リポジトリ側メトリック拡張の作成

Enterprise Managerリリース12.1.0.4では、リポジトリ側メトリック拡張を作成できます。このタイプのメトリック拡張によって、SQLスクリプトを使用してEnterprise Managerリポジトリから情報を直接抽出し、リポジトリ側の拡張を実行するターゲットに対しアラートを発生させることができます。たとえば、リポジトリ側メトリック拡張を使用すると、ホスト・ターゲットに対しるアラートの数が5を超えたときにアラートを発生させることができます。また、そのホストでのCPU使用率が95%を超え、そのホストで実行しているプロセスの数が500を超えたときにアラートを発生させることもできます。リポジトリ側メトリック拡張によって、Enterprise Managerインフラストラクチャをより柔軟にモニターすることが可能になります。

リポジトリ側メトリックを作成するには:

  1. 「エンタープライズ」メニューから、「モニタリング」「メトリック拡張」 を選択します。
  2. 「作成」メニューから、「リポジトリ側メトリック拡張」を選択します。メトリック拡張作成の権限があるかどうか確認され、作成プロセスが順を追って指示されます。
  3. ターゲット・タイプとメトリック拡張名を決定します。名前(および表示名)はターゲット・タイプにおいて一意にする必要があります。
  4. 汎用パラメータを入力します。

    収集スケジュール

    収集スケジュール・プロパティを使用して、メトリック・データを収集する頻度およびその使用方法(「アラートのみ」または「アラートおよび履歴の傾向」)を定義しました。

  5. Enterprise Managerリポジトリに対して実行するSQL問合せを作成します。「SQL問合せ」ページに、問合せの明示的な開発手順と例が示されています。

    SQL問合せページ

    「SQLの検証」をクリックして、問合せをテストします。

    すでにSQLスクリプトがある場合は、「アップロード」をクリックすると、外部ファイルからSQLをロードできます。

  6. 「列」ページから、SQL問合せで返された列を参照/編集できます。列は編集できますが、このページで列を追加または削除することはできません。
    • 列タイプ

      列はキー列またはデータ列になります。キー列は表の行を一意に識別します。たとえば、従業員IDは従業員表の一意識別子です。データ列は、行内の一意でないすべてのデータです。たとえば、従業員の姓や名です。既存のデータ列に基づいて率およびデルタ・メトリック列も作成できます。後述の「率およびデルタ・メトリック列」を参照してください。

    • 値の型

      値の型は「Number」または「String」です。これによって、使用できるアラート比較演算子や、このメトリック列の収集データのEnterprise Managerでのレンダリング方法が決まります。

    • アラートのしきい値

      「比較操作」、「警告」および「クリティカル」フィールドによって、アラートしきい値が定義されます。

    • キー別のアラートしきい値

      「比較操作」、「キー別の警告のしきい値」および「キー別のクリティカルのしきい値」フィールドを使用すると、表内の行ごとに異なるアラートしきい値を指定できます。このオプションが使用できるのは、キー列が定義されている場合です。たとえば、メトリックがCPU使用率をモニタリングしている場合は、CPUごとに違うアラートしきい値を指定できます。構文としては、キー列値のカンマ区切りリスト、=記号、アラートしきい値の順に指定します。異なる行の複数のしきい値は、セミコロン(;)で区切ります。たとえば、CPU使用率のメトリックのキー列値がcpu_idおよびcore_idで、procecessor1およびcore1に50%、processor2およびcore2に60%の警告のしきい値を追加する場合は、「procecessor1,core1=50;processor2,core2=60」と指定します。

    • 手動でクリア可能なアラート

      ノート:

      「手動でクリア可能なアラート」オプションを表示するために「拡張」リージョンを展開する必要があります。

      このオプションを「true」に設定すると、アラートしきい値を下回ってもアラートが自動的にクリアされません。たとえば、メトリックがシステム・ログ・ファイル内のエラー数をカウントしているときに、アラートしきい値を50に設定すると、しきい値に到達したときにアラートが発生します。エラー件数が50未満になってもアラートは自動的にクリアされません。アラートは、ターゲットのホームページまたはインシデント・マネージャの「アラート」UIで手動でクリアする必要があります。

    • アラート前の発生数

      アラートしきい値に到達した場合の、アラートが発生する前の連続メトリック収集数。

    • アラート・メッセージまたはクリア・メッセージ

      アラートが発生またはクリアされたときに送信するメッセージ。使用できる変数は、%columnName%、%keyValue%、%value%、%warning_threshold%、%critical_threshold%です。

      該当する列名を「%」で囲んで、別の列の値を取得することもできます。たとえば、cpu_usage列についてアラートを作成している場合、%core_temperature%を使用してcore_temperature列の値を取得できます。警告またはクリティカル・アラートについても同じアラート・メッセージまたはクリア・メッセージが使用されることに注意してください。

      ノート:

      十分に検討して、すべてのキー列を追加してください。新しいバージョンのメトリック拡張では追加のキー列を作成できないためです。一度「デプロイ可能な下書きとして保存」をクリックすると、キー列は最終的に決定されます(列の表示名とアラートしきい値の編集は可能です)。新しいバージョンでも新たなデータ列を追加することはできます。また、既存のデータ列の一部のプロパティも後から変更できません。これには、「列型」、「値の型」、「比較演算子」(新しい演算子は追加できるが、既存の演算子は変更できない)および「手動でクリア可能なアラート」などが含まれます。

    • メトリックのカテゴリ

      この列が所属するメトリックのカテゴリ。

    • 別のメトリック列に基づいてデルタ・メトリック列を追加します

      例: 最後の収集後に使用された表領域の差異を知りたいとします。

      デルタ計算:

      現在のメトリック値 - 前のメトリック値

    • 別のメトリック列に基づいて率(/分)メトリック列を追加します

      例: 1時間ごとに収集される表領域列メトリックに基づいて1分ごとの平均表領域使用率を知りたいとします。

      率(/分)計算:

      現在のメトリック値 - 前のメトリック値/ 収集スケジュール

      ここで収集スケジュールは分です。

    • 別のメトリック列に基づいて率(/5分)メトリック列を追加します

      例: たとえば1時間ごとに収集される表領域列に基づいて5分ごとの平均表領域使用率を知りたいとします。

      率(/5分)計算:

      [(現在のメトリック値 - 前のメトリック値)/ 収集スケジュール ] * 5

      ここで収集スケジュールは分です。

    率/デルタ・メトリック列を作成するには、表の既存のデータ列をクリックし、「追加」メニューから率/デルタ列オプションのいずれかを選択します。

  7. 「テスト」ページから、使用可能なテスト・ターゲットを追加します。
  8. 「テストの実行」をクリックしてメトリック拡張を検証します。ユーザーが指定したテスト・ターゲットに拡張がデプロイされ、リアルタイム収集が実行されます。その後、メトリック拡張は自動的にアンデプロイされます。結果およびエラー(ある場合)は「テスト結果」リージョンに追加されます。
  9. メトリック拡張が予定のデータを返すようになるまで編集とテストを繰り返します。
  10. 「終了」をクリックします。