2 アップグレード前の要件

Oracle Internet Directory 14c (14.1.2.1.0)のアップグレードを開始する前に、バックアップ、現在の環境のレプリカの作成、システムが動作保証要件を満たしていることの確認など、アップグレード前のタスクを実行する必要があります。

アップグレード前のチェックリスト

アップグレード前のチェックリストは、アップグレードを成功させて停止時間を少なくするために、アップグレードを開始する前に実行できるタスクを識別します。

アップグレードはサーバーの停止中に実行されます。チェックリストは、アップグレード前の重要な(かつ時間がかかる)タスクを識別するためのものであり、これをアップグレード前に実行することで停止時間を短縮できます。アップグレード・プロセスを開始する前の準備を十分行うほど、オフライン時間を減らすことができます。

ノート:

実行するアップグレード前の手順は、既存のシステムの構成、アップグレードするコンポーネントおよびアップグレードと構成プロセスの最後に作成する環境によって異なります。構成またはユースケースに該当するタスクのみを実行してください。

表2-1 Oracle Fusion Middleware 14c (14.1.2.1.0)にアップグレードする前に実行するタスク

タスク 説明

必須

既存の環境の完全なバックアップを作成します。

アップグレードしようとしているスキーマを含めて、システムに重要なファイルとデータベースをすべてバックアップします。アップグレードに失敗した場合、アップグレード前の環境をリストアして、アップグレードを再度開始する必要があります。

「完全なバックアップの作成」を参照してください。

  • スキーマ・バージョン・レジストリ表がバックアップに含まれていることを確認します。「スキーマ・バージョン・レジストリ表のバックアップ」を参照してください。

  • 既存のドメインの起動スクリプトを変更した場合、アップグレード中はそれらを一時ディレクトリ(既存のドメイン以外)の場所にコピーし、アップグレード後に再デプロイする必要があります。

省略可能

アップグレード・テストのプラットフォームとして使用する、本番環境のレプリカを作成します。

システム・ファイルの完全なバックアップを作成するだけでなく、本番環境のレプリカも作成することをお薦めします。この環境は、アップグレードをテストするために使用されます。

「テストのための本番環境のレプリカの作成」を参照してください。

必須

サポートされているハードウェアおよびソフトウェア構成上で、製品をインストールおよびアップグレードしていることを確認します。

サポートされている最新のオペレーティング・システムを使用できない場合はアップグレードしないでください。サポート対象のすべての構成と同様、こうした要件を守れない場合は、アップグレードが失敗する可能性があります。

(オペレーティング・システムを含む)ハードウェアとソフトウェアの構成が最新の動作保証および要件のドキュメントでサポートされていることを確認します。また、14c (14.1.2.1.0)製品のディストリビューションをインストールする前に、サポート対象バージョンのJDKを使用していることを確認してください。

動作保証とシステム要件の確認に関する項を参照してください。

動作保証要件は頻繁に更新されるため、アップグレードを開始する直前に、この情報を確認することをお薦めします。

ノート:

アップグレードの前に、コンポーネントに最新のパッチが適用されていることを確認します。インストールするソフトウェア製品に必要な必須パッチの有無については、Oracle Fusion Middleware Infrastructureのリリース・ノートを確認してください。

『Oracle Fusion Middleware Infrastructureリリース・ノート』インストールと構成に関する項を参照してください。

省略可能

アップグレードの前に、古いデータまたは使用しないデータを削除します。

パフォーマンスを最適化するために、アップグレードした環境では使用されないデータとオブジェクトはパージすることをお薦めします。

「未使用データのパージ」を参照してください。

必須

WLSSchemaDataSourceデータ・ソースに割り当てられたデータベース・ユーザーを<PREFIX>_WLS_RUNTIMEから<PREFIX>_WLSに変更します。

WLSSchemaDataSourceデータ・ソースのデータベース・ユーザーが<PREFIX>_WLS_RUNTIMEに割り当てられている場合は、<PREFIX>_WLSに変更する必要があります

このステップは、既存のドメインにWLSSchemaDataSourceデータ・ソースがある場合にのみ必要です。

「WLSSchemaDataSourceデータ・ソースのデータベース・ユーザーの確認」を参照してください

省略可能

Upgrade Assistantを実行するための非SYSDBAユーザーを作成します。

Upgrade Assistantを実行するための、FMWユーザーを作成することをお薦めします。ユーザーFMWは、システム管理者の権限を持たずにUpgrade Assistantを実行できます。

「Upgrade Assistantを実行するための非SYSDBAユーザーの作成」を参照してください。

省略可能

アップグレード・プロセスを起動する前に、ローカルおよびリモートのすべてのノード・マネージャを停止します。

「ノード・マネージャの停止」を参照してください。

完全なバックアップの作成

アップグレードを開始する前に、Oracle Fusion Middlewareスキーマをホストするすべてのデータベースを含め、システムに重要なファイルをすべてバックアップします。

バックアップには、SYSTEM.SCHEMA_VERSION_REGISTRY$表を含める必要があります。これにより、アップグレードが失敗したときに、コンテンツをアップグレード前の状態にリストアできるようになります。

Upgrade Assistantの「前提条件」画面では、アップグレードを実際に進める前に、バックアップが実行されていることについての確認を求められます。ただし、Upgrade Assistantは、バックアップが作成されていることを検証しない点に注意してください。

参照:

スキーマ・バージョン・レジストリ表のバックアップ

システム・バックアップには、SYSTEM.SCHEMA_VERSION_REGISTRY$表またはFMWREGISTRY.SCHEMA_VERSION_REGISTRY$表を含める必要があります。

SYSTEM.SCHEMA_VERSION_REGISTRY$表には、各Fusion Middlewareスキーマの行があります。Upgrade Assistantを実行して既存のスキーマを更新する際、正常に更新できなかった場合は、元のスキーマをリストアしてからやりなおす必要があります。Upgrade Assistantを実行する前に、既存のデータベース・スキーマおよびスキーマ・バージョン・レジストリを必ずバックアップします。

ノート:

Upgrade Assistantを使用してスキーマをアップグレードする前に、完全なデータベースのバックアップを実行する必要があります。アップグレード中に、バックアップが実行されていることを確認する必要があります。

カスタマイズされたドメインおよび環境設定のメンテナンス

アップグレード前の環境で、ドメインで生成されたスクリプト、サーバー起動スクリプトまたは構成ファイルを変更した場合、これらの変更内容がインストール、ドメイン・アップグレードおよび再構成の操作中に上書きされることに注意する必要があります。カスタマイズしたファイルは共有ライブラリの場所に保存し、アップグレード後にもそれらを継続して使用できるようにします。

どのドメインのインストールにも、動的に生成されたドメインおよびサーバーの起動スクリプト(setDomainEnvなど)が含まれています。これらのファイルは、インストールとアップグレードのプロセスで新しいバージョンに置き換えられます。カスタムのドメインレベルの環境設定を維持する場合は、スクリプトを直接変更するのではなく、アップグレード前に、カスタムのドメイン情報を保存しておく個別のファイルを作成することをお薦めします。

たとえば、ドメインのすべてのサーバーに適用されるサーバー起動パラメータをカスタマイズする場合は、setUserOverrides.cmd (Windows)またはsetUserOverrides.sh (UNIX)という名前のファイルを作成することにより、WebLogic Serverクラスパスにカスタム・ライブラリを追加する、サーバー実行用の追加のコマンドライン・オプションを指定する、または追加の環境変数を指定するなどの構成が可能です。 packおよびunpackコマンドを使用する際、このファイルに追加されたカスタム設定はドメインのアップグレード操作中に保存されてリモート・サーバーに継承されます。

次の例は、setUserOverridesファイルでの起動のカスタマイズを示しています。
# add custom libraries to the WebLogic Server system claspath
  if [ "${POST_CLASSPATH}" != "" ] ; then
    POST_CLASSPATH="${POST_CLASSPATH}${CLASSPATHSEP}${HOME}/foo/fooBar.jar"
    export POST_CLASSPATH
  else
    POST_CLASSPATH="${HOME}/foo/fooBar.jar"
    export POST_CLASSPATH
  fi
 
# specify additional java command-line options for servers
JAVA_OPTIONS="${JAVA_OPTIONS}  -Dcustom.property.key=custom.value"

サーバーの起動中にsetUserOverridesファイルが存在する場合、このファイルが起動シーケンスに含まれ、このファイルにオーバーライドがあれば、有効になります。setUserOverridesファイルは、EXISTING_DOMAIN_HOME/binディレクトリに格納する必要があります。

ノート:

アップグレード前に、setUserOverridesスクリプトを作成できない場合は、Oracle WebLogic Serverのアップグレード起動スクリプトへのカスタマイズの再適用の説明に従って、設定を再適用する必要があります。

テストのための本番環境のレプリカの作成

実際の本番環境のレプリカを作成し、レプリケートした環境をアップグレードし、アップグレードしたコンポーネントが予想どおりに動作することを確認してから(必ず確認した後で)、本番環境をアップグレードします。

テストのために本番環境のレプリカを作成することをお薦めしますが、必須ではありません。

アップグレードは元に戻せません。ほとんどの場合、エラーが発生したときには、アップグレードを中止してバックアップから環境全体をリストアし、アップグレード・プロセスを最初からやり直す必要があります。潜在的なアップグレードの問題を開発環境で特定しておくと、無駄な停止時間を排除できます。

ノート:

すべてのコンポーネントおよびオペレーティング・システムのレプリカを作成する手順については、このドキュメントでは説明していません。これらの手順は、コンポーネントおよびオペレーティング・システムに固有のものです。概略としては、アップグレード前のバージョンのコンポーネント・ドメインをテスト・マシンにインストールし、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用して必要なスキーマを作成し、アップグレードを実行します。
レプリケートした本番環境でアップグレードを実行すると、次のようなメリットもあります:
  • アップグレードに関する問題を明らかにし、修正します。

  • エンドツーエンドのアップグレードを完了させる練習をします。

  • アップグレードのパフォーマンスおよびパージ・スクリプトがどのように役立つかを理解します。

  • アップグレードの完了までに必要な時間を理解します。

  • データベース・リソースの使用(一時表領域やPGAなど)について理解します。

ノート:

レプリケートした本番環境でアップグレード前の準備状況チェックを実行すれば、データに関して発生する可能性のあるアップグレードの問題は特定できますが、正常なアップグレードの万全を期すために、レプリケートした環境で完全なテスト・アップグレードを実行する必要があります。

動作保証およびシステム要件の確認

ご使用の環境がインストールに必要な要件を満たしていることを確認するには、動作保証マトリックスおよびシステム要件のドキュメントをレビューする必要があります。オペレーティング・システム、ハードウェアまたはその他のソフトウェア・パッケージのアップグレードが必要になる場合があります。

ノート:

動作保証、システム要件および相互運用性情報を確認する際には必ず、特にオペレーティング・システム要件について確認してください。明示的にご使用のオペレーティング・システム環境専用に設計されたソフトウェアをダウンロードすることが重要です。

警告:

アップグレードを開始するに、現在の環境に最新のパッチが適用されていることを確認してください。動作保証は、特に指定がないかぎり、完全にパッチが適用された環境に基づいています。

環境が動作保証要件を満たしていることの確認

Oracleでは、動作保証済のすべてのシステムおよび環境で製品のパフォーマンスをテストおよび検証しています。製品をインストールする場合、サポートされているハードウェアまたはソフトウェア構成を使用します。

新しい動作保証要件が確認されると、それらはすぐに適切な動作保証に関するドキュメントに追加されます。新しい動作保証要件は随時確認される場合があるため、動作保証に関するドキュメントはドキュメント・ライブラリの外部に置かれ、Oracle Technology Networkで提供されています。14c (14.1.2.1.0)の動作保証マトリックスを参照してください。

システム要件と仕様の確認

「システム要件と仕様」ドキュメントとOracle Fusion Middleware動作保証マトリックスの両方を使用して、ディスク領域、使用可能なメモリー、特定のプラットフォーム・パッケージおよびパッチ、その他のオペレーティング・システム固有の項目などのシステム要件が満たされていることを確認することが重要です。

Oracle Fusion Middlewareのシステム要件と仕様に関するドキュメントを使用して、Oracle Fusion Middlewareの動作保証マトリックスの要件が満たされていることを確認します。たとえば、動作保証マトリックスに、目的の製品が64ビットのOracle Linux 8上にインストールすることで動作保証されると示されている場合は、システム要件と仕様に関するドキュメントを使用して、そのOracle Linux 8システムが最低限必要な仕様(ディスク領域、使用可能なメモリー、特定のプラットフォーム・パッケージとパッチおよびその他のオペレーティング・システム固有のアイテムなど)を満たしていることを確認する必要があります。このドキュメントは、必要に応じて更新されるため、Oracle Technology Network (OTN)のドキュメント・ライブラリの外部に存在します。

ノート:

最小システム要件を満たすことができない場合は、アップグレードを試行しないでください。

具体的には、Oracle Fusion Middlewareのシステム要件と仕様に関するドキュメントを使用して、次のことを確認できます。
  • プロセッサ要件
  • Java Development Kit (JDK)の要件
  • 一般的なメモリーおよびディスク領域の要件
  • 製品固有のメモリーおよびディスク領域の要件
  • ネットワーク要件
  • UNIXオペレーティング・システムの要件
  • Windowsオペレーティング・システムの要件
  • 仮想化の要件
  • データベース要件

使用しているオペレーティング・システムがサポートされていない場合はどうなりますか。

サポートされていないオペレーティング・システムで環境を実行している場合は、アップグレードを開始する前に、サポートされる環境を作成する必要があります。サポートされていないオペレーティング・システムでアップグレードを試行しないでください。

環境の移行ステップを使用します。

Oracle Fusion Middlewareをホストしているデータベースがサポートされていることの確認

Oracle Fusion Middleware 14c (14.1.2.1.0)を実行する前に、サポートされるOracle Databaseを必須のスキーマで構成しておく必要があります。

アップグレードを開始する前にFusion Middlewareデータベース要件を確認し、Oracle Fusion Middlewareをホストしているデータベースがサポートされており、アップグレードの実行に十分な領域が用意されていることを確認します。14c (14.1.2.1.0)の動作保証マトリックスを参照してください。

ノート:

サポートされなくなったデータベース・バージョンを使用している場合は、アップグレードの開始前に、サポートされるバージョンにアップグレードする必要があります。

このリリースのOracle Fusion MiddlewareでJDKが動作保証されていることの確認

ご使用のJDKがサポートされていない場合、またはJDKをインストールしていない場合は、開始前に必要なJava SE JDKをダウンロードする必要があります。

Oracle Technology Network (OTN)で、Oracle Fusion Middlewareのサポート対象システム構成 に関する情報を参照して、現在使用しているJDKがサポートされていることを確認します。

サポート対象外のJDKを使用している場合やJDKをインストールしていない場合は、次に示すWebサイトから必須のJava SE JDKをダウンロードする必要があります。
http://www.oracle.com/technetwork/java/javase/downloads/index.html

JDKは、Oracleホームの外部にインストールしてください。Oracle Universal Installerにより指定されたOracleホーム・ディレクトリが空であることが検証され、空のディレクトリが指定されていなければインストールは行われません。JDKをOracleホームにインストールした場合、今後の操作で問題が発生することがあります。このため、JDKは/home/oracle/products/jdkディレクトリにインストールすることをお薦めします。

WLSSchemaDataSourceデータ・ソースのデータベース・ユーザーの確認

既存のドメインにWLSSchemaDataSourceデータ・ソースがある場合は、このステップが必要です。

ドメインにWLSSchemaDataSourceデータ・ソースがある場合は、どのデータベース・ユーザーがそれに割り当てられているかを確認する必要があります。<PREFIX>_WLS_RUNTIMEが割り当てられている場合は、それを<PREFIX>_WLSに変更する必要があります。

これは、次の変更が行われたために必要です:
  • 14c (14.1.2.1.0) Upgrade Assistantは、ドメインベースのスキーマ・アップグレードの実行時に、WLSSchemaDataSourceデータ・ソースの情報を使用します。<PREFIX>_WLSデータベース・ユーザーがWLSSchemaDataSourceに割り当てられていない場合、またはUpgrade AssistantのWLSスキーマ・ページの「スキーマ・ユーザー名」に<PREFIX>_WLSが入力されていない場合、そのアップグレードは失敗します。
  • 12c Oracle WebLogic管理コンソールを使用して、WLSSchemaDataSourceデータ・ソースのデータベース・ユーザーを<PREFIX>_WLSに変更することをお薦めします。こうすると、Upgrade Assistantの失敗を回避でき、また再構成ウィザードでフィールドに正しい値が事前移入されます。
  • <PREFIX>_WLS_RUNTIMEデータベース・ユーザーは、14c (14.1.2.1.0)で導入された新しいWLSRuntimeSchemaDataSourceで使用するために予約されています。この新しいWLSRuntimeSchemaDataSourceは、14c (14.1.2.1.0)の再構成ウィザード(reconfig.sh)を使用してドメインをアップグレードするときに作成されます。
Oracle WebLogic 12c管理コンソールを使用して、WLSSchemaDataSourceのユーザーを<PREFIX>_WLS_RUNTIME から<PREFIX>_WLSに変更できます。
  1. 12c (12.2.1.4.0)管理コンソールにログインします。
  2. 管理コンソールの「ドメイン構造」で、「サービス」を展開します(横にある「+」をクリックします)。次に、「データ・ソース」をクリックします。
  3. 「プロパティ」フィールドのユーザーに<PREFIX>_WLS_RUNTIMEが含まれる場合は、 <PREFIX>_WLSに変更します。
  4. 変更内容を保存します。
  5. ドメインが本番モードで実行されている場合、チェンジ・センターを使用して変更をコミットします。

未使用データのパージ

アップグレード前に未使用データをパージしてパージ方法を管理すると、アップグレード・プロセスを最適化できます。

一部のコンポーネントには自動化されたパージ・スクリプトがあります。パージ・スクリプトを使用する場合、パージが完了するまで待ってから、アップグレード・プロセスを開始してください。Upgrade Assistantを使用してスキーマをアップグレードするときに、パージ・スクリプトを実行していると、アップグレードは失敗する可能性があります。

Upgrade Assistantを実行するための非SYSDBAユーザーの作成

Upgrade Assistantを実行するには、FMWという名前の非SYSDBAユーザーをPDB内に作成することをお薦めします。このユーザーはスキーマの変更に必要な権限は持っていますが、完全な管理者権限は持っていません。

ノート:

cdb内でコマンドを実行すると、一部の権限の作成に失敗します。
SYSDBAはデータベースの作成、起動、停止、バックアップまたはリカバリなどの高度な管理操作を実行するために必要な管理権限です。SYSDBAシステム権限は、完全な権限を持つデータベース管理者が使用します。SYSDBA権限で接続すると、通常はユーザー名に関連付けられているスキーマではなく、デフォルトのスキーマで接続が確立されます。SYSDBAの場合、このスキーマはSYSです。デフォルト・スキーマへのアクセスは非常に強力な権限となる場合があります。たとえば、ユーザーSYSとして接続する場合、データ・ディクショナリの表における権限は無制限となります。このため、SYSDBA以外のユーザーを作成してスキーマをアップグレードすることをお薦めします。Upgrade Assistantを起動する前に、次に示した権限をユーザーFMWに付与する必要があります。

ノート:

非SYSDBAユーザーFMWは、Upgrade Assistantを実行するためにのみ作成します。このステップが完了したら、FMWユーザーを削除してください。Upgrade Assistantを実行するために必要な権限は、リリースごとに異なる可能性があります。

デフォルトでは、v$xatrans$表は存在しません。ユーザーを作成する前に、XAVIEW.SQLスクリプトを実行して、この表を作成する必要があります。

ユーザーを作成する前に、以前のアップグレードでv$xatrans$表が作成されたかどうかを確認します。システム・ユーザーとして、sqlplusから次のコマンドを実行します:

select object_name, owner, object_type from dba_objects where object_name like '%XATRANS%'

以前のアップグレードでv$xatrans$表が作成されていた場合は、4つのオブジェクトがすでに使用可能になっています。

次の例では、passwordがFMWユーザーに対して設定されたパスワードです。権限を付与する際は、必ず実際のパスワードを指定してください。
create user FMW identified by password;
grant dba to FMW;
grant execute on DBMS_LOB to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_OUTPUT to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_STATS to FMW with grant option;
grant execute on sys.dbms_aqadm to FMW with grant option;
grant execute on sys.dbms_aqin to FMW with grant option;
grant execute on sys.dbms_aqjms to FMW with grant option;
grant execute on sys.dbms_aq to FMW with grant option;
grant execute on utl_file to FMW with grant option;
grant execute on dbms_lock to FMW with grant option;
grant select on sys.V_$INSTANCE to FMW with grant option;
grant select on sys.GV_$INSTANCE to FMW with grant option;
grant select on sys.V_$SESSION to FMW with grant option;
grant select on sys.GV_$SESSION to FMW with grant option;
grant select on dba_scheduler_jobs to FMW with grant option;
grant select on dba_scheduler_job_run_details to FMW with grant option;
grant select on dba_scheduler_running_jobs to FMW with grant option;
grant select on dba_aq_agents to FMW with grant option;
grant execute on sys.DBMS_SHARED_POOL to FMW with grant option;
grant select on dba_2pc_pending to FMW with grant option;
grant select on dba_pending_transactions to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_FLASHBACK to FMW with grant option;
grant execute on dbms_crypto to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_REPUTIL to FMW with grant option;
grant execute on dbms_job to FMW with grant option;
grant select on pending_trans$ to FMW with grant option;
grant select on dba_scheduler_job_classes to FMW with grant option;
grant select on sys.DBA_TABLESPACE_USAGE_METRICS to FMW with grant option;
grant select on SYS.DBA_DATA_FILES to FMW with grant option;
grant select on SYS.V_$ASM_DISKGROUP to FMW with grant option;
grant select on v$xatrans$ to FMW with grant option;
grant execute on sys.dbms_system to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_SCHEDULER to FMW with grant option;
grant select on dba_data_files to FMW with grant option;
grant execute on UTL_RAW to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_XMLDOM to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_APPLICATION_INFO to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_UTILITY to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_SESSION to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_METADATA to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_XMLGEN to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_DATAPUMP to FMW with grant option;
grant execute on DBMS_MVIEW to FMW with grant option;
grant select on ALL_ENCRYPTED_COLUMNS to FMW with grant option;
grant select on dba_queue_subscribers to FMW with grant option;
grant execute on SYS.DBMS_ASSERT to FMW with grant option;
grant select on dba_subscr_registrations to FMW with grant option;
grant manage scheduler to FMW;

Oracle Identity Manager (OIM)スキーマをアップグレードする場合、FMWユーザーに次の追加権限が付与されていることを確認してください。

grant execute on SYS.DBMS_FLASHBACK to fmw with grant option;
grant execute on sys.DBMS_SHARED_POOL to fmw with grant option;
grant execute on SYS.DBMS_XMLGEN to FMW with grant option;
grant execute on SYS.DBMS_DB_VERSION to FMW with grant option;
grant execute on SYS.DBMS_SCHEDULER to FMW with grant option;
grant execute on SYS.DBMS_SQL to FMW with grant option;
grant execute on SYS.DBMS_UTILITY to FMW with grant option;
grant ctxapp to FMW with admin option;
grant execute on SYS.DBMS_FLASHBACK TO FMW with grant option;
grant create MATERIALIZED VIEW to FMW with admin option;
grant all on SCHEMA_VERSION_REGISTRY TO FMW with grant option;
grant create SYNONYM to FMW with admin option;
grant execute on CTXSYS.CTX_ADM to FMW with grant option;
grant execute on CTXSYS.CTX_CLS TO FMW with grant option;
grant execute on CTXSYS.CTX_DDL TO FMW with grant option;
grant execute on CTXSYS.CTX_DOC TO FMW with grant option;
grant execute on CTXSYS.CTX_OUTPUT TO FMW with grant option;
grant execute on CTXSYS.CTX_QUERY TO FMW with grant option;
grant execute on CTXSYS.CTX_REPORT TO FMW with grant option;
grant execute on CTXSYS.CTX_THES TO FMW with grant option;
grant execute on CTXSYS.CTX_ULEXER TO FMW with grant option;
grant create JOB to FMW with admin option;

ノード・マネージャの停止

アップグレード・プロセスを起動する前に、ローカルおよびリモートのすべてのノード・マネージャを停止したことを確認します。

アップグレードの完了後にWebLogic管理サーバーを起動するまで、ノード・マネージャは停止したままにする必要があります。WebLogic管理サーバーが起動して実行されている場合は、ノード・マネージャを起動し、続いて管理対象サーバーを起動します。