インシデントおよびエラーの監視と調査

データを定期的に移動すると、アップロード・プロセスの様々な段階で問題が発生することがあります。ダッシュボードにはインシデントおよびエラーのレポートが表示されるので、問題をトレースして解決できます。Enterprise Managerのベスト・プラクティスに従い、既存のフレームワークを使用してインシデントの管理や通知の構成などを行うことができます。

ダッシュボードのグラフ領域には、ウェアハウスのアップロード・アクティビティ全般で発生した問題の一覧が表示されます。インシデントが発生すると、「インシデントの表示」リンクが表示され、それをクリックするとインシデント・マネージャに直接リンクされるので、ドリルダウンして詳細を調べることができます。「ガイドされた解決」セクションには、レポートされたウェアハウス・エラーを表示するリンクやAWRウェアハウスのダッシュボードに戻るリンクが用意されています。

AWRウェアハウスが構成されてソース・データベースとウェアハウス間でETLプロセスが実行を開始した後、AWRウェアハウスまたは選択した一連のソースでいくつかのテストを実行して障害のポイントを事前に識別し、AWRウェアハウス構成のヘルスを判別できます。

特定のデータベース・ソースに関するエラーを表示するには、ダッシュボードでデータベース行を選択し、ツールバーの「エラーの表示」をクリックします。

通常、エラーはアクティビティ別(AWRウェアハウスのロード、ソース・データベースの抽出、転送)に分類されます。よくあるエラーおよび推奨される解決策の一部を次に示します。

AWRウェアハウスのロード・エラー

AWRウェアハウスのSYSAUX表領域が不十分で、AWRスナップショットのインポートに対応できない場合、インポートは次のエラーにより失敗します。

ORA-20115: Data Pump import encountered error:
ORA-31626: job does not exist
ORA-31633: unable to create master table "SYS.SYS_IMPORT_FULL_27"
ORA-06512: at "SYS.DBMS_SYS_ERROR", line 95
ORA-06512: at "SYS.KUPV$FT", line 1048
ORA-01658: unable to create INITIAL extent for segment in tablespace SYSAUX
ORA-31626: job does not exist

この問題を解決するには、SYSAUX表領域を増やしてください。

ロード・ジョブでは、データ・ポンプを使用してAWRスナップショット・ダンプをインポートします。データ・ポンプ・ジョブでは、マスター表を使用してジョブの進捗を追跡します。インポート中にエラーが発生すると、マスター表はそのまま残ります。エラーが累積するに従ってマスター表も増え、最終的に次のエラーが発生します。

ORA-20115: Data Pump import encountered error:
ORA-31634: job already exists
ORA-31664: unable to construct unique job name when defaulted
ORA-31634: job already exists

これを解決するには、以前に失敗したジョブのマスター表を削除します。次のようにして、NOT RUNNING状態のジョブを対象としたdba_datapump_jobsビューの問合せを行います。

SELECT job_name
FROM dba_datapump_jobs
WHERE owner_name='SYS'
 AND operation='IMPORT'
 AND job_mode='FULL'
 AND job_name like 'SYS_IMPORT_%'
 AND state='NOT RUNNING';

注意:

問合せが戻したジョブ名がアクティブなデータ・ポンプ・ジョブによって使用されている場合があります。データ・ポンプのマスター表を誤って削除しないように、アクティブなデータ・ポンプ・ジョブがないことを確認してください。

AWRウェアハウスの機能を有効にするパッチには、レガシー・マスター表の修正が含まれているので、パッチ適用後にこの問題が発生することはありません。

アクティブなデータ・ポンプ・ジョブが正常に終了しないと(ジョブの異常終了、データベースの停止など)、後続のジョブは次のエラーにより失敗します。

ORA-39097: Data Pump job encountered unexpected error -56935
ORA-39065: unexpected master process exception in DISPATCH
ORA-56935: existing datapump jobs are using a different version of time zone data file

この問題を解決するには、データベース・プロパティでデータベースの起動に関する特定の値をチェックし、次のように適切なアクションを実行します。

SELECT property_name, property_value
FROM sys.database_properties
WHERE property_name in ('DST_UPGRADE_STATE', 'DST_SECONDARY_TT_VERSION');

指定したプロパティに対して、問合せから'DATAPUMP'および '<> 0'がそれぞれ戻された場合は、次を実行します。

exec dbms_dst.unload_secondary();

ノート:

このデータ・ポンプ・エラーは、ソース・データベースの抽出時にも発生する場合があります。

ソース・データベースのタイムゾーンがAWRウェアハウスのタイムゾーンよりも進んでいると、最新のスナップショット・ダンプのインポート時に次のエラーが発生します。

ORA-20105: Unable to move AWR data to SYS
ORA-06512: at "SYS.DBMS_SWRF_INTERNAL", line 4773
ORA-13555: Message 13555 not found;  product=RDBMS; facility=ORA;
arguments: [end_time is greater than SYSDATE]

処置は必要ありません。この問題は、AWRウェアハウスのSYSDATEがポンプ・ファイルの日付を過ぎると自動的に修正されます。

ソース・データベースの抽出エラー

ソース・データベースのSYSAUX表領域が不十分で、AWRスナップショットの抽出に対応できない場合、抽出は次のエラーにより失敗します。

ORA-20115: Data Pump export encountered error:
ORA-31626: job does not exist
ORA-31633: unable to create master table "SYS.SYS_EXPORT_TABLE_08"
ORA-06512: at "SYS.DBMS_SYS_ERROR", line 95
ORA-06512: at "SYS.KUPV$FT", line 1048
ORA-01658: unable to create INITIAL extent for segment in tablespace SYSAUX
ORA-06512: at "SYS.DBMS_SWRF_INTERNAL", line 2159
ORA-31626: job does not exist

この問題を解決するには、SYSAUX表領域を増やしてください。

抽出ジョブでは、データ・ポンプを使用してAWRスナップショット・ダンプをエクスポートします。データ・ポンプ・ジョブでは、マスター表を使用してジョブの進捗を追跡します。エクスポート中にエラーが発生すると、マスター表はそのまま残ります。エラーが累積するに従ってマスター表も増え、最終的に次のエラーが発生します。

ORA-20115: Data Pump import encountered error:
ORA-31634: job already exists
ORA-31664: unable to construct unique job name when defaulted
ORA-31634: job already exists

これを解決するには、以前に失敗したジョブのマスター表を削除します。次のようにして、NOT RUNNING状態のジョブを対象としたdba_datapump_jobsビューの問合せを行います。

SELECT job_name
FROM dba_datapump_jobs
WHERE owner_name='SYS'
 AND operation='EXPORT'
 AND job_mode='TABLE'
 AND job_name like 'SYS_EXPORT_%'
 AND state='NOT RUNNING';

注意:

問合せが戻したジョブ名がアクティブなデータ・ポンプ・ジョブによって使用されている場合があります。データ・ポンプのマスター表を誤って削除しないように、アクティブなデータ・ポンプ・ジョブがないことを確認してください。

AWRウェアハウスの機能を有効にするパッチには、レガシー・マスター表の修正が含まれているので、パッチ適用後にこの問題が発生することはありません。

ソース・データベースの抽出時に発生する可能性のあるその他のエラーは、「AWRウェアハウスのロード・エラー」のデータ・ポンプ・エラーも参照してください。

転送エラー

1つのソース・データベースにAWRウェアハウスへのロードを待機しているダンプ・ファイルが多数あり、それぞれのサイズを合計するとしきい値(1GB)を超える場合は、次のエラーが発生します。

The total size of dump files from the source database exceeds threshold value (size: xxx MB, threshold: xxx MB)

AWRウェアハウスへのダンプ・ファイルのロードに根本的な問題があって、ダンプ・ファイルのバックログが生成されている可能性があります。未処理のロード・エラーがないかチェックし、ある場合はそのエラーを解決して、インポートを再開できるようにします。

AWRウェアハウスへのロードを待機しているすべてのソース・データベースのダンプ・ファイルの合計サイズがしきい値(30GB)を超える場合、次のエラーが発生します。

The total size of dump files on AWR Warehouse exceeds threshold value (size: xxx MB, threshold: xxx MB)

ロード・キューに保留中のダンプ・ファイルのバックログが存在する理由を特定します。バックログの問題を解決すると、ロードを再開できるようになります。