現在のシステム・パフォーマンスのベースライン期間との比較

本番システムのパフォーマンスの変動があったためその理由を調べる、あるいは本番システムに変更を加え、それによる並行性の待機の増加などの影響を調べる必要があるとします。

期間比較ADDMでは2つの期間のデータベース・サーバーのパフォーマンスを比較し、パフォーマンスの変化およびその根本的な原因を示すレポートを返します。このアドバイザでは、Cloud Controlによって監視されているバージョン10.2.0.4以上のOracle RDBMSを分析できます。次の手順では、期間比較ADDMからレポートを開始する方法について説明します。

  1. 「パフォーマンス」メニューから「AWR」を選択し、次に期間比較ADDMを選択します。
  2. 「期間比較ADDMの実行」ページで、必要な比較および基準期間を指定します。
    • 比較期間 — 一般的に適切に機能していない期間を表します。ただし、アドバイザを使用してパフォーマンスが以前と比べて向上した理由を調べることもできます。

    • 基本期間 — データベースが適切に機能している既知(ベースラインまたは参照)の期間を示します。パフォーマンスが許容範囲であり、ワークロードが類似するか可能なかぎり同じ基本期間を選択してください。

  3. 「実行」をクリックして「データベースの期間比較レポート」を表示します。
  4. レポートの各セクションを調べ、2つの期間の間のパフォーマンス変化とその変化の原因を把握します。
    • 概要

      レポートのこの部分に、両方の期間に共通するSQL文の平均的なリソース消費に基づいて基本期間および比較期間を比較できるSQLの共通性が表示されます。

      100%の共通性とは、両方の期間でのワークロードの署名が同一であることを示します。0%の値は、特定のワークロード・ディメンションについて2つの期間に共通するものがないことを示します。

      共通性は入力タイプ(つまり実行されているSQL)と、実行中のSQL文の負荷に基づいています。つまり、ある期間でのみ実行されるが、時間がかからないSQL文は共通性に影響を与えません。そのため、一部のSQL文が2つの期間のいずれかでのみ実行されている場合でも、それらのSQL文が多くのリソースを消費していない条件で2つのワークロードの100%の共通性を確保できます。

    • 構成

      表示される情報には、インスタンス、ホストおよびデータベース別に分類された各種パラメータのベース期間と比較期間の値が含まれます。

    • 結果

      結果にパフォーマンスの向上が示され、システム変更による主なパフォーマンスの差異を識別できる可能性があります。原因を把握してこれを解決すると、マイナスの結果が解消されます。

      基本期間および比較期間に表示される値は、データベース時間に関するパフォーマンスを表します。

      「影響の変更」の値は、ある期間から別の期間のパフォーマンスの変化の規模の測定値を表します。これは、それぞれの期間で消費したデータベースの合計時間によって測定した問題またはアイテムに適用できます。絶対値は降順でソートされます。

      値がプラスの場合は増加、マイナスの場合は減少を示します。たとえば、影響の変化が200%の場合は、期間2が期間1より3倍低速であることを意味します。

      ADDMおよびSQLチューニング・アドバイザなどのパフォーマンス・チューニング・ツールを実行して、比較期間の問題を修正し、全体的なシステム・パフォーマンスを向上させることができます。

    • リソース

      ここに表示される情報は、両方の期間のデータベース時間分割のサマリーと、CPU、メモリー、I/Oおよび相互接続のリソース使用率を示します(Oracle RACのみ)。

  5. 監視に基づいて、パフォーマンスの低下を解消する方法を決定し、アクション・プランを実行します。