7.11.3.2 複数のXA準拠リソース・マネージャを使用するJAX-RSアプリケーションの構成

複数のXA準拠のリソース・マネージャを使用する場合は、この項に記載されている情報を使用してJAX-RS参加側アプリケーションを構成します。

アプリケーションは、複数のXA準拠リソース・マネージャに接続できます。また、アプリケーションは1つの非XAリソースに接続できます。
  1. MicroTx Javaライブラリ・ファイルをアプリケーションのpom.xmlファイルにmaven依存関係として含めます。次のサンプル・コードは24.4リリース用です。使用するリリース・バージョンに基づいて、正しいバージョンを指定してください。
    • Helidon 2.xなどのJakarta EE8環境では、TmmLibファイルを使用します。

      <dependency>
           <groupId>com.oracle.tmm.jta</groupId>
           <artifactId>TmmLib</artifactId>
           <version>24.4</version>
      </dependency>
    • Helidon 3.xアプリケーションなどのJakarta EE9環境では、TmmLib-jakartaファイルを使用します。

      <dependency>
           <groupId>com.oracle.tmm.jta</groupId>
           <artifactId>TmmLib-jakarta</artifactId>
           <version>24.4</version>
      </dependency>
  2. リソース・マネージャごとにDataSourceInfoオブジェクトを作成します。必ず、アプリケーションのYAMLファイルで指定したデータ・ソース名とリソース・マネージャIDを指定してください。

    サンプル・コマンド

    DataSourceInfo departmentDataSourceInfo = new DataSourceInfo("ORCL1-8976-9776-9873");
    departmentDataSourceInfo.setDataSourceName(departmentDataSource);
    
    DataSourceInfo creditDataSourceInfo = new DataSourceInfo("ORCL2-2134-5668-8672");
    creditDataSourceInfo.setDataSourceName(creditDataSource);

    説明

    • departmentDataSourceおよびcreditDataSourceは、アプリケーションのYAMLファイルで指定したXAデータ・ソースの名前です。
    • ORCL1-8976-9776-9873およびORCL2-2134-5668-8672は、アプリケーションのYAMLファイルでdepartmentDataSourceおよびcreditDataSourceにそれぞれ指定したリソース・マネージャIDです。

    後で、@Inject注釈を使用して、アプリケーションでこれらのデータ・ソースが使用されることを確認します。

  3. 作成したDataSourceInfoオブジェクトごとに、次のMicroTxクライアント・ライブラリ・プロパティの1つのみを入力します。次の例では、creditDataSourceオブジェクトのプロパティ値を指定します。同様に、他のリソース・マネージャのプロパティ値を指定できます。値を指定しない場合、リソースはデフォルトでXA準拠とみなされます。
    • XA準拠リソースの場合は、次を入力します:
      creditDataSource.setXaSupport();
    • Oracle RACデータベースの場合は、次のように入力します:
      creditDataSource.setRAC(true);
    • LLRの最適化を使用する非XAリソースの場合は、次を入力します:
      creditDataSource.setLLRSupport();
    • LRCの最適化を使用する非XAリソースの場合は、次を入力します:
      creditDataSource.setLRCSupport();
  4. XADatasourceオブジェクトを初期化します。アプリケーションで複数のリソース・マネージャを使用している場合は、XA準拠リソース・マネージャごとに次の方法でXADatasourceオブジェクトを初期化します。

    MicroTxクライアント・ライブラリは、XADatasourceオブジェクトにアクセスする必要があります。このオブジェクトを使用してXAConnectionオブジェクトおよびXAResourceオブジェクトを作成し、リソース・マネージャまたはデータベース・サーバーに接続します。次のコードでは、接続オブジェクトを作成する際にアプリケーション・コードの先頭にXADatasourceオブジェクトをどのように定義するかを示しています。

    class oracle.tmm.jta.TrmConfig
    static void initXaDataSource(XADataSource dataSource, DataSourceInfo creditDataSource)

    ここで、creditDataSourceは、以前に作成したDataSourceInfoオブジェクトです。

    すべてのリソース・マネージャについてこのステップを繰り返します。

    XADataSourceの詳細は、https://docs.oracle.com/javase/8/docs/api/javax/sql/XADataSource.htmlを参照してください。

  5. トランザクション参加側関数またはブロックで、MicroTxクライアント・ライブラリで使用されるXADatasourceオブジェクトを指定します。リソース・マネージャに接続するための資格証明およびその他の詳細を指定します。
    //Example for a participant using an Oracle Database:
    OracleXADataSource dataSource = new oracle.jdbc.xa.client.OracleXADataSource();
    dataSource.setURL(url); //database connection string
    dataSource.setUser(user); //username to access database
    dataSource.setPassword(password); //password to access database

    アプリケーション開発者は、XADataSourceを割り当てる際に、XA準拠JDBCドライバおよび必要なパラメータを設定する必要があります。

    MicroTxクライアント・ライブラリは、XADatasourceオブジェクトを使用してデータベース接続を作成します。

    すべてのリソース・マネージャについてこのステップを繰り返します。

  6. トランザクション参加側の関数すなわちブロックで、XADatasourceオブジェクトを初期化した後に次のコード行を1回だけ追加します。
    oracle.tmm.jta.TrmConfig.initXaDataSource(dataSource, creditDataSource)

    ここで、 creditDataSourceは、以前に作成したDataSourceInfoオブジェクトです。

    MicroTxクライアント・ライブラリは、このオブジェクトを使用してデータベースに接続し、XAトランザクションを開始し、準備、コミット、ロールバックなどの様々な操作を実行します。MicroTxライブラリは、依存関係インジェクションを使用してDMLを実行するためのSQL接続オブジェクトもアプリケーション・コードに提供します。

    すべてのリソース・マネージャについてこのステップを繰り返します。

  7. JAX-RS APIを使用するSpring Bootアプリケーションの場合のみ、XAトランザクションに参加するリソース・エンドポイントを登録した後で次のタスクを実行します。
    1. 次のサンプル・コード・スニペットに示すように、準備、コミット、ロールバックのために、フィルタとXAResourceCallbacksを登録します。

      @Component
      public class JerseyConfig extends ResourceConfig
      {
          public JerseyConfig()
          {
              // Register the MicroTx XA resource callback which
              // coordinates with the transaction coordinator
              register(XAResourceCallbacks.class);
              // Register the filters for the MicroTx libraries that 
              // intercept the JAX_RS calls and manage the XA transactions
              register(TrmTransactionResponseFilter.class);
              register(TrmTransactionRequestFilter.class);
              
              // Bind the connection
              ...
          }
      }
    2. リソース・マネージャごとにBeanを初期化します。次のサンプル・コード・スニペットでは、2つのBean (アプリケーションが使用するリソース・マネージャごとに1つ)を初期化する方法を示しています。次のコード・サンプルで、departmentDataSourceおよびcreditDataSourceは、アプリケーションのYAMLファイルで指定したXAデータ・ソースの名前です。後で@Inject注釈を使用して参加側アプリケーションでこれらの接続が使用されることを確認するため、データ・ソースの名前を書き留めておきます。
      @Component
      public class JerseyConfig extends ResourceConfig
      {
          public JerseyConfig()
          {
              // Register the filters as shown in the previous step
              ....
          @Bean
          @TrmSQLConnection(name = "departmentDataSource")
          @Lazy
          @RequestScope
          public Connection departmentDSSqlConnectionBean(){
              return new TrmConnectionFactory().getConnection("departmentDataSource");
          }
      
          @Bean
          @TrmSQLConnection(name = "creditDataSource")
          @Lazy
          @RequestScope
          public Connection creditDSSqlConnectionBean(){
              return new TrmConnectionFactory().getConnection("creditDataSource");
          }
          }
      }
  8. 参加側サービスのコードに次の行を挿入して、アプリケーションがMicroTxクライアント・ライブラリによって渡された接続を使用するようにします。参加側アプリケーションの次のコードは、MicroTxクライアント・ライブラリによって作成されたconnectionオブジェクトを注入します。

    アプリケーションで複数のリソース・マネージャを使用している場合は、XA準拠リソース・マネージャごとに次の方法でconnectionオブジェクトを注入します。

    @Inject
    @TrmSQLConnection(name = "creditDataSource")
    private Connection creditConnection;

    ここで、creditDataSourceは、oracle.tmm.jta.common.DataSourceInfoパッケージのDataSourceInfoクラスのdataSourceName文字列に指定した値です。

    すべてのリソース・マネージャについてこのステップを繰り返します。

  9. 参加側サービスのコードに次の行を挿入して、参加側サービスがDML操作を実行するたびに、注入されたconnectionオブジェクトを使用するようにします。
    Statement stmt1 = creditConnection.createStatement();
    stmt1.execute(query);
    stmt1.close();

    ここで、creditConnectionは、前のステップで注入したConnectionオブジェクトの名前です。

    これらのコード行は、参加側サービスが実行するDML操作ごとに挿入します。DML操作ごとにstmt1stmt2などの新しい文オブジェクトを作成しますが、MicroTxクライアント・ライブラリによって作成された同一のcreditConnectionオブジェクトを使用します。

    すべてのリソース・マネージャについてこのステップを繰り返します。

  10. 変更内容を保存します。
複数のJAX-RSトランザクション参加側サービスがある場合は、すべての参加側サービスでこれらのステップを完了します。

MicroTxライブラリおよびXAトランザクション・プロトコルを使用するサンプルJAX-RSトランザクション参加側アプリケーションのソース・コードは、microtx-samples GitHubリポジトリにあるdepartment-helidon-multiplermフォルダにあります。これは、MicroTxライブラリとアプリケーションの統合時に参照として使用できます。