このリリースでの変更点

ここでは、『Oracle Autonomous Health Frameworkチェックおよび診断ユーザーズ・ガイド25.5』での変更点を示します。

アップグレード構成の管理

リリース25.5以降では、アップグレード構成を管理するためのAHFコマンドは、新しいSDK CLIコマンドに置き換えられました。

既存のahfctlコマンドは非推奨になり、将来のリリースで削除されるため、新しいSDK CLIコマンドに移行することをお薦めします。

廃止予定のレガシーahfctlコマンドラインでは、現在、AHFのアップグレードを管理するための次のコマンドが提供されています:
次の新しいコマンドがahf configurationコマンド・カテゴリ内に実装されて、AHFアップグレード構成を簡単に管理できるようになりました。ただし、将来のリリースとの互換性を確保し、拡張された機能を利用するには、アップグレード管理に新しいSDK CLIコマンドを採用する必要があります。
  • AHFアップグレード構成パラメータを設定するには、次を実行します:
    ahf configuration set --type upgrade [--software-stage SOFTWARE_STAGE] [--auto-upgrade AUTO_UPGRADE] [--upgrade-time UPGRADE_TIME][--file-system-type FILE_SYSTEM_TYPE] [–temporary-location TEMPORARY_LOCATION] [--remove-installer REMOVE_INSTALLER] [–frequency FREQUENCY] [--service-name SERVICE_NAME] [--auto-update AUTO_UPDATE]
  • AHFアップグレード構成パラメータの詳細を取得するには、次を実行します:
    ahf configuration get --type upgrade [--to-json TO_JSON]
  • AHFアップグレード構成パラメータの設定を解除するには、次を実行します:
    ahf configuration unset --type upgrade [--software-stage SOFTWARE_STAGE] [--auto-upgrade AUTO_UPGRADE] [--upgrade-time UPGRADE_TIME][--file-system-type FILE_SYSTEM_TYPE] [–temporary-location TEMPORARY_LOCATION] [--remove-installer REMOVE_INSTALLER] [–frequency FREQUENCY] [--service-name SERVICE_NAME] [--auto-update AUTO_UPDATE]

関連トピック

AHFフリート・インサイトへのデータ・アップロードの最適化

リリース25.5以降では、AHFからAHFフリート・インサイトにアップロードされたデータは、ペイロード・サイズを減らすために最適化されています。

ペイロード・サイズを減らしデータ処理速度を高めるために、データ最適化プロセスが実装されました。重要なデータのみのアップロードにより、最もクリティカルな最新のインサイトを提供することでユーザー・エクスペリエンスが向上します。

Oracle Trace File Analyzer (TFA)オプトイン変更の監査イベント

クラウド環境では、TFAオプトイン変数に変更があるたびに、監査イベントがサポート・チームに送信されるようになりました。

次のTFAオプトイン変数は、ユーザーがオンまたはオフに設定できます:
  • customerDiagnosticsNotifications
  • cloudOpsLogCollection
  • cloudOpsHealthMonitoring

これらの変数により、テレメトリ情報をサポート・チームまたは顧客(あるいはその両方)に送信するかどうかを制御します。顧客はよく、想定しているメトリックがダッシュボードにない場合にSRを発行します。

サポート・チームは通常は、トリアージ中に、構成ミスが原因でテレメトリ・データが送信されなくなっているかどうかを判断するためにこれらの変数の現在の値をリクエストします。この機能拡張では、前述の変数のどれかの状態が変化するたびに、TFAによって自動的にサポート・チームにイベントが送信されます。

利点:
  • トリアージのレスポンス時間の短縮: 顧客がオプトアウトするとすぐにサポートに通知されます。
  • 安定性の向上: オプトインの変更によってテレメトリ・アダプタ・プロセスが再起動されることがなくなり、OCIサービスに対する負荷が減り、データ損失の可能性を回避できます。

Oracle OrachkレポートにProcessCountSpikeシグネチャが含まれた

リリース25.5以降では、ProcessCountSpikeシグネチャが、Oracle Orachkレポートの「Cluster Health Monitor (CHM) Analysis」セクションに含まれています。

プロセス数の急増は、システムのパフォーマンスに重大な影響を与える可能性があります。プロセスが多すぎると、使用可能なメモリー・リソースを使い果たす場合があり、システムが不安定になるか、クラッシュするか、応答しなくなる可能性があります。さらに、共有リソースに対するプロセス競合が増えると、パフォーマンスのボトルネックと競合が発生する可能性があります。ProcessCountSpikeシグネチャは、このような状態の検出に役立ち、Oracle Orachkでの「Cluster Health Monitor (CHM) Analysis」レポートの一部として含まれます。

図-1 プロセス急増数シグネチャ- Oracle Orachkレポート


この図は、Oracle Orachkレポート内のプロセス急増数シグネチャのセクションを示しています。

Oracle Orachkレポート内とAHFインサイト・レポート内のリソース消費が多い上位プロセスの統計にプロセス開始時間と累積CPU時間が含まれた

この機能拡張では、I/O、CPUおよびRSS使用量に基づいて、リソース消費が多い上位プロセスのプロセス開始時間と累積CPU時間が示されます。

  • プロセス開始時間は、プロセスの実行がシステム上で開始された正確な日時を示しています。
  • 累積CPU時間は、プロセスが起動された後それに費やされたCPU時間の合計を表しています。

これらのメトリックは、顧客のサービス・リクエスト(SR)を分析するときに特に役立ちます。リソース消費が多い上位プロセスがいつ開始されたかを把握することで、インシデントおよびシステム・イベントとの相関性が高まり、それによって、デバッグ作業とトラブルシューティング作業が促進されます。

また、累積CPU時間は、パフォーマンス・ボトルネックの原因となる可能性がある長時間実行プロセスやCPU負荷の高いプロセスを識別するために役立ちます。

Oracle Orachkレポート内とAHFインサイト・レポート内のプロセス統計へのアクセス方法

Oracle Orachkレポート内とAHFインサイト・レポート内のプロセス統計には、「Top CPU Consuming Processes」セクションでアクセスできます。次の2つのキー列を確認すると、I/O消費が多い上位プロセスを見つけやすくなります:
  • StartTime: プロセス開始時間を示しています。
  • TIME+(MM:SS.ms): 累積CPU時間を示しています。

これらの列名は、toppsなどの標準オペレーティング・システム・コマンドで使用される列名と一致しているため、システム・レベルのプロセス・データをおなじみの方法で解釈できます。

図-2 リソース消費が多い上位プロセスの統計にあるプロセス開始時間と累積CPU時間 - Oracle Orachkレポート


この図は、Oracle Orachkレポート内の、リソース消費が多い上位プロセスの統計にあるプロセス開始時間と累積CPU時間を示しています。

図-3 リソース消費が多い上位プロセスの統計にあるプロセス開始時間と累積CPU時間 - AHFインサイト・レポート


この図は、AHFインサイト・レポート内の、リソース消費が多い上位プロセスの統計にあるプロセス開始時間と累積CPU時間を示しています。

Oracle Orachkレポートに名前プリフィクス別のプロセスの集計が含まれた

この機能では、プロセスが、名前のプリフィクスに基づいて分類され、各カテゴリ内のプロセスの数が表示されます。

多くの場合、メモリーに関する問題は、単一の大きなプロセスによって起こるのではなく、複数の同様のプロセスからなるグループが合計で大量のメモリーを消費することで起こります。このようなグループになったプロセスは、個別に上位メモリー・コンシューマとして表示されない可能性があり、2つの時間範囲にわたる単純なメモリー使用量比較では見つからない可能性があります。

この機能では、名前のプリフィクスを使用してプロセスを集計することで、システムで実行されているそのようなプロセスの合計数が、よりわかりやすく示されます。

この機能拡張は、AvailableMemoryLowシグネチャの下のインライン差分レポートに組み込まれており、ユーザーが、これがなければ気付かない可能性がある、グループになったプロセスの動作のパターンを識別できるようになっています。

図-4 名前プリフィクス別のプロセスの集計 - Oracle Orachkレポート


この図は、Oracle Orachkレポート内の、名前プリフィクス別のプロセスの集計を示しています

図-5 名前プリフィクス別のプロセスの集計 - 差分レポート


この図は、差分レポート内の、名前プリフィクス別のプロセスの集計を示しています

Oracle OrachkおよびOracle Exachkの新しいベスト・プラクティス・チェック

リリース25.5には、次のような、Oracle OrachkOracle Exachkの新しいベスト・プラクティス・チェックが組み込まれています。

Oracle Orachkに固有のベスト・プラクティス・チェック

  • ASMフィルタ・ドライバ(AFD)構成の検証

すべてのチェックの詳細は、次のヘルス・チェック・カタログを参照してください: