2 Oracle Data Guardのインストール

ブローカ構成に追加するすべてのメンバーについて、インストールおよび構成タスクを完了する必要があります。

Oracle Data Guardのインストール

Oracle Data Guardは、Oracleデータベース・ソフトウェアのEnterprise EditionおよびFree Editionに搭載されています。

Oracle Data Guard構成は、SQL*Plus、Oracle Data Guard Brokerのコマンドライン・インタフェース(DGMGRL)、または互換性のあるバージョンのOracle Enterprise Manager Cloud Control (Cloud Control)を使用して管理できます。

Oracle Enterprise EditionまたはPersonal Editionのデータベース・ソフトウェアを、ブローカ構成に組み込む場所ごとにインストールします。Oracle Data Guardのグラフィカル・ユーザー・インタフェースを使用する場合は、互換性のあるバージョンのCloud Controlをインストールする必要があります。

さらに、ファスト・スタート・フェイルオーバーを使用するには、DGMGRLをインストールし、オブザーバ・ソフトウェアを実行する必要があります。オブザーバは、プライマリ・システムおよびスタンバイ・システムとは別のコンピュータ・システムで動作させることをお薦めします。DGMGRLをオブザーバ・コンピュータにインストールするには、次のリストに示すいずれかの方法を使用します。

  • Oracle Universal Installerの「Administrator」オプションを選択し、Oracle Client Administratorを完全インストールします。

    このインストールにはDGMGRLが含まれますが、Cloud Controlエージェントは含まれません。これによって、Cloud ControlではなくDGMGRLコマンドを使用してオブザーバ・プロセスを管理できます。(Cloud Controlエージェントは別個にインストールできます。)

    詳細は、Oracle® Enterprise Manager Cloud Control基本インストレーション・ガイドを参照してください。

  • 完全なOracle Database Enterprise EditionまたはPersonal Editionソフトウェア・キットをインストールします

    このインストールにはDGMGRLとCloud Controlエージェントが含まれるため、Cloud ControlまたはDGMGRLコマンドを使用してオブザーバ・プロセスを管理できます。

    ノート:

    オブザーバはサポート対象のどのプラットフォームで実行することも可能であり、そのプラットフォームはプライマリ・データベースまたはターゲット・スタンバイ・データベースのプラットフォームと異なっていてもかまいません。

ノート:

Zero Data Loss Recovery Applianceでは、ブローカ・ソフトウェアをインストールする必要はありません。

前提条件

次に、ブローカを使用する前に満たす必要がある条件を示します。

  • プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースおよび遠隔同期インスタンスで、同じバージョンのOracle Databaseが使用されている必要があります。各データベースは、単一インスタンス環境または複数インスタンス環境にインストールできます。データベースには、Oracle Enterprise EditionまたはPersonal Editionのライセンスが必要です。

  • BrokerがBrokerプロパティと関連する初期化パラメータ値を永続的に調整できるようにするには、サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)を使用する必要があります。詳細は、「構成可能(変更可能)なプロパティ」を参照してください。

    構成内のデータベースがOracle RACデータベースである場合、Oracle RAC環境で使用するために、サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)を適切に構成する必要があります。

    関連項目:

    Oracle RACにおける初期化ファイルの詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください

  • 構成内のすべてのデータベースについて、DG_BROKER_START初期化パラメータの値をTRUEに設定する必要があります。詳細は、「Data Guard Brokerの起動」を参照してください。(このパラメータはCloud Controlによって自動的に設定されます。)

  • 構成にOracle RACデータベースが含まれる場合は、そのデータベースのDG_BROKER_CONFIG_FILEn初期化パラメータを、そのデータベースの全インスタンスについて同じ共有ファイルを指すように設定する必要があります。それらの共有ファイルとしては、NFSファイル・システム上のファイル(該当する場合)、またはOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)を使用して格納されたファイルを使用できます。

    関連項目:

    「構成管理」の構成ファイル情報を参照してください。また、ブローカ構成ファイル設定の詳細は、「ブローカ構成ファイルの設定」を参照してください。

  • 既存のスタンバイ・データベースをブローカ構成に含める場合は、ネットワーク構成ファイルを、プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースで設定する必要があります。Cloud Controlは、スタンバイ・データベースを作成する際の構成ファイルの作成を支援できます。

    関連項目:

    ネットワーク構成ファイルの詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。

  • ブローカ構成で、DGConnectIdentifierプロパティを使用して各データベースの接続識別子を指定します。データベースの接続識別子は、次の条件を満たす必要があります。

    • 構成内のその他すべてのデータベースからアクセスできます。

    • Oracle RACデータベースのすべてのインスタンスにアクセスできます。

    • Oracle RACデータベース上の接続時フェイルオーバーを可能にするため、すべてのインスタンスが動的にリスナーに登録するサービスを指定します。

      注意:

      Oracle Clusterwareによって定義および管理されるサービスは指定できません。ほとんどのユーザーは、db_unique_nameサービスを使用すれば十分です。
    • プライマリ・データベースのREDO転送サービスによるOracle RACスタンバイ・データベースへのREDOデータの転送が、そのスタンバイ・データベースの受信インスタンスでエラーが発生した場合でも続行されるようにフェイルオーバー属性が設定されています。

    関連項目:

    接続識別子の詳細は、『Oracle Net Services管理者ガイド』を参照してください

  • DGMGRLでブローカ操作中にインスタンスを再起動できるようにするには、各インスタンスのローカル・リスナーに静的サービスを登録する必要があります。Oracle ClusterwareまたはOracle Restartが使用されていない構成の場合は、各インスタンスに関連付けられたローカル・リスナーに静的サービスが登録されている必要があります。静的サービスを使用すると、DGMGRLはブローカ操作中にインスタンスを再起動でき、オブザーバはファスト・スタート・フェイルオーバーの実行後に以前のプライマリ・データベースの自動回復中にインスタンスを再起動できます。DG PDB構成には静的サービスは必要ありません。

    デフォルトで、ブローカでは、静的サービス名が<db_unique_name>_DGMGRL.<db_domain>であると仮定され、リスナーがlistener.oraファイル内の次の内容で開始されていると想定されます。

    LISTENER = (DESCRIPTION =
         (ADDRESS_LIST=(ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=host_name)
         (PORT=port_num))))
    SID_LIST_LISTENER=(SID_LIST=(SID_DESC=(SID_NAME=sid_name)
         (GLOBAL_DBNAME=<db_unique_name>_DGMGRL.<db_domain>)
         (ORACLE_HOME=oracle_home)
         (ENVS="TNS_ADMIN=oracle_home/network/admin")))
    

    別の静的サービス名を使用することもできます。その場合は、登録されている静的サービスを反映するようにStaticConnectIdentifierインスタンス固有のプロパティを変更してください。

    接続識別子が正しく設定されていることを確認するには、VALIDATE STATIC CONNECT IDENTIFIERコマンドを使用します。

    関連項目:

  • プライマリ・データベースをARCHIVELOGモードでオープンする必要があります。

  • プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースの両方に対して、COMPATIBLE初期化パラメータ値を12.2.0以上に設定する必要があります。ただし、Oracle Databaseリリース21cの新機能を利用する場合は、Oracle Data Guard構成内のすべてのデータベースでCOMPATIBLEパラメータを21.1に設定します。たとえば、構成内のすべてのデータベースがOracle Databaseリリース19cである場合は、COMPATIBLEを19.1に設定して19c機能を利用します。

    ブローカが機能するには、プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースの両方で、COMPATIBLE初期化パラメータ値が同じ値に設定されている必要があります。値が異なる場合、REDO転送サービスでREDOデータをプライマリ・データベースからスタンバイ・データベースに転送できない場合があります。

  • 『Oracle Data Guard概要および管理』の説明に従って、REDO転送認証方式を選択および構成してください。

関連項目: