使用してPDBをトランスポートできる様々な方法について説明します。
28.2.1 リカバリ・カタログ接続を使用したPDBのトランスポートについて
この方法では、RMANはリカバリ・カタログに格納されているメタデータを問い合せて、リストア操作に必要な正確なバックアップを判断し、宛先CDBのPDBをプラグインします。
RMANがリカバリ・カタログに接続されているときに、PDBバックアップを使用してPDBをトランスポートするために実行する必要がある主要なステップは、次のとおりです。
ソースCDB:
- RMANをリカバリ・カタログに接続します
- PDBの既存のバックアップを使用するか、
BACKUP PLUGGABLE DATABASE
コマンドを使用して新しいバックアップを作成します - ソースPDBが読取り専用モードの場合はPDBの最終的な増分レベル1のバックアップを作成します。
BACKUP PLUGGABLE DATABASE
コマンドを使用して、最終的な増分レベル1のバックアップを作成します。DATAPUMP
句を使用して、増分バックアップに付随するエクスポート・ダンプ・ファイルを作成します。
宛先CDB:
- RMANをソースCDBと同じリカバリ・カタログに接続します。
SET
コマンドをFOREIGN DBID
句とともに使用して、ソースPDBのDBID
を設定しますRESTORE
コマンドをPREVIEW
句およびTO TRANSPORT LIST
句とともに使用して、トランスポート・リストを生成します。トランスポート・リストはインメモリーに維持され、宛先CDBでリストア操作を実行するためにRMANが必要とするPDBバックアップを示します。RESTORE
コマンドをFROM TRANSPORT LIST
句とともに使用して、トランスポート・リストを使用したリストア操作を実行します。RMANは、バックアップからデータファイルをリストアし、ロールフォワードして、宛先CDBのPDBをプラグインします。
ノート:
宛先データベースでOracle Active Data Guardの論理データベース・ローリング・アップグレード・プロセスが実行中の場合、RMANはバックアップを使用したデータのトランスポートに関連する最終ステップを正常に完了できなくなります。この理由は、ローリング・アップグレード・プロセスが、RMANによる最終的なバックアップのリストアと宛先データベースでのPDBのプラグインに必要なバックアップ・メタデータのインポートを制限するためです。28.2.2 リカバリ・カタログ接続を使用したPDBの迅速なトランスポート
この方法は、バックアップにかかる時間が短い小規模なPDBをトランスポートする場合にお薦めします。
このクイック・トランスポートの方法では、ソースPDBの増分レベル0のバックアップと、そのバックアップに付随するエクスポート・ダンプ・ファイルを作成する必要があります。宛先プラットフォームで、トランスポート・リストを生成し、そのトランスポート・リストを使用して単一のリストア操作を実行します。RMANは、レベル0のバックアップからデータファイルをリストアしてから、宛先CDBのPDBをプラグインします。
「RMANバックアップを使用したデータのトランスポートの前提条件」の説明に従って、前提条件を満たしていることを確認してください。
28.2.3 既存のバックアップおよびリカバリ・カタログ接続を使用したPDBのトランスポート
RMANでは、通常のバックアップ・スケジュールの一部として使用可能な既存のPDBバックアップ(レベル0)を利用してPDBをトランスポートできます。
ソースPDBが読取り専用モードの場合、ソースPDBの最終的な増分レベル1のバックアップと、その増分バックアップに付随するエクスポート・ダンプ・ファイルを作成する必要があります。
宛先CDBで、トランスポート・ファイルを生成し、そのトランスポート・ファイルを使用して単一のリストア操作を実行します。RMANは、PDBの既存のレベル0の最新バックアップを使用してデータファイルをリストアし、最終的な増分レベル1のバックアップを適用することでリストアしたデータファイルをロールフォワードしてから、宛先CDBのPDBをプラグインします。
「RMANバックアップを使用したデータのトランスポートの前提条件」の説明に従って、前提条件を満たしていることを確認してください。
28.2.4 複数の増分バックアップおよびリカバリ・カタログ接続を使用したPDBのトランスポート
この方法は、ソースPDBのアプリケーション停止時間を最小限に抑えながら、プラットフォーム間で大規模なPDBをトランスポートする場合にお薦めします。
宛先CDBでは、最初にPDBの既存のバックアップまたは新規のバックアップからデータファイルをリストアする必要があります。その後、リストアしたデータファイルは、複数の増分レベル1のバックアップを定期的に適用することでロールフォワードできます。ソースPDBがオープン状態と運用可能状態を維持している間は、最終的なトランスポートを実行するまで、宛先CDBで任意の数のレベル1の増分バックアップを適用し続けることができます。
「RMANバックアップを使用したデータのトランスポートの前提条件」の説明に従って、前提条件を満たしていることを確認してください。
28.2.4.1 ソースCDB: 複数の増分バックアップおよびリカバリ・カタログ接続を使用したPDBのトランスポートの準備
既存のPDBバックアップを活用できます。オプションで、この手順はソースPDBの増分レベル0のバックアップを作成するために使用します。
28.2.4.2 宛先CDB: リカバリ・カタログ接続を使用したPDBのレベル0のバックアップからのデータファイルのリストア
レベル0のバックアップは、それに続くPDBの増分レベル1のバックアップを適用するためのRMANの基礎として機能します。
単一のRMANセッションでこれらのステップを実行し、リストア操作中にRMANでインメモリー・トランスポート・リストを使用できるようにします。
28.2.4.3 リカバリ・カタログ接続を使用したPDBの増分バックアップのリストア
宛先CDBでは、レベル1の増分バックアップを定期的に適用することで、リストアされたデータファイルをロールフォワードします。
ソースPDBがオープンしている間は、ソースPDBのレベル1増分バックアップを作成してから、宛先CDBでリストア操作を実行できます。この方法を使用すると、アプリケーションの停止時間を最小限に抑え、PDBの最終的なトランスポートを実行する際に宛先データベースに適用する必要がある変更データの量を削減できます。
この手順の繰返し可能な回数に制限はありません。PDBの最終的なトランスポートの実行準備ができたら、「ステップ4」に進みます。
ソースCDBで、PDBのレベル1の増分バックアップを作成します。
宛先CDBで、PDBバックアップからデータファイルをリストアします。
単一のRMANセッションでこれらのステップを実行し、リストア操作中にRMANでインメモリー・トランスポート・リストを使用できるようにします。
28.3 NOCATALOGモードでのプラットフォーム間でのPDBのトランスポート
NOCATALOG
モードでは、トランスポート・ファイルを作成して、ソースPDBのバックアップに関する情報を格納する必要があります。PDBのバックアップとトランスポート・ファイルを使用してPDBをトランスポートする様々な方法について説明します。
28.3.1 NOCATALOG MODEでのPDBのトランスポートについて
PDBバックアップを使用してPDBをトランスポートする場合、RMANはソースPDBからの正確なバックアップを識別してから、宛先CDBでリストア操作を実行する必要があります。
NOCATALOG
モードでは、ソースCDB上にトランスポート・ファイルを作成する必要があります。トランスポート・ファイルは、宛先CDBにトランスポートするPDBのバックアップ・メタデータを格納するXML
形式のファイルです。RMANは、バックアップからデータファイルをリストアし、宛先CDBのPDBをプラグインするためにトランスポート・ファイルを必要とします。
NOCATALOG
モードでPDBをトランスポートするための主要なステップは次のとおりです。
- 既存のレベル0のバックアップを使用するか、
BACKUP PLUGGABLE DATABASE
コマンドを使用して新しいバックアップを作成します。 - ソースPDBが読取り専用に設定されている場合は、PDBの最終的な増分レベル1のバックアップを作成します。
BACKUP PLUGGABLE DATABASE
コマンドを使用して、最終的な増分レベル1のバックアップを作成します。DATAPUMP
句を使用して、増分バックアップに付随するエクスポート・ダンプ・ファイルを作成します。
- ソースCDBで、
RESTORE PREVIEW
コマンドをTO TRANSPORT FILE
句とともに使用してトランスポートXML
ファイルを作成します。 - オペレーティング・システム固有のユーティリティを使用して、トランスポート
XML
ファイルをソース・ホストから宛先ホストに手動でコピーします。または、XML
ファイルをネットワーク・ファイル・システム(NFS)パスまたは宛先ホストからアクセスできる共有の場所に格納します。
宛先CDBで、単一のリストア操作を実行します。
RESTORE
コマンドを、FROM TRANSPORT FILE
句およびPLUGGABLE DATABASE
句を指定して使用します。RMANは、指定したトランスポート・ファイルを使用してバックアップからデータファイルをリストアし、宛先CDBのPDBをプラグインします。
ノート:
宛先データベースでOracle Active Data Guardの論理データベース・ローリング・アップグレード・プロセスが実行中の場合、RMANはバックアップを使用したデータのトランスポートに関連する最終ステップを正常に完了できなくなります。この理由は、ローリング・アップグレード・プロセスが、RMANによる最終的なバックアップのリストアと宛先CDBへのPDBのプラグインに必要なバックアップ・メタデータのインポートを制限するためです。28.3.2 NOCATALOG MODEでのPDBの迅速なトランスポート
この方法は、バックアップにかかる時間が短い小規模なPDBをトランスポートする場合にお薦めします。
このクイック・トランスポートの方法では、ソースPDBの増分レベル0のバックアップと、そのバックアップに付随するエクスポート・ダンプ・ファイルを作成することが必要です。宛先プラットフォームで単一のリストア操作を実行して、レベル0のバックアップからデータファイルをリストアし、宛先CDBのPDBをプラグインしてPDBのトランスポートを完了します。
NOCATALOG
モードでは、トランスポート・ファイルを生成して、PDBのバックアップに関する情報をXML
形式で格納する必要があります。
「RMANバックアップを使用したデータのトランスポートの前提条件」の説明に従って、前提条件を満たしていることを確認してください。
28.3.3 既存のPDBバックアップおよびNOCATALOGモードを使用したPDBのトランスポート
この手順は、既存のPDBバックアップ(レベル0)とトランスポート・ファイルを使用して、PDBをトランスポートする場合に使用します。
ソースPDBが読取り専用モードの場合は、RMANを使用して、PDBの最新の既存のレベル0のバックアップからデータファイルをリストアし、宛先CDBのPDBをプラグインできます。
NOCATALOG
モードでは、トランスポート・ファイルを生成して、ソースPDBのバックアップに関する情報をXML
形式で格納する追加の手順を実行する必要があります。
「RMANバックアップを使用したデータのトランスポートの前提条件」の説明に従って、前提条件を満たしていることを確認してください。
28.3.4 NOCATALOGモードでの複数の増分バックアップを使用したPDBのトランスポート
この方法は、ソースPDBのアプリケーションの停止時間を最小限に抑えながら、プラットフォーム間で大規模なPDBをトランスポートする場合にお薦めします。
宛先CDBでは、最初にPDBの既存のバックアップまたは新規のバックアップからデータファイルをリストアする必要があります。その後、リストアしたデータファイルは、複数の増分レベル1のバックアップを定期的に適用することでロールフォワードできます。ソースPDBがオープン状態で運用可能状態を維持している間は、PDBの最終的なトランスポートを実行するまで、宛先CDBに任意の数のレベル1増分バックアップを適用し続けることができます。
NOCATALOG
モードでは、トランスポート・ファイルを作成して、ソースPDBのバックアップに関する情報をXML
形式で格納する必要があります。
「RMANバックアップを使用したデータのトランスポートの前提条件」の説明に従って、前提条件を満たしていることを確認してください。
28.3.4.2 ステップ2: (宛先CDB) NOCATALOGモードでのPDBのベース増分バックアップからのデータファイルのリストア
宛先CDBでは、レベル0のバックアップは、それに続くPDBの増分レベル1のバックアップからデータファイルをリストアするためのRMANの基礎として機能します。
28.3.4.3 ステップ3: NOCATALOGモードでのPDBの増分バックアップを使用したデータファイルのリストア
宛先CDBでは、増分レベル1のバックアップを定期的に適用して、PDBの最終的なトランスポートを実行するまで、ベース・バックアップをロール・フォワードできます。
ソースPDBがオープンしている間は、ソースPDBのレベル1増分バックアップを作成してから、宛先CDBでリストア操作を実行できます。この方法を使用すると、アプリケーションの停止時間を最小限に抑え、PDBの最終的なトランスポートを実行する際に宛先データベースに適用する必要がある変更データの量を削減できます。
この手順の繰返し可能な回数に制限はありません。PDBの最終的なトランスポートの実行準備ができたら、「ステップ4: (ソースCDB) NOCATALOGモードでのPDBの最終的な増分バックアップの作成」に進みます。
NOCATALOG
モードでは、ソース・ホストにトランスポート・ファイルを作成し、トランスポート・ファイルを使用して、宛先ホストでリストア操作を実行する必要があります。
ソースCDBで、PDBのレベル1の増分バックアップを作成します。
宛先CDBで、PDBバックアップからデータファイルをリストアします
28.4 ネットワーク経由でのプラガブル・データベースのトランスポート
RMANを使用すると、プラットフォーム間でネットワークを使用したプラガブル・データベースのトランスポートが可能になります。
28.4.1 ネットワーク経由のPDBのトランスポートについて
RMANでは、ネットワークを使用してソースPDBに接続し、PDBのバックアップを作成し、ネットワーク経由でソース・データファイルを最適に転送してから、宛先CDBでバックアップからデータファイルをリストアできます。さらに、RMANは宛先CDBのPDBをプラグインします。
ネットワーク経由でPDBをトランスポートするために、RMANはRESTORE
コマンドをFROM SERVICE
句、FOREIGN PLUGGABLE DATABASE
句およびPLUGIN DBLINK
句とともに使用します。
RECOVER
コマンドを使用して、宛先CDBのPDBの増分バックアップを定期的にロールフォワードします。最終的な増分バックアップをロールフォワードして宛先CDBのPDBをプラグインする最終ステップを実行するまでは、ソースPDBをオープンした状態で動作させておくことができます。
次に、ソース・プラットフォームから宛先プラットフォームにネットワーク経由でPDBをトランスポートするための主要なステップを示します。
RESTORE
コマンドをFOREIGN PLUGGABLE DATABASE
句およびFROM SERVICE
句とともに実行します。RMANは、ソースPDBの増分レベル0のバックアップを転送し、宛先CDBでデータファイルをリストアします。- オプションで、
RECOVER
コマンドをFOREIGN PLUGGABLE DATABASE
句およびFROM SERVICE
句とともに実行できます。RMANは、宛先CDBでソースPDBの増分レベル1のバックアップを適用し、PDBのバックアップをロールフォワードします。 - 宛先CDBでPDBの最終的なリストアを実行する前に、宛先CDBで
SQL*PLUS
を使用してデータベース・リンクまたはdblink
を作成する必要があります。dblink
は、RMANがソース・ホストから宛先ホストにエクスポート・ダンプ・ファイルまたはPDBアンプラグ・ファイルをトランスポートするために必要になります。 - ソースPDBが読取り専用モードの場合は、
RECOVER
コマンドをFOREIGN PLUGGABLE DATABASE
句、FROM SERVICE
句およびPLUGIN DBLINK
句とともに使用して、PDBの最終的な増分バックアップを使用してデータファイルをリカバリし、宛先CDBのPDBをプラグインします。
ノート:
宛先データベースでOracle Active Data Guardの論理データベース・ローリング・アップグレード・プロセスが実行中の場合、RMANはバックアップを使用したデータのトランスポートに関連する最終ステップを正常に完了できなくなります。この理由は、ローリング・アップグレード・プロセスが、RMANによる最終的なバックアップのリストアと宛先CDBへのPDBのプラグインに必要なバックアップ・メタデータのインポートを制限するためです。28.5 リカバリ・カタログ接続を使用した表領域のトランスポート
RMANがリカバリ・カタログに接続されているときに、表領域のバックアップを使用して表領域をトランスポートできる様々な方法について説明します。
28.5.1 リカバリ・カタログを使用した表領域のトランスポートについて
RMANがリカバリ・カタログに接続されている場合、RMANは表領域のバックアップからデータファイルをリストアすることで表領域をトランスポートできます。
RMANは、リカバリ・カタログに格納されているメタデータを問い合せて、宛先データベースでのリストア操作に必要になる正確なバックアップを判断します。
次に、RMANがリカバリ・カタログに接続されているときに表領域をトランスポートする場合に実行する主要なステップを示します。
- RMANをリカバリ・カタログに接続します
- 表領域の既存のバックアップを使用するか、
BACKUP TABLESPACE
コマンドを使用して新しいバックアップを作成します - 表領域が読取り専用モードの場合は表領域の最終的な増分レベル1のバックアップを作成します。
BACKUP TABLESPACE
コマンドを使用して、最終的な増分レベル1のバックアップを作成しますDATAPUMP
句を使用して、増分バックアップに付随するエクスポート・ダンプ・ファイルを作成します
宛先データベースの場合:
- RMANをソース・データベースと同じリカバリ・カタログに接続します
SET
コマンドをFOREIGN DBID
句とともに使用して、ソースPDBのDBID
を設定しますRESTORE
コマンドをPREVIEW
句およびTO TRANSPORT LIST
句とともに使用して、トランスポート・リストを生成します。トランスポート・リストはインメモリーに維持され、RMANが宛先データベースでリストア操作を実行するために必要な表領域のバックアップを示しますRESTORE
コマンドをFROM TRANSPORT LIST
句とともに使用して、トランスポート・リストを使用したリストア操作を実行します。RMANは、表領域のバックアップからデータファイルをリストアし、宛先データベースの表領域をプラグインします。
ノート:
宛先データベースでOracle Active Data Guardの論理データベース・ローリング・アップグレード・プロセスが実行中の場合、RMANはバックアップを使用したデータのトランスポートに関連する最終ステップを正常に完了できなくなります。この理由は、ローリング・アップグレード・プロセスが、RMANによる最終的なバックアップのリストアと宛先データベースへの表領域またはPDBのプラグインに必要なバックアップ・メタデータのインポートを制限するためです。28.5.2 リカバリ・カタログ接続を使用した表領域の迅速なトランスポート
この方法は、バックアップにかかる時間が短い小規模な表領域をトランスポートする場合にお薦めします。
このクイック・トランスポートの方法では、ソース表領域の増分レベル0のバックアップと、そのバックアップに付随するエクスポート・ダンプ・ファイルを作成します。その後で、表領域のバックアップからデータファイルをリストアして、宛先データベースの表領域をプラグインします。
「RMANバックアップを使用したデータのトランスポートの前提条件」の説明に従って、前提条件を満たしていることを確認してください。
28.5.3 既存の表領域のバックアップとリカバリ・カタログを使用した表領域のトランスポート
RMANでは、通常のバックアップ・スケジュールの一部として使用可能な既存の表領域バックアップを利用して表領域を簡単にトランスポートできます。
ソース表領域が読取り専用モードの場合、表領域の最終的な増分レベル1のバックアップと、その増分バックアップに付随するエクスポート・ダンプ・ファイルを作成できます。
宛先データベースでは、単一のリストア操作を実行して表領域をトランスポートできます。RMANは、最初に表領域の既存のレベル0のバックアップからデータファイルをリストアします。同じリストア操作中に、RMANは最終的な増分レベル1のバックアップを適用してリストアしたデータファイルをロールフォワードし、宛先データベースの表領域をプラグインします。
「RMANバックアップを使用したデータのトランスポートの前提条件」の説明に従って、前提条件を満たしていることを確認してください。
28.5.4 複数の増分バックアップとリカバリ・カタログを使用した表領域のトランスポート
この方法は、大きな表領域をプラットフォーム間でトランスポートする場合にお薦めします。
宛先データベースでは、最初に表領域の既存のバックアップまたは新しいバックアップからデータファイルをリストアする必要があります。その後、リストアしたデータファイルは、複数の増分レベル1のバックアップを定期的に適用することでロールフォワードできます。ソース表領域は、宛先データベースで任意の数の増分レベル1のバックアップを適用している間、書込み用にオープンした状態を維持できます。アプリケーションの停止時間は、最終的な増分バックアップを作成する場合にのみ始まります。
この方法は、大規模な表領域のトランスポート時にデータベースの可用性を向上するために役立ちます。
「RMANバックアップを使用したデータのトランスポートの前提条件」の説明に従って、前提条件を満たしていることを確認してください。
28.5.4.1 ソース・データベース: ベース増分バックアップの作成による表領域のトランスポートの準備
RMANは、最初に宛先データベースで表領域のレベル0のバックアップをリストアすることを必要とします。レベル0のバックアップは、それに続くレベル1の増分バックアップの基礎として機能します。
28.5.4.2 宛先データベース: リカバリ・カタログを使用した表領域のベース増分レベル0のバックアップからのデータファイルのリストア
宛先データベースで、ソース・データベースで作成した表領域のレベル0増分バックアップからデータファイルをリストアします。レベル0のバックアップは、それに続く表領域の増分レベル1のバックアップでデータファイルをロールフォワードするためのRMANの基礎として機能します。
単一のRMANセッションでこれらのステップを実行し、リストア操作中にRMANでインメモリー・トランスポート・リストを使用できるようにします。
28.5.4.3 リカバリ・カタログを使用した表領域の増分バックアップの作成とリストア
宛先データベースでは、以前にリストアしたデータファイルを定期的にロールフォワードして、ソース表領域とのデータの同期状態を維持できます。
表領域が読取り/書込みモードのときに増分バックアップを頻繁に実行しておくと、表領域が読取り専用のときに作成する最後の増分バックアップを使用して宛先データベースに適用する必要のある変更データの量が減少するため、便利です。宛先データベースで適用できる増分レベル1のバックアップの数には制限がありません。
ソース・データベースで、表領域の増分レベル1のバックアップを作成します。
宛先データベースで、表領域の増分レベル1のバックアップを使用してデータファイルをリストアします
単一のRMANセッションでこれらのステップを実行し、リストア操作中にRMANでインメモリー・トランスポート・リストを使用できるようにします。
28.6 NOCATALOGモードでの表領域のトランスポート
NOCATALOG
モードでは、トランスポート・ファイルを作成して、ソース表領域のバックアップに関する情報を格納する必要があります。表領域のバックアップとトランスポート・ファイルを使用して表領域を転送する様々な方法について説明します。
28.6.1 NOCATALOGモードでのプラットフォーム間の表領域のトランスポートについて
表領域のバックアップを使用して表領域をトランスポートする場合、RMANはソース表領域からの正確なバックアップを識別してから、宛先データベースでリストア操作を実行する必要があります。NOCATALOG
モードでは、ソース・データベース上にトランスポート・ファイルを作成する必要があります。トランスポート・ファイルは、バックアップ・メタデータを格納するXML
形式のファイルです。RMANは、バックアップからデータファイルをリストアし、宛先データベースの表領域をプラグインするためにトランスポート・ファイルを必要とします。
NOCATALOG
モードで表領域をトランスポートするための主要なステップは次のとおりです。
- 表領域の既存のレベル0のバックアップを使用するか、
BACKUP TABLESPACE
コマンドを使用して新しいバックアップを作成します。 - 表領域が読取り専用モードの場合は表領域の最終的な増分レベル1のバックアップを作成します。
BACKUP TABLESPACE
コマンドを使用して、最終的な増分レベル1のバックアップを作成します。DATAPUMP
句を使用して、増分バックアップに付随するエクスポート・ダンプ・ファイルを作成します。
RESTORE PREVIEW
コマンドをTO TRANSPORT FILE
句とともに使用してトランスポートXML
ファイルを作成します。- オペレーティング・システムのユーティリティを使用して、トランスポート
XML
ファイルをソース・ホストから宛先ホストに手動でコピーします。または、XML
ファイルをネットワーク・ファイル・システム(NFS)パスまたは宛先ホストからアクセスできる共有の場所に格納します。
宛先データベースで、ソース・データベースで作成したトランスポート・ファイルを使用して単一のリストア操作を実行します。
RESTORE
コマンドを、FROM TRANSPORT FILE
句およびFOREIGN TABLESPACE
句を指定して使用します。RMANは、レベル0のバックアップからデータファイルをリストアし、増分レベル1のバックアップを適用することでデータファイルをロールフォワードしてから、宛先データベースの表領域をプラグインします。
ノート:
宛先データベースでOracle Active Data Guardの論理データベース・ローリング・アップグレード・プロセスが実行中の場合、RMANはバックアップを使用したデータのトランスポートに関連する最終ステップを正常に完了できなくなります。この理由は、ローリング・アップグレード・プロセスが、RMANによる最終的な増分バックアップのリストアと宛先データベースでの表領域のプラグインに必要なバックアップ・メタデータのインポートを制限するためです。28.6.2 NOCATALOGモードでの表領域の迅速なトランスポート
宛先データベースで表領域のレベル0のバックアップからデータファイルをリストアすることで、表領域をすばやくトランスポートできます。
この方法は、バックアップにかかる時間が短い小規模な表領域をトランスポートする場合にお薦めします。
「RMANバックアップを使用したデータのトランスポートの前提条件」の説明に従って、前提条件を満たしていることを確認してください。
28.6.3 リカバリ・カタログなしで既存の表領域のバックアップを使用した表領域のトランスポート
RMANでは、通常のバックアップ・スケジュールの一部として使用可能な既存の表領域バックアップ(レベル0)を利用して表領域をトランスポートできます。
NOCATALOG
モードでは、ソース・データベース上にトランスポート・ファイルを生成する必要があります。トランスポート・ファイルには、表領域のバックアップ情報がXML
形式で格納されています。宛先データベースでは、RMANがトランスポート・ファイルを使用して、ソース・データベースで作成された表領域のバックアップからデータファイルをリストアします。
「RMANバックアップを使用したデータのトランスポートの前提条件」の説明に従って、前提条件を満たしていることを確認してください。
28.6.4 NOCATALOGモードでの複数の増分バックアップを使用した表領域のトランスポート
この方法は、NOCATALOG
モードで大きな表領域をトランスポートする場合に使用します。
宛先データベースでは、最初に表領域の既存のバックアップまたは新しいバックアップからデータファイルをリストアする必要があります。その後、リストアしたデータファイルは、複数の増分レベル1のバックアップを定期的に適用することでロールフォワードできます。ソース表領域は、宛先データベースで任意の数の増分レベル1のバックアップを適用している間、書込み用にオープンした状態を維持できます。アプリケーションの停止時間は、最終的な増分バックアップを作成する場合にのみ始まります。
この方法は、大規模な表領域のトランスポート時にデータベースの可用性を向上するために役立ちます。
「RMANバックアップを使用したデータのトランスポートの前提条件」の説明に従って、前提条件を満たしていることを確認してください。
28.6.4.2 宛先データベース: NOCATALOGモードでの表領域のベース増分バックアップのリストア
宛先データベースで、トランスポート・ファイルを使用して、トランスポートする表領域のベース増分レベル0のバックアップをリストアします。レベル0のバックアップは、それに続く表領域の増分レベル1のバックアップをリストアするためのRMANの基礎として機能します。
28.6.4.3 NOCATALOGモードでの増分バックアップを使用したデータファイルのリストア
宛先データベースでは、レベル1の増分バックアップを定期的に適用することで、以前にリストアしたデータファイルをロールフォワードできます。ソース表領域は、バックアップおよびリストア操作中、書込み用にオープン状態を維持できます。
ソース・データベースで、表領域の増分レベル1のバックアップを作成します。
宛先データベースで、表領域の増分レベル1のバックアップを適用して、以前にリストアしたデータファイルをロールフォワードします。
28.7 ネットワーク経由での表領域のトランスポート
RMANでは、表領域をネットワーク経由でトランスポートできます。
28.7.1 ネットワーク経由での表領域のトランスポートについて
Oracle Database 23ai以降では、ネットワーク経由でソース・データベースから宛先データベースに表領域をトランスポートするためにRMANを使用できます。
RMANはソース・データベースに接続し、表領域の必要なバックアップを作成し、オプションでデータファイルをネットワーク経由で転送して、宛先データベースでデータファイルをリストアできます。さらに、RMANは宛先データベースの表領域をプラグインします。
ネットワーク経由で表領域をトランスポートするために、RMANはRESTORE
コマンドをFROM SERVICE
句、FOREIGN TABLESPACE
句およびPLUGIN DBLINK
句とともに使用します。
また、RECOVER
コマンドを使用すると、宛先データベースでリストアした表領域を定期的にロールフォワードできます。
次に、ソース・データベースから宛先データベースにネットワーク経由で表領域をトランスポートするための主要なステップを示します。
RESTORE
コマンドをFOREIGN TABLESPACE
句およびFROM SERVICE
句とともに実行します。RMANは、ソース表領域のレベル0のバックアップからデータファイルをリストアします。- オプションで、
RECOVER
コマンドをFOREIGN TABLESPACE
句およびFROM SERVICE
句とともに実行できます。RMANは、ソース表領域の増分レベル1のバックアップを使用して、以前にリストアしたデータファイルをロールフォワードします。 - ソース表領域が読取り専用モードの場合は、
RECOVER
コマンドをFOREIGN TABLESPACE
句、FROM SERVICE
句およびPLUGIN DBLINK
句とともに使用して、最終的な増分バックアップからデータファイルをリカバリし、宛先データベースの表領域をプラグインします。
ノート:
宛先データベースでOracle Active Data Guardの論理データベース・ローリング・アップグレード・プロセスが実行中の場合、RMANはバックアップを使用したデータのトランスポートに関連する最終ステップを正常に完了できなくなります。この理由は、ローリング・アップグレード・プロセスが、RMANによる最終的なバックアップのリストアと宛先データベースへの表領域のプラグインに必要なバックアップ・メタデータのインポートを制限するためです。28.7.2 ネットワーク経由での表領域の迅速なトランスポート
RMANを使用して、ネットワーク経由で表領域バックアップからデータファイルをリストアすることで、表領域をすばやくトランスポートします。この方法は、バックアップにかかる時間が短い小規模なPDBをトランスポートする場合にお薦めします。
28.7.3 ネットワーク経由での増分バックアップを使用したデータファイルのリストアによる表領域のトランスポート
ネットワークを使用して表領域のレベル0のバックアップからデータファイルをリストアし、ネットワーク経由で表領域の最終的なトランスポートを実行するまで、リストアしたデータファイルをリカバリします。
ソース表領域が書込み用にオープンしている間は、宛先データベースでリカバリ操作を定期的に実行できます。RECOVER
コマンドを使用すると、RMANはソース表領域の増分レベル1のバックアップを適用して、データファイルをロールフォワードできます。最終的な増分バックアップで表領域をトランスポートするまで、リカバリ操作は回数の制限なしに実行できます。
28.8 フィジカル・スタンバイ・データベースからのバックアップを使用したデータのトランスポート
ソースのフィジカル・スタンバイ・データベースで作成されたバックアップを使用して、プラガブル・データベース(PDB)または表領域を、宛先ホストにある別のプライマリ・データベースまたはスタンバイ・データベースにトランスポートできます。
28.8.1 フィジカル・スタンバイ・データベースからのバックアップを使用したデータのトランスポートについて
この方法では、ソースのフィジカル・スタンバイ・データベースを使用して、増分バックアップを作成することや、宛先ホスト上の別のプライマリ・データベースまたはスタンバイ・データベースにトランスポートする必要があるPDBまたは表領域の構造メタデータを抽出することができます。
- ソースのフィジカル・スタンバイ・データベースでブロック・チェンジ・トラッキングを有効にします。管理リカバリ・プロセスが実行されていることを確認します。
- RMANをソース・スタンバイ・データベースに接続して、宛先プライマリ・データベースにトランスポートする必要があるデータベースまたは表領域の増分レベル0バックアップを作成します。可能な場合は、既存のレベル0バックアップを利用することもできます。
- 宛先プライマリ・データベースで、ソース・スタンバイ・データベースで作成したレベル0バックアップから、データファイルをリストアします。宛先ホストにある既存のフィジカル・スタンバイ・データベースでデータファイルをリストアすることもできます。
リストアしたデータファイルを、複数の増分レベル1バックアップを定期的に適用することでロールフォワードします。最終トランスポートの実行が必要になるまで、宛先プライマリ・データベースで任意の数の増分レベル1バックアップを適用し続けることができます。
- 最終トランスポートを実行する前に、ソース・スタンバイ・データベースで次の前提条件タスクを完了します:
- 保証付きリストア・ポイントを作成します。トランスポート・プロセスの間に想定外の障害が発生した場合は、ソース・スタンバイ・データベースを保証付きリストア・ポイントにリカバリできます。
- 管理リカバリ・プロセスを停止してから、フィジカル・スタンバイ・データベースをスナップショット・スタンバイ・データベースに変換します。これにより、最終的な増分レベル1バックアップが、宛先データベースでのリカバリ可能性のために、一貫性のある状態になります。
ノート:
オプションで、RMANをソース・プライマリ・データベースに接続して最終的な増分バックアップおよびエクスポート・ダンプ・ファイルを作成できます。この場合は、フィジカル・スタンバイ・データベースでの準備タスクを省略して、プライマリ・データベースでの最終的な増分バックアップの作成に直接進むことができます。ただし、これにより、プライマリ・データベースで、最小限の停止時間が発生する場合があります。停止時間を回避しビジネス継続性を確保するために、ソース・スタンバイ・データベースを使用して最終トランスポートに必要な手順を実行することをお薦めします。
- ソース・スタンバイ・データベースで、データベースまたは表領域の最終的な増分レベル1バックアップを作成します。PDBをトランスポートする場合は、ソースPDBの構造メタデータを含むアンプラグXMLファイルを作成します。表領域の場合は、表領域メタデータを含むデータ・ポンプ・エクスポート・ダンプ・ファイルを作成する必要があります。
- 宛先プライマリ・データベースで、
RESTORE
コマンドを使用してトランスポート・リストを作成します。そのトランスポート・リストを使用して、宛先プライマリ・データベースでデータファイルをリストアします。
- 管理リカバリ・プロセスを停止します。
DB_CREATE_FILE_DEST
初期化パラメータを設定してスタンバイ・データベース用のデータファイルの場所を指定します。- 宛先ホストで、RMANを、
TARGET
としてフィジカル・スタンバイ・データベースに接続します。ソース・スタンバイ・データベースの増分レベル0バックアップからデータファイルをリストアします。リストアしたデータファイルを、複数の増分レベル1バックアップおよび最終増分バックアップを適用することでロールフォワードします。 - 新しく追加されたデータ・ファイルの名前を手動で変更できるように、
STANDBY_FILE_MANAGEMENT
データベース初期化パラメータをMANUAL
に設定します。 - 管理リカバリ・プロセスを起動します。
スタンバイ・データベースによってREDOが適用されると、リカバリ・プロセスにより、
UNNAMED
というフレーズを含む名前で制御ファイル・エントリが作成され、リカバリが停止されます。フィジカル・スタンバイ・データベース上のメディア・リカバリですべてのプラグイン・ファイルが認識されるまで、ALTER DATABASE RENAME FILE
文を使用して個々のデータファイルの名前を手動で変更します。