5.2.5 データベースおよびPDBのためのフラッシュ・キャッシュ割当て制限の管理
IORMにより、異なるデータベースとプラガブル・データベース(PDB)の間でフラッシュ・キャッシュをどのように共有するかを制御できます。
これは、CDBリソース・プランのみ、またはI/Oリソース管理(IORM)データベース間プランと組み合せて使用できます。
NEWCDB
CDBのデータベース内リソース・プランの例を考えてみます。プランでは、プランに記載されている3つのPDB用にmemory_min
およびmemory_limit
を指定します。
次の点に注意してください:
memory_min
およびmemory_limit
の値は、0から100の範囲のパーセンテージで指定されます。オーバー・プロビジョニングがサポートされているため、パーセンテージの合計は100%には制限されません。これらの値の合計が100%を超える場合、値はパーセンテージへと正規化されます。memory_min
が指定されていない場合は、デフォルトで0に設定されます。memory_limit
が指定されていない場合は、デフォルトで100に設定されます。CDB$ROOT
用には、5%のmemory_limit
値があります。
次のコードは、データベース内プランの例を作成する方法を示しています。memory_min
値の合計は40%で、memory_limit
値の合計は正規化する必要のある175%です。データベース間プランが指定されていない場合、これらのパーセンテージがフラッシュ・キャッシュのサイズ全体に適用されます。データベース間プランが指定されている場合、PDBの割当て制限は、データベース間プランのディレクティブで指定されたデータベース用のflashcachemin
とflashcachesize
値のパーセンテージとして計算されます。
BEGIN
DBMS_RESOURCE_MANAGER.CREATE_PENDING_AREA();
DBMS_RESOURCE_MANAGER.CREATE_CDB_PLAN(
plan => 'NEWCDB_PLAN',
comment => 'CDB resource plan for newcdb');
DBMS_RESOURCE_MANAGER.CREATE_CDB_PLAN_DIRECTIVE(
plan => 'NEWCDB_PLAN',
pluggable_database => 'SALESPDB',
memory_min => 20);
DBMS_RESOURCE_MANAGER.CREATE_CDB_PLAN_DIRECTIVE(
plan => 'NEWCDB_PLAN',
pluggable_database => 'SERVICESPDB',
memory_min => 20,
memory_limit => 50);
DBMS_RESOURCE_MANAGER.CREATE_CDB_PLAN_DIRECTIVE(
plan => 'NEWCDB_PLAN',
pluggable_database => 'HRPDB',
memory_limit => 25);
DBMS_RESOURCE_MANAGER.VALIDATE_PENDING_AREA();
DBMS_RESOURCE_MANAGER.SUBMIT_PENDING_AREA();
END;
/
前述の例で、データベース間プランを指定せず、フラッシュ・キャッシュのサイズが50GBの場合の、(memory_limit
の値の合計が100%を超えたために)制限を正規化した後の割当て制限の内訳を次の表に示します。正規化後、最小値が対応する制限より大きくなった場合は、最小値は制限と等しくなるように減らされます。
表5-4 ケース1: データベース間プランがない場合のPDBのフラッシュ・キャッシュの制限
PDB | フラッシュ・キャッシュの最小 | FCの弱い制限 | 正規化済の弱い制限 | FCの強い制限 |
---|---|---|---|---|
SALESPDB |
20% = 10 GB |
100 (デフォルト) |
100 / 175 * 50 GB = 28.57 GB |
該当なし |
SERVICESPDB |
20% = 10 GB |
50 |
50 / 175 * 50 GB = 14.28 GB |
該当なし |
HRPDB |
0 |
25 |
25 / 175 * 50 GB = 7.14 GB |
該当なし |
次の例に、NEWCDB
CDBを含むフラッシュ・キャッシュ割当て制限のあるデータベース間プランを示します。
ALTER IORMPLAN dbplan= -
((name=newcdb, share=8, flashCacheSize=20G), -
(name=finance, share=8, flashCacheLimit=10G, flashCacheMin=2G), -
(name=dev, share=2, flashCacheLimit=4G, flashCacheMin=1G), -
(name=test, share=1))
newcdb
CDBに加え、その他の3つのデータベース(finance
、dev
およびtest
)で同じストレージ・サーバーを共有します。フラッシュ・キャッシュの割当て制限が強制されるのは、ディレクティブでflashcachesize
、flashcachelimit
またはflashcachemin
属性を指定する場合のみです。データベースtest
にはフラッシュ・キャッシュのディレクティブが指定されていません。したがって、そのデータベースおよびそのPDB (もしあれば)では、フラッシュ・キャッシュの割当て制限は管理されません。
データベース間IORMプラン・ディレクティブのキャッシュ制限は、対応するCDBプランの設定を制約します。したがって、データベース間IORMプラン・ディレクティブでデータベースのflashcachemin
およびflashcachesize
設定が指定されている場合、CDBプランでPDB固有のmemory_min
割当て制限はflashcachemin
設定の一部になり、PDB固有のmemory_limit
値はflashcachesize
の一部になります。
ただし、データベース間IORMプラン・ディレクティブでflashcachemin
を指定せずにflashcachesize
が指定されている場合、PDB固有のmemory_min
設定は無視されますが、memory_limit
設定は引き続きflashcachesize
の一部になります。
したがって、newcdb
のデータベース間IORMプラン・ディレクティブの例では、flashcachemin
なしでflashcachesize
が指定されているため、CDBプランでPDB固有のmemory_min
割当て制限が無視されます。次の表に、CDBプランの例をデータベース間IORMプランの例とともに適用した場合に有効なフラッシュ・キャッシュ制限を示します。
表5-5 ケース2: データベース間プランがある場合のPDBのフラッシュ・キャッシュの制限
PDB | フラッシュ・キャッシュの最小 | FCの強い制限 | 正規化済の強い制限 | FCの弱い制限 |
---|---|---|---|---|
SALESPDB |
0 |
100 (デフォルト) |
100 / 175 * 20 GB = 11.43 GB |
該当なし |
SERVICESPDB |
0 |
50 |
50 / 175 * 20 GB = 5.71 GB |
該当なし |
HRPDB |
0 |
25 |
25 / 175 * 20 GB = 2.86 GB |
該当なし |
非CDBデータベースでは、flashcachesize
、flashcachemin
およびflashcachelimit
の値は絶対的な値として指定され、追加の正規化は必要ありません。flashcachemin
は保証付きの予約であるため、flashcachemin
の合計は、すべてのディレクティブ全体でフラッシュ・キャッシュの合計サイズより小さくする必要があります。
親トピック: IORMの管理