KPIトレンドの計算方法
トレンド・インジケータは、キー・パフォーマンス・インジケータ(KPI)のトレンドがプロジェクトに関して有利または不利であることを示します。KPIを定義する際、許容率の値を指定します。KPIのトレンド・インジケータを計算する際、許容率が考慮されます。
KPI値が頻繁に生成される場合、KPIトレンドが有用でないことがあります。理由は、許容率が10パーセントでKPI値が毎日生成されると、値が毎日1パーセントずつ減少するためです。このシナリオでは、減少が許容範囲内に収まっているため、トレンドで変化が観察されません。ただし、KPI値を1ヶ月の最初と最後に生成すると、トレンドに著しい変化が観察されます。
KPIトレンドに影響のある設定
KPIについて表示されるトレンド・インジケータは、パフォーマンス・トレンド・インジケータ設定で設定されたデフォルトに基づきます。次のトレンド・インジケータが使用されます。
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上昇、有利: プロジェクト・パフォーマンス・トレンドの値が上昇しており、有利である。
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上昇、不利: プロジェクト・パフォーマンス・トレンドの値が上昇しており、不利である。
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下落、有利: プロジェクト・パフォーマンス・トレンドの値が下落しており、有利である。
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下落、不利: プロジェクト・パフォーマンス・トレンドの値が下落しており、不利である。
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変化なし: プロジェクト・パフォーマンス・トレンドに変化がない。
プロジェクトのKPIのパフォーマンスに基づき、表内でKPIを表示したい順序に基づいて、トレンド・インジケータのソート順序を変更できます。
KPIトレンドの計算方法
トレンド・インジケータはKPI値の増減率に基づいて計算され、KPI作成時に指定された許容率が考慮されます。次の例で、KPIのトレンド・インジケータの計算方法を示します。
KPI値が初めて2011年1月15日に生成され、その後2月15日および4月15日に生成されたシナリオを考慮します。KPIについて2つ以上の値が存在すると、KPIトレンドが計算されます。
2011年1月15日に生成されたKPI値
この表は、KPI値が初めて2011年1月15日に生成された際のトレンドを示しています。特に指定されていないかぎり、次の表のすべての値はパーセントです。
KPI |
許容率とトレンド・インジケータ設定 |
現行のKPI値とステータス・インジケータ |
前のKPI値とステータス・インジケータ |
トレンド・インジケータ |
---|---|---|---|---|
PTD実際作業従事消費率 |
5 上昇は有利 |
70 予定どおり |
該当なし |
該当なし |
PTD実際設備従事消費率 |
5 上昇は不利 |
30 予定どおり |
該当なし |
該当なし |
PTD実際請求額 |
5 上昇は有利 |
$5000 警告 |
該当なし |
該当なし |
実績請求可能コスト率 |
2 上昇は有利 |
90 予定どおり |
該当なし |
該当なし |
PTD実際マージン率 |
2 上昇は有利 |
30 予定どおり |
該当なし |
該当なし |
2011年1月15日にKPI値を生成した後、最も重要なKPIはPTD実際請求額です。最も重要なKPIであるPTD実際請求額のステータスが警告であるため、全体的なプロジェクト状況ステータスは警告です。
2011年2月15日に生成されたKPI値
この表は、KPI値が2011年2月15日に生成された際のトレンドを示しています。
KPI |
許容率とトレンド・インジケータ設定 |
現行期間のKPI値とステータス・インジケータ |
前期間のKPI値とステータス・インジケータ |
前期間に基づくトレンド・インジケータ |
---|---|---|---|---|
PTD実際作業従事消費率 |
5 上昇は有利 |
71 予定どおり |
70 予定どおり |
変化なし |
PTD実際設備従事消費率 |
5 上昇は不利 |
29 予定どおり |
30 予定どおり |
変化なし |
PTD実際請求額 |
5 上昇は有利 |
$4800 警告 |
$5000 警告 |
変化なし |
実績請求可能コスト率 |
2 上昇は有利 |
91 予定どおり |
90 予定どおり |
変化なし |
PTD実際マージン率 |
2 上昇は有利 |
30.2 予定どおり |
30 予定どおり |
変化なし |
この表は、前の期間に基づいてどのようにトレンド・インジケータが計算されたかを示しています。現行期間のKPI値は前期間と異なりますが、各KPIについて定義された許容率に基づき、トレンド・インジケータを変化させるほど値の差異は著しくありません。たとえば、PTD実際作業従事消費率は71パーセントで、前期間のKPI値の70パーセントと比較します。現行期間のKPI値が73.5%よりも大きい場合、つまり前期間よりも5%大きい場合、トレンド・インジケータは上昇、有利となります。現行期間のKPI値が66.5%よりも小さい場合、つまり前期間よりも5%小さい場合、トレンド・インジケータは下降、不利となります。
すべてのKPIステータスの最も重大なものに基づき、全体的なプロジェクト状況ステータスは警告となります。2011年2月15日にKPI値を生成した後、最も重大なKPIはPTD実際請求額です。
2011年4月15日に生成されたKPI値
この表は、KPI値が2011年4月15日に生成された際のトレンドを示しています。
KPI |
許容率とトレンド・インジケータ設定 |
現四半期のKPI値とステータス・インジケータ |
前四半期のKPI値とステータス・インジケータ |
前四半期に基づくトレンド・インジケータ |
---|---|---|---|---|
PTD実際作業従事消費率 |
5 上昇は有利 |
75 予定どおり |
71 予定どおり |
上昇、有利 |
PTD実際設備従事消費率 |
5 上昇は不利 |
25 予定どおり |
29 予定どおり |
下降、有利 |
PTD実際請求額 |
5 上昇は有利 |
$3500 クリティカル |
$4800 警告 |
下落、不利 |
実績請求可能コスト率 |
2 上昇は有利 |
91 予定どおり |
91 予定どおり |
変化なし |
PTD実際マージン率 |
2 上昇は有利 |
28.5 警告 |
30.2 予定どおり |
下落、不利 |
この表は、前の四半期に基づいてどのようにトレンド・インジケータが計算されたかを示しています。現行のKPI値が、前四半期のKPI最終生成日と比較されます。
前期間トレンドと前四半期トレンドが、同じ生成のKPI値に基づいて計算されている場合があります。前期間生成日が前四半期の最終生成日と同じである場合、このようになります。
最初の3つのKPI値は、前四半期以来、トレンド・カルキュレータを変化させるほどに変化がありました。たとえば、PTD実際請求額の現行四半期値は$3,500で、前四半期KPI値の$4,800と比較してしきい値許容範囲の5%を超過しています。したがってKPIはクリティカル・ステータスで、トレンド・インジケータは下降、不利となっています。現行四半期値が$5,040で、前四半期よりも5%以上高い場合、トレンド・インジケータは上昇、有利です。
プロジェクト・マネージャはこの表に表示されるKPI値、ステータスおよびトレンドをレビューし、収益および請求額に基づくKPIの両方が下落しているため、請求されていない取引があると判断する可能性があります。
PTD実際請求額のステータスに基づき、全体的なプロジェクト状況ステータスはクリティカルです。