3.7.1 Oracle Exadata System Softwareのレスキュー手順について

システム・ディスクで障害が発生した場合、オペレーティング・システムに破損したファイル・システムがある場合またはブート領域が損傷している場合、レスキュー手順が必要です。

1つのシステム・ディスクのみで障害が発生した場合、リカバリにCellCLIコマンドを使用します。

通常の冗長性を使用している場合、レスキューされるセルのミラー・コピーは1つだけです。レスキュー手順の実行中にこのミラーでも障害が発生すると、リカバリできないデータの損失が発生する可能性があります。ミラー・コピーのデータの完全なバックアップを作成し、すぐにミラー・コピー・セルをオフラインにしてレスキュー前の新しいデータ変更を防止することをお薦めします。これにより、レスキュー・プロセス中は、障害が発生したセルのグリッド・ディスクのすべてのデータおよびそのミラー・コピーにアクセスできなくなります。

Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)ディスク修復タイマーのデフォルトの修復時間は、3.6時間です。この時間内にレスキュー手順を実行できないことがわかった場合、レスキュー手順を実行できるまで、Oracle ASMリバランス手順を使用してディスクをリバランスする必要があります。

高冗長性ディスク・グループを使用している場合(たとえば、障害が発生したセルのすべてのグリッド・ディスクにOracle ASMの複数のミラー・コピーがある場合)は、障害が発生したセルをオフラインにします。構成したOracle ASMのタイムアウト後に、障害が発生したセルのグリッド・ディスクはOracle ASMによって自動的に削除され、ミラー・コピーを使用したデータのリバランスが開始されます。デフォルトのタイムアウトは2時間です。セルのレスキューに2時間以上かかる場合は、Oracle ASMでレスキューしたセルにグリッド・ディスクを再作成する必要があります。

注意:

十分に注意してレスキュー手順を使用してください。誤って手順を使用すると、データの損失が発生する可能性があります。

レスキュー手順を使用する場合、次の点に注意してください。

  • レスキュー手順により、セルの一部またはすべてのディスクが書き換えられる可能性があります。この場合、リカバリできずにそれらのディスクのすべての内容を失う可能性があります。

    この手順を使用する場合は十分に注意し、プロンプトを確認してください。レスキュー手順は、Oracleサポート・サービスの支援を受ける場合や、一部または全部のディスクのデータを失っても問題がない場合にのみ使用してください。

  • レスキュー手順の実行中に明示的に選択しないかぎり、レスキュー手順により、データ・ディスクの内容またはシステム・ディスクのデータ・パーティションの内容は破棄されません。

  • Oracle Exadata System Softwareリリース11.2以降では、レスキュー手順によりOracle Exadata System Softwareが同じリリースにリストアされます。これには、最後に正常にブートしたときのセルのパッチが含まれます。レスキュー手順の使用に関して、次の点に注意してください。

    • セル構成情報(アラート構成、SMTP情報、管理者の電子メール・アドレスなど)はリストアされません。

    • /usr/local/bin/ipconfユーティリティの実行が最後に成功したときに存在したネットワーク構成はリストアされます。

    • セルのSSH IDと、rootcelladminおよびcellmonitorユーザーは復元されます。

    • Oracle Exadata Storage Serverに対するIntegrated Lights Out Manager (ILOM)の構成はリストアされません。通常、ILOM構成は、Oracle Exadata System Softwareに障害が発生しても損なわれません。

  • レスキュー手順により、データ・ディスクまたはシステム・ディスクのデータ・パーティションの確認または再構築は行われません。グリッド・ディスクにデータの破損がある場合、レスキュー手順は使用しないでください。かわりに、Oracle DatabaseおよびOracle ASMのレスキュー手順を使用してください。

正常なレスキューの実行後、セルを再構成し、データを保存する場合はセル・ディスクをインポートする必要があります。データを保存しない場合は、新しいセル・ディスクおよびグリッド・ディスクを作成する必要があります。