代替履行シナリオの作成による原価削減
納期回答を設定して、品目を履行するための合計原価が最も低い代替履行シナリオを選択できるようにします。
利益マージンを最大化します。 PTPフローにおいて、発生する原価が最も少ないオプションを使用してください。 組織内の品目に対して発生する原価、組織間で品目を転送する原価、およびサプライヤから品目を出荷するために発生する輸送原価を削減します。
以下を実行します。
- High Volume Order Promising機能を有効にします。 納期回答は、到着日のスケジュール時に出荷元事業所から顧客のサイトに品目を出荷するために発生する原価を含めます。 また、生産資源構成表から製造品目の生産資源原価および資材原価を含めることもできます。
- ATPルールでPTPを有効にします。 これを使用して、品目の履行に通常使用するソースを、よりコスト効率の高いソースに変更できます。
- 実行時に、有効数量のチェック処理を使用して、納期回答で現在使用されているデフォルトの有効数量オプションと、別の出荷方法を使用したり、別のロケーションから出荷するなど、より費用対効果の高い代替オプションを確認します。 デフォルトを使用するか、代替を選択します。
たとえば、次のいずれかを選択します。
有効数量オプション オプション要約 履行原価 遅延日数 予想到着日 予想出荷元倉庫 現行オプション デフォルト・オプション $620 3 1/1/2023 デンバー 代替オプション1 高速出荷方法 $700 3 1/1/2023 デンバー 代替オプション2 異なる出荷事業所 $900 3 1/1/2023 シアトル 代替オプション3 異なる出荷事業所 $950 3 1/1/2023 ポートランド 代替オプション4 異なる出荷事業所 $1,300 3 1/1/2023 サンフランシスコ 代替オプション5 低速出荷方法 $800 4 1/2/2023 デンバー
この処理によって、納期搬送が原価よりもどのように優先されるかに注意してください。 たとえば、オプション5はオプション2、3、および4よりも低コストですが、オプション5ではもう1日遅延するため、リスト内で最後になります。
優先度付け
納期回答の第1の目的は、定時または最小遅延で販売オーダーを履行することです。 納期回答で要求日以内にオーダーを履行する方法が複数あることが判明した場合、どのソースを使用するかを決定するために各ソースの原価が考慮されます。 たとえば、在庫原価、転送原価および搬送原価が考慮されます。 品目を製造する必要がある場合、積上原価も考慮されます。
納期回答が需要を優先する方法を次に示します。
| 優先度 | 説明 | 有効数量のチェック・ページで上位6件の履行シナリオをソートする際の基準 |
|---|---|---|
| 1. 定時搬送 | 納期回答は、要求日および数量に従って、定時または最小遅延で販売オーダーを履行することを最も優先します。 | 予想納期 |
| 2. 原価 | 納期回答は、原価に基づいて販売オーダーを履行することを次に優先します。 | 原価 |
納期回答が考慮する原価は次のとおりです。
| 原価 | 説明 |
|---|---|
| 品目の標準原価。 |
品目が在庫にある場合、納期回答では品目の標準原価またはそれを代替するための原価を使用します。 品目の原価を収集する必要があります。 |
| サプライヤの事業所でのサプライヤ原価。 | 品目を購入すると、承認済サプライヤ・リスト・ファイル・ベース・データ・インポート(FBDI)でインポートしたサプライヤ原価が納期回答で使用されます。 |
|
品目を転送する原価:
|
納期回答では、これらのタイプの転送ごとに「移動時間の管理」タスクで指定したユニットごとに転送原価が使用されます。 |
リソース構成表には、製造する品目の原価は含まれません。 かわりに、納期回答によって計算されます。
| 原価 | 説明 |
|---|---|
|
品目とその部分組立品の作成原価。
|
それぞれの重要なリソースのリソース原価をリソース構成表に含めます。 品目に複数のレベルがある場合は、納期回答によってリソース原価が積み上げられます。 リソースの原価を収集する必要があります。 |
| 品目の製造コンポーネントの原材料の原価。 |
納期回答では、品目の標準原価が使用されます。 原材料を購入する必要がある場合、納期回答ではサプライヤ事業所におけるサプライヤの原価が使用されます。 |
| 原材料、製造コンポーネントまたはサブアセンブリをファクトリに輸送するためのコスト。 | 納期回答では、「移動時間の管理」タスクで指定したユニットごとの転送原価を使用して、サプライヤから組織へ、または組織間で品目を転送するときに発生する原価を決定します。 |
例
次のサプライ・チェーン・ネットワークがあるとします。
次のように仮定します
- AS54888 Desktop Computer品目のオーダー明細を数量10で納期処理する必要があります。
- AS54888には、部分組立品SA1および部分組立品SA2が含まれます。
- R1リソースを使用して、SA1およびSA2を組み立てます。
- 生産能力は日ごとで、原価はユニットごとです。 たとえば、R1では、ユニットごとに$2の原価で1日当たり1,000ユニットを作成できます。
- 各サブアセンブリを他のサブアセンブリまたは製造コンポーネントから作成し、異なるリソースを使用して組み立てます。
- 部分組立品とAS54888はファクトリで作成します。
- すべての製造コンポーネントおよびリソースはファクトリで利用できます。
| リソースまたは製造コンポーネント | 各ユニットの原価 | 数量 | 合計 |
|---|---|---|---|
| C22 | $1 | 10 | $10 |
| C1112 | $1 | 10 | $10 |
| R1 | $2 | 10 | $20 |
| R21 | $1 | 10 | $10 |
| R11 | $1 | 10 | $10 |
| R111 | $1 | 10 | $10 |
| - | - | 合計履行原価: | $70 |
ノート
- 納期回答では、生産資源構成表の重要な製造構成部品と重要な生産資源が使用されます。
- 納期回答では、サプライ・チェーン内のすべてのパスを検討し、最も低コストのパスが提供されます。
- 納期回答では、品目の作成時に組立品または部分組立品の個々の原価は返されません。 かわりに、品目の作成が終了した後、有効在庫からAS54888を納期処理すると、原価が返されます。
到着日に従った納期回答
納期回答では、到着日に従って納期処理した場合の、顧客への品目の出荷原価が考慮されます。 AS54888の品目のオーダー明細を数量10で納期処理する必要があるとします。 品目を作成できるファクトリは3つあり、各ユニットを作成および出荷するための原価はファクトリごとに異なります。
| ランク | ファクトリ | ATP供給 | 移動時間 | 各ユニットの作成原価 | 各ユニットの出荷原価 | 履行原価 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | デンバー | 10 | 2日 | $1 | $1.30 | $23.00 |
| 2 | シアトル | 30 | 2日 | $2 | $0.25 | $22.50 |
| 3 | サンフランシスコ | 30 | 3日 | $5 | $1.50 | $65.00 |
デンバーは最高ランクですが、納期回答はシアトルから品目を履行します。これは、シアトルはデンバーと同じ時間で品目を納期処理できますが、シアトルは原価が最小であるためです。 履行原価の計算を次に示します。
| ファクトリ | 各ユニットの作成原価 | 各ユニットの出荷原価 | 数量 | 履行原価 | 計算 |
|---|---|---|---|---|---|
| デンバー | $1 | $1.30 | 10 | $23.00 | $1 + 1.30 * 10 |
| シアトル | $2 | $0.25 | 10 | $22.50 | 2 + 0.25 * 10 |
| サンフランシスコ | $5 | $1.50 | 10 | $65.00. | 5 + 1.50 * 10 |
供給をサプライヤから転送する場合も同じロジックが適用されますが、納期回答では各ユニットを作成する原価ではなく、各ユニットを転送する原価が参照されます。
納期回答によるサプライ・チェーン・ネットワークの調査方法
例1
ノート
- 数量が20のオーダー明細を納期処理する必要があります。
- 明細の要求到着日はシステム日付です。
- ネットワーク内のすべての組織の要求到着日に、数量10ユニットを使用できます。
- 明細をファクトリ間で分割できますが、数量全体を単一の出荷でまとめて搬送する必要があります。
納期回答では、要求された数量を履行するまで、ネットワーク内のすべてのノードを確認します。
| 結果 | サプライ・チェーン・パス | 履行原価 | 計算 |
|---|---|---|---|
| デフォルト | まずロサンゼルス、次にデンバー | $40 |
|
| 代替1 | まずニューヨーク、次にボストン | $50 |
|
ノート
- 納期回答はデフォルトのパスであるロサンゼルスから開始します。
- ロサンゼルスのパスが需要を満たせない場合、納期回答ではニューヨークのパスを確認します。
- ロサンゼルスのパスでは原価が少なくなるので、納期回答ではロサンゼルスから納期処理します。
例2
同じシナリオを想定しますが、数量を30とします。
| 結果 | サプライ・チェーン・パス | 履行原価 | 計算 |
|---|---|---|---|
| デフォルト | まずニューヨーク、次にボストン、その次にトロント | $70 |
|
| 代替1 | まずロサンゼルス、次にデンバー、その次にサンフランシスコ | $80 |
|
| 代替2 | まずニューヨーク、次にシカゴ、その次にフィラデルフィア | $90 |
|
ノート
- 納期回答は、デフォルト・パスとしてニューヨークから開始します。
- ニューヨークのパスで需要を満たせない場合、納期回答ではボストンを確認します。これは、ボストンは、フィラデルフィアを通過するよりもコスト効率が高いためです。
- ボストンで需要を満たせない場合、納期回答はロサンゼルスのパスを確認します。ロサンゼルスを通貨する方がフィラデルフィアを通過するよりコスト効率が高いからです。
ガイドライン
- リソース構成表には、品目の製造原価が含まれていません。 かわりに、納期回答では、品目原価や転送原価などに基づいて品目を納期回答するとその原価が計算されます。
- 納期回答では、ソース・ルールに基づいて製造品目の転送原価が考慮されます。 リソース構成表の組織間で品目を転送するために発生する原価は考慮されません。 納期回答で転送原価を適用する場合は、品目がリソース構成表のソースおよび宛先において重要度が高いことを指定する必要があります。
- 転送コスト、標準品目コスト、サプライヤ・コスト、リソース・コストなど、Oracle Applicationsでコストを正しく設定していることを確認してください。
演習
- ATPルールを設定します。
- 「グローバル・オーダー納期回答」作業領域に移動します。
- 「タスク」→「ATPルールの管理」をクリックします。
- 新しいルールを作成するか、すでに作成済のルールを編集のために開いてから、属性を設定します。
属性 値 PTP検索を使用可能 チェック・マークが含まれます。
この属性を有効にする必要があります。
納期回答では、サプライ・チェーン・ネットワーク内のすべての組織に対してこのオプションが有効になっていると想定され、これらの組織すべてに対してこの機能が使用されます。
- 品目を直接出荷する場合:
- 属性を設定します。
属性 値 納期回答モード サプライ・チェーン有効数量検索 - 「ATPルール割当」をクリックし、属性を設定します。
属性 値 組織に割当 この属性を直接出荷検証組織に設定します。
- 属性を設定します。
- 実行時に、可用性のチェック・アクションを使用して可用性オプションを確認します。 デフォルトを使用するか、代替を選択します。