18 Oracle Database VaultファクタのAPI

DBMS_MACADM PL/SQLパッケージには、ファクタ関連のOracle Database Vaultルール・プロシージャおよび関数があり、DVFには、ファクタを管理する関数があります。

18.1 DBMS_MACADMファクタのプロシージャおよびファンクション

DBMS_MACADM PL/SQLパッケージには、ファクタを構成するプロシージャおよびファンクションが用意されています。

DV_OWNERロールまたはDV_ADMINロールを付与されているユーザーのみがこれらのプロシージャとファンクションを使用できます。

18.1.1 ADD_FACTOR_LINKプロシージャ

ADD_FACTOR_LINKプロシージャは、2つのファクタの親子関係を指定します。

構文

DBMS_MACADM.ADD_FACTOR_LINK(
  parent_factor_name IN VARCHAR2, 
  child_factor_name  IN VARCHAR2, 
  label_indicator    IN VARCHAR2);

パラメータ

表18-1 ADD_FACTOR_LINKのパラメータ

パラメータ 説明

parent_factor_name

親ファクタ名。

現在のデータベース・インスタンスに既存の親子ファクタを見つけるには、DBA_DV_FACTOR_LINKビューを問い合せます。

child_factor_name

子ファクタ名。

label_indicator

親ファクタにリンクされる子ファクタを、Oracle Label Security統合での親ファクタのラベルに含めることを示します。DBMS_MACUTL.G_YES(Yesの場合)またはDBMS_MACUTL.G_NO(Noの場合)のいずれかを指定します。

ファクタに関連付けられたOracle Label Securityのポリシーとラベルを見つけるには、次のビューを問い合せます。

  • DBA_DV_MAC_POLICY: 現行のデータベース・インスタンスに定義されているOracle Label Securityポリシーが表示されます。

  • DBA_DV_MAC_POLICY_FACTOR: 現行のデータベース・インスタンスのOracle Label Securityポリシーに関連付けられているファクタが表示されます。

  • DBA_DV_POLICY_LABEL: 各ポリシーのDBA_DV_IDENTITYビューの各ファクタ識別子に対するOracle Label Securityラベルが表示されます。

BEGIN
 DBMS_MACADM.ADD_FACTOR_LINK(
  parent_factor_name => 'HQ_ClientID', 
  child_factor_name  => 'Div1_ClientID', 
  label_indicator    => DBMS_MACUTL.G_YES);
END;
/

18.1.2 ADD_POLICY_FACTORプロシージャ

ADD_POLICY_FACTORプロシージャは、ファクタのラベルをポリシーのOracle Label Securityラベルに含めることを指定します。

構文

DBMS_MACADM.ADD_POLICY_FACTOR(
  policy_name  IN VARCHAR2, 
  factor_name  IN VARCHAR2); 

パラメータ

表18-2 ADD_POLICY_FACTORのパラメータ

パラメータ 説明

policy_name

Oracle Label Securityポリシー名。

現在のデータベース・インスタンスで定義されているポリシーを見つけるには、DBA_DV_MAC_POLICYビューを問い合せます。

Oracle Label Securityのポリシーに関連付けられたファクタを見つけるには、DBA_DV_MAC_POLICY_FACTORを問い合せます。

factor_name

ファクタ名。

既存のファクタを見つけるには、DBA_DV_FACTORビューを問い合せます。

BEGIN
 DBMS_MACADM.ADD_POLICY_FACTOR(
  policy_name  => 'AccessData', 
  factor_name  => 'Sector2_ClientID'); 
END;
/

18.1.3 CHANGE_IDENTITY_FACTORプロシージャ

CHANGE_IDENTITY_FACTORプロシージャは、アイデンティティを別ファクタと関連付けます。

構文

DBMS_MACADM.CHANGE_IDENTITY_FACTOR(
  factor_name     IN VARCHAR2, 
  value           IN VARCHAR2, 
  new_factor_name IN VARCHAR2); 

パラメータ

表18-3 CHANGE_IDENTITY_FACTORのパラメータ

パラメータ 説明

factor_name

現在のファクタ名。

既存のファクタを見つけるには、DBA_DV_FACTORビューを問い合せます。

value

更新するアイデンティティの値。

現在のデータベース・インスタンスでファクタごとの既存のアイデンティティを調べるには、DBA_DV_IDENTITYビューを問い合せます。

現在のアイデンティティ・マップを見つけるには、DBA_DV_IDENTITY_MAPビューを問い合せます。

new_factor_name

アデンティティに関連付けるファクタの名前。DBA_DV_FACTORビューを問い合せることで見つかります。

BEGIN
 DBMS_MACADM.CHANGE_IDENTITY_FACTOR(
  factor_name     => 'Sector2_ClientID', 
  value           => 'intranet', 
  new_factor_name => 'Sector4_ClientID'); 
END;
/

18.1.4 CHANGE_IDENTITY_VALUEプロシージャ

CHANGE_IDENTITY_FACTORプロシージャは、アイデンティティの値を更新します。

構文

DBMS_MACADM.CHANGE_IDENTITY_VALUE(
  factor_name  IN VARCHAR2, 
  value        IN VARCHAR2, 
  new_value    IN VARCHAR2); 

パラメータ

表18-4 CHANGE_IDENTITY_VALUEのパラメータ

パラメータ 説明

factor_name

ファクタ名。

既存のファクタを見つけるには、DBA_DV_FACTORビューを問い合せます。

value

アイデンティティに関連付けられている現在の値。

現在のデータベース・インスタンスでファクタごとの既存のアイデンティティを調べるには、DBA_DV_IDENTITYビューを問い合せます。

現在のアイデンティティ・マップを見つけるには、DBA_DV_IDENTITY_MAPビューを問い合せます。

new_value

新しいアイデンティティ値(大/小文字混在で最大1024文字)。

BEGIN
 DBMS_MACADM.CHANGE_IDENTITY_VALUE(
  factor_name  => 'Sector2_ClientID', 
  value        => 'remote', 
  new_value    => 'intranet');
END; 
/

18.1.5 CREATE_DOMAIN_IDENTITYプロシージャ

CREATE_DOMAIN_IDENTITYプロシージャは、Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)およびOracle Label Securityに使用されます。

Oracle RACデータベース・ノードをドメイン・ファクタ・アイデンティティに追加し、Oracle Label Securityポリシーに従ってラベルを付けます

構文

DBMS_MACADM.CREATE_DOMAIN_IDENTITY(
  domain_name  IN VARCHAR2, 
  domain_host  IN VARCHAR2, 
  policy_name  IN VARCHAR2 DEFAULT NULL, 
  domain_label IN VARCHAR2 DEFAULT NULL); 

パラメータ

表18-5 CREATE_DOMAIN_IDENTITYのパラメータ

パラメータ 説明

domain_name

ホストを追加するドメインの名前。

分散データベース・システムのネットワーク構造内でデータベースの論理的な場所を調べるには、DVF.F$DATABASE_DOMAINファンクションを実行します。関連トピックを参照してください。

domain_host

ドメインに追加されるOracle Real Application Clustersホスト名。

データベースのホスト名を調べるには、DVF.F$DATABASE_HOSTNAMEファンクションを実行します。関連トピックを参照してください。

policy_name

Oracle Label Securityポリシー名。ポリシー名を省略すると、ドメインはどのポリシーにも関連付けられません。

使用可能なポリシーを検索するには、DBA_DV_MAC_POLICYビューを問い合せます。

domain_label

Oracle Label Securityポリシーを追加するドメインの名前。

BEGIN
 DBMS_MACADM.CREATE_DOMAIN_IDENTITY(
  domain_name  => 'example', 
  domain_host  => 'mydom_host', 
  policy_name  => 'AccessData', 
  domain_label => 'sensitive'); 
END;
/

18.1.6 CREATE_FACTORプロシージャ

CREATE_FACTORプロシージャはファクタを作成します。

ファクタの作成後、CREATE_IDENTITYプロシージャを使用することで、アイデンティティを付与できます。

構文

DBMS_MACADM.CREATE_FACTOR(
  factor_name       IN VARCHAR2, 
  factor_type_name  IN VARCHAR2, 
  description       IN VARCHAR2 DEFAULT, 
  rule_set_name     IN VARCHAR2 DEFAULT, 
  get_expr          IN VARCHAR2, 
  validate_expr     IN VARCHAR2, 
  identify_by       IN NUMBER, 
  labeled_by        IN NUMBER DEFAULT, 
  eval_options      IN NUMBER DEFAULT, 
  audit_options     IN NUMBER DEFAULT, 
  fail_options      IN NUMBER DEFAULT); 

パラメータ

表18-6 CREATE_FACTORのパラメータ

パラメータ 説明

factor_name

ファクタ名(空白を使用せず、大/小文字混在で最大128文字)。必須。

現在のデータベース・インスタンスの既存のファクタを検索するには、DBA_DV_FACTORビューを問い合せます。

factor_type_name

ファクタのタイプ(空白を使用せず、大/小文字混在で最大128文字)。

既存のファクタ・タイプを検索するには、DBA_DV_FACTOR_TYPEビューを問い合せます。

ファクタ・タイプには名前と説明があり、ファクタ分類の目的でのみ使用されます。ファクタ・タイプは、ファクタの分類に使用されるカテゴリ名です。デフォルトの物理ファクタ・タイプには、認証方式、ホスト名、ホストIPアドレス、インスタンス識別子およびデータベース・アカウント情報などが含まれます。時間や認証方式などのインストールされたファクタ・タイプに加え、アプリケーション名や証明書情報などのユーザー定義のファクタ・タイプも作成できます。特定のファクタ・タイプに関連付けられたファクタを調べる場合は、DBA_DV_FACTORビューを問い合せます。たとえば:
SELECT NAME FROM DBA_DV_FACTOR 
WHERE FACTOR_TYPE_NAME='Authentication Method';

description

ファクタの目的についてのオプションの説明。大/小文字を使用して1024文字以内で指定します。この設定を省略した場合、空の文字列にデフォルト設定されます。

rule_set_name

ファクタ・アイデンティティを設定する時期および方法の制御にルール・セットを使用する場合のルール・セット名。この設定を省略した場合、関連付けられていないルール・セットにデフォルト設定されます。

既存のルール・セットを検索するには、DBA_DV_RULE_SETビューを問い合せます。詳細は、ファクタ作成のrule_set_nameの説明を参照してください。

この設定は、JDBC接続プールを使用するWebアプリケーションなどのデータベース・アプリケーションで、現在のデータベース・セッションに対するファクタ・アイデンティティを動的に設定する必要がある場合に特に有用です。たとえば、Webアプリケーションで、そのWebアプリケーションにログインするデータベース・アカウントの地理的位置を割り当てる場合があります。これを行うには、WebアプリケーションではJDBCコール可能文またはOracle Data Provider for .NET (ODP.NET)を使用して、PL/SQLファンクションSET_FACTORを実行できます。たとえば:

BEGIN 
 SET_FACTOR('GEO_STATE','VIRGINIA');
END;

その後、GEO_STATEファクタの割当てルールを作成し、その他のファクタまたはルール式に基づいてGEO_STATEファクタの設定を許可または禁止できます。

get_expr

ファクタのアイデンティティを取得する有効なPL/SQL式。大/小文字混在で最大255文字まで使用できます。詳細は、ファクタ作成のget_exprの説明を参照してください。

次の取得メソッドでは、ユーザー・セッションのUSERENV名前空間からデータベース名(DB_NAME)を取得することで、DB_NAMEファクタの値が設定されます。

UPPER(SYS_CONTEXT('USERENV','DB_NAME'))

validate_expr

ファクタを検証するプロシージャの名前。これは、ブール値(TRUEまたはFALSE)を返してファクタのアイデンティティを検証する有効なPL/SQL式です。詳細は、ファクタ作成のvalidate_exprの説明を参照してください。

取得または割り当てられる値に対してメソッドがFalseと評価されると、ファクタ・アイデンティティはNULLに設定されます。この機能により、ファクタが正しく取得および設定されることがさらに確実になります。式には、パッケージ・ファンクションまたはスタンドアロン・ファンクションを含めることができます。式がschema.function_nameなどの完全修飾ファンクションであることを確認してください。完全なSQL文は含めないでください。アプリケーション・パッケージまたはファンクションを使用している場合は、オブジェクトのEXECUTE権限のあるDVSYSを指定する必要があります。

このPL/SQL式には、次のいずれかの書式を使用できます。

  • FUNCTION IS_VALID RETURN BOOLEAN

    この書式では、ファンクション・ロジック内のDVF.F$factor_nameファンクションを使用できます。セッションによって評価されるファクタに適しています。

  • FUNCTION IS_VALID(p_factor_value VARCHAR2) RETURN BOOLEAN

    この書式では、ファクタ値が検証ファンクションに直接渡されます。これは、アクセスごとに評価するファクタに適しています。また、セッションごとに評価するファクタにも有効です。

identify_by

get_exprパラメータの式セットに基づいてファクタのアイデンティティを決定するオプション。

  • DBMS_MACUTL.G_IDENTIFY_BY_CONSTANTの場合、定数によって決定します。

  • DBMS_MACUTL.G_IDENTIFY_BY_METHODの場合、メソッドによって決定します。たとえば、式でPDBのタイムゾーンを使用してPDBの日時が返されるとします: to_char(sysdate,'yyyy-mm-dd')。2022年12月15日の場合は、2023-12-15の値が返されます

  • DBMS_MACUTL.G_IDENTIFY_BY_FACTORの場合、ファクタによって決定します。この設定は、子ファクタのアイデンティティを親ファクタにマップすることでファクタ・アイデンティティを特定します。親ファクタは、子ファクタと呼ばれる第2のファクタに基づいて値が解決されるファクタです。リレーションシップを確立するには、アイデンティティをマップします。(このオプションには、get_exprパラメータを指定する必要はありません)。

  • DBMS_MACUTL.G_IDENTIFY_BY_CONTEXTは廃止されています。

詳細は、ファクタ作成のidentify_byの説明を参照してください。

labeled_by

ファクタのラベル付けのオプション。Oracle Label Security統合を使用している場合、このパラメータは必須です。この設定を省略した場合、DBMS_MACUTL.G_LABELED_BY_SELFにデフォルト設定されます。

  • DBMS_MACUTL.G_LABELED_BY_SELF: Oracle Label Securityポリシーに関連付けられているラベルから直接ファクタのアイデンティティをラベル付けします。(デフォルト)

  • DBMS_MACUTL.G_LABELED_BY_FACTORS: 子ファクタ・アイデンティティのラベルからファクタ・アイデンティティ・ラベルを導出します。

詳細は、ファクタ作成のlabeled_byの説明を参照してください。

eval_options

ユーザーがログインするときにファクタを評価するオプション。この設定を省略した場合、DBMS_MACUTL.G_EVAL_ON_SESSIONにデフォルト設定されます。

  • DBMS_MACUTL.G_EVAL_ON_SESSION: データベース・セッションの作成時この設定は、ファクタのパフォーマンスに影響する可能性がある点に注意してください。(デフォルト)

  • DBMS_MACUTL.G_EVAL_ON_ACCESS: ファクタがアクセスされる際に毎回

  • DBMS_MACUTL.G_EVAL_ON_STARTUP: 起動時

詳細は、ファクタ作成のeval_optionsの説明を参照してください。

audit_options

DBMS_MACUTL.G_REALM_AUDIT_OFF (またはNULL)を指定します。(デフォルト)

Oracle Database 23ai以降、従来の監査はサポートされなくなりました。ファクタを監査するには、統合監査を使用する必要があります。ファクタの統合監査ポリシーを作成する方法の例は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。

fail_options

失敗のエラー・メッセージの処理方法を制御します。この設定を省略した場合、DBMS_MACUTL.G_FAIL_WITH_MESSAGEにデフォルト設定されます。

  • DBMS_MACUTL.G_FAIL_WITH_MESSAGE: エラー・メッセージを表示します。(デフォルト)

  • DBMS_MACUTL.G_FAIL_SILENTLY: エラー・メッセージを表示しません。

この例では、デフォルト設定を使用できるように、descriptionlabel_byおよびeval_optionsは省略されています。

BEGIN
 DBMS_MACADM.CREATE_FACTOR(
  factor_name       => 'Sector2_DB', 
  factor_type_name  => 'Instance', 
  rule_set_name     => 'Limit_DBA_Access', 
  get_expr          => 'UPPER(SYS_CONTEXT(''USERENV'',''DB_NAME''))', 
  validate_expr     => 'dbavowner.check_db_access', 
  identify_by       => DBMS_MACUTL.G_IDENTIFY_BY_METHOD, 
  audit_options     => DBMS_MACUTL.G_AUDIT_OFF, 
  fail_options      => DBMS_MACUTL.G_FAIL_SILENTLY); 
END;
/

18.1.7 CREATE_FACTOR_TYPEプロシージャ

CREATE_FACTOR_TYPEプロシージャは、ユーザー定義のファクタ・タイプを作成します。

構文

DBMS_MACADM.CREATE_FACTOR_TYPE(
  name        IN VARCHAR2, 
  description IN VARCHAR2);

パラメータ

表18-7 CREATE_FACTOR_TYPEのパラメータ

パラメータ 説明

name

ファクタ・タイプ名(空白を使用せず、大/小文字混在で最大128文字)。

既存のファクタ・タイプを検索するには、DBA_DV_FACTOR_TYPEビューを問い合せます。

description

ファクタ・タイプの目的の説明(大/小文字混在で最大1024文字)。

BEGIN
 DBMS_MACADM.CREATE_FACTOR_TYPE(
  name        => 'Sector2Instance', 
  description => 'Checks DB instances used in Sector 2');
END;
/

18.1.8 CREATE_IDENTITYプロシージャ

CREATE_IDENTITYプロシージャは、指定されたファクタに対してアイデンティティおよび関連付けられた信頼レベルを割り当てます。

ファクタの作成後には、アイデンティティを割り当てる必要があります。

構文

DBMS_MACADM.CREATE_IDENTITY(
  factor_name  IN VARCHAR2, 
  value        IN VARCHAR2, 
  trust_level  IN NUMBER); 

パラメータ

表18-8 CREATE_IDENTITYのパラメータ

パラメータ 説明

factor_name

ファクタ名。

既存のファクタを見つけるには、DBA_DV_FACTORビューを問い合せます。

value

ファクタの実際の値(大/小文字混在で最大1024文字)。たとえば、IP_Addressファクタのアイデンティティは、IPアドレス192.0.2.12になります。

trust_level

同じファクタの別のアイデンティティと比較した信頼の度合いを示す数値。一般に、信頼レベルの数値が高く設定されているほど信頼の度合いも高くなります。信頼レベル10は、非常に信頼度が高いことを表します。信頼レベルの数値が負の場合は信頼できません。

  • 10は、信頼度が非常に高いことを示します。
  • 5は、信頼できることを示します。
  • 1は、信頼度が低いことを表します。
  • -1は、信頼できないことを示します。
  • NULLは、未定義の信頼レベルを表します(デフォルト)

BEGIN
 DBMS_MACADM.CREATE_IDENTITY(
  factor_name  => 'Sector2_ClientID', 
  value        => 'intranet', 
  trust_level  => 5); 
END;
/

18.1.9 CREATE_IDENTITY_MAPプロシージャ

CREATE_IDENTITY_MAPプロシージャは、リンクされた子ファクタ(サブファクタ)の値からファクタのアイデンティティを導出できるテストを定義します。

構文

DBMS_MACADM.CREATE_IDENTITY_MAP(
  identity_factor_name  IN VARCHAR2,
  identity_factor_value IN VARCHAR2, 
  parent_factor_name    IN VARCHAR2, 
  child_factor_name     IN VARCHAR2, 
  operation             IN VARCHAR2, 
  operand1              IN VARCHAR2, 
  operand2              IN VARCHAR2);

パラメータ

表18-9 CREATE_IDENTITY_MAPのパラメータ

パラメータ 説明

identity_factor_name

アイデンティティ・マップの対象のファクタ。

現在のデータベース・インスタンスの既存のファクタを検索するには、DBA_DV_FACTORビューを問い合せます。

identity_factor_value

アイデンティティ・マップの評価がTRUEの場合は、ファクタで想定される値。

既存のファクタ・アイデンティティを検索するには、DBA_DV_IDENTITYビューを問い合せます。

現在のファクタ・アイデンティティ・マッピングを検索するには、DBA_DV_IDENTITY_MAPを使用します。

parent_factor_name

マップが関連する親ファクタ・リンク。

既存の親子ファクタ・マッピングを検索するには、DBA_DV_IDENTITY_MAPビューを問い合せます。

child_factor_name

マップが関連する子ファクタ・リンク。

operation

アイデンティティ・マップの関係演算子(たとえば、<、>、=など)。

operand1

関係演算子の左オペランド。入力する下限値を表します。

operand2

関係演算子の右オペランド。入力する上限値を表します。

BEGIN
 DBMS_MACADM.CREATE_IDENTITY_MAP(
  identity_factor_name  => 'Sector2_ClientID',
  identity_factor_value => 'intranet', 
  parent_factor_name    => 'HQ_ClientID', 
  child_factor_name     => 'Div1_ClientID', 
  operation             => '<', 
  operand1              => '192.0.2.50', 
  operand2              => '192.0.2.100');
END;
/

18.1.10 DELETE_FACTORプロシージャ

DELETE_FACTORプロシージャはファクタを削除します。

構文

DBMS_MACADM.DELETE_FACTOR(
  factor_name IN VARCHAR2);

パラメータ

表18-10 DELETE_FACTORのパラメータ

パラメータ 説明

factor_name

ファクタ名。

現在のデータベース・インスタンスの既存のファクタを検索するには、DBA_DV_FACTORビューを問い合せます。

EXEC DBMS_MACADM.DELETE_FACTOR('Sector2_ClientID');

18.1.11 DELETE_FACTOR_LINKプロシージャ

DELETE_FACTOR_LINKプロシージャは、2つのファクタの親子関係を削除します。

構文

DBMS_MACADM.DELETE_FACTOR_LINK(
  parent_factor_name IN VARCHAR2, 
  child_factor_name  IN VARCHAR2); 

パラメータ

表18-11 DELETE_FACTOR_LINKのパラメータ

パラメータ 説明

parent_factor_name

ファクタ名。

現在のデータベース・インスタンスの親子マッピングで使用されているファクタを検索するには、DBA_DV_FACTOR_LINKビューを問い合せます。

child_factor_name

ファクタ名

BEGIN
 DBMS_MACADM.DELETE_FACTOR_LINK(
  parent_factor_name => 'HQ_ClientID', 
  child_factor_name  => 'Div1_ClientID'); 
END;
/

18.1.12 DELETE_FACTOR_TYPEプロシージャ

DELETE_FACTOR_TYPEプロシージャはファクタ・タイプを削除します。

構文

DBMS_MACADM.DELETE_FACTOR_TYPE(
  name IN VARCHAR2);

パラメータ

表18-12 DELETE_FACTOR_TYPEのパラメータ

パラメータ 説明

name

ファクタ・タイプ名。

既存のファクタ・タイプを検索するには、DBA_DV_FACTOR_TYPEビューを問い合せます。

EXEC DBMS_MACADM.DELETE_FACTOR_TYPE('Sector2Instance');

18.1.13 DELETE_IDENTITYプロシージャ

DELETE_IDENTITYプロシージャは、既存のファクタからアイデンティティを削除します。

構文

DBMS_MACADM.DELETE_IDENTITY(
  factor_name IN VARCHAR2, 
  value       IN VARCHAR2); 

パラメータ

表18-13 DELETE_IDENTITYのパラメータ

パラメータ 説明

factor_name

ファクタ名。

現在のデータベース・インスタンスの既存のファクタを検索するには、DBA_DV_FACTORビューを問い合せます。

value

ファクタに関連付けられているアイデンティティ値。

現在のデータベース・インスタンスでファクタごとのアイデンティティを検索するには、DBA_DV_IDENTITYビューを問い合せます。

BEGIN
 DBMS_MACADM.DELETE_IDENTITY(
  factor_name => 'Sector2_ClientID', 
  value       => 'intranet'); 
END;
/

18.1.14 DELETE_IDENTITY_MAPプロシージャ

DELETE_IDENTITY_MAPプロシージャは、ファクタのアイデンティティ・マップを削除します。

構文

DBMS_MACADM.DELETE_IDENTITY_MAP(
  identity_factor_name  IN VARCHAR2, 
  identity_factor_value IN VARCHAR2,
  parent_factor_name    IN VARCHAR2, 
  child_factor_name     IN VARCHAR2, 
  operation             IN VARCHAR2, 
  operand1              IN VARCHAR2, 
  operand2              IN VARCHAR2); 

パラメータ

表18-14 DELETE_IDENTITY_MAPのパラメータ

パラメータ 説明

identity_factor_name

アイデンティティ・マップの対象のファクタ。

現在のデータベース・インスタンスの既存のファクタを検索するには、DBA_DV_FACTORビューを問い合せます。

identity_factor_value

アイデンティティ・マップの評価がTRUEの場合は、ファクタで想定される値。

既存のファクタ・アイデンティティを検索するには、DBA_DV_IDENTITYビューを問い合せます。

現在のファクタ・アイデンティティ・マッピングを検索するには、DBA_DV_IDENTITY_MAPを問い合せます。

parent_factor_name

マップが関連する親ファクタ・リンク。

既存の親子ファクタを検索するには、DBA_DV_FACTORビューを問い合せます。

child_factor_name

マップが関連する子ファクタ。

operation

アイデンティティ・マップの関係演算子(たとえば、<、>、=など)。

operand1

関係演算子の左(下限値)オペランド。

operand2

関係演算子の右(上限値)オペランド。

BEGIN
 DBMS_MACADM.DELETE_IDENTITY_MAP(
  identity_factor_name  => 'Sector2_ClientID',
  identity_factor_value => 'intranet', 
  parent_factor_name    => 'HQ_ClientID', 
  child_factor_name     => 'Div1_ClientID', 
  operation             => '<', 
  operand1              => '192.0.2.10', 
  operand2              => '192.0.2.15');
END;
/

18.1.15 DROP_DOMAIN_IDENTITYプロシージャ

DROP_DOMAIN_IDENTITYプロシージャは、Oracle Real Application Clustersデータベース・ノードをドメインから削除します。

構文

DBMS_MACADM.DROP_DOMAIN_IDENTITY(
  domain_name  IN VARCHAR2, 
  domain_host  IN VARCHAR2); 

パラメータ

表18-15 DROP_DOMAIN_IDENTITYのパラメータ

パラメータ 説明

domain_name

ホストが追加されたドメインの名前。

DB_DOMAIN初期化パラメータで指定されたデータベースのドメインを検索するには、DVF.F$DATABASE_DOMAINファンクションを実行します。

domain_host

ドメインに追加されたOracle Real Application Clustersホスト名。

指定したデータベースのホスト名を検索するには、DVF.F$DATABASE_HOSTNAMEファンクションを実行します。

BEGIN
 DBMS_MACADM.DROP_DOMAIN_IDENTITY(
  domain_name  => 'example', 
  domain_host  => 'mydom_host'); 
END;
/

18.1.16 GET_SESSION_INFOファンクション

GET_SESSION_INFOファンクションは、現行セッションについてSYS.V_$SESSIONシステム表の情報を返します。

V$SESSIONデータ・ディクショナリ・ビューにも、この表のセッション情報が含まれます。

構文

DBMS_MACADM.GET_SESSION_INFO(
  p_parameter IN VARCHAR2)
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

表18-16 GET_SESSION_INFOのパラメータ

パラメータ 説明

p_parameter

SYS.V_$SESSIONシステム表の列名。

DECLARE
 session_var varchar2 := null;
BEGIN 
 session_var = DBMS_MACADM.GET_SESSION_INFO('PROCESS'); 
END;
/

18.1.17 GET_INSTANCE_INFOファンクション

GET_INSTANCE_INFOファンクションは、現行のデータベース・インスタンスについてSYS.V_$INSTANCEシステム表の情報を返します。

V$INSTANCEデータ・ディクショナリ・ビューにも、この表のデータベース・インスタンス情報が含まれます。

構文

DBMS_MACADM.GET_INSTANCE_INFO(
  p_parameter IN VARCHAR2)
RETURN VARCHAR2; 

パラメータ

表18-17 GET_INSTANCE_INFOのパラメータ

パラメータ 説明

p_parameter

SYS.V_$INSTANCEシステム表の列名。

DECLARE
 instance_var varchar2 := null;
BEGIN 
 instance_var = DBMS_MACADM.GET_INSTANCE_INFO('INSTANCE_NAME'); 
END;
/

18.1.18 RENAME_FACTORプロシージャ

RENAME_FACTORプロシージャは、ファクタの名前を変更します。名前の変更は、そのファクタが使用されているすべての箇所に反映されます。

構文

DBMS_MACADM.RENAME_FACTOR(
  factor_name     IN VARCHAR2, 
  new_factor_name IN VARCHAR2);

パラメータ

表18-18 RENAME_FACTORパラメータ

パラメータ 説明

factor_name

現在のファクタ名。

現在のデータベース・インスタンスの既存のファクタを検索するには、DBA_DV_FACTORビューを問い合せます。

new_factor_name

新しいファクタ名(空白を使用せず、大/小文字混在で最大128文字)。

BEGIN
 DBMS_MACADM.RENAME_FACTOR(
  factor_name     => 'Sector2_ClientID', 
  new_factor_name => 'Sector2_Clients');
END;
/

18.1.19 RENAME_FACTOR_TYPEプロシージャ

RENAME_FACTORプロシージャは、ファクタ・タイプの名前を変更します。名前の変更は、そのファクタ・タイプが使用されているすべての箇所に反映されます。

構文

DBMS_MACADM.RENAME_FACTOR_TYPE(
  old_name  IN VARCHAR2, 
  new_name  IN VARCHAR2); 

パラメータ

表18-19 RENAME_FACTOR_TYPEのパラメータ

パラメータ 説明

old_name

現在のファクタ・タイプ名。

現在のデータベース・インスタンスで既存のファクタ・タイプを検索するには、DBA_DV_FACTOR_TYPEビューを問い合せます。

new_name

新しいファクタ・タイプ名(空白を使用せず、大/小文字混在で最大128文字)。

BEGIN
 DBMS_MACADM.RENAME_FACTOR_TYPE(
  old_name  => 'Sector2Instance', 
  new_name  => 'Sector2DBInstance'); 
END;
/

18.1.20 UPDATE_FACTORプロシージャ

UPDATE_FACTORプロシージャは、ファクタの説明を更新します。

ファクターを更新すると、既存の従来の監査レコードは無効になります。新しい監査レコードを取得するには、統合監査ポリシーを作成する必要があります。

現在の設定を検索するには、DBA_DV_FACTORデータ・ディクショナリ・ビューを問い合せます。

構文

DBMS_MACADM.UPDATE_FACTOR(
  factor_name       IN VARCHAR2, 
  factor_type_name  IN VARCHAR2 DEFAULT, 
  description       IN VARCHAR2 DEFAULT, 
  rule_set_name     IN VARCHAR2 DEFAULT, 
  get_expr          IN VARCHAR2 DEFAULT, 
  validate_expr     IN VARCHAR2 DEFAULT, 
  identify_by       IN NUMBER DEFAULT, 
  labeled_by        IN NUMBER DEFAULT, 
  eval_options      IN NUMBER DEFAULT, 
  audit_options     IN NUMBER DEFAULT, 
  fail_options      IN NUMBER DEFAULT); 

パラメータ

表18-20 UPDATE_FACTOR

パラメータ 説明

factor_name

ファクタ名。

現在のデータベース・インスタンスの既存のファクタを検索するには、DBA_DV_FACTORビューを問い合せます。

factor_type_name

ファクタ・タイプ名。この設定を変更しない場合は、省略するか、NULLに設定します。

既存のファクタ・タイプを検索するには、DBA_DV_FACTOR_TYPEビューを問い合せます。

description

ファクタの目的の説明(大/小文字混在で最大1024文字)。この設定を変更しない場合は、省略するか、NULLに設定します。

rule_set_name

ファクタ・アイデンティティを設定する時期および方法の制御に使用されるルール・セットの名前。この設定を変更しない場合は、省略するか、NULLに設定します。

既存のルール・セットを検索するには、DBA_DV_RULE_SETビューを問い合せます。

get_expr

ファクタのアイデンティティを取得する有効なPL/SQL式。大/小文字混在で最大255文字まで使用できます。この設定を変更しない場合は、省略するか、NULLに設定します。

audit_optionsパラメータも参照してください。

validate_expr

ファクタを検証するプロシージャの名前。この設定を変更しない場合は、省略するか、NULLに設定します。

これは、ブール値(TRUEまたはFALSE)を返してファクタのアイデンティティを検証する有効なPL/SQL式です。

identify_by

get_exprパラメータの式セットに基づいてファクタのアイデンティティを決定します。この設定を変更しない場合は、省略するか、NULLに設定します。

  • DBMS_MACUTL.G_IDENTIFY_BY_CONSTANTの場合、定数によって決定します。

  • DBMS_MACUTL.G_IDENTIFY_BY_METHODの場合、メソッドによって決定します。

  • DBMS_MACUTL.G_IDENTIFY_BY_FACTORの場合、ファクタによって決定します。

  • DBMS_MACUTL.G_IDENTIFY_BY_CONTEXTは廃止されています。

  • NULLの場合、現在の設定を変更しません。(デフォルト)

labeled_by

ファクタのラベル付けのオプション。この設定を変更しない場合は、省略するか、NULLに設定します。

  • DBMS_MACUTL.G_LABELED_BY_SELFの場合、Oracle Label Securityポリシーに関連付けられたラベルからファクタのアイデンティティを直接ラベル付けします

  • DBMS_MACUTL.G_LABELED_BY_FACTORSは子ファクタ・アイデンティティのラベルからファクタ・アイデンティティ・ラベルを導出します。

  • NULLの場合、現在の設定を変更しません。(デフォルト)

eval_options

ユーザーがログインするときにファクタを評価するオプション。この設定を変更しない場合は、省略するか、NULLに設定します。

  • DBMS_MACUTL.G_EVAL_ON_SESSIONの場合、データベース・セッションの作成時に評価します。

  • DBMS_MACUTL.G_EVAL_ON_ACCESSの場合、ファクタがアクセスされる際に毎回評価します。

  • DBMS_MACUTL.G_EVAL_ON_STARTUPの場合、起動時に評価します。

  • NULLの場合、現在の設定を変更しません。(デフォルト)

audit_options

次のアクションのいずれかを実行します。

  • このファクタ・ポリシーに対して従来の監査を無効にするには、DBMS_MACUTL.G_RULESET_AUDIT_OFFを設定します。
  • この従来の監査設定を引き続き使用する場合は、現在の既存のaudit_options設定をそのままにします。これを行うには、NULLを指定するか、このファクタの現在の既存のaudit_optionsと同じ設定を指定するか、単にaudit_optionsを指定しません(NULL)。

Oracle Database 23ai以降、従来の監査はサポートされなくなりました。ファクタを監査するには、統合監査を使用する必要があります。ファクタの統合監査ポリシーを作成する方法の例は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。

fail_options

ファクタ・エラーをレポートするオプション。この設定を変更しない場合は、省略するか、NULLに設定します。

  • DBMS_MACUTL.G_FAIL_WITH_MESSAGE: エラー・メッセージを表示します。

  • DBMS_MACUTL.G_FAIL_SILENTLY: エラー・メッセージを表示しません。

この例では、descriptionaudit_optionsおよびeval_options設定は変更する必要がないため、省略されています。

BEGIN
 DBMS_MACADM.UPDATE_FACTOR(
  factor_name       => 'Sector2_DB', 
  factor_type_name  => 'Instance', 
  rule_set_name     => 'Limit_DBA_Access', 
  get_expr          => 'UPPER(SYS_CONTEXT(''USERENV'',''DB_NAME''))', 
  validate_expr     => 'dbavowner.check_db_access', 
  identify_by       => DBMS_MACUTL.G_IDENTIFY_BY_METHOD, 
  labeled_by        => DBMS_MACUTL.G_LABELED_BY_SELF, 
  fail_options      => DBMS_MACUTL.G_FAIL_WITH_MESSAGE); 
END;
/

ファクタのaudit_optionsパラメータを変更しなかった場合は、既存の従来の監査ポリシーが引き続き有効になります。ファクタのaudit_optionsパラメータを更新した場合は、リリース23ai以降で従来の監査がサポートされなくなるため、この監査が無効になります。新しい監査レコードを取得するには、AUDIT_ADMIN Oracle DatabaseロールおよびAUDIT_ADMIN Oracle Database Vault認可を付与されたユーザーとして、統合監査ポリシーを作成して有効にします。たとえば:

CREATE AUDIT POLICY Sector2_DB_pol 
 ACTIONS COMPONENT=DV FACTOR ERROR ON "Sector2_DB";

AUDIT POLICY Sector2_DB_pol;

UNIFIED_AUDIT_TRAILデータ・ディクショナリ・ビューを問い合せることで、監査レコードを確認できます。これがどのように機能するかについては、Oracle Oracle Databaseセキュリティ・ガイドを参照してください。

18.1.21 UPDATE_FACTOR_TYPEプロシージャ

UPDATE_FACTOR_TYPEプロシージャはファクタ・タイプを更新します。

構文

DBMS_MACADM.UPDATE_FACTOR_TYPE(
  name         IN VARCHAR2, 
  description  IN VARCHAR2);

パラメータ

表18-21 UPDATE_FACTOR_TYPEのパラメータ

パラメータ 説明

name

ファクタ・タイプ名。

現在のデータベース・インスタンスで既存のファクタ・タイプを検索するには、DBA_DV_FACTOR_TYPEビューを問い合せます。

description

ファクタ・タイプの目的の説明(大/小文字混在で最大1024文字)。

BEGIN
 DBMS_MACADM.UPDATE_FACTOR_TYPE(
  name        => 'Sector2DBInstance', 
  description => 'Checks DB instances used in Sector 2');
END;
/

18.1.22 UPDATE_IDENTITYプロシージャ

UPDATE_IDENTITYプロシージャは、ファクタ・アイデンティティの信頼レベルを更新します。

構文

DBMS_MACADM.UPDATE_IDENTITY(
  factor_name  IN VARCHAR2, 
  value        IN VARCHAR2, 
  trust_level  IN NUMBER); 

パラメータ

表18-22 UPDATE_IDENTITYのパラメータ

パラメータ 説明

factor_name

ファクタ名。

現在のデータベース・インスタンスの既存のファクタを検索するには、DBA_DV_FACTORビューを問い合せます。

アイデンティティが設定されたファクタを検索するには、DBA_DV_IDENTITYを問い合せます。

value

新しいファクタ・アイデンティティ(大/小文字混在で最大1024文字)。たとえば、IP_Addressファクタのアイデンティティは、192.0.2.12というIPアドレスになります。

trust_level

同じファクタの別のアイデンティティと比較した信頼の度合いを示す数値。一般に、信頼レベルの数値が高く設定されているほど信頼の度合いも高くなります。信頼レベル10は、非常に信頼度が高いことを表します。信頼レベルの数値が負の場合は信頼できません。

BEGIN
 DBMS_MACADM.UPDATE_IDENTITY(
  factor_name  => 'Sector2_ClientID', 
  value        => 'intranet', 
  trust_level  => 10); 
END;
/

18.2 Oracle Database VaultランタイムのPL/SQLプロシージャおよびファンクション

Oracle Database Vaultには手続き型インタフェースが用意されており、Database Vaultセキュリティ・オプションの管理およびDatabase Vaultセキュリティの実施の管理に使用できます。

18.2.1 Oracle Database VaultランタイムのPL/SQLプロシージャおよびファンクションについて

Oracle Database Vaultには、ファクタ固有の一連のPL/SQLプロシージャおよびファンクションが用意されています。

これは、レルム違反およびコマンド認可のDDLコマンドを検証するためのロジックを公開するプロシージャおよびファンクションです。その他に、ファクタの値をたとえばWebアプリケーションなどから設定する(関連付けられたルール・セットがTrueに評価される場合)、セッションまたは特定のファクタ・アイデンティティに対する信頼レベルを取得する、あるいはファクタ・アイデンティティのラベルを取得するためのプロシージャおよびファンクションが用意されています。これらのプロシージャおよびファンクションは、データベース管理者がすべてのDVSYSパッケージ・プロシージャに対するEXECUTE権限を一般のデータベース・アカウント群に付与しないように提供されています。プロシージャおよびファンクションは、必要な最小限のメソッドのみを公開します。これらのファンクションおよびプロシージャはすべて、必要とするアプリケーションでパブリックに使用できます。

18.2.2 SET_FACTORプロシージャ

SET_FACTORプロシージャは、ファクタ・アイデンティティを動的に設定する必要があるアプリケーションに公開できます。

パッケージ・プロシージャDBMS_MACADM.SET_FACTORをラップします。割当て用のルール・セットがファクタに関連付けられていて、ルール・セットがtrueを返した場合に、値が設定されます。通常のルール・セット処理が行われ、ファクタ値(アイデンティティ)の検証メソッドがコールされます。このプロシージャは、一般のデータベース・アカウント群で使用(実行)できます。

構文

SET_FACTOR(
  p_factor IN VARCHAR2, 
  p_value  IN VARCHAR2);

パラメータ

表18-23 SET_FACTORのパラメータ

パラメータ 説明

p_factor

ファクタ名。

現在のデータベース・インスタンスで既存のファクタを検索するには、DBA_DV_FACTORデータ・ディクショナリ・ビューを問い合せます。

p_value

アイデンティティ値。大/小文字混在で最大で1024文字まで入力できます。

現在のデータベース・インスタンスでファクタごとのアイデンティティを検索するには、DBA_DV_IDENTITYデータ・ディクショナリ・ビューを問い合せます。

EXECUTE SET_FACTOR(''Sector2_ClientID'', ''identity'');

18.2.3 GET_FACTORファンクション

GET_FACTORファンクションは、パブリック・ファクタ・ファンクションによるファクタのアイデンティティの解決を可能にするために、DVFスキーマに公開されます。戻り型はVARCHAR2です。

このファンクションにより、DVFスキーマのF$ファンクションが有効になります。このファンクションは、一般のデータベース・アカウント群で使用(実行)できます。

構文

GET_FACTOR(
  p_factor IN VARCHAR2)
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

表18-24 GET_FACTORのパラメータ

パラメータ 説明

p_factor

ファクタ名。

現在のデータベース・インスタンスで既存のファクタを検索するには、DBA_DV_FACTORデータ・ディクショナリ・ビューを問い合せます。

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Get Client ID Factor Identity',
  rule_expr => 'GET_FACTOR(''Sector2_ClientID'')');
END;
/

18.2.4 GET_FACTOR_LABELファンクション

GET_FACTOR_LABELファンクションは、指定されたファクタに指定されたOracle Label Securityポリシー用のラベルが割り当てられている場合、そのラベルを返します。戻り型はVARCHAR2です。

ポリシーがOracle Label Securityを使用して構成されている場合は、ポリシーの最大セッション・ラベルとマージされるラベルを返します。このファンクションは、一般のデータベース・アカウント群で使用(実行)できます。

構文

GET_FACTOR_LABEL(
  p_factor      IN VARCHAR2, 
  p_policy_name IN VARCHAR2)
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

表18-25 GET_FACTOR_LABELのパラメータ

パラメータ 説明

p_factor

ファクタ名。

現行のデータベース・インスタンス内の使用可能なファクタを確認するには、DBA_DV_FACTORデータ・ディクショナリ・ビューに問い合せます。Oracle Label Securityポリシーに関連付けられているファクタを確認するには、DBA_DV_MAC_POLICY_FACTORを使用します。

p_policy_name

Oracle Label Securityポリシー名。

現行のデータベース・インスタンスのポリシーおよびファクタに関する情報を検索する場合は、次のデータ・ディクショナリ・ビューを使用します。

  • DBA_DV_MAC_POLICY: 現行のデータベース・インスタンスに定義されているOracle Label Securityポリシーが表示されます。

  • DBA_DV_MAC_POLICY_FACTOR: 現行のデータベース・インスタンスのOracle Label Securityポリシーに関連付けられているファクタが表示されます。

  • DBA_DV_POLICY_LABEL: 各ポリシーのDBA_DV_IDENTITYビューの各ファクタ識別子に対するOracle Label Securityラベルが表示されます。

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Get the ClientID Factor Label',
  rule_expr => 'GET_FACTOR_LABEL(''Sector2_ClientID'', ''Access Locations'')');
END;
/

18.2.5 GET_TRUST_LEVELファンクション

GET_TRUST_LEVELファンクションは、リクエストされたファクタの現行セッションのアイデンティティの信頼レベルを返します。戻り型はVARCHAR2です。

このファンクションは、一般のデータベース・アカウント群で使用(実行)できます。

構文

GET_TRUST_LEVEL(
  p_factor IN VARCHAR2)
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

表18-26 GET_TRUST_LEVELのパラメータ

パラメータ 説明

p_factor

ファクタ名。

現在のデータベース・インスタンスで既存のファクタを検索するには、DBA_DV_FACTORデータ・ディクショナリ・ビューを問い合せます。

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Get Client ID Trust Level',
  rule_expr => 'GET_TRUST_LEVEL(''Sector2_ClientID'')');
END;
/

18.2.6 GET_TRUST_LEVEL_FOR_IDENTITYファンクション

GET_TRUST_LEVEL_FOR_IDENTITYファンクションは、リクエストされたファクタおよびアイデンティティの信頼レベルを返します。戻り型はVARCHAR2です。

このファンクションは、一般のデータベース・アカウント群で使用(実行)できます。

構文

GET_TRUST_LEVEL_FOR_IDENTITY(
  p_factor   IN VARCHAR2, 
  p_identity IN VARCHAR2)
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

表18-27 GET_TRUST_LEVEL_FOR_IDENTITYのパラメータ

パラメータ 説明

p_factor

ファクタ名。

現在のデータベース・インスタンスの既存のファクタを検索するには、DBA_DV_FACTORビューを問い合せます。

p_identity

アイデンティティ値。

現在のデータベース・インスタンスでファクタごとのアイデンティティを検索するには、DBA_DV_IDENTITYデータ・ディクショナリ・ビューを使用します。

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Get Client ID Identity Trust Level',
  rule_expr => 'GET_TRUST_LEVEL_FOR_IDENTITY(''Sector2_ClientID'', ''identity'')');
END;
/

18.2.7 ROLE_IS_ENABLEDファンクション

ROLE_IS_ENABLEDファンクションは、データベース・ロールが有効であるかどうかを示すブール値を返します。戻り型はBOOLEANです。

このファンクションは、一般のデータベース・アカウント群で使用(実行)できます。

構文

ROLE_IS_ENABLED(
  p_role IN VARCHAR2)
RETURN BOOLEAN;

パラメータ

表18-28 ROLE_IS_ENABLEDのパラメータ

パラメータ 説明

p_role

確認するデータベース・ロール名。

既存のロールを検索する場合は、次のデータ・ディクショナリ・ビューを使用します。

  • DBA_ROLES: 現行のデータベース・インスタンスで使用可能なロールを検索します。

  • DBA_DV_REALM_AUTH: 特定のロールの認可を確認します。

  • DBA_DV_ROLE: 権限管理で使用されている既存のセキュア・アプリケーション・ロールを確認します。

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Check if SYSADM Role Is Enabled',
  rule_expr => 'ROLE_IS_ENABLED(''SYSADM'')');
END;
/

18.3 Oracle Database VaultのDVF PL/SQLファクタ・ファンクション

DBMS_MACADM PL/SQLパッケージを使用して様々なファクタを管理する際、Oracle Database VaultによってDVFスキーマ・ファンクションが維持されます。

18.3.1 Oracle Database Vault DVF PL/SQLファクタ・ファンクションについて

Oracle Database Vaultには、頻繁に使用されるアクティビティ用にDVFファクタ固有のファンクションが用意されています。

DVSYSスキーマから提供されるファンクションおよびプロシージャに加え、DVFスキーマにはシステムに定義されているファクタごとに1つのファンクションが含まれます。

その後、ファンクションは一般のデータベース・アカウント群でPL/SQLファンクションおよび標準SQLを介して使用できます。これにより、ファクタはOracle Label Security、Oracle Virtual Private Database(VPD)などで使用できるようになります。

通常、これらのファンクションをルール式に組み込むことができます。たとえば:

その後、ファンクションは一般のデータベース・アカウント群でPL/SQLファンクションおよび標準SQLを介して使用できます。これにより、ファクタはOracle Label Security、Oracle Virtual Private Database(VPD)などで使用できるようになります。

通常、これらのファンクションをルール式に組み込むことができます。たとえば:

BEGIN
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
 rule_name => 'Not Internal DBA',
 rule_expr => 'DVF.F$SESSION_USER NOT IN (''JSMTIH'', ''TBROWN'')');
END;
/

ファクタ・ファンクションの値を検索するには、DUALシステム表から選択します。たとえば:

SELECT DVF.F$SESSION_USER FROM DUAL;

F$SESSION_USER
------------------------------------------------
DVOWNER

ファクタ自体の名前は、大/小文字を区別しません。たとえば、次の文は同じ結果を返します。

select dvf.f$session_user from dual;

SELECT DVF.F$SESSION_USER FROM DUAL;

18.3.2 F$AUTHENTICATION_METHODファンクション

F$AUTHENTICATION_METHODファンクションは認証の方式をVARCHAR2データ型で返します。

次に、ユーザー・タイプの後に返される方式を続けて示します。

  • パスワードで認証されるエンタープライズ・ユーザー、ローカル・データベース・ユーザー、またはパスワード・ファイルを使用するSYSDBA/SYSOPER(パスワードを使用するユーザー名によるプロキシ): PASSWORD

  • Kerberosで認証されるエンタープライズ・ユーザーまたは外部ユーザー: KERBEROS

  • Transport Layer Security (TLS)で認証されるエンタープライズ・ユーザーまたは外部ユーザー: SSL

  • RADIUSで認証される外部ユーザー: RADIUS

  • オペレーティング・システムで認証される外部ユーザーまたはSYSDBA/SYSOPER: OS

  • DCEで認証される外部ユーザー: DCE

  • 証明書、識別名(DN)またはパスワードを使用しないユーザー名によるプロキシ: NONE

IDENTIFICATION_TYPEを使用すると、認証方式がパスワード、KerberosまたはTLSの場合に、外部ユーザーとエンタープライズ・ユーザーを区別できます。

構文

DVF.F$AUTHENTICATION_METHOD () 
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

なし

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Check TLS Authentication Method',
  rule_expr => 'DVF.F$AUTHENTICATION_METHOD = ''SSL''');
END;
/

18.3.3 F$CLIENT_IPファンクション

F$CLIENT_IPファンクションは、クライアントが接続されているコンピュータのIPアドレスをVARCHAR2データ型で返します。

構文

DVF.F$CLIENT_IP ()
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

なし

次の例では、ルール作成文でDVF.F$CLIENT_IPを使用する方法を示します。入力できるのは、IPアドレスの範囲ではなく、1つのIPアドレスのみであることに注意してください。

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Check Client IP Address',
  rule_expr => 'DVF.F$CLIENT_IP = ''192.0.2.10''');
END;
/

18.3.4 F$DATABASE_DOMAINファンクション

F$DATABASE_DOMAINファンクションは、DB_DOMAIN初期化パラメータに指定されているデータベースのドメインをVARCHAR2データ型で返します。

構文

DVF.F$DATABASE_DOMAIN ()
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

なし

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Check Client Database Domain',
  rule_expr => 'DVF.F$DATABASE_DOMAIN NOT IN (''EXAMPLE'', ''YOURDOMAIN'')');
END;
/

18.3.5 F$DATABASE_HOSTNAMEファンクション

F$DATABASE_HOSTNAMEファンクションは、インスタンスが実行されているコンピュータのホスト名をVARCHAR2データ型で返します。

構文

DVF.F$DATABASE_HOSTNAME ()
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

なし

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Check Host Name',
  rule_expr => 'DVF.F$DATABASE_HOSTNAME IN (''SHOBEEN'', ''MAU'')');
END;
/

18.3.6 F$DATABASE_INSTANCEファンクション

F$DATABASE_INSTANCEファンクションは、現在のデータベース・インスタンスのインスタンス識別番号をVARCHAR2データ型で返します。

構文

DVF.F$DATABASE_INSTANCE ()
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

なし

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Check Database Instance ID',
  rule_expr => 'DVF.F$DATABASE_INSTANCE = ''SALES_DB''');
END;
/

18.3.7 F$DATABASE_IPファンクション

F$DATABASE_IPファンクションは、データベース・インスタンスが実行されているコンピュータのIPアドレスをVARCHAR2データ型で返します。

構文

DVF.F$DATABASE_IP ()
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

なし

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Check Database IP address',
  rule_expr => 'DVF.F$DATABASE_IP = ''192.0.2.5''');
END;
/

18.3.8 F$DATABASE_NAMEファンクション

F$DATABASE_NAMEファンクションは、DB_NAME初期化パラメータに指定されているデータベースの名前をVARCHAR2データ型で返します。

構文

DVF.F$DATABASE_NAME ()
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

なし

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Check Database DB_NAME Name',
  rule_expr => 'DVF.F$DATABASE_NAME = ''ORCL''');
END;
/

18.3.9 F$DOMAINファンクション

F$DOMAINファンクションは、ランタイム環境(ネットワークIT環境やそのサブセットなど)内の、特定の機密レベルで動作する物理的な構成または実装固有のファクタの名前付きコレクションを返します。戻り型はVARCHAR2です。

データベースへのセキュア・アクセス・パス内にあるOracle Database Vaultノードのホスト名、IPアドレスおよびデータベース・インスタンス名などのファクタを使用してドメインを識別できます。ドメインを識別するファクタ識別子の組合せを使用して、各ドメインを一意に特定できます。これらの識別ファクタやその他のファクタを使用して、ドメイン内に最大セキュリティ・ラベルを定義できます。これにより、Oracle Database Vaultセッションに関する物理ファクタに応じて、データ・アクセスおよびコマンドが制限されます。必要なドメインの例として、企業機密、内部パブリック、パートナ、顧客があります。

構文

DVF.F$DOMAIN ()
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

なし

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Check Domain',
  rule_expr => 'DVF.F$DOMAIN = ''EXAMPLE.COM''');
END;
/

18.3.10 F$DV$_CLIENT_IDENTIFIERファンクション

F$DV$_CLIENT_IDENTIFIERファンクションは、Oracle Database Vaultクライアント識別子を返します。

構文

DVF.F$DV$_CLIENT_IDENTIFIER ()
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

なし

BEGIN
  DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
   rule_name => 'Check Database Vault Client Identifiers',
   rule_expr => 'DVF.F$DV$_CLIENT_IDENTIFIER = ''14903BUA765454'';
END;/

18.3.11 F$DV$_DBLINK_INFOファンクション

F$DV$_DBLINK_INFOファンクションは、Oracle Database Vaultデータベース・リンクに関する情報を返します。

構文

DVF.F$DV$_DBLINK_INFO ()
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

なし

BEGIN
  DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
   rule_name => 'Check Database Vault database link info',
   rule_expr => 'DVF.F$DV$_DBLINK_INFO = ''SOURCE_GLOBAL_NAME=SALES.US.EXAMPLE.COM, DBLINK_NAME=PDB2_LINK, SOURCE_AUDIT_SESSIONID=200057'';
END;/

18.3.12 F$DV$_MODULEファンクション

F$DV$_MODULEファンクションは、Oracle Database Vaultモジュールに関する情報を返します。

構文

DVF.F$DV$_MODULE ()
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

なし

BEGIN
  DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
   rule_name => 'Check Database Vault modules',
   rule_expr => 'DVF.F$DV$_MODULE = ''SQL*Plus'';
END;/

18.3.13 F$ENTERPRISE_IDENTITYファンクション

F$ENTERPRISE_IDENTITYファンクションは、ユーザーのエンタープライズ全体のアイデンティティをVARCHAR2データ型で返します。

  • エンタープライズ・ユーザーの場合: Oracle Internet Directory DN。

  • 外部ユーザーの場合: 外部アイデンティティ(Kerberosプリンシパル名、RADIUSおよびDCEスキーマ名、オペレーティング・システム・ユーザー名、証明書DN)。

  • ローカル・ユーザーおよびSYSDBA/SYSOPERログインの場合: NULL

属性の値はプロキシ方式によって異なります。

  • DNによるプロキシの場合: クライアントのOracle Internet Directory DN。

  • 証明書によるプロキシの場合: 外部ユーザーではクライアントの証明書DN、グローバル・ユーザーではOracle Internet Directory DN。

  • ユーザー名によるプロキシの場合: エンタープライズ・ユーザーであるクライアントではOracle Internet Directory DN、ローカル・データベース・ユーザーであるクライアントではNULL。

構文

DVF.F$ENTERPRISE_IDENTITY ()
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

なし

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Check User Enterprise Identity',
  rule_expr => 'DVF.F$ENTERPRISE_IDENTITY NOT IN (''JSMITH'', ''TSMITH'')');
END;
/

18.3.14 F$IDENTIFICATION_TYPEファンクション

F$IDENTIFICATION_TYPEファンクションは、データベースでのユーザーのスキーマの作成方法を返します。具体的には、CREATE/ALTER USER構文のIDENTIFIED句が反映されます。戻り型はVARCHAR2です。

次に、スキーマ作成時に使用される構文の後に返される識別タイプを続けて示します。

  • IDENTIFIED BY password: LOCAL

  • IDENTIFIED EXTERNALLY: EXTERNAL

  • IDENTIFIED GLOBALLY: GLOBAL SHARED

  • IDENTIFIED GLOBALLY AS DN: GLOBAL PRIVATE

構文

DVF.F$IDENTIFICATION_TYPE ()
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

なし

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Check User Schema Creation Type',
  rule_expr => 'DVF.F$IDENTIFICATION_TYPE = ''GLOBAL SHARED''');
END;
/

18.3.15 F$LANGファンクション

F$LANGファンクションは、既存のLANGUAGEパラメータより短い形式の言語名のISO略称を、ユーザーのセッションに対して返します。戻り型はVARCHAR2です。

構文

DVF.F$LANG ()
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

なし

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Check ISO Abbreviated Language Name',
  rule_expr => 'DVF.F$LANG IN (''EN'', ''DE'', ''FR'')');
END;
/

18.3.16 F$LANGUAGEファンクション

F$LANGUAGEファンクションは、ユーザーのセッションで現在使用中の言語と地域、およびデータベース文字セットを返します。戻り型はVARCHAR2です。

戻り型は次の形式です。

language_territory.characterset

構文

DVF.F$LANGUAGE ()
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

なし

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Check Session Language and Territory',
  rule_expr => 'DVF.F$LANGUAGE = ''AMERICAN_AMERICA.WE8ISO8859P1''');
END;
/

18.3.17 F$MACHINEファンクション

F$MACHINEファンクションは、データベース・セッションを確立したデータベース・クライアントのコンピュータ(ホスト)名を返します。戻り型はVARCHAR2です。

構文

DVF.F$MACHINE ()
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

なし

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Check Client Computer Host Name',
  rule_expr => 'DVF.F$MACHINE NOT IN (''SHOBEEN'', ''SEBASTIAN'')');
END;
/

18.3.18 F$NETWORK_PROTOCOLファンクション

F$NETWORK_PROTOCOLファンクションは、接続文字列のPROTOCOL=protocol部分に指定されている、通信に使用されるネットワーク・プロトコルを返します。戻り型はVARCHAR2です。

構文

DVF.F$NETWORK_PROTOCOL ()
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

なし

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Check Network Protocol',
  rule_expr => 'DVF.F$NETWORK_PROTOCOL = ''TCP''');
END;
/

18.3.19 F$PROXY_ENTERPRISE_IDENTITYファンクション

F$PROXY_ENTERPRISE_IDENTITYファンクションは、プロキシ・ユーザーがエンタープライズ・ユーザーである場合、Oracle Internet Directoryの識別名(DN)を返します。戻り型はVARCHAR2です。

構文

DVF.F$PROXY_ENTERPRISE_IDENTITY ()
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

なし

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Get OID DN of Enterprise User',
  rule_expr => 'DVF.F$PROXY_ENTERPRISE_IDENTITY = ''cn=Provisioning Admins''');
END;
/

18.3.20 F$PROXY_USERファンクション

F$PROXY_USERファンクションは、プロキシ・ユーザーの名前を返します。

構文

DVF.PROXY_USER ()
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

なし

BEGIN
  DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
   rule_name => 'Check Proxy Users',
   rule_expr => 'DVF.PROXY_USER NOT IN (''ECHICHESTER'', ''PFITCH'')');
END;/

18.3.21 F$SESSION_USERファンクション

F$SESSION_USERファンクションは、現行ユーザーが認証されたデータベース・ユーザー名を返します。この値は、セッションを通して同じです。戻り型はVARCHAR2です。

構文

DVF.F$SESSION_USER ()
RETURN VARCHAR2;

パラメータ

なし

BEGIN 
 DBMS_MACADM.CREATE_RULE(
  rule_name => 'Check Database User Name',
  rule_expr => 'DVF.F$SESSION_USER IN (''JSMITH'', ''TSMITH'')');
END;
/