9 パフォーマンス・ハブ・アクティブ・レポートの生成

EMのパフォーマンス・ハブ機能では、指定した期間のすべてのパフォーマンス・データの統合ビューを示すアクティブ・レポートが提供されます。レポートは完全にインタラクティブです。この内容はHTMLファイルに保存され、このファイルはWebブラウザを使用してオフラインでアクセスできます。

関連項目:

EMのパフォーマンス・ハブ機能の詳細は、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』を参照してください。

この項では、パフォーマンス・ハブ・アクティブ・レポートの生成方法を説明しており、内容は次のとおりです。

パフォーマンス・ハブ・アクティブ・レポートの概要

パフォーマンス・ハブ・アクティブ・レポートを使用すると、指定した期間に使用可能なすべてのパフォーマンス・データが表示されます。期間に対してリアルタイム・データまたは履歴データのいずれを選択するかによって、パフォーマンス・ハブで使用可能なタブが異なります。リアルタイム・データを選択した場合、最後の時間のリアルタイム・データが表示されるため、より詳細なデータが表示されます。履歴データを選択した場合は、より詳細なデータが表示されますが、データ・ポイントは選択した期間の自動ワークロード・リポジトリ(AWR)の間隔に平均化されます。

この項では、パフォーマンス・ハブ・アクティブ・レポートについて説明しており、内容は次のとおりです。

パフォーマンス・ハブ・アクティブ・レポートのタブについて

パフォーマンス・ハブ・アクティブ・レポートには、様々なパフォーマンス領域に分類されたパフォーマンス・データを表示してナビゲートできるインタラクティブ・タブが含まれます。

パフォーマンス・ハブ・アクティブ・レポートに含まれるタブには次のものがあります。

  • サマリー

    「サマリー」タブにはリソース使用量、平均アクティブ・セッションおよびロード・プロファイル情報などのシステム・パフォーマンスの概要が示されます。このタブはリアルタイム・データ、ならびに履歴データに使用できます。

  • アクティビティ

    「アクティビティ」タブにはASH分析が表示されます。このタブはリアルタイム・データ、ならびに履歴データに使用できます。

  • ワークロード

    「ワークロード」タブには、コール率、ログオン率および上位SQLなどのワークロード・プロファイルに関するメトリック情報が表示されます。このタブはリアルタイム・データ、ならびに履歴データに使用できます。

  • RAC

    「RAC」タブには、受け取ったグローバル・キャッシュ・ブロック数および平均ブロック待機時間などのOracle RAC固有のメトリックが表示されます。このタブはOracle RAC環境でのみ使用できます。このタブはリアルタイム・データ、ならびに履歴データに使用できます。

  • 監視対象SQL

    「監視対象SQL」タブには、監視対象のSQL文に関する情報が表示されます。このタブはリアルタイム・データ、ならびに履歴データに使用できます。

  • ADDM

    「ADDM」タブには、ADDM分析タスクとリアルタイムADDM分析レポートの情報が表示されます。このタブはリアルタイム・データ、ならびに履歴データに使用できます。

  • 最新のADDM結果

    「最新のADDM結果」タブには、過去5分間のシステム・パフォーマンスのリアルタイム分析が表示されます。このタブは、パフォーマンス・ハブ・アクティブ・レポートの指定期間が過去の時間内にある場合のみ使用できます。このタブはリアルタイム・データのみに使用できます。

  • データベース時間

    「データベース時間」タブには、様々なメトリックのカテゴリ別の待機イベントが表示されます。このタブは履歴データのみに使用できます。

  • リソース

    「リソース」タブには、オペレーティング・システムおよびI/Oの使用状況統計が表示されます。このタブは履歴データのみに使用できます。

  • システム統計

    「システム統計」タブにはデータベースおよびシステム統計が表示されます。このタブは履歴データのみに使用できます。

パフォーマンス・ハブ・アクティブ・レポートのタイプについて

レポート・タイプを選択することで、パフォーマンス・ハブ・アクティブ・レポートの各タブ内に表示される詳細のレベルを選択できます。

パフォーマンス・ハブ・アクティブ・レポートに使用可能なレポート・タイプには次のものがあります。

  • 基本

    すべてのタブの基本情報のみがレポートに保存されます。

  • 標準

    基本レポート・タイプに保存された情報以外に、「監視対象SQL」タブに含まれた上位SQL文のSQL監視情報とADDMレポートがレポートに保存されます。

  • すべて

    標準レポート・タイプに保存された情報以外に、「監視対象SQL」タブに含まれた全SQL文のSQL監視情報と、すべてのタブに対するすべての詳細レポートがレポートに保存されます。

パフォーマンス・ハブ・アクティブ・レポートを生成するためのコマンドライン・ユーザー・インタフェース

次のいずれかの方法でコマンドライン・インタフェースを使用して、パフォーマンス・ハブ・アクティブ・レポートを生成できます。

SQLスクリプトを使用したパフォーマンス・ハブ・アクティブ・レポートの生成

この項では、コマンドライン・インタフェースでperfhubrpt.sql SQLスクリプトを実行して、パフォーマンス・ハブ・アクティブ・レポートを生成する方法を説明します。このスクリプトの実行にはDBAロールが必要です。

パフォーマンス・ハブ・アクティブ・レポートを生成するには:

  1. SQLプロンプトで次のように入力します。

    @$ORACLE_HOME/rdbms/admin/perfhubrpt.sql
    
  2. 目的のレポート・タイプを指定します。

    Please enter report type: typical
    

    使用可能なレポート・タイプの詳細は、「パフォーマンス・ハブ・アクティブ・レポートのタイプについて」を参照してください。

  3. 使用するデータベースのデータベース識別子の値を入力します。

    Please enter database ID: 3309173529
    

    ローカル・データベースを使用する場合は、null値(デフォルト値)を入力します。ローカル・データベース以外のデータベースのデータベース識別子を指定する場合、パフォーマンス・ハブ・アクティブ・レポートはインポートされたAWRデータから生成されます。

  4. 使用するデータベース・インスタンスのインスタンス番号の値を入力します。

    Please enter instance number: all instances
    

    すべてのインスタンスを指定する場合は、all instances(デフォルト値)と入力します。

  5. 終了時間および開始時間をdd:mm:yyyy hh:mi:ssの形式で指定して、目的の期間を入力します。

    Please enter end time in format of dd:mm:yyyy hh24:mi:ss: 03:04:2014 17:00:00
    Please enter start time in format of dd:mm:yyyy hh24:mi:ss: 03:04:2014 16:00:00
    
  6. レポート名を入力するか、デフォルトのレポート名を受け入れます。

    Enter value for report_name: my_perfhub_report.html
    

    この例では、2014年4月3日の午後4時から午後5時までの指定期間について、データベースID値3309173529のすべてのデータベース・インスタンスでmy_perfhub_reportというパフォーマンス・ハブ・アクティブ・レポートが生成されます。

パフォーマンス・ワークロード分析

ワークロード分析

ワークロード分析は、特定のワークロードを固定またはローリング可能な別の参照と比較することで、ワークロードの問題を迅速に識別するツールです。分析自体は、2つの期間の比較など、1回かぎりの分析にすることも、様々な柔軟なパラメータを使用してスケジュールされた繰返しタスクにすることもできます。分析の期間は、「データの表示」ドロップダウンから選択され、デフォルトの範囲は「過去24時間」「過去7日間」「過去30日間」および「すべて」です。

スケジュール済分析

「ワークロード分析」ページのスケジュール済分析タブには、次の差異数を警告するカウンタを含む5つのボックスが表示されます:

  • 変更されたワークロード
  • 監視対象ワークロード
  • 低下したメトリック
  • 向上したメトリック
  • 変化のないメトリック

カウンタの概要は、ワークロードの変更が期間中にどのように改善したか、あるいは低下したかについてのインサイトを提供します。

スケジュール済分析分析タスクの作成では、繰返しタスクに関する追加情報を指定する必要があります。次に、「ワークロードの取得」フォームで繰返し分析を確立するために必要な設定の一部(オプション)を示します。

  • SQLチューニング・セット名の接頭辞
  • AWRスナップショットを使用したSQL文のロード
    • 開始時間と終了時間のカスタム時間範囲の指定
    • 過去に作成されたスナップショットから、指定した時間数または日数単位で、最大7日間のみのクイック選択
    取得されたSQL文の合計数
    • すべて収集
    • 上位N個の収集
  • フィルタ・オプション
  • ワークロードの比較
    • 後続の比較: ローリング参照を使用して比較するか、固定参照を使用して比較します
    • オプションの初期参照ワークロード
    • 比較メトリック(CPU時間経過時間バッファ読取りディスク読取りダイレクト書込み物理I/Oオプティマイザ・コストなど)。
    • しきい値の変更(%)
    • コンシューマ・リソース・グループ
    • パージ結果を保持する日数
  • スケジュール

    • タイムゾーン: 「ローカル」(アメリカ/デンバー)、「データベース」(GMT)または「UTC」

      開始日: 日付フィールドを使用して「即時」または「後で」を指定します

      終了日: 「なし」または指定日

      繰返し間隔: 最初に単位を選択します。
      • (1-24)時間
      • (1-7)日
      • (1-4)週
      • (1-12)か月

      繰返し: 指定日またはカスタム時間

分析タスクが作成されると、スケジュール済分析の下に表示されます。表内の分析名の横にある矢印は、そのスケジュール済分析が実行されたときに様々なインスタンスのリストに展開され、結果の比較レポート(またはワークロード分析レポート)にリンクします

ワンタイム分析

「ワークロード分析」ページの1回かぎりの分析タブには、次の差異数を警告するカウンタを含む5つのボックスが表示されます:

  • 差異のある分析
  • 分析合計
  • 低下したメトリック
  • 向上したメトリック
  • 変化のないメトリック

カウンタの概要は、ワークロードの変更が期間中にどのように改善したか、あるいは低下したかについてのインサイトを提供します。

分析タスクの作成は、1回かぎりの分析の場合と同様です。タスクに必要なものは次のとおりです

  • タスクの一意の名前

  • 名前で参照ワークロードを選択するか、検索します。

  • 名前で比較済ワークロードを選択するか、検索します。

  • タスクには、1つ以上の比較メトリック(CPU時間経過時間バッファ読取りディスク読取りダイレクト書込み物理I/Oオプティマイザ・コストなど)が必要です。

分析タスクが作成されると、1回かぎりの分析の下に表示されます。表内の分析名の横にある矢印は、そのスケジュール済分析が実行されたときに様々なインスタンスのリストに展開され、結果の比較レポート(またはワークロード分析レポート)にリンクします

ワークロード分析レポート

ワークロード分析レポートは、定期的に実行するか1回実行するかに関係なく、分析タスクの実行後に使用できます。各分析には独自のレポートがあります。

レポートの情報は、分析タスクの作成で設定した基準によって異なります。レポートには、参照または比較(あるいはその両方)に関するデータが含まれ、比較メトリック(CPU時間経過時間バッファ読取りディスク読取りダイレクト書込み物理I/Oオプティマイザ・コストなど)を使用したサマリーが続きます。

「サマリー」領域には、たとえば、ワークロードへの影響「全体」共通SQL改善されたSQL低下したSQL欠落しているSQLおよび新しいSQLごとにリストされます:

「ブレークダウン」領域には、次のような様々なパフォーマンス・トピックのグラフが表示されます:

  • 「CPU時間」は、ワークロードの前後を含むグラフです。
  • パフォーマンス別SQL文は、改善済、低下済、変更なし、欠落および新規カテゴリと、それらの数を示す棒グラフです。
  • 計画変更別SQL文には、新規計画および同じ計画の影響が並べて表示されます。

ワークロードの影響別の上位SQL文領域は、次の各影響の表です:

  • 影響
  • SQL ID
  • SQLテスト
  • 計画変更
  • ワークロードに対する最終の絶対的な影響(%)
  • CPU時間変更(ミリ秒)