Exadata Storage Serverの管理

この項では、Exadata Storage Serverの管理の概要について説明します。次の項目について説明します。

Exadata Storage Serverについて

Exadata Storage Serverは、高度に最適化されたストレージ・サーバーであり、Oracle Databaseのデータを格納してそのデータにアクセスするOracle Exadata System Softwareを実行します。Exadata Storage Serverホームページを使用して、Oracle Exadata Storage ServerをEnterprise Managerターゲットとして管理およびモニターします。Enterprise Managerを使用して、単一のOracle Exadata Storage ServerまたはOracle Exadata Storage Serverのグループの管理およびモニタリングを検出して1つのデータ・センターに統合できます。

ノート:

Exadata Database Machineの進化に応じて、Exadata Storage Serverを表すために様々な名前(ストレージ・セルやセル・サーバーなど)が使用されてきました。このドキュメントや関連ドキュメントで、こうした名前で表記されたものは、Exadata Storage Serverを表しています。

Exadata Storage Serverは、自動的に検出することも手動で検出することもできます。個々のExadata Storage Serverは、Enterprise Managerターゲットとして管理およびモニターされ、例外、構成およびパフォーマンス情報を提供します。

Exadata Storage Serverのグループ化は、ストレージ・サーバーのセットを簡単に管理およびモニタリングするために使用されます。グループ化は手動でも自動でもどちらでもできます。グループ化機能により、Exadata Storage Serverのグループについての例外、構成およびパフォーマンス情報を集計できます。

ExadataパフォーマンスをExadata Storage Serverとグループの両方のレベルでASMおよびデータベース・パフォーマンスにリンクすることで、パフォーマンス分析を確認できます。データベース・ターゲットとASMターゲットの両方からExadata構成およびパフォーマンス問題にドリルダウンできます。

ストレージ・グリッド(たとえば、同じExadata Storage Serverを共有する複数のデータベース/ASMインスタンス)は、専用ストレージとして同じエクステントにサポートされています。

Exadata Storage Serverトポロジの表示

Oracle Exadata Storage Serverターゲットのトポロジを表示するには、次のステップを実行します。

  1. 構成を表示するExadataターゲットを選択して、Exadata Storage Serverホームページに移動します。

    Enterprise Managerで、選択したターゲットのExadata Storage Serverホーム・ページが表示されます。

  2. 「ターゲット」メニューから、「構成」「トポロジ」の順に選択します。

    Enterprise Managerで、選択したExadata Storage Serverの構成トポロジ・ページが表示されます。トポロジのページには、ターゲットとその他のターゲットの関係について視覚的なレイアウトが示されます。このページを起点として以下のことができます。

    • ターゲット・ステータス/イベント/ターゲット・タイプによってフィルタ処理したターゲット検索の実行

    • グラフに表示する関係のセットからの選択

    • アラートやリンク・ラベルなど、グラフに表示する注釈の選択

    • オプションのセットからの選択: ナビゲータの表示、すべて拡張または縮小、グラフ・レイアウトの切替え、トポロジの再ロード

    • 印刷

    • スライド・コントロールを使用したズーム

    • ナビゲータ・コントロールを使用したパン

    • グラフから表への表示の切替え

    ノードまたはグループ・メンバー上にマウス・カーソルを置くと、エンティティに関する詳細情報がポップアップ表示されます。カスタマ・ドキュメントなどの詳細情報へのリンクがポップアップに表示されることがあります。

Exadata Storage Serverでの管理タスクの実行

ノート:

ベスト・プラクティスとして、Exadata Storage Serverは一貫して管理および構成します。Enterprise Managerでは、対応するExadata Storage Serverグリッド・ターゲットのホームページからExadata Database Machine内のすべてのExadata Storage Serverに管理タスクを実行することも、Exadata Storage Serverターゲット・ホームページから個別のExadata Storage Serverターゲットに管理タスクを実行することもできます。可能なかぎり、Exadata Storage Serverグリッド・ターゲットから一貫してサーバーを管理して、必要に応じてサーバーのサブセットを選択するようにしてください。この項に示す手順は、Exadata Storage ServerグリッドとExadata Storage Serverターゲットのどちらにも使用できます。

Exadata Storage Serverコマンドの実行などのExadata Storage Serverの管理操作を実行するには、次のステップに従います。

  1. 「すべてのターゲット」ページから管理タスクを実行するExadataターゲットを選択することで、Exadata Storage Serverのホームページに移動します。

    Enterprise Managerで、選択したターゲットのExadata Storage Serverホーム・ページが表示されます。

  2. 「Exadata Storage Server」をクリックして、「管理」を選択します。

    このメニューから、「セル・コマンドの実行」または「IOリソースの管理」のどちらかを選択します。

  3. 「セル・コマンドの実行」をクリックします。

    Exadata Storage Servers管理ウィザードの「コマンド」ページが表示されます。Exadata Storage Serverに実行する管理コマンドとして、CELLCLIコマンドを入力します。コマンドを入力する前に、コマンドの説明をお読みください。実行できるcellCLIコマンドは1つのみです。コマンドを実行すると自動的に追加されるcellcli -e接頭辞なしで、コマンドを入力する必要があります。また、:、;、/、'、<、>、/および|は使用できません。

  4. 「次へ」をクリックして続行します。

    Enterprise Managerで、管理資格証明ページが表示されます。管理資格証明を選択または入力して、コマンドを実行します。入力する資格証明は、操作の発行時に使用されます。「優先資格証明」、「名前付き資格証明」、「新規資格証明」から選択できます。また、「詳細」をクリックして、資格証明のタイプ、最終更新日時、資格証明名、資格証明所有者、最終変更日、最終更新者、優先資格証明セットの場所の情報を表示できます。

  5. 「次」をクリックします。

    Enterprise Managerで、スケジュール・ページが表示されます。スケジュール・ページを使用して、管理タスクをスケジュールします。ジョブ名およびジョブの説明を入力して、「管理ジョブをスケジュールします」セクションのジョブ情報を指定します。即時にジョブを開始するか、ジョブを開始する時間の入力を選択できます。

  6. 「次へ」をクリックして続行します。

    「概要」ページが表示されます。サマリー・ページを使用して、正しい値を入力したことを確認し、コマンドを発行します。ジョブが「スケジュール済」および「選択したセル」の場合、サマリーページにジョブ名、ジョブの説明、実行するコマンドがリストされます。

  7. 「コマンドの発行」をクリックして、ジョブを発行します。

    ジョブ・ステータス・ページが表示されます。ジョブ・ステータス・ページを使用して、管理タスクのジョブ詳細ページにリンクします。

I/Oリソースの管理

Oracle Exadata Storage Serverは、Exadata Database Machine検出ワークフロー(「Exadata Database Machineの検出」を参照)の実行中に、ターゲットとして追加され、グループExadata Storage Serverグリッドに自動的にグループ化されます。I/Oリソースのモニタリングと管理は、Exadata Storage ServerグリッドおよびExadata Storage Serverターゲットのレベルで実行できます。次に示す情報は、グリッドおよびServerターゲットに対応します。

「IORMパフォーマンス・ページ」にアクセスするには:

  1. Exadata Storage Serverを選択します。

    1. 「ターゲット」メニューから「Exadata」を選択します。

    2. ターゲット名のリストから「DBマシン」を選択します。

    3. 「ターゲット・ナビゲーション」ペインで、「Exadataグリッド」項目を展開して、Exadata Storage Serverのいずれかをクリックします。

  2. Exadata Storage Serverを選択したら、「Exadata Storage Server」メニューをクリックして、「管理」「IOリソースの管理」の順に選択します。

IORMページには、次のセクションがあります。

  • I/Oリソース・マネージャ設定: このセクションは、Exadata Storage ServerのIORM構成を表示および更新するために利用できます。最新のExadata Storage Server IORM構成を表示するには、「最新情報の取得」ボタンを使用します。Exadata Storage ServerのIORM構成を編集および更新するには、同じセクションを使用します。

  • データベース・リソースの管理(DBRM)設定: このセクションには、Exadata Storage Serverリソースを使用するデータベースのリストとそれらの基本設定が表示されます。このページから、データベース・リソース管理のページを開けます。

  • データベースごとのワークロードの分散: このページのIORMモニタリングのセクションには、ディスクI/Oのパフォーマンス統計情報のビュー(待機時間、IOPS、MBPS、使用率、レイテンシおよび目標についてのグラフ)が示されます。これらの統計は、どのデータベースおよびコンシューマ・グループが、使用可能なリソースを使用しているかを識別するために役立ちます。また、(同じページの「IORM設定」セクションを使用して)必要に応じてIORM構成を調整するのにも役立ちます。

IORM構成には、IORMの目標とデータベース間プランが含まれます。

I/Oリソースの管理の詳細は、『Oracle® Exadata Storage Server Softwareユーザーズ・ガイド』「I/Oリソースの管理」の章を参照してください。

IORM構成の追加/更新

I/O Resource Manager (IORM)の設定を更新するには、次の手順を実行します(Exadata Storage Serverソフトウェア・リリース12.1.2.1.0以上)。

  1. 前述したように、IORMのページに移動します。この図は、「I/Oリソース・マネージャ(IORM)設定」ペインを示しています。

    ノート:

    単一のExadata Storage Serverを更新することもできます。「Exadataグリッド」グループを展開して、グループに関連付けられたすべてのExadata Storage Serverを表示します。更新するExadata Storage Serverをクリックします。

    IORM設定を更新するステップは、単一のExadata Storage ServerやExadata Storage Serverのグループに対するものと同じです。

  2. データベース間プランを更新するには、既存の値を編集するか、内部データベースの表で使用できる「追加」または「削除」ボタンを使用して、データベース間プランへのディレクティブを追加または削除します。

    1. 「データベース名」列で、ドロップダウン・メニューからデータベースを選択するか、データベース名を入力します。

    2. 「ハード・ディスクI/O使用率制限(%)」列に値を入力します。

    3. 「データベースI/O共有」列に値を入力します。

    4. 「フラッシュ・キャッシュ」列に最小値および最大値をMB単位で入力します。

    5. その他の属性(「タイプ」や「ロール」など)を指定します。

  3. 「ディスクI/Oの目標」ドロップダウン・メニューで、リストから目標を選択します(デフォルトは「自動」です)。

    • 「低遅延」- この設定は非常に適切な待ち時間が要求されるクリティカルなOLTPワークロードに使用します。この設定により、ディスク使用率が大幅に制限されてレイテンシは可能最短となります。

    • 「平均化」- この設定はクリティカルなOLTPワークロードおよびDSSワークロードに使用します。この設定により、短いディスク・レイテンシと高いスループットが均等になります。この設定により、大きいI/Oのディスク使用率が「低遅延」より小さい範囲に制限され、適切な待ち時間とスループットがバランスします。

    • 「高スループット」- この設定は高いスループットが要求されるクリティカルなDSSのワークロードに使用します。

    • 「自動」- この設定はIORMに最適化目標を決定させる場合に使用します。IORMでは、監視対象のワークロードおよび有効なリソース・プランに基づいて、継続的かつ動的に最適化のobjectiveを判断します。

    • 「基本」- この設定は、I/Oの優先順位付けを無効にして、小さいI/Oの最大遅延を制限する場合に使用します。

    ノート:

    「自動」および「平均化」の目標が該当しない場合(それらの目標は、エクストリーム・フラッシュExadata Storage ServerのI/Oには影響しません)、それらはIORMページに表示されません。

    「更新」をクリックします。Exadata Storage Server管理ウィザードが表示され、ディスクI/Oの目標の構成を完了するために必要な情報の入力が求められます。

    1. ウィザードの「コマンド」ページでは、「ディスクI/Oの目標」にautoが選択されている場合、「セル制御コマンドライン・インタフェース(CellCLI)」の値を次のようにする必要があります。

      # alter iormplan objective = 'auto'

      「次へ」をクリックします。

    2. ウィザードの「管理資格証明」ページでは、選択したExadata Storage Serverのユーザー名とパスワードを入力します。

      「次へ」をクリックします。

    3. ウィザードの「スケジュール」ページでは、ジョブ名(必須)とジョブの説明(オプション)を入力します。開始するオプションの「即時」または「後で」を選択します。「後で」オプションを選択した場合は、ジョブを実行する時刻を入力します。

      「次へ」をクリックします。

    4. ウィザードの「確認」ページでは、設定が正しいことを確認します。コマンドを発行するには、「コマンドの発行」をクリックします。

      ジョブが正常に発行されると、「ジョブ・ステータス」ページが表示されます。

      「戻る」をクリックすると、「I/Oリソース・マネージャ(IORM)設定」ペインに戻ります。

  4. 「最新情報の取得」をクリックして、Exadata Storage ServerからのIORM構成をリフレッシュします。これには、更新されたディスクI/Oの目標が含まれます。

  5. ディスクI/Oの目標の設定を確認するには、コマンドラインから次のコマンドを実行します。この例では、その設定にautoが選択されていたとします。

    # dcli -g cell_group cellcli -e "list iormplan attributes objective"

    出力には、値autoが示されます。

    cell01: auto
    cell02: auto
    cell03: auto
    .
    .
    .
    cell14: auto

データベース間プラン

データベース間プランでは、Exadata Storage Serverごとに複数のデータベース間で、リソースをパーセンテージまたは共有によって割り当てる方法を指定します。データベース間プランのディレクティブ(行)では、コンシューマ・グループではなくデータベースへの割当てを指定します。データベース間プランの構成および有効化は、各Exadata Storage ServerでCellCLIユーティリティを使用します。Exadata Storage Serverごとに同時にアクティブ化できるデータベース間プランは1つのみです。

パーセンテージ・ベースのデータベース間プラン: allocationsを使用して、データベースごとのI/O分散のパーセンテージを指定します。パーセンテージ・ベースの計画では、IORMで管理できるデータベース数が最大32になります。リソースは、8つの異なるレベルで割当てできます。パーセンテージ・ベースのデータベース間プランは、各ディレクティブが割当て量とレベル(1から8)で構成される点においてデータベース・リソース・プランと類似しています。パーセンテージ・ベースの計画ごとに、どのレベルでも割当ての合計を100%以下にする必要があります。データベース間プランにはサブプランを含めることができず、I/Oリソースのディレクティブのみが含まれる点においてデータベース・リソース・プランと異なります。

共有ベースのデータベース間プラン: これは、データベース間プランにお薦めの方法です。shareを使用して、データベースの相対的な優先度を指定します。share値が高いほど、優先度が高くなり、I/Oリソースの保証が強化されます。各データベースには、1から32の整数の共有値が割り当てられます。limitメソッドを使用して、指定の使用率制限にデータベースのI/O使用率を制限します。共有の合計が100を超える場合もあります。共有ベースの計画では、データベース間プラン内で最大1024のディレクティブをサポートします。

I/Oリソース管理では、Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュ内の領域を保証することで、予測可能なパフォーマンスを実現できます。そのためには、「フラッシュ・キャッシュ領域」列を使用して、データベース間プランのデータベースごとに領域割当てを指定します。

データベース間プランのディレクティブごとに、要件に応じた属性値を指定します。

ノート:

Exadata Storage Serverのバージョンが11.2.3.1.0以前の場合は、共有、パーセンテージ・ベースのデータベース間プランのラジオ・ボタンが使用できません。パーセンテージベースのオプションのみ表示できます(つまり、ドロップダウンに「基本」、「拡張」オプションのみが表示されます)。

データベース間プランの考慮時:

  • Oracle Exadata Storage Serverがホストしているデータベースが1つのみの場合、データベース間プランは不要です。

  • データベース間プランが指定されていない場合は、すべてのデータベースで割当てが同じになります。

Exadata Storage Serverのアラートの診断

Enterprise Managerは、Exadata Storage Server管理サーバーから送信されるExadata Storage Serverのアラートをリスニングするため、すべてのハードウェア障害またはExadata Storage ServerのエラーがEnterprise Managerに報告されます。Exadata Database Machineで発生する可能性のあるエラー・メッセージの詳細は、『Oracle Exadata Database Machineエラー・メッセージ・リファレンス・ガイド』エラー・メッセージとアラート・メッセージに関する項を参照してください。