このリリースでの変更点

ここでは、『Oracle Autonomous Health Frameworkチェックおよび診断ユーザーズ・ガイド25.7』での変更点を示します。

AHFインサイトのData Guardレポート

インサイト・レポート内の「Data Guard」セクションには、顧客からの貴重なフィードバックに基づいてメジャー・アップグレードが実施されました。

  • 「Database State」と「Properties」がそのセクション内に表示されるようになり、新しい「Data Guard Details」ページ内に機能拡張があります。
  • 新しく導入された「Log Switch Interval」表により、ログ・スイッチの数が異常に多いスナップショットをすばやく識別でき、潜在的な問題をより速く特定できます。
  • 新しい「Transport Network Utilization」チャートを使用して、ネットワークをより効果的にモニターできます。
  • また、いくつかのバグが修正されて、全体的な安定性とパフォーマンスが向上しました。

関連トピック

AHF診断収集の機能拡張

AHF診断収集の機能拡張により、データ収集が改善され、大きなファイルがサポートされ、より高速で正確な診断のためのより優れたフィルタリングが提供されます。

大きなファイル(1 GBを超える)のサポートの向上: AHFでは、1 GBを超える大きなファイルの収集のサポートが改善されました。以前は、AHFでは、非常に大きなファイルの末尾からごく一部のみが収集されていました。現在は、定期的なサイズ・データが収集され、収集の間にそのファイルからどのくらいの部分を切捨てるかがインテリジェントに判断されて、より関連性の高いデータが取得されるようになりました。

Orachk/Exachk JSONレポートの包含: AHFコレクションは、従来のHTMLレポートとともにExachk JSON出力を含むように拡張されて、より充実した診断が提供されるようになり、重大な問題の可視性の向上しました。

収集事前チェックの新しいヘルス・レポート: OneViewによって開始されたヘルス事前チェックの一部として、AHFで、"部分的な成功"という状態がサポートされるようになりました。つまり、AHFが"正常"とみなされて収集を実行できるようになるために、すべてのノードで合格する必要はなくなったということです。収集リクエストを開始するには、少なくとも1つのノードまたは指定された複数のノードで成功すれば十分です。

カーネル・ログおよびメッセージ・ログのインベントリのサポート: AHFでは、ローテーションされたバリアントやタイムスタンプ付きのバリアントを含め、カーネル・ログ・ファイルとメッセージ・ログ・ファイルが、包括的にインベントリ化され収集されるようになりました。この機能拡張により、複数のLinux環境にわたる診断がより正確になります。

完了したコレクションをリストするための時間フィルタとノード・フィルタ: tfactl print collectionsコマンドでは、ユーザーが時間範囲とノードを基準に収集結果を効率的に絞り込めるように、高度なフィルタリング・オプションがサポートされるようになりました。将来のリリースでは、さらにフィルタが導入される予定です。

DNFS診断への'oranfstab'の追加: DNFS SRDCでは、$ORACLE_HOME/dbs/etcの両方の場所からoranfstabファイルが収集されるようになり、ファイル配置に関係なくすべての場所が対象範囲となりました。

ORA-1555発生時の収集の場合のPDBレベルでのデータ収集のサポート: 特定のPDB内でORA-1555エラーが発生した場合、AHFでは、CDBレベルでのみデータを収集するのではなく、そのPDBを対象としてデータを収集できるようになり、診断がより正確になりました。

新しいフィルタ・オプション:

  • -from <タイムスタンプ>および-to <タイムスタンプ>

    特定の時間範囲内のコレクションを取得します。UTC (Z)およびタイムゾーン対応(±HH:MM)形式をサポートしています。

    例:

    • tfactl print collections -from 2025-05-20T06:14:25Z -to 2025-05-20T07:15:25Z
    • tfactl print collections -from 2025-05-20T02:14:25-04:00 -to 2025-05-20T03:15:25-04:00
  • -for <timestamp | date>

    特定の日付または正確なタイムスタンプについてコレクションをリストします。

    例:

    • tfactl print collections -for 2025-05-20
    • tfactl print collections -for 2025-05-20T06:14:25Z
    • tfactl print collections -for 2025-05-20T02:14:25-04:00
  • -node <node>

    特定のノードについてコレクションをフィルタします。

    例: tfactl print collections -for 2025-05-20 -node node2

Oracle OrachkレポートのCHM分析セクションでのプライベート・メモリー差異

プライベート・メモリー差異機能により、Oracle OrachkレポートのCHM分析セクションで、選択した2つの時間範囲の間での、導出されたプライベート・メモリー使用量の変化が強調表示されます。

複数の特定のタイムスタンプにわたりすべてのプロセスでのメモリー消費を分析するときは、RSSおよび仮想メモリー(vsize)とともに、プライベート・メモリー(pmem)メトリックを含めると、実際のメモリー使用率をより正確かつ包括的に把握できます。

pmemの導出方法:

各プロセスのプライベート・メモリーは、RSSから共有メモリー(shmem)を減算することで算出されます。その後、プライベート・メモリー使用量の集計が算出されて提示され、次の両方が示されます:
  • 集計レベルでの全体的な差異、および
  • 個々のプロセス・レベルでの差異。

この機能は、AvailableMemoryLowシグネチャの下のインライン差分レポートに統合されており、メモリー使用量の傾向に関するより深いインサイトをユーザーに提供します。

図-1 Oracle OrachkレポートのCHM分析セクションでのプライベート・メモリー差異


この図は、Oracle OrachkレポートのCHM分析セクションでのプライベート・メモリー差異を示しています。

図-2 Oracle OrachkレポートのCHM分析セクションでのプライベート・メモリー差異


この図は、Oracle OrachkレポートのCHM分析セクションでのプライベート・メモリー差異を示しています。

AHF-IPC: クライアントからデーモンへの通信のためのPython IPCライブラリ

以前の実装では、クライアント・アプリケーションによって、通信の確立のために、サブプロセスを生成し、Oracle Trace File Analyzer (TFA)デーモンのワイヤ・プロトコルについて下位レベルの詳細を管理する必要がありました。

このリリースでは、Pythonベースのプロセス間通信(IPC)ライブラリが導入されており、クライアントで、クリーンな明確に定義されたAPIを介してTFAデーモンと直接対話できるようになりました。

  • サブプロセス管理がなくなり、クライアント・アプリケーションにおける複雑さが軽減されます。
  • ワイヤ・プロトコルが抽象化されて、コードの保守容易性が高まり、プロトコル不一致のリスクが軽減されます。
  • Pythonクライアント向けに調整された合理化されたインターフェイスにより、迅速な開発が実現されます。

この機能拡張により、TFAデーモンとの統合が簡略化され、クライアント側ツールの全体的な堅牢性が向上します。

Oracle OrachkおよびOracle Exachkの新しいベスト・プラクティス・チェック

リリース25.7には、Oracle OrachkおよびOracle Exachkの次の新しいベスト・プラクティス・チェックが組み込まれています。

Oracle OrachkOracle Exachkの両方に共通するベスト・プラクティス・チェック
  • パラメータDB_BLOCK_CHECKSUM [スタンバイ]の確認
  • パラメータDB_LOST_WRITE_PROTECT [スタンバイ]の確認
Oracle Orachkに固有のベスト・プラクティス・チェック
  • 35454504の修正の確認

すべてのチェックの詳細は、次のヘルス・チェック・カタログを参照してください: