10.1 readGraphByName APIを使用したPGQLプロパティ・グラフのロード
PGQLプロパティ・グラフを名前でグラフ・サーバー(PGX)にロードできます。
PgxSession#readGraphByName
APIを使用して、PGQLプロパティ・グラフをロードできます。
readGraphByName(String schemaName, String graphName, GraphSource source, ReadGraphOption options)
次の表に、メソッドで使用される引数を示します:
表10-1 readGraphByName
メソッドのパラメータ
パラメータ | 説明 | オプション |
---|---|---|
schemaName |
スキーマの所有者 | はい |
graphName |
PGQLプロパティ・グラフの名前 | 不可 |
source |
グラフのソース形式:
|
不可 |
options |
グラフ最適化オプションを表します | はい |
readGraphByName()
メソッドは、PGQLプロパティ・グラフのメタデータ表を読み取り、グラフをロードするためのグラフ構成を内部的に生成します。このAPIを使用するには、PGX_SESSION_NEW_GRAPH
権限が必要です。
たとえば、次のようにPGQLプロパティ・グラフをロードできます。
opg4j> var graph = session.readGraphByName("BANKDATA", GraphSource.PG_PGQL)
$12 ==> PgxGraph[name=bankdata,N=1000,E=5001,created=1625730942294]
PgxGraph graph = session.readGraphByName("BANKDATA", GraphSource.PG_PGQL);
Graph: PgxGraph[name=bankdata,N=1000,E=5001,created=1625732149262]
>>> graph = session.read_graph_by_name('BANKDATA', 'pg_pgql')
>>> graph
PgxGraph(name: bankdata, v: 1000, e: 5001, directed: True, memory(Mb): 0)
- readGraphByName APIのオプションの指定
readGraphByName
APIを使用してPGQLプロパティ・グラフをロードする場合は、グラフ最適化オプションまたはOnMissingVertexOption
、あるいはその両方を指定できます。 - readGraphByName APIへのスキーマ名の指定
readGraphByName
APIを使用してPGQLプロパティ・グラフをロードするときにスキーマ名を指定できます。
関連項目:
グラフ・サーバー(PGX)でサポートされるタイプの詳細は、Oracle DatabaseタイプのPGXタイプへのマッピングを参照してください10.1.1 readGraphByName
APIのオプションの指定
readGraphByName
APIを使用してPGQLプロパティ・グラフをロードする場合は、グラフ最適化オプションまたはOnMissingVertexOption
、あるいはその両方を指定できます。
PGQLプロパティ・グラフを名前でロードする際、ReadGraphOptionインタフェースでは追加のoptions
パラメータがサポートされます。
次の各項では、ReadGraphOption
インタフェースでサポートされている様々なオプションについて説明します。
グラフ最適化オプションの使用
最適化戦略によって、グラフが読取り集中型のシナリオに最適化されるか、高速な更新のために最適化されるかが決まります。問合せや更新などのグラフ操作のパフォーマンス特性に影響します。
サポートされているグラフ最適化options
は次のとおりです:
ReadGraphOption.optimizeFor(GraphOptimizedFor.READ)
: このオプションは、グラフのプライマリ操作が読取りベースで、更新の頻度が低いか更新がない場合に選択できます。この戦略を選択すると、新しいグラフまたはグラフ・スナップショットが作成されるたびに、グラフのデータ構造がレプリケートされます。これにより、トラバーサルや問合せなどの読取り操作が迅速かつ効率的になります。ただし、スナップショットの作成にはコストがかかる可能性があり、更新時のパフォーマンス・オーバーヘッドやメモリー使用量の増加につながることもあります。
ReadGraphOption.optimizeFor(GraphOptimizedFor.UPDATES)
: このオプションは、ノードやエッジの追加や削除、既存の要素のプロパティの変更など、グラフが頻繁に更新されることが予想される場合に選択できます。この戦略を選択すると、更新の管理にデルタ・ログが使用されます。このアプローチにより、更新はメモリー効率が高く、高速になります。ただし、これらのデルタ更新を適用する必要があるため、グラフの問合せ時に時間のオーバーヘッドが発生する場合があります。
ReadGraphOption.synchronizable()
: このオプションは、グラフが同期されることが予想される場合に選択できます。
次の点に注意してください。
-
synchronizable()
オプションは、UPDATE
およびREAD
と組み合せて使用できます。ただし、UPDATE
オプションとREAD
オプションは同時に使用できません。 SYNCHRONIZABLE
オプションのPGQLプロパティ・グラフをロードする場合は、頂点キーとエッジ・キーが数値であり、コンポジットではないことを確認します。
次の例では、READ
オプションとSYNCHRONIZABLE
オプションのPGQLプロパティ・グラフをロードします。
opg4j> var graph = session.readGraphByName("BANK_GRAPH", GraphSource.PG_PGQL,
...> ReadGraphOption.optimizeFor(GraphOptimizedFor.READ),
...> ReadGraphOption.synchronizable())
graph ==> PgxGraph[name=BANK_GRAPH_2,N=1000,E=5001,created=1648457198462]
PgxGraph graph = session.readGraphByName("BANK_GRAPH", GraphSource.PG_PGQL,
ReadGraphOption.optimizeFor(GraphOptimizedFor.READ),
ReadGraphOption.synchronizable());
>>> graph = session.read_graph_by_name('BANK_GRAPH',
... 'pg_pgql', options=['optimized_for_read', 'synchronizable'])
OnMissingVertex
オプションの使用
エッジのソース頂点または宛先頂点のいずれか、あるいはその両方が欠落している場合は、頂点が欠落しているエッジを処理するための動作を指定するOnMissingVertexOption
を使用できます。このオプションでは、次の値がサポートされています。
ReadGraphOption.onMissingVertex(OnMissingVertex.ERROR)
: これはデフォルト・オプションで、頂点が欠落しているエッジに対してエラーをスローする必要があることを指定します。ReadGraphOption.onMissingVertex(OnMissingVertex.IGNORE_EDGE)
: 欠落した頂点のエッジを無視する必要があることを指定します。ReadGraphOption.onMissingVertex(OnMissingVertex.IGNORE_EDGE_LOG)
: 欠落した頂点のエッジを無視し、無視されたすべてのエッジをログに記録する必要があることを指定します。ReadGraphOption.onMissingVertex(OnMissingVertex.IGNORE_EDGE_LOG_ONCE)
: 欠落した頂点のエッジを無視し、最初の無視されたエッジのみをログに記録する必要があることを指定します。
次の例では、頂点が欠落しているエッジを無視し、最初の無視されたエッジのみをログに記録することによって、PGQLプロパティ・グラフをロードします。ログを表示するには、/etc/oracle/graph/logback.xml
のデフォルトのLogback構成ファイルと、/etc/oracle/graph/logback-server.xml
のグラフ・サーバー(PGX)ロガー構成ファイルを更新して、DEBUGログを記録する必要があります。そのようにすると、無視されたエッジを/var/opt/log/pgx-server.log
ファイルで確認できます。
opg4j> session.readGraphByName("REGIONS", GraphSource.PG_PGQL,
...> ReadGraphOption.onMissingVertex(OnMissingVertex.IGNORE_EDGE_LOG_ONCE))
$7 ==> PgxGraph[name=REGIONVIEW_3,N=27,E=18,created=1655903219910]
PgxGraph graph = session.readGraphByName("REGIONS", GraphSource.PG_PGQL, ReadGraphOption.onMissingVertex(OnMissingVertex.IGNORE_EDGE_LOG_ONCE));
>>> graph = session.read_graph_by_name('REGIONS',
... 'pg_pgql', options=['on_missing_vertex_ignore_edge_log_once'])
10.1.2 readGraphByName APIへのスキーマ名の指定
readGraphByName
APIを使用してPGQLプロパティ・グラフをロードするときにスキーマ名を指定できます。
この機能を使用すると、別のユーザー・スキーマからグラフ・サーバー(PGX)にPGQLプロパティ・グラフをロードできます。ただし、別のスキーマからPGQLプロパティ・グラフをロードする場合は、基礎となるすべてのメタデータおよびデータ表に対するREAD
権限を持っていることを確認してください。
次の例では、GRAPHUSER
スキーマからPGQLプロパティ・グラフをロードします。
opg4j> var graph = session.readGraphByName("GRAPHUSER", "FRIENDS", GraphSource.PG_PGQL)
graph ==> PgxGraph[name=FRIENDS,N=6,E=4,created=1672743474212]
PgxGraph graph = session.readGraphByName("GRAPHUSER", "FRIENDS", GraphSource.PG_PGQL);