6.3.9.2 データベース統計および待機イベントを使用したセル・ディスクI/Oの監視

次の表では、セル・ディスクI/Oの監視に役立つ様々なデータベース統計について説明します。これらの統計は、V$SYSSTATなどの様々な動的パフォーマンス・ビューで使用でき、AWRレポートのグローバル・アクティビティ統計セクションまたはインスタンス・アクティビティ統計セクションに表示されます。

統計 説明
physical read IO requests データベースによって発行された物理読取りリクエストの数。
physical read requests optimized Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュを使用して対応された読取りリクエストと、ストレージ索引または列キャッシュを使用することによって回避された読取りリクエストの合計数。
physical read total bytes 読取りがストレージ・サーバーにオフロードされたかどうかに関係なく、データベースによって発行された読取りの合計I/Oバイト数。
physical read total bytes optimized Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュから読み取られたバイト数と、ストレージ索引または列キャッシュを使用して回避されたバイト数の合計。
physical read total IO requests すべてのアクティビティ(アプリケーション、バックアップ、リカバリおよびその他のユーティリティを含む)に対してデータベースによって発行された読取りリクエストの合計数。
physical write IO requests データベースによって発行された物理書込みリクエストの数。
physical write total bytes すべてのアクティビティに対してデータベースによって発行された書込みの合計IOバイト数。
physical write total bytes optimized Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュに書き込まれた合計バイト数。これらのバイトはレイジー方式でディスクに同期されます。
physical write total IO requests すべてのアクティビティ(アプリケーション、バックアップ、リカバリおよびその他のユーティリティを含む)に対してデータベースによって発行された書込みリクエストの合計数。

追加のデータベースI/O統計は、AWRレポートのIOStatセクションでも使用される次のV$IOSTATビューにも含まれます。

  • V$IOSTAT_FILE — データベース・ファイル(データ・ファイル、一時ファイル、および他のタイプのデータベース・ファイルを含む)のディスクI/O統計に関する情報を示します。
  • V$IOSTAT_FUNCTION — データベース関数のディスクI/O統計(LGWRやDBWRなど)を示します。
  • V$IOSTAT_FUNCTION_DETAIL — データベース関数のディスクI/O統計をファイル・タイプ別に示します。

次の表では、セル・ディスクI/Oの監視に役立つデータベース待機イベントについて説明します。待機イベントは、V$SESSIONV$SYSTEM_EVENTV$SESSION_EVENTなどの様々な動的パフォーマンス・ビューに表示され、AWRレポートの待機イベント・セクションに表示されることがあります。

待機イベント 説明
cell list of blocks physical read

この待機イベントは、リカバリ中またはバッファのプリフェッチ中(複数の単一ブロック読取りの実行ではない)に発生します。これは、リカバリの一環として変更する必要があり、データベースに対してパラレルで読み取られるデータベース・ブロックを監視するために使用されます。

V$SESSIONでは、このイベントに関連付けられたレコードに、次の追加パラメータが含まれます。

  • P1には、V$CELL.CELL_HASHVALに対応する関連するストレージ・サーバーのハッシュ番号が含まれます。

  • P2は、V$ASM_DISK.HASH_VALUEに対応するデータを含むグリッド・ディスクのディスク・ハッシュ番号を識別します。

  • P3は、I/O読取り操作中に処理されるバイト数を指定します。

この待機イベントは、セルのdb file parallel readと同等です。

cell list of blocks read request

これはcell list of blocks physical readに関連付けられたプレースホルダ待機イベントで、待機期間中にのみ表示されます。待機イベントが終了すると、プレースホルダは通常cell list of blocks physical readに変換されます。

cell multiblock physical read(セルの複数ブロックの物理読込み)

この待機イベントは、マルチブロック・データベース読取りのすべてのI/Oの実行に要した時間を表します。

V$SESSIONでは、このイベントに関連付けられたレコードに、次の追加パラメータが含まれます。

  • P1には、V$CELL.CELL_HASHVALに対応する関連するストレージ・サーバーのハッシュ番号が含まれます。

  • P2は、V$ASM_DISK.HASH_VALUEに対応するデータを含むグリッド・ディスクのディスク・ハッシュ番号を識別します。

  • P3は、I/O読取り操作中に処理されるバイト数を指定します。

この待機イベントは、セルのdb file scattered readと同等です。

cell multiblock read request

これはcell multiblock physical readに関連付けられたプレースホルダ待機イベントで、待機期間中にのみ表示されます。待機イベントが終了すると、プレースホルダは通常cell multiblock physical readに変換されます。

cell single block physical read(セルの単一ブロックの物理読込み)

この待機イベントは、単一ブロック・データベースI/Oの実行に要する時間を表します。

V$SESSIONでは、このイベントに関連付けられたレコードに、次の追加パラメータが含まれます。

  • P1には、V$CELL.CELL_HASHVALに対応する関連するストレージ・サーバーのハッシュ番号が含まれます。

  • P2は、V$ASM_DISK.HASH_VALUEに対応するデータを含むグリッド・ディスクのディスク・ハッシュ番号を識別します。

  • P3は、I/O読取り操作中に処理されるバイト数を指定します。

この待機イベントは、セルのdb file sequential readと同等です。

2022年5月のOracle Databaseリリース更新以降(バージョン19.15.0.0.220419、21.6.0.0.220419以降)、この待機イベントには、Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュからのI/Oやリモート・ダイレクト・メモリー・アクセス(RDMA)読取りを使用したデータベースI/Oは含まれなくなりました。

cell single block physical read: flash cache

この待機イベントは、Exadata Smart Flash Cacheから単一ブロック・データベースI/Oの実行に要する時間を表します。

V$SESSIONでは、このイベントに関連付けられたレコードに、次の追加パラメータが含まれます。

  • P1には、V$CELL.CELL_HASHVALに対応する関連するストレージ・サーバーのハッシュ番号が含まれます。

  • P2は、V$ASM_DISK.HASH_VALUEに対応するデータ(キャッシュの場所ではない)を含むグリッド・ディスクのディスク・ハッシュ番号を識別します。

  • P3は、I/O読取り操作中に処理されるバイト数を指定します。

この待機イベントは、2022年5月のOracle Databaseリリース更新で導入され、Oracle Databaseバージョン19.15.0.0.220419、21.6.0.0.220419以降に存在します。以前は、cell single block physical readにこれらの待機が含まれていました。

cell single block physical read: xrmem cache

cell single block physical read: pmem cache

この待機イベントは、XRMEMキャッシュから単一ブロック・データベースI/Oの実行に要する時間を表します。

V$SESSIONでは、このイベントに関連付けられたレコードに、次の追加パラメータが含まれます。

  • P1には、V$CELL.CELL_HASHVALに対応する関連するストレージ・サーバーのハッシュ番号が含まれます。

  • P2は、V$ASM_DISK.HASH_VALUEに対応するデータ(キャッシュの場所ではない)を含むグリッド・ディスクのディスク・ハッシュ番号を識別します。

  • P3は、I/O読取り操作中に処理されるバイト数を指定します。

cell single block physical read: pmem cacheは、2022年5月のOracle Databaseリリース更新で導入され、Oracle Databaseバージョン19.15.0.0.220419、21.6.0.0.220419以降に存在します。以前は、cell single block physical readにこれらの待機が含まれていました。

Oracle Exadata System Softwareリリース23.1.0以降をサポートするOracle Databaseバージョンでは、待機イベントの名前はcell single block physical read: xrmem cacheです。

cell single block physical read: RDMA

この待機イベントは、リモート・ダイレクト・メモリー・アクセス(RDMA)読取りを使用して単一ブロック・データベースI/Oの実行に要する時間を表します。

V$SESSIONでは、このイベントに関連付けられたレコードに、次の追加パラメータが含まれます。

  • P1には、V$CELL.CELL_HASHVALに対応する関連するストレージ・サーバーのハッシュ番号が含まれます。

  • P2は、V$ASM_DISK.HASH_VALUEに対応するデータを含むグリッド・ディスクのディスク・ハッシュ番号を識別します。

  • P3は、I/O読取り操作中に処理されるバイト数を指定します。

この待機イベントは、2022年5月のOracle Databaseリリース更新で導入され、Oracle Databaseバージョン19.15.0.0.220419、21.6.0.0.220419以降に存在します。以前は、cell single block physical readにこれらの待機が含まれていました。

cell single block read request

これは、単一ブロック・データベースI/Oに関連付けられたプレースホルダ待機イベントで、待機期間中にのみ表示されます。待機イベントが終了すると、プレースホルダは適切な待機イベント(通常はcell single block physical readイベントの1つ)に変換されます。

cell interconnect retransmit during physical read

この待機イベントは、単一ブロック読取りまたはマルチブロック読取りのI/Oの再転送中に表示されます。V$SESSION_WAITビューのP1列のセル・ハッシュ番号は、cell single block physical readおよびcell multiblock physical readで識別されるセルと同じです。P2列には、セルに対するサブネット番号が格納され、P3列には、I/O読取り操作中に処理されたバイト数が格納されます。

特定の統計または待機イベントの可用性は、使用しているOracle Databaseのバージョンによって決まります。