15 WebLogic Serverの互換性
この章の内容は次のとおりです。
- Jakarta EE 8の互換性
WebLogic Server 14c (14.1.2.0.0)は、Jakarta EE 8との互換性があります。この互換性があるため、あるオペレーティング・システム・プラットフォームでJakarta EE 8に準拠したアプリケーションを開発し、そのアプリケーションを別のプラットフォームに本番環境としてデプロイできます。その際、Jakarta EE 8アプリケーションのコードを変更する必要はありません。 - 生成されるクラスの互換性
WebLogic Server 14c (14.1.2.0.0)にアップグレードする場合、アプリケーションを再コンパイルしてクラスを新しく生成する必要はありません。 - ドメイン内での互換性
WebLogicドメインの範囲内において、Oracle WebLogic Serverには、そのドメインで実行可能な特定バージョンのWebLogic Serverインスタンスに加え、これらのサーバー・インスタンスを実行できるハードウェア、オペレーティング・システム、およびJVMプラットフォームの組合せに関して、幅広い互換性があります。 - 永続的データの互換性
Oracle WebLogic Serverをリリース12.2.1.4.0または14.1.1.0.0からリリース14c (14.1.2.0.0)にアップグレードする場合は、いくつかの構成ファイルに対して多数の更新が必要です。 - APIの互換性
WebLogic Server 14c (14.1.2.0.0)にデプロイされたWebLogic Server 12.2.1.4.0および14.1.1.0.0のアプリケーションは、変更しなくても動作します。 - プロトコルの互換性
WebLogic Server 14c (14.1.2.0.0)とWebLogic Server 12.2.1.4.0および14.1.1.0.0との相互運用性は、WebLogicクライアント、トランスポート・プロトコル、およびWebLogicプロキシ・プラグインに関する複数のシナリオでサポートされています。ただし、互換性セキュリティを使用するように構成されているWebLogicドメインに関しては、相互運用性に関する重要な制限が存在します。
Jakarta EE 8の互換性
WebLogic Server 14c (14.1.2.0.0)は、Jakarta EE 8との互換性があります。この互換性があるため、あるオペレーティング・システム・プラットフォームでJakarta EE 8に準拠したアプリケーションを開発し、そのアプリケーションを別のプラットフォームに本番環境としてデプロイできます。その際、Jakarta EE 8アプリケーションのコードを変更する必要はありません。
OracleはこのようなJakarta EE 8アプリケーションの移植に関する互換性をWebLogic Serverの1つのリリース・レベルの範囲内で保証しています。
親トピック: WebLogic Serverの互換性
生成されるクラスの互換性
WebLogic Server 14c (14.1.2.0.0)にアップグレードする場合、アプリケーションを再コンパイルしてクラスを新しく生成する必要はありません。
親トピック: WebLogic Serverの互換性
ドメイン内での互換性
WebLogicドメインの範囲内で、Oracle WebLogic Serverは、そのドメインで実行可能な特定のバージョンのWebLogic Serverインスタンスに加え、これらのサーバー・インスタンスが実行可能なハードウェア、オペレーティング・システム、およびJVMプラットフォームの組合せに関して、幅広い互換性をサポートします。
ただし、WebLogicクラスタなど、ドメインに存在する特定の構成によっては、最適なパフォーマンスを達成するための具体的な推奨事項があります。次のトピックでは、WebLogicドメイン内での互換性に関する重要な情報について説明します。
親トピック: WebLogic Serverの互換性
WebLogic Serverのバージョン番号について
WebLogicドメイン内では、管理サーバー、管理対象サーバー・インスタンスおよびドメイン自体に、それぞれのWebLogic Serverバージョン番号あります。バージョン番号は、5桁で構成されます(たとえば、WebLogic Server 14.1.2.0.0)。各桁の意味は、次のとおりです。
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最初の2つの部分が、メジャー・バージョン番号を表します(たとえば14.1.2.0.0の14.1)。WebLogic Server 14.1メジャー・バージョン・リリースは、WebLogic Server 14cメジャー・バージョン・リリースとも呼ばれます。
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最初の3つの部分が、マイナー・バージョン番号を表します(たとえば14.1.2.0.0の14.1.2)。WebLogic Server 14.1.2 (または14.1.2.0.0)は、WebLogic Server 14.1メジャー・バージョン・リリースの2番目のマイナー・バージョン・リリースです。WebLogic Server 14.1.3 (または14.1.3.0.0)は、WebLogic Server 14.1メジャー・バージョン・リリースの3番目のマイナー・バージョン・リリースです。
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WebLogic Server 14.1.2.0.0のパッチ・セット・リリースでは、4番目の部分が増分されます。たとえば、14.1.2.1.0はパッチ・セットの最初のリリースです。
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パッチ・セット更新リリースの名前は、パッチ・セッチ更新リリースの日付(YYMMDD形式)を5番目の部分に設定することで一意になります。たとえば、14.1.2.0.241130です。この規則は、パッチ・セットの更新の命名に使用されます(例、My Oracle Supportで利用可能なダウンロードに命名する場合など)。ただし、パッチ・セット更新のアプリケーションでは、WebLogic Server 14.1.2インストーラで使用されるOracleインベントリ・ディレクトリ(
oraInventory
)で参照されているように、既存のWebLogic Serverインストールのバージョン番号は変更されません。
WebLogic Serverインスタンスやドメインのバージョン番号とパッチ・セット・レベルは、様々な方法で取得できます。たとえば:
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管理サーバーまたは管理対象サーバーのインスタンスの場合は、サーバーの起動時に
stdout
に送信されたバージョン・メッセージを表示できます。たとえば:<Version: WebLogic Server 14.1.2.0.0 Sat Nov 11 12:34:37 PDT 2024 1960751 >
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ドメインの場合は、ドメイン構成ファイル
config.xml
の<domain-version>
要素の値を表示できます。たとえば:<domain-version>14.1.2.0.0</domain-version>
親トピック: ドメイン内での互換性
WebLogicバージョンの互換性
WebLogicドメイン内では、管理サーバー、すべての管理対象サーバー・インスタンスおよびWebLogicドメインは、同一のWebLogic Serverメジャーおよびマイナー・バージョンである必要があります。つまり、WebLogic Server 14.1.2.0.0では、管理サーバー、管理対象サーバーおよびWebLogicドメインはすべてバージョン14.1.2.0.0である必要があります。ドメイン内のパッチ・セット更新および臨時/個別パッチのレベルの整合性を維持するために、次のガイドラインに注意してください。
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一般に、安定状態の操作では、ドメイン内のすべてのサーバー・インスタンスでパッチ・セット更新(PSU)および臨時/個別パッチのレベルを同じにすることがベスト・プラクティスになります。ただし、場合によってはドメイン内のサーバー・インスタンスを異なるPSUおよび臨時/個別パッチのレベルで実行しなければならないことがあります。その主な例を次に示します。
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PSUまたは臨時/個別パッチをドメイン内のサーバー・インスタンス全体にローリング方式で適用する場合。この場合は、管理サーバーのPSUおよび臨時/個別パッチのレベルが管理対象サーバーと同じかそれよりも高くなるように、最初に保守を管理サーバーに適用する必要があります。『Oracle WebLogic Serverのアップグレード』のローリング更新に関する項を参照してください。
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安定状態の操作において、ドメイン内の管理対象サーバーを異なるPSUおよび臨時/個別パッチのレベルで実行する特定の要件がある場合。この場合は、管理サーバーのPSUレベルがすべての管理対象サーバーと同じかそれよりも高くなるように、管理サーバーのPSUレベルを最も高くする必要があります。ドメイン内の管理対象サーバーが異なる臨時/個別パッチで実行されている場合、管理サーバーに一貫性のある臨時/個別パッチのセットを適用することはできません。このように複雑な保守は管理が難しくなるため、一般には、ドメイン内のすべてのサーバーでPSUおよび臨時/個別パッチのレベルを同じにすることがベスト・プラクティスになります。
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クラスタまたはドメイン内のサーバー・インスタンスは、Oracle Technology Networkの「Oracle Fusion Middlewareのサポートされるシステム構成」ページにリストされているハードウェアおよびオペレーティング・システムであれば、いかなるハードウェアおよびオペレーティング・システム上でも実行できます。ただし、クラスタ化された管理対象サーバー・インスタンスを別のハードウェアとオペレーティング・システムで実行すると、ロード・バランシングとパフォーマンスに影響する可能性があることに注意してください。一般に、クラスタ内のすべての管理対象サーバーは、同じハードウェアおよびオペレーティング・システム上で実行することがベスト・プラクティスになります。
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WebLogicドメインがOracle Enterprise Manager Cloud Controlインストールの一部である場合、ドメインで構成可能なハードウェア、オペレーティング・システムおよびJVMの組合せに関する追加の要件が存在します。『Oracle Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイド』を参照してください。
WebLogicドメインの詳細、およびドメインの互換性の詳細は、『Oracle WebLogic Serverドメイン構成の理解』のドメインの制約に関する項を参照してください。
親トピック: ドメイン内での互換性
ハードウェア、オペレーティング・システムおよびJVMプラットフォームの互換性
ドメイン内のWebLogic Serverインスタンスは、任意のハードウェア、オペレーティング・システムおよびJVMプラットフォームで実行できます。ただし、そのハードウェア、オペレーティング・システムおよびJVMが現在のバージョンのWebLogic Serverでサポートされている場合にかぎります。詳細は、Oracle Technology NetworkのOracle Fusion Middlewareのサポートされるシステム構成ページを参照してください。
ノート:
このプラットフォームの互換性のサポートは、クラスタ内の管理対象サーバー・インスタンスにまで及びますが、基礎となるハードウェア、オペレーティング・システムおよびJVMをクラスタ内で均一にすることをお薦めします。同一クラスタ内で実行中の管理対象サーバー・インスタンスは同等であると見なされるため、混合プラットフォーム上でクラスタ化されたサーバー・インスタンスを実行すると、ロード・バランシングとパフォーマンスに悪影響を与える可能性があります。混合プラットフォームでクラスタを運用する必要がある場合は、ロード・バランシングとパフォーマンスへの影響を把握しておくことを強くお薦めします。
親トピック: ドメイン内での互換性
ノード・マネージャの互換性
ベスト・プラクティスとして、WebLogicドメインで使用されているノード・マネージャのバージョンを管理サーバーのバージョンと一致させることをお薦めします。
親トピック: ドメイン内での互換性
永続的データの互換性
親トピック: WebLogic Serverの互換性
APIの互換性
WebLogic移行分析ツールを使用して、使用されなくなったクラスおよびAPIを識別します。こうすることで、アプリケーションを正常にデプロイするために必要な変更に対処できます。WebLogic移行分析ツールは、Oracle WebLogic Server 14c (14.1.2.0.0)で削除された(つまり使用されなくなった) WebLogicアプリケーション内のAPIを識別するコマンドライン・ユーティリティです。詳細は、『Oracle WebLogic Serverのアップグレード』の使用されないAPIの識別を参照してください。
Oracle WebLogic Server 14.1.2.0.0で削除され、以前は非推奨だったAPIのリストは、『Oracle WebLogic Server 14.1.2.0.0の新機能』の削除された機能とコンポーネントに関する項を参照してください。
親トピック: WebLogic Serverの互換性
プロトコルの互換性
WebLogic Server 14c (14.1.2.0.0)とWebLogic Server 12.2.1.4.0および14.1.1.0.0との相互運用性は、WebLogicクライアント、トランスポート・プロトコル、およびWebLogicプロキシ・プラグインに関する複数のシナリオでサポートされています。ただし、互換性セキュリティを使用するように構成されているWebLogicドメインに関しては、相互運用性に関する重要な制限が存在します。
サポートされているクライアントとサーバーの相互運用性シナリオは次のとおりです。
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WebLogic Server 12.2.1.4.0または14.1.1.0.0クライアントは、IIOP、T3、T3S、HTTPおよびHTTPSを使用してWebLogic Server 14c (14.1.2.0.0)サーバーがホストするRMIベースのアプリケーションを呼び出すことができます。JMSアプリケーションは、T3、T3S、HTTP、およびHTTPSを使用して呼び出すことができます。
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WebLogic Server 14c (14.1.2.0.0)クライアントは、IIOP、T3、T3S、HTTPおよびHTTPSを使用してWebLogic Server 12.2.1.4.0または14.1.1.0.0サーバーがホストするRMIベースのアプリケーションを呼び出すことができます。JMSアプリケーションは、T3、T3S、HTTP、およびHTTPSを使用して呼び出すことができます。
サポートされているサーバーとサーバーIIOPの相互運用性シナリオは次のとおりです。
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WLS 14.1.2.0.0/JDK 21サーバー <-> WLS 14.1.1.0.0/JDK 11サーバー
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WLS 14.1.2.0.0/JDK 17サーバー <-> WLS 14.1.1.0.0/JDK 11サーバー
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WLS 14.1.2.0.0/JDK 21サーバー <-> WLS 14.1.1.0.0/JDK 8サーバー
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WLS 14.1.2.0.0/JDK 17サーバー <-> WLS 14.1.1.0.0/JDK 8サーバー
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WLS 14.1.2.0.0/JDK 21サーバー <-> WLS 12.2.1.4.0/JDK 8サーバー
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WLS 14.1.2.0.0/JDK 17サーバー <-> WLS 12.2.1.4.0/JDK 8サーバー
WebLogic Server 14c (14.1.2.0.0)では、クライアントとサーバーIIOPの通信と相互運用性がサポートされますが、次の制限事項があります:
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次のWebLogic Java IIOPクライアントしかサポートされません。
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サポート対象であり、エラー修正された14.1.2.0.0以前のWebLogic Serverバージョンの
weblogic.jar
インストール・クライアント。 -
サポート対象であり、エラー修正された以前のバージョンのWebLogic Serverで使用可能な
wlfullclient.jar
。wlfullclient.jar
は含まれていますが、12.2.1.4.0では非推奨です。WebLogic Serverバージョン14.1.1.0.0および14.1.2.0.0には、wlfullclient.jar
は含まれません。 -
サポート対象であり、エラー修正された以前のWebLogic Serverバージョンの
weblogic.jar
。WebLogic Server 14c (14.1.2.0.0)には、wlclient.jar
は含まれません。
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Jakarta SEクライアント(クラス・パスにWebLogic ServerのJARがファイルない)はサポートされません。
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JDK17または21で実行するWebLogic Server 14c (14.1.2.0.0)インスタンスの場合、JakartaクライアントとのIIOP相互運用性は、JDK17または21で実行するWebLogic Server 14c (14.1.2.0.0)インストール・クライアントについてのみ可能です。
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JDK 17または21で実行するWebLogic Server 14c (14.1.2.0.0)インスタンスとJDK 17または21で実行するWebLogic Java IIOPクライアントの間には、相互運用性のサポートはありません。
ノート:
可能であれば、IIOPではなくT3対応のWebLogic JavaクライアントおよびT3プロトコルを使用することをお薦めします。JavaからJavaへの通信にIIOPプロトコルが必要なことはまれであり、T3はIIOPよりも効率的です。詳細は、『Oracle WebLogic Serverスタンドアロン・クライアントの開発』のスタンドアロン・クライアントの概要に関する項を参照してください。親トピック: WebLogic Serverの互換性