1.2.19.2 Exascaleリソース・プロファイルを使用したボールト内リソース管理
ボールト内リソース管理では、ボールトを使用する様々なOracleデータベースおよびブロック・ストア・ボリュームでリソースを共有する方法を定義します。Exascale内では、ボールト内リソース管理はリソース・プロファイルによって制御されます。
デフォルトでは、すべてのExascaleクライアント(Oracleデータベースまたはブロック・ストア・ボリューム)は、関連付けられたボールト内のすべてのリソースにアクセスできます。さらに、I/Oリソースは、システムに負荷がかかっているとき、均等に共有されます。
よりきめ細かいI/Oリソース管理を可能にするために、各Exascaleクライアントをリソース・プロファイルに関連付けることができます。任意の数のリソース・プロファイルを定義できますが、Exascaleクライアントに関連付けることができるのは、一度に1つのリソース・プロファイルのみです。
各リソース・プロファイルには、次のリソース制限および設定が含まれます:
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I/O帯域幅(IOPS) — Exascaleメディア・タイプ(HCおよびEF)ごとに、制限値と配分値を定義できます。I/O帯域幅使用率がボールト容量より低い場合、制限によって各クライアントが制御されます。ただし、I/O帯域幅使用率が容量に達すると、すべてのクライアントでのリソース割当ては配分値によってさらに制御されます。
制限値は、リソース・プロファイルに関連付けられた各クライアントで使用可能なI/O帯域幅の絶対制限を指定します。この値は、10000分の1の小数を表します。たとえば、値1は1/10000 (0.01%)の制限を表し、5000は5000/10000 (50%)を表し、10000は10000/10000 (100%または実質的に無制限)を表します。指定しない場合、デフォルトの制限値は10000(実質的に無制限)です。
配分値は、リソース・プロファイルに関連付けられた各クライアントで使用可能なI/O帯域幅の比例配分を定義します。各クライアントの配分は、他のすべてのクライアントの配分に対して相対的です。配分値が高いほど、優先度が高くなります。たとえば、クライアントAの配分値が2で、クライアントBの配分値が1である2つのクライアントを持つシステムを考えてみます。この場合、I/O帯域幅使用率が容量に達すると、クライアントAは、クライアントB (1/3または33.33%)の2倍である、2/3 (66.67%)のI/O帯域幅を取得します。ここで、配分値が7のクライアントCを追加するとします。クライアントCの追加後、I/O帯域幅使用率が容量に達すると、クライアントAは、それでもクライアントB (1/10または10%)の2倍である、2/10 (20%)のI/O帯域幅を取得しますが、クライアントCは7/10 (70%)のI/O帯域幅を取得します。有効値の範囲は、1-100です。指定しない場合、デフォルトの配分値は1です。
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フラッシュ・キャッシュおよびExadata RDMAメモリー(XRMEM)キャッシュ — キャッシュのタイプごとに、リソース・プロファイルに関連付けられたクライアントによるキャッシュの使用を有効または無効にできます。次に、有効になっているキャッシュ・タイプごとに、0から10000の範囲の最小使用量と最大使用量の値を指定できます。
最小値は、リソース・プロファイルに関連付けられた各クライアントについて、キャッシュの一部を保証します。通常、この値は、10000分の1の小数を表します。たとえば、値1は1/10000 (0.01%)の制限を表し、5000は5000/10000 (50%)を表し、10000は10000/10000 (100%または実質的に無制限)を表します。ただし、すべての最小値の合計がすべてのクライアントおよびリソース・プロファイルで10000を超える場合は、最小保証を順守できるように、すべての値が比例して縮小されます。指定しない場合、デフォルトの最小値は0 (保証される最小値なし)です。
最大値は、リソース・プロファイルに関連付けられた各クライアントで使用可能なキャッシュ領域の絶対制限を指定します。この値は、10000分の1の小数を表します。たとえば、値1は1/10000 (0.01%)の制限を表し、5000は5000/10000 (50%)を表し、10000は10000/10000 (100%または実質的に無制限)を表します。指定しない場合、デフォルト値は10000(実質的に無制限)です。
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フラッシュ・ログ — リソース・プロファイルに関連付けられたクライアントに対するフラッシュ・ログ・アクセラレータの使用を有効または無効にできます。指定しない場合、デフォルト設定ではフラッシュ・ログの使用が有効になります。
$UNASSIGNED
という名前のシステム予約リソース・プロファイルを作成することもできます。リソース・プロファイルに明示的に関連付けられていないExascaleクライアントはすべて、$UNASSIGNED
プロファイルによって自動的に制御されます。$UNASSIGNED
リソース・プロファイルには、変更可能な属性が2つのみ含まれており、プロファイルに割り当てられたフラッシュ・キャッシュ領域およびXRMEMキャッシュ領域の最大割合(10000分の1)を指定します。$UNASSIGNED
リソース・プロファイルの他のすべての属性では、前述のデフォルト値を使用します。
$UNASSIGNED
プロファイルによって制御されるすべてのExascaleクライアントは、指定されたキャッシュ・リソースを共有します。この動作は、リソース・プロファイルの各適用が1つの関連クライアントのリソース割当てを定義する通常のリソース・プロファイルとは異なります。
$UNASSIGNED
リソース・プロファイルを作成しない場合、すべての未割当てのExascaleクライアントは、未割当てのフラッシュ・キャッシュ領域およびXRMEMキャッシュ領域を共有します。共有する未割当て領域がない場合、未割当てのExascaleクライアントに対してキャッシュ領域の5%が自動的に予約されます。
複数のクライアントおよびリソース・プロファイルにわたるリソースのオーバー・プロビジョニングが許可されます。オーバー・プロビジョニングされたリソースの場合、リソース共有が自動的に調整され、各クライアントの相対比率が維持されます。
たとえば、次のリソース・プロファイルを持つシステムを考えてみます:
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GOLDリソース・プロファイル:
- EF IOPS: share=11, limit=5100
- HC IOPS: share=40, limit=5200
- Flash Cache: enabled=TRUE, minimum=500, maximum=1000
- XRMEM Cache: enabled=TRUE, minimum=400, maximum=800
- Flash Log: enabled=TRUE
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SILVERリソース・プロファイル:
- EF IOPS: share=6, limit=2500
- HC IOPS: share=20, limit=2500
- Flash Cache: enabled=TRUE, minimum=300, maximum=600
- XRMEM Cache: enabled=TRUE, minimum=200, maximum=400
- Flash Log: enabled=TRUE
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BRONZEリソース・プロファイル:
- EF IOPS: share=3, limit=900
- HC IOPS: share=10, limit=1500
- Flash Cache: enabled=TRUE, minimum=200, maximum=500
- XRMEM Cache: enabled=TRUE, minimum=100, maximum=200
- Flash Log: enabled=FALSE
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$UNASSIGNED
リソース・プロファイル:- Flash Cache: maximum=1000
- XRMEM Cache: maximum=500
また、次のようにリソース・プロファイルに関連付けられている8つのデータベースがシステムでホストされているとします:
- DB1およびDB2は、GOLDリソース・プロファイルに関連付けられています。
- DB3は、SILVERリソース・プロファイルに関連付けられています。
- DB4およびDB5は、BRONZEリソース・プロファイルに関連付けられています。
- DB6、DB7およびDB8は、どのリソース・プロファイルにも明示的に関連付けられていません。したがって、これらは暗黙的に
$UNASSIGNED
リソース・プロファイルに関連付けられます。
ここで、リソース・プロファイルを使用して、大容量ストレージ・メディア(HC IOPS)上のI/O帯域幅などの特定のリソースを管理する方法を考えてみます:
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リソース使用率がボールト容量の100%未満である間、各データベースは制限値を使用して制限されます。次に例を示します:
- DB1: 5200 (52%)
- DB2: 5200 (52%)
- DB3: 2500 (25%)
- DB4: 1500 (15%)
- DB5: 1500 (15%)
- DB6: 10000 (100%、デフォルト値、実質的に無制限)
- DB7: 10000 (100%、デフォルト値、実質的に無制限)
- DB8: 10000 (100%、デフォルト値、実質的に無制限)
制限によって使用率がボールト容量の100%未満に維持される場合、それ以上の介入は必要ありません。
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リソース使用率が100%である間、リソースは配分値を使用して比例して割り当てられます。次に例を示します:
- DB1: 40
- DB2: 40
- DB3: 20
- DB4: 10
- DB5: 10
- DB6: 1 (デフォルト値)
- DB7: 1 (デフォルト値)
- DB8: 1 (デフォルト値)
この例では、配分の合計は123であるため、次のリソース割当てとなります:
- DB1: 40/123 (35.52%)
- DB2: 40/123 (35.52%)
- DB3: 20/123 (16.26%)
- DB4: 10/123 (8.13%)
- DB5: 10/123 (8.13%)
- DB6: 1/123 (0.81%)
- DB7: 1/123 (0.81%)
- DB8: 1/123 (0.81%)
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親トピック: リソース管理