8.7.1 RoCEネットワーク・ファブリック・スイッチ・ファームウェアのアップグレードまたはダウングレードの準備

RoCEネットワーク・ファブリック・スイッチをアップグレードする場合は、特定の順序に従う必要があります。

  1. RoCEネットワーク・ファブリック・スイッチへのアクセス権を持つサーバーにログインします。
  2. サーバーに適切なパッチ・ファイルをダウンロードします。

    Oracle Exadata System Softwareリリース19.3.0以降では、スイッチの更新内容は個別のパッチに含まれています。パッチ情報は、My Oracle Supportノート888828.1を参照してください。

  3. パッチ・ファイルを解凍します。

    ファイルがpatch_switch_releaseディレクトリに解凍されます。

  4. patchmgrユーティリティを含むディレクトリに移動します。

    次に例を示します:

    # cd patch_switch_19.3.0.0.0.190915
  5. RoCEネットワーク・ファブリック・スイッチの更新を駆動するためのスイッチのリスト・ファイルを作成します。
    1. アップグレードするスイッチのホスト名またはIPアドレスを含むファイルを作成します。スイッチは1行に1つずつ入力してください。
      たとえば、1行に1つのスイッチのホスト名が記載されるswitches.lstという名前のファイルを作成します。シングル・ラック・システムでは、ファイルの内容は次のようになります。
      switch123-rocea0
      switch123-roceb0
    2. 各行にタグを付けて、各スイッチの構成タイプを指定します。

      各スイッチの構成タイプを指定するには、スイッチのリスト・ファイルで各スイッチのホスト名またはIPアドレスにコロン(:)とタグを付けます。次のタグがサポートされます。

      • leaf - シングル・ラック・システムのリーフ・スイッチを示します。タグが指定されていない場合、この構成タイプであると見なされます。
      • mspine - スパイン・スイッチを示します。1つのスパイン・スイッチ構成では、Exadata Secure RDMA Fabric Isolationがある場合とない場合の、シングル・ラック・システムとマルチラック・システムのすべてのスパイン・スイッチがサポートされます。
      • mleaf - マルチラックX8Mシステムのリーフ・スイッチを示します。
      • sfleaf - Exadata Secure RDMA Fabric Isolationのサポートが有効なシングル・ラック・システムのリーフ・スイッチを示します。
      • msfleaf - Exadata Secure RDMA Fabric Isolationのサポートが有効なマルチラックX8Mシステムのリーフ・スイッチを示します。
      • leaf23 - 23個のホスト・ポートを持つように構成されたシングル・ラック・システムのリーフ・スイッチを示します。この構成は、3つのデータベース・サーバーと11個のストレージ・サーバーを持つ8ソケット・システム(X8M-8以降)にのみ必要です。
      • mleaf23 - 23個のホスト・ポートを持つように構成されたマルチラック・システムのリーフ・スイッチを示します。この構成は、3つのデータベース・サーバーと11個のストレージ・サーバーを持つ8ソケットX8M-8システムにのみ必要です。
      • mleaf_u14 - 14個のスイッチ間リンクで構成されたマルチラック・システムのリーフ・スイッチを示します。これはX9M以降のモデル・システムの一般的なマルチラック・リーフ・スイッチ構成です。
      • msfleaf_u14 - Exadata Secure RDMA Fabric Isolationのサポートが有効になっている、14個のスイッチ間リンクで構成されたマルチラック・システムのリーフ・スイッチを示します。この構成は、Secure Fabricが有効になっているX9M以降のモデル・システムに必要です。
      • mleaf23_u13 - 23個のホスト・ポートと13個のスイッチ間リンクで構成されたマルチラック・システムのリーフ・スイッチを示します。この構成は、3つのデータベース・サーバーと11個のストレージ・サーバーを持つ8ソケットX9M-8システムにのみ必要です。
      次に例を示します:
      switch123-rocea0:leaf
      switch123-roceb0:leaf
    3. マルチラック構成の場合のみ、各スイッチに一意のループバック・オクテットを指定します。

      ループバック・オクテットは、スイッチを一意に識別するスイッチ・ループバック・アドレスの最後のオクテットです。

      各スイッチのループバック・オクテットを指定するには、ピリオド(.)と数値のループバック・オクテット値を、スイッチのリスト・ファイルのタグが付けられた各スイッチのエントリに追加します。有効なループバック・オクテット値の範囲は次のとおりです。

      • 101-118 (リーフ・スイッチ)
      • 201-208 (スパイン・スイッチ)
      たとえば、2ラック・システムのスイッチのリスト・ファイルの内容は、次のようになります。
      rack1sw-rocea0:mleaf.101
      rack1sw-roceb0:mleaf.102
      rack1sw-roces0:mspine.201
      rack2sw-rocea0:mleaf.103
      rack2sw-roceb0:mleaf.104
      rack2sw-roces0:mspine.202
  6. ファームウェアをアップグレードまたはダウングレードする前に、前提条件チェックを実行します。
    # ./patchmgr --roceswitches switches.lst {--upgrade | --downgrade} --roceswitch-precheck [--force]
      [-log_dir {absolute_path_to_log_directory | AUTO}]

    patchmgrコマンドの内容は、次のとおりです。

    • --roceswitch-precheckは、patchmgrに対して、スイッチでファームウェアのアップグレードまたはダウングレード・シミュレーションを実行するように指示します。

    • --forceは、オプションで、スイッチがすでにターゲット・ファームウェア・バージョンにある場合や、RoCEネットワーク・ファブリックに重大でない障害が発生している場合でも、操作を続行します。

    • -log_dirはログ・ディレクトリへの絶対パスを指定し、AUTOはログ・ディレクトリを自動的に作成するようにpatchmgrに指示します。このオプションは、root以外のユーザーとしてpatchmgrを実行している場合に必要です。

    ノート:

    Oracle Exadata System Softwareリリース19.3.9より前では、RoCEネットワーク・ファブリック・スイッチにパッチを適用するために、非rootユーザーとしてpatchmgrを実行する必要があります。

    ノート:

    現在のユーザーは、patchmgrを実行する前にSSHの同等性を構成しておく必要があります。構成されていない場合、patchmgrには、SSHの同等性のためにキーおよびキー交換を設定するオプションが用意されています。

    コマンドの出力で全体的なステータスがSUCCESSになった場合は、アップグレードに進みます。コマンドの出力で全体的なステータスがFAILになった場合は、出力でエラーのサマリーを確認し、どのチェックが失敗したかを特定して、エラーを修正します。すべてのエラーを修正した後、前提条件チェックを再実行し、成功するまでこれを繰り返します。

    ノート:

    ゴールデン構成設定がスイッチに適用されていないため、Config validation failedエラーが表示される場合があります。この場合は、現在のパッチからゴールデン構成設定を適用し、前提条件チェックを繰り返します。「Cisco Nexus 9336C-FX2 RoCEネットワーク・ファブリック・スイッチへのゴールデン構成設定の適用」を参照してください。