コンテナ・データベース用のData Guardのアップグレードおよびダウングレードに関する考慮事項

これらのトピックを使用して、ブローカ構成でOracleデータベースおよびOracle Enterprise Manager Cloud Control (Cloud Control)をアップグレードまたはダウングレードします。

DBMS_ROLLINGパッケージ使用時の考慮事項

Oracle Databaseバージョン19cから上位のデータベース・バージョンにアップグレードする場合は、ブローカ管理を有効な状態のままにすることができます。ただし、いくつかの考慮事項に留意する必要があります。

考慮事項を次に示します。

  • ブローカ構成ファイルは、リリースに依存しない場所に配置し、アップグレード処理中に常時アクセスできるようにする必要があります。

  • 初期化パラメータDG_BROKER_CONFIG_FILE1およびDG_BROKER_CONFIG_FILE2で示しているように、現行のブローカ構成ファイルのコピーを作成します。
  • 先行グループ・メンバーのアップグレード後、アップグレード処理を続行する前に、先行グループと後続グループ間のブローカ通信が成功していることを確認します。

    ネットワーク・ファイルをアップグレードされたORACLE_HOMEに移動していない場合、または適切に編集する必要がある場合は、通信が中断されることがあります。そのような場合は、アップグレードされたデータベース(一時ロジカル・スタンバイおよび先行グループの他のスタンバイ・データベース)を停止して、リスナーを停止し、listener.oraおよびtnsnames.oraをコピーするか適切に修正してリスナーを再起動し、データベースを再起動します。

  • DBMS_ROLLINGプロシージャを実行する前に、フィジカル・スタンバイ・データベースがActive Data Guardモードで動作している必要があります。

    フィジカル・スタンバイ・データベースがマウント・モードでのみ動作していて、プライマリ・データベースがマルチテナント・データベースの場合は、DBMS_ROLLINGパッケージのプロシージャを実行する前に、プライマリ・データベースをそのすべてのPDBを含めてオープンし、一時ファイルの構成を確認する必要があります。これにより、アップグレード処理中に、必要な一時ファイルが作成されて使用可能になります。

ノート:

アップグレード前に起動されたオブザーバは自動的に停止し、アップグレードの完了後は構成を監視できなくなります。Oracle Database 19c、Oracle Database 21cまたはOracle Database 23aiバージョンのOracle Observerソフトウェアを使用して、Oracle Database 23aiで実行されているOracleデータベースを監視する必要があります。Oracle 23aiリリースのデータベースでOracle Database 23aiバージョンのOracle Observerソフトウェアを使用することをお薦めします。

Oracle Databaseバージョン21.7リリースからのアップグレード

Oracle Databaseバージョン21.7からアップグレードする場合、プラガブル・データベース用のData Guardがこのデータベースで構成されていれば、次の考慮事項に対処する必要があります。

考慮事項を次に示します。
  1. 新しいリリースでプラガブル・データベース用のData Guardを使用できるようにするには、プライマリおよびフィジカル・スタンバイ・プラガブル・データベースを含む両方のデータベースをアップグレードする必要があります。
  2. アップグレードを準備するには、次のようにします。
    1. ソース・ロールにあるすべてのプラガブル・データベースをクローズしてから、いくつかのログを切り替えます。
    2. ターゲット・コンテナでの管理リカバリがキャッチアップされ、すべての変更がターゲット・プラガブル・データベースに適用されていることを確認します。
    3. 各フィジカル・スタンバイ・プラガブル・データベースの管理リカバリをオフにするには、その適用状態をOFFに設定します(EDIT PLUGGABLE DATABASE <pdb-name> SET STATE=APPLY-OFF)。
    4. 最後に、2つのコンテナ・データベース間のREDO転送を停止します(EDIT DATABASE <db-unique-name> SET STATE=TRANSPORT-OFF)。
  3. 使用しているオペレーティング・システムとリリースに適したOracle Databaseインストレーション・ガイドを使用して、データベース・ソフトウェアをアップグレードします。
  4. 両方のデータベースのすべてのインスタンスが新しいリリースで起動された後、次のようにします。
    1. 2つのコンテナ・データベース間のREDO転送を開始します(EDIT DATABASE <db-unique-name> SET STATE=TRANSPORT-ON)。
    2. 各スタンバイ・プラガブル・データベースをAPPLY-ON状態に設定します(EDIT PLUGGABLE DATABASE <pdb-name> SET STATE-APPLY-ON)。

Oracle Database 23aiからのダウングレード

Oracle Database 23aiリリースにアップグレードしてあり、以前のリリース21.7以上にダウングレードする場合は、前述のステップ3以降と同じステップ(コンテナ・データベース用のData Guardのダウングレード)に従う必要があります。次に、次の操作を実行します。

  1. 以前のリリースでプラガブル・データベース用のData Guardを構成できるようにするには、プライマリおよびフィジカル・スタンバイ・プラガブル・データベースを含む両方のデータベースがダウングレードされている必要があります。
  2. ダウングレードを準備するには、次のようにします。
    • ソース・ロールにあるすべてのプラガブル・データベースをクローズしてから、いくつかのログを切り替えます。
    • ターゲット・コンテナでのリカバリがキャッチアップされ、すべての変更がターゲット・プラガブル・データベースに適用されていることを確認します。
    • 各フィジカル・スタンバイ・プラガブル・データベースの管理リカバリをオフにするには、その適用状態をOFFに設定します(EDIT PLUGGABLE DATABASE <pdb-name> SET STATE=APPLY-OFF)。
    • 最後に、2つのコンテナ・データベース間のREDO転送を停止します(EDIT DATABASE <db-unique-name> SET STATE=TRANSPORT-OFF)。
  3. Oracle Databaseソフトウェアを以前のOracleリリースにダウングレードします。使用しているオペレーティング・システムに適したOracle Databaseのマニュアルを参照してください。
  4. 以前のリリースでデータベースを起動した後、次のようにします。
    • 2つのコンテナ・データベース間のREDO転送を開始します(EDIT DATABASE <db-unique-name> SET STATE=TRANSPORT-ON)。
    • 各スタンバイ・プラガブル・データベースをAPPLY-ON状態に設定します(EDIT PLUGGABLE DATABASE <pdb-name> SET STATE-APPLY-ON)。
    ただし、プラガブル・データベース用のData Guardが23aiで構成されている場合に、21.7より前のOracle Databaseバージョンにダウングレードするときは、最初にプラガブル・データベース用のData Guardの設定を削除する必要があります。これは、Oracle Databaseバージョン21.7より前のリリースではこの機能がサポートされないためです。この場合、ダウングレードを実行するステップは次のとおりです。
    1. 両方のデータベースでフィジカル・スタンバイ・ロールにあるすべてのプラガブル・データベースを削除します。
    2. 両方のデータベース/構成からリモート構成を削除します。
    3. Oracle Databaseソフトウェアを以前のOracleリリースにダウングレードします。使用しているオペレーティング・システムに適したOracle Databaseのマニュアルを参照してください。

    この場合、プラガブル・データベース・レベルまたはコンテナ・レベルのいずれでもData Guard保護はなくなります。プラガブル・データベース・レベルのData Guardは以前のリリースでは使用できませんが、Data Guard保護はコンテナ・レベルで引き続き使用できます。