7 WebLogic Serverでのアプリケーションのデプロイ

アプリケーション・デプロイメントとは、WebLogic Serverドメインでアプリケーションまたはモジュールをクライアント・リクエストの処理に使用できるようにするプロセスを指します。

この章の内容は次のとおりです。

デプロイメント・プロセスの概要

アプリケーションのデプロイメントには、デプロイするアプリケーションの準備および構成、アプリケーションの新しい環境へのエクスポートおよび再デプロイ、デプロイされたアプリケーションの管理など、いくつかの個別のタスクが含まれます。

『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』の次のトピックを参照してください:

Jakarta EEデプロイメントの実装

WebLogic Serverで実装されるJakarta EE仕様には、デプロイメント仕様JSR-88が含まれています。この仕様には、アプリケーションをアプリケーション・サーバーに構成およびデプロイする際に、デプロイメント・ツールおよびアプリケーション・サーバー・プロバイダで使用する標準APIが記述されています。

WebLogic Serverは、Jakarta EEデプロイメント仕様に準拠するように、JSR-88サービス・プロバイダ・インタフェース(SPI)プラグインとモデル・プラグインの双方を実装しています。WebLogic Serverに対してJakarta EEアプリケーションおよびモジュールを構成、デプロイ、および再デプロイするには、(APIのWebLogic Server拡張を使用せずに) WebLogic Serverプラグインとともに基本的なJakarta EEデプロイメントAPIデプロイメント・ツールを使用できます。Jakarta EEデプロイメントAPI構成プロセスで生成されたWebLogic Server構成は、図7-1に示すように、デプロイメント・プランおよび1つまたは複数の生成されたWebLogic Serverデプロイメント記述子ファイル内に格納されます。

図7-1 Jakarta EEデプロイメントAPIによるアプリケーションの構成

図7-1の説明が続きます
「図7-1 Jakarta EEデプロイメントAPIによるアプリケーションの構成」の説明

WebLogic Serverデプロイメント記述子は、WebLogic Server構成データを格納するために、必要に応じて生成されます。

Jakarta EEデプロイメントAPIのデプロイメント・ツールで生成されたWebLogic Serverデプロイメント・プランにより、構成セッション中にアプリケーションのために生成されたWebLogic Serverデプロイメント記述子が識別されます。

Jakarta EEデプロイメントAPIは、Jakarta EE準拠のアプリケーション・サーバーで使用するためのアプリケーションおよびモジュールを構成する、簡単かつ標準化された方法を提供しますが、この仕様では以前のWebLogic Serverで利用できた多くのデプロイメント機能に対応していません。そのため、WebLogic Serverでは、Jakarta EEデプロイメントAPI仕様に重要な拡張を行い、Oracle WebLogic ServerへのアプリケーションのデプロイWebLogic Serverのデプロイメント機能で説明されている機能をサポートしています。

迅速なデプロイメントのガイド

アプリケーションの開発環境をサポートするため、WebLogic Serverでは、アプリケーションを迅速にデプロイするために使用できる強力なユーティリティとツールが提供されます。次のトピックでは、Jakarta EEアプリケーションとモジュール、JSPファイルとHTMLファイル、およびCoherenceモジュールを迅速にデプロイするための基本的な手順を説明します。また、システム管理者に向けて、ツールに関するヒントを示します。このデプロイメント手順は、開発環境でのみ使用することをお薦めします。本番環境での使用はお薦めしません。WebLogic Serverでアプリケーションを開発およびデプロイする方法の詳細は、『Oracle WebLogic Serverアプリケーションの開発』および『Oracle WebLogic Serverアプリケーションのデプロイ』を参照してください。

次の各項で説明するファスト・トラック手順を使用する前に、『Oracle WebLogic ServerおよびCoherenceのインストールと構成』を完了してください。

Jakarta EEデプロイメント

Jakarta EEアプリケーションまたはモジュールをデプロイするには:

  1. Jakarta EEアプリケーションまたはモジュールに、名前を指定されたJDBCデータ・ソースやJMSキューなどの追加のリソースが必要でないことを確認してください。アプリケーションに外部リソースが必要な場合は、そのアプリケーションをデプロイする前にターゲットWebLogic Serverでそれらの外部リソースの構成を行う必要があります。
  2. Jakarta EEアプリケーションやモジュールのアーカイブ・ファイル、または展開されたアーカイブ・ディレクトリを、サンプル・サーバーのドメイン・ディレクトリである/autodeployディレクトリ、つまりORACLE_HOME/user_projects/domains/<wls_examples>/autodeployにコピーします。
  3. サンプルWebLogic Serverインスタンスを起動します。
  4. Jakartaクライアント、またはアプリケーションの構成済URIを使用してアプリケーションにアクセスします。
自動デプロイメント

開発モードで実行している場合、WebLogic Serverはドメイン・ディレクトリの/autodeployサブディレクトリにコピーされたアプリケーションを自動的にデプロイします。自動デプロイメントは、評価またはテストを行うためのアプリケーションを簡単にすばやくデプロイする方法です。Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ開発ドメインでのアプリケーションの自動デプロイを参照してください。

システム管理者用ツール

システム管理者は、次のツールを使用して作業を開始できます。

  • WebLogicリモート・コンソール

    WebLogicリモート・コンソールは、WebLogic Serverドメイン、サーバー・インスタンス、および実行中のアプリケーションと関連リソースを構成およびモニターできる、ブラウザ・ベースのWebアプリケーションです。WebLogicリモート・コンソールはまた、新しいサーバー・インスタンスとクラスタの作成、およびアプリケーション記述子のチューニングにも使用できます。Oracle WebLogicリモート・コンソール・オンライン・ヘルプを参照してください。

  • 構成ウィザード

    WebLogic Server構成ウィザードを使用すると、新しいドメインの作成と、ドメインの構成を自動化するためのテンプレートの作成を行えます。『構成ウィザードによるWebLogicドメインの作成』を参照してください。

JSP/HTMLデプロイメント

単純なJSPまたはHTMLファイルをデプロイするには:

  1. JSPファイルが、タグ・ライブラリやその他の外部リソースを参照していないことを確認してください - そうしたリソースは、これらの高速な手順の対象外となる追加のデプロイメント・ステップを必要とします。HTMLファイルには、このような制限はありません。
  2. JSPまたはHTMLファイルをEXAMPLES_HOME/wl_server/examples/build/mainWebAppディレクトリにコピーします。EXAMPLES_HOMEは、WebLogic Serverのサンプル・コードが構成されているディレクトリを表します。デフォルトでは、このディレクトリはORACLE_HOME/wlserver/samples/serverです。
  3. サンプルWebLogic Serverインスタンスを起動します。
  4. Webブラウザで次のURLを使用して、JSPまたはHTMLファイルをリクエストします。

    http://localhost:port/myFile

    ここで:

    localhostはWebLogic Serverが実行されているマシンのホスト名です。

    portはWebLogic Serverがリクエストをリスニングしているポートの番号(デフォルトでは7001)です。

    myF ileはステップ2でコピーしたJSPまたはHTMLファイルの、.jspまたは.html拡張子までを含めた完全な名前です。

JSPまたはHTMLファイルはあらかじめサンプル・サーバーをターゲットとするよう構成されたディレクトリから自動デプロイされています。デフォルトではmainWebAppがデプロイされており、mainWebApp展開ディレクトリに独自のJSPおよびHTMLファイルを入れて、それらを迅速に表示またはテストできます。

Coherenceのデプロイメント

WebLogic Serverでは、グリッド・アーカイブ(GAR)モジュールとしてパッケージ化されるCoherenceアプリケーションのデプロイメントをサポートしています。GARモジュールには、Coherenceアプリケーションに必要なアーティファクトが含まれています。GARモジュールは、エンタープライズ・アプリケーション内にパッケージ化されたスタンドアロン・モジュールとして、また、共有ライブラリとしてデプロイされます。Coherenceアプリケーションのパッケージ化とデプロイの詳細は、Oracle WebLogic Server Oracle Coherenceアプリケーションの開発Coherenceアプリケーションのデプロイを参照してください。

WebLogic Serverでのアプリケーションのデプロイのためのロードマップ

WebLogic Serverのドキュメント・セットには、アプリケーションのWebLogic Server環境へのデプロイ方法の理解に役立つ、いくつかの入門的なトピック、手順的なトピック、リファレンス的なトピックがサンプルとともに含まれています。

表7-1 WebLogic Serverでのアプリケーションのデプロイのためのロードマップ

主要なタスク サブタスクと追加情報

アプリケーション・デプロイメントについてもっとよく知る

アプリケーションのパッケージ化

デプロイメント・ツールの使用について

詳細なトピック

リファレンス