4 Oracle Database Freeのインストール

この項の内容は次のとおりです。

WindowsでのOracle Database Freeインストールに対するAuthenticated Usersグループの制限

Microsoft Windowsでは、Oracle Database Free 23aiをインストールするディレクトリと、ルート・ディレクトリ以外のその親ディレクトリ(C:\など)を、Authenticated Usersグループが変更できないという要件があります。

インストール時に指定されたデフォルトのインストール場所を受け入れるか、まだ存在しないディレクトリで構成されるインストール・パスを入力することをお薦めします。インストーラによって、これらのディレクトリが作成され、権限が正しく設定されます。

または、既存のディレクトリで構成されるインストール場所を指定し、これらのディレクトリに対する権限の変更をインストーラに許可し、Authenticated Usersグループのアクセス権を削除することもできます。既存のディレクトリに対する権限の変更をインストーラに許可するのは、これらのディレクトリを使用する他のアプリケーションに影響を与えないことが確実な場合のみです。

詳細は、インストーラの実行のステップ8を参照してください。

ノート:

  • この制限は、これらのディレクトリに対するmodify (書込み/名前変更/削除)アクセス権を持たないAuthenticated Usersグループに適用されます。そのグループのメンバーである管理者は引き続きインストールできます。
  • サーバー以外のWindowsオペレーティング・システム(Windows 11など)では、C:\の下に作成されたディレクトリに対して、Authenticated Usersグループにデフォルトでmodifyアクセス権が付与されます

インストール・ディレクトリに対する権限の手動変更

インストーラは正しい権限でディレクトリを作成したり、既存のディレクトリに対する権限を変更したりできるため、権限を自分で変更する必要はありません。ただし、権限を変更する場合は、次のステップを実行できます:
  1. パス内の最上位ディレクトリの継承を無効にします。
    C:\> icacls c:\dbfree /inheritancelevel:d

    ノート:

    このコマンドは、パス内のすべてのディレクトリに対して実行する必要はありません:
  2. パス内の各ディレクトリからAuthenticated Users権限を削除します:
    C:\> icacls c:\dbfree /remove:g *s-1-5-11
    C:\> icacls c:\dbfree\mydb /remove:g *s-1-5-11

ディレクトリの権限の確認

Oracle Database Freeをインストールするパス内のディレクトリの権限を確認するには、パス内のディレクトリごとに次のステップのいずれかを実行します:

  1. icaclsユーティリティを実行して、ディレクトリの権限を確認します。たとえば: C:\> icacls c:\dbfree
  2. ファイル・エクスプローラで、ディレクトリを右クリックし、「セキュリティ」タブを選択します。

Authenticated Usersグループがルート・ディレクトリ以外のパスのディレクトリ(C:\など)を変更できることが判明した場合、そのディレクトリにOracle Database Freeをインストールすることはできません。

インストーラの実行

ほとんどのユーザーは、インストール・パッケージをダウンロードしてファイルを抽出し、setup.exeをダブルクリックして、グラフィカル・ユーザー・インタフェースのプロンプトに必要な応答をしてOracle Database Freeをインストールします。

ノート:

  • Oracle Database Free 23aiのインストールを試みる前に、既存のOracle Database XEまたはOracle Database Free、あるいはSID XEまたはFREEのデータベースをターゲット・システムからアンインストールします。
  • インストーラでは、SID FREEを使用してデータベースが作成されます。SID FREE以外のSIDは許可されません。

Oracle Database Freeをインストールするには:

  1. 管理者権限でWindowsにログオンします。

    Oracle Database Freeをインストールするには、WindowsのAdministratorsグループの直接メンバーである必要があります。ドメイン・ユーザーとしてログインしている場合は、ネットワークに接続していることを確認してください。そうしないと、インストール中に管理者権限の前提条件チェックに失敗する場合があります。

  2. ORACLE_HOMEまたはTNS_ADMIN環境変数が設定されている場合は削除します。

  3. Microsoft WindowsバージョンのOracle Database Freeをダウンロードします。

  4. ダウンロードしたzipファイルを一時的な場所に抽出します。setup.exeを見つけてダブルクリックします。前提条件のインストールは、必要に応じて環境に対して行われます。

  5. 「Oracle Database 23ai FreeのInstallShieldウィザードへようこそ」ウィンドウで、「次へ」をクリックします。

  6. 「使用許諾条項」ウィンドウで条項の内容を読み、その条件に同意する場合は、「使用許諾条項を受け入れます」を選択して、「次へ」をクリックします。条件を受け入れない場合は、インストールを取り消して、Oracle Database 23ai Freeソフトウェアをコンピュータから削除します。

  7. これで、インストーラにより前提条件のチェックが実行され、次のことが確認されます。

    • Windowsのバージョンとエディションがサポートされています

    • 環境変数ORACLE_HOMEおよびTNS_ADMINは設定されていません

    • インストール・ユーザーは、Administratorsグループの直接メンバーです

    • Oracle Database FreeまたはOracle Database Express Editionサービスはまだ作成されていません

    これらのチェックのいずれかが失敗すると、「前提条件のチェック」ウィンドウが開いてユーザーに通知されます。その場合は、インストールを取り消して問題を修正し、インストールを再試行します。

  8. 「宛先フォルダ」ウィンドウで、デフォルトの場所をそのまま使用するか、「変更」をクリックして、まだ存在しないディレクトリを含むパスを現在の宛先フォルダの変更ダイアログ・ボックスの「フォルダ名」フィールドに入力します。これにより、インストーラはディレクトリを作成できます。現在の宛先フォルダの変更ダイアログ・ボックスの「新規フォルダの作成」アイコンを使用しないでください。既存のインストール・ディレクトリを選択することもできます。ただし、名前に空白があるディレクトリは選択しないでください。「次へ」をクリックします。

    図4-1 現在の宛先フォルダの変更ダイアログ・ボックス



    Microsoft Windowsでは、Oracle Database Free 23aiをインストールするディレクトリとその親ディレクトリを、Authenticated Usersグループが変更できないという要件があります。既存のディレクトリを選択し、この要件を満たさない場合は、次の警告画面が表示されます:

    このメッセージが表示された場合は、「変更」をクリックし、まだ存在しないディレクトリを含むパスを現在の宛先フォルダの変更ダイアログ・ボックスの「フォルダ名」フィールドに入力することをお薦めします。これにより、インストーラは適切な権限でディレクトリを作成できます。適切な権限でフォルダが作成されないため、変更ダイアログ・ボックスの「新規フォルダの作成」アイコンは使用しないでください。

    または、指定されたディレクトリに対する権限を変更チェック・ボックスを選択し、「次へ」をクリックします。インストーラは、既存のディレクトリに対する権限を変更し、Authenticated Usersグループのアクセス権を削除します。このチェック・ボックスを選択するのは、権限を変更しても、これらのディレクトリを使用する他のアプリケーションに影響を与えないことが確実な場合のみです。

    ノート:

    ディレクトリ権限を確認する場合、または手動で権限を設定する場合は、Oracle Database Freeインストールに対するAuthenticated Usersグループの制限を参照してください。
  9. 「Oracle Database情報」ウィンドウで、SYSSYSTEMおよびPDBADMINのデータベース・アカウントに使用する単一のデータベース・パスワードを入力して確認します。次に、「次へ」をクリックします。

    ノート:

    これらのアカウントに同じパスワードが使用されます。パスワードはOracle推奨標準に準拠する必要があります。パスワードの保護に関するガイドラインの詳細は、Oracle Databaseセキュリティ・ガイドを参照してください

  10. 「サマリー」ウィンドウでインストール設定を確認し、問題がなければ「インストール」をクリックします。そうでない場合は、「戻る」」をクリックし、必要に応じて設定を変更します。

  11. インストールが完了すると、「{TahomaBold10}Oracle Databaseが正常にインストールされました。」ウィンドウが表示されます。

    マルチテナント・コンテナ・データベースおよびプラガブル・データベースに指定されている接続文字列をノートにとります。「終了」をクリックしてインストーラを閉じます。

構成、データベース・ファイルおよびログの場所

次の表に、OracleベースOracleホーム、データベース・ファイル、ログなどの重要な場所を示します。<INSTALL_DIR>はインストール時に選択したインストール・ディレクトリです。デフォルトのインストール・ディレクトリはC:\app\<username>\product\23aiです。<username>はインストールを実行するWindowsユーザーの名前です。

表4-1構成、データベース・ファイルおよびログの場所

ファイル名と位置 用途

<INSTALL_DIR>

Oracleベース

これは、Oracle Database Freeディレクトリ・ツリーのルートです。

<INSTALL_DIR>\dbhomeFree

Oracleホーム

このホームは、Oracle Database Freeがインストールされている場所です。これには、Oracle Database Free実行可能ファイルおよびネットワーク・ファイルのディレクトリが含まれます。

<INSTALL_DIR>\oradata\Free

データベース・ファイル

<INSTALL_DIR>\diag\rdbms\free\free\trace

診断ログ

データベース・アラート・ログは<INSTALL_DIR>\diag\rdbms\free\free\trace\alert_free.logです

<INSTALL_DIR>\cfgtoollogs\

データベースのインストール、作成および構成のログ。

<INSTALL_DIR>\cfgtoollogs\dbca\Free\Free.logファイルには、データベース作成スクリプトの実行結果が格納されています。

%Program Files%\Oracle\Inventory\logs

ソフトウェア・インストールのログ。

サイレント・インストールの実行

複数のコンピュータにOracle Database Freeをインストールする予定の場合、またはサード・パーティ・アプリケーションにバンドルする場合は、サイレント・インストールを実行してインストール・ファイルをダウンロードし、提供されているレスポンス・ファイルを使用してコマンドラインで実行することをお薦めします。

Oracle Database Freeの既存のバージョンがある場合は、データ・ファイルにデータをエクスポートして保存できます。Oracle Database Freeの新しいバージョンをインストールした後、このデータを新しいデータベースにインポートできます。

Oracle Database Freeのサイレント・インストールを実行するには:

  1. 管理者権限でWindowsにログオンします。

    Oracle Database Freeをインストールするには、WindowsのAdministratorsグループに属している必要があります。ドメイン・ユーザーとしてログインしている場合は、ネットワークに接続していることを確認してください。

  2. Oracle Database Free for Microsoft Windowsをダウンロードします。ファイルを一時ディレクトリに解凍します。

  3. FREEInstall.rspレスポンス・ファイルを開き、必要に応じて設定を変更します。

    ノート:

    レスポンス・ファイル・パラメータの詳細は、表4-2を参照してください。
  4. ORACLE_HOME環境変数が設定されている場合は、それを削除します。

  5. FREEInstall.rspレスポンス・ファイルを使用してインストール・ファイルを実行します。

    たとえば、setup.exeファイルとFREEInstall.rspファイルをfree_tempというディレクトリに抽出した場合は、次のコマンドを入力します。

    c:\free_temp> setup.exe /s /v"RSP_FILE=c:\free_temp\response\FREEInstall.rsp" /v"/L*v c:\free_temp\setup.log" /v"/qn"

    インストールが完了すると、Oracle Database Freeが起動します。

レスポンス・ファイルのパラメータ

次の表では、レスポンス・ファイルの重要なパラメータについて説明します。パラメータ値は空にできません。パラメータに有効な値を指定する必要があります。

表4-2 レスポンス・ファイルのパラメータ

パラメータ 用途 デフォルト値

INSTALLDIR

インストール・ディレクトリの場所。

[USERNAME]を現在のユーザーに置き換えます。

INSTALLDIR=C:\app\<username>\product\23ai

PASSWORD

Oracle Database Freeのパスワード。

すべてのユーザーにこのパスワードが設定されています。インストールの完了後すぐにパスワードをリセットしてください。

PASSWORD=passwordvalue

LISTENER_PORT

リスナー・ポート。

LISTENER_PORT=0

リスナー・ポートが0に設定されている場合は、1521から順に使用可能なポートが自動的に割り当てられます。

CHAR_SET

データベースの文字セット。

CHAR_SET=AL32UTF8

DB_DOMAIN

一意のデータベース名指定のデータベース・ドメイン名を指定します。

 
SOFTWARE_ONLY ソフトウェアのみのインストールの場合は、SOFTWARE_ONLY=TRUEを指定します。これはTrue Cache構成に必要です。 SOFTWARE_ONLY=FALSE
MODIFY_DIRECTORY_PERMISSIONS

ACLが正しくなく、インストーラがディレクトリ権限を変更する必要がある場合は、MODIFY_DIRECTORY_PERMISSIONS=TRUEを指定します。Authenticated Usersグループの権限があるディレクトリを含むインストール・パスを指定すると、サイレント・インストールは失敗します。このフラグをTRUEに変更すると、インストーラは既存のディレクトリに対する権限を変更し、Authenticated Usersグループのアクセス権を削除します。


                                    

ノート: ログ・ファイルに次のメッセージが表示された場合は、MODIFY_DIRECTORY_PERMISSIONS=TRUEを指定します。

SEVERE: The provided destination folder is under a directory that is modifiable by
      Authenticated users. Specify a path that is not modifiable by Authenticated
    Users.

詳細は、Oracle Database Freeインストールに対するAuthenticated Usersグループの制限を参照してください。

MODIFY_DIRECTORY_PERMISSIONS=FALSE

ノート:

インストールが正常に完了すると、setup.exeのパラメータとして指定したログ・ファイルに次のメッセージが表示されます。たとえば、c:\free_temp\setup.log:

MSI (c) (28:B8) [タイムスタンプ]: Windows インストーラにより製品がインストールされました。製品名: Oracle Database 23ai Freeリリース。製品バージョン: 23.0.0.0.0。製品の言語: [現在の言語ID]。製造元: Oracle Corporation。インストールの成功またはエラーの状態: 0。

サイレント・インストールは非同期で実行されるため、ログ・ファイルで完了ステータスを確認できます。

インストールが失敗した場合は、次のインストール・ログ・ファイルを参照してください。
  • 一般ログ: %Program Files%\Oracle\Inventory\logsにあります
  • データベース作成ログ: Oracle_base\cfgtoollogsにあります