AHFリリース25.6

コマンドラインからのAHFインサイト・レポートの確認

AHFインサイトのサブシェルを使用すると、AHFインサイトのレポートをターミナルから直接調べることができます。この機能により、レポート・ファイルの転送や解凍の必要なく結果をすばやく確認でき、ワークフローを合理化できます。

前提条件:

  • AHFをシステムにインストールする必要があります。
  • AHFインサイト・レポートをローカルまたはアクセス可能なパスで使用可能である必要があります。
AHFインサイト・レポートを開いて調べるには、次のことを実行します:
ahf analysis explore –type insights –report <report-path>

このコマンドでは、AHFインサイト・レポートからの結果を簡単に問い合せて調べることができる、対話型のサブシェルが起動されます。

図-1 対話型サブシェル


この図は、AHFインサイトの対話型サブシェルを示しています

レポートで検出されたすべてのイベントを表示するには、show eventsを実行します

図-2 イベントの表示


この図は、AHFインサイトのコマンドshow eventsを示しています

使用可能なコマンドとオプションをすべて示すリストを表示するには、helpと入力します

関連トピック

CHMインライン分析

インライン分析は、Autonomous Health Framework (AHF)がインストールされているすべてのシステムで自動的に実行される新機能です。

従来、クラスタ状態モニター(CHM)またはシステム・ヘルス・モニター(SHM)によって収集されたオペレーティング・システム(OS)メトリックは、Grid Infrastructure (GI)ベース・リポジトリに直接格納されています。しかしながら、このリポジトリのサイズは制限されています(HAS 19では250MB、MAINでは500MB)。

大規模なFASAASシステム(30,000から40,000個のプロセスを実行する可能性がある)では、これらのサイズ制限により、CHM OSデータを数時間しか保持できません。その結果、ほとんどのサービス・リクエスト(SR)で、必要なOSデータが不足しています。それにより、問題を効果的に診断して解決することが難しくなります。

CHMインライン分析の機能拡張により、大量の生CHM OSデータを保持するのではなくシステムでこれらのOSメトリックが分析されてサマリー分析データのみが格納されるようになります。処理された分析ファイルは生データよりも大幅に小さいため、100 MBのリポジトリ割当て制限内でデータを数か月保持できます。

しくみ

  • 収集と分析:
    • OSメトリックは、通常どおりCHM/SHMによって収集されます。
    • 1時間ごとに、Oracle Trace File Analyzer (TFA)により、1時間単位の生chmosdata/shmosdata gzipファイルを処理するインライン分析がトリガーされます。
  • ストレージ: 分析された結果のみがAHFホームのデータ・リポジトリに保持されて、領域消費が大幅に減ります。
  • 実行とセキュリティ: インライン分析は、rootユーザーとして実行され、システム・パフォーマンスへの影響を防ぐために特定のリソース制約で構成されます。

利点

  • 保存期間の延長: 分析されたデータは、わずか数時間ではなく、数か月間保存できます。
  • ストレージ・フットプリントの減少: 大規模なシステムの場合でも、必要なリポジトリ領域は100 MBのみです。
  • 診断の向上: OSデータをより多くのSRで利用できるようになり、より効果的でタイムリなトラブルシューティングが可能になります。

表-1 機能の比較: 従来の分析とインライン分析

機能 以前の手法 インライン分析の使用
格納されるデータ 生CHM OSデータ 分析済(集計済)データ
リポジトリ・サイズ(標準) 250 MB (HAS 19)、500 MB (MAIN) 100 MB
データ保存期間 数時間 数か月
診断への影響 サービス・リクエスト(SR)でデータが不足していることが多い 分析に使用できるデータ

スタンドアロンの非rootインストールの場合のAHFへのシステム・ヘルス・モニター(SHM)の統合

システム・ヘルス・モニター(SHM)は、Oracle Support向けの不可欠なオペレーティング・システム・メトリックを収集するツールです。特に、サービス・リクエスト(SR)が記録されたときの、ノード削除などの初期障害の診断に役立ちます。

ノート:

現在、SHMはLinuxプラットフォームでのみサポートされています。

この機能拡張により、Autonomous Health Framework (AHF)では、非rootスタンドアロン環境(つまり、Oracle Restartまたは単一インスタンス)の場合に、その診断収集にSHMデータが統合されます。これにより、root以外のユーザーが、SHMデータから生成された、OSレベルのインサイト・レポートを利用できるようになります(特に、OS固有の診断が対象)。

初期リリース(25.6)では、エンド・ユーザーが、非rootスタンドアロン・インストールでのSHMライフサイクルの管理を担当します。SHMデータが収集された後は、ホスト・システムで、収集されたOSメトリックに主に焦点を当てたインサイト・レポートを生成できるようになります。

次のコマンドを使用して、SHMバックグラウンド・プロセス(デーモン)を管理します:

  • sysmonctl start: システム・ヘルス・モニター(SHM)を起動します
  • sysmonctl stop: システム・ヘルス・モニター(SHM)を停止します

ノート:

  • 対象範囲: スタンドアロンの非rootインストールの場合のAHF内のSHMは、Linux上のOracle Restart環境または単一インスタンス環境でのみサポートされています。
  • データ・キャプチャに関する制限事項: 非rootモードで操作すると、特定の制限事項が課されます。それにより、rootインストールに比べると、収集されたデータの深さと幅に違いが生じる場合があります。
  • セキュリティと互換性:
    • SHMは、root以外のユーザーとして実行すると、/procから読み取ることでメトリックを収集します。
    • SELinuxを実行している環境の場合は、SHMが中断や障害なく強制モードで正しく動作することを確認してください。