7.10.3.1 XA準拠リソース・マネージャを使用するSpring Bootアプリケーションの構成

XA準拠のリソース・マネージャを使用する場合は、この項に記載されている情報を使用してSpring Boot参加側アプリケーションを構成します。

  1. MicroTxクライアント・ライブラリのプロパティ値を指定します。

    次の例では、プロパティのサンプル値を指定しています。ご自身の環境に基づいて値を指定してください。

     spring:
      microtx:
        participant-url: https://bookTicket-app:8081
        propagation-active: true
        http-client-connection-pool-size: 15
        xa-transaction-timeout: 60000
        xa-resource-manager-id: 174A5FF2-D8B1-47B0-AF09-DA5AFECA2F61
        xa-xa-support: true
    

    xa-xa-supporttrueに設定されていることを確認します。

    各プロパティおよびその他のオプション・プロパティの詳細は、「Spring Bootアプリケーションのライブラリ・プロパティの構成」を参照してください。

  2. MicroTxライブラリ・ファイルをSpring Boot 3.xアプリケーションのpom.xmlファイルにmaven依存関係として含めます。次のサンプル・コードは24.4リリース用です。使用するリリース・バージョンに基づいて、正しいバージョンを指定してください。Spring Boot 3.xアプリケーションは、Java 17で動作します。
    • JDBCアプリケーションでは、microtx-spring-boot-starterファイルを使用します。

      <dependency>
           <groupId>com.oracle.microtx</groupId>
           <artifactId>microtx-spring-boot-starter</artifactId>
           <version>24.4</version>
      </dependency>
    • HibernateがJPAプロバイダの場合は、microtx-spring-boot-starterおよびmicrotx-spring-boot-starter-hibernateファイルを使用します。

      <dependency>
           <groupId>com.oracle.microtx</groupId>
           <artifactId>microtx-spring-boot-starter</artifactId>
           <version>24.4</version>
      </dependency>
      
      <dependency>
           <groupId>com.oracle.microtx</groupId>
           <artifactId>microtx-spring-boot-starter-hibernate</artifactId>
           <version>24.4</version>
      </dependency>
    • EclipseLinkがJPAプロバイダの場合は、microtx-spring-boot-starterおよびmicrotx-spring-boot-starter-eclipselinkファイルを使用します。

      <dependency>
           <groupId>com.oracle.microtx</groupId>
           <artifactId>microtx-spring-boot-starter</artifactId>
           <version>24.4</version>
      </dependency>
      
      <dependency>
           <groupId>com.oracle.microtx</groupId>
           <artifactId>microtx-spring-boot-starter-eclipselink</artifactId>
           <version>24.4</version>
      </dependency>
    • JDBCアプリケーションでは、microtx-spring-boot-jaxrs-starterファイルを使用します。

      <dependency>
           <groupId>com.oracle.microtx</groupId>
           <artifactId>microtx-spring-boot-jaxrs-starter</artifactId>
           <version>24.4</version>
      </dependency>
    • HibernateがJPAプロバイダの場合は、microtx-spring-boot-jaxrs-starterおよびmicrotx-spring-boot-starter-hibernateファイルを使用します。

      <dependency>
           <groupId>com.oracle.microtx</groupId>
           <artifactId>microtx-spring-boot-jaxrs-starter</artifactId>
           <version>24.4</version>
      </dependency>
      
      <dependency>
           <groupId>com.oracle.microtx</groupId>
           <artifactId>microtx-spring-boot-starter-hibernate</artifactId>
           <version>24.4</version>
      </dependency>
    • EclipseLinkがJPAプロバイダの場合は、microtx-spring-boot-jaxrs-starterおよびmicrotx-spring-boot-starter-eclipselinkファイルを使用します。

      <dependency>
           <groupId>com.oracle.microtx</groupId>
           <artifactId>microtx-spring-boot-jaxrs-starter</artifactId>
           <version>24.4</version>
      </dependency>
      
      <dependency>
           <groupId>com.oracle.microtx</groupId>
           <artifactId>microtx-spring-boot-starter-eclipselink</artifactId>
           <version>24.4</version>
      </dependency>
  3. Spring JAX-RSアプリケーションの場合のみ、MicroTxライブラリがJAX-RSコールをインターセプトしてトランザクションを管理できるように、次のフィルタを登録する必要があります。Spring RESTアプリケーションでは、このステップをスキップできます。
    import org.glassfish.jersey.server.ResourceConfig;
    ...
    @Component
    public class Configuration extends ResourceConfig {
        public Configuration() {
    ...
          register(TrmTransactionRequestFilter.class);
          register(TrmTransactionResponseFilter.class);
          register(JaxRsXACallbackResource.class);
    }
  4. com.oracle.microtx.common.MicroTxConfigパッケージをインポートします。
    import com.oracle.microtx.common.MicroTxConfig;
  5. XADatasourceオブジェクトを初期化します。

    MicroTxクライアント・ライブラリは、XADatasourceオブジェクトにアクセスする必要があります。このオブジェクトを使用してXAConnectionオブジェクトおよびXAResourceオブジェクトを作成し、リソース・マネージャまたはデータベース・サーバーに接続します。次のコードでは、接続オブジェクトを作成する際にアプリケーション・コードの先頭にXADatasourceオブジェクトをどのように定義するかを示しています。

    class oracle.tmm.jta.MicroTxConfig
    static void initXaDataSource(XADataSource xaDs)

    XADataSourceの詳細は、https://docs.oracle.com/javase/8/docs/api/javax/sql/XADataSource.htmlを参照してください。

  6. トランザクション参加側関数またはブロックで、MicroTxクライアント・ライブラリで使用されるXADatasourceオブジェクトを指定します。リソース・マネージャに接続するための資格証明およびその他の詳細を指定します。
    //Example for a participant using an Oracle Database:
    OracleXADataSource dataSource = new oracle.jdbc.xa.client.OracleXADataSource();
    dataSource.setURL(url); //database connection string
    dataSource.setUser(user); //username to access database
    dataSource.setPassword(password); //password to access database
    MicroTxConfig.initXaDataSource((XADataSource)dataSource);

    アプリケーション開発者は、XADataSourceを割り当てる際に、XA準拠JDBCドライバおよび必要なパラメータを設定する必要があります。

    MicroTxクライアント・ライブラリは、XADatasourceオブジェクトを使用してデータベース接続を作成します。

  7. トランザクション参加側の関数すなわちブロックで、XADatasourceオブジェクトを初期化した後に次のコード行を1回だけ追加します。
    oracle.tmm.jta.MicroTxConfig.initXaDataSource((XADataSource)xaDs);

    XADatasourceはJTAで定義されたインタフェースであり、JDBCドライバによって実装が提供されます。

    MicroTxクライアント・ライブラリは、このオブジェクトを使用してデータベースに接続し、XAトランザクションを開始し、準備、コミット、ロールバックなどの様々な操作を実行します。MicroTxライブラリは、依存関係インジェクションを使用してDMLを実行するためのSQL接続オブジェクトもアプリケーション・コードに提供します。

  8. 参加側サービスのコードに次の行を挿入して、アプリケーションがMicroTxクライアント・ライブラリによって渡された接続を使用するようにします。参加側アプリケーションの次のコードは、MicroTxクライアント・ライブラリによって作成されたconnectionオブジェクトを注入します。
    @Autowired
    @Qualifier("microTxSqlConnection")
    @Lazy
    private Connection connection;
  9. 参加側サービスのコードに次の行を挿入して、参加側サービスがDML操作を実行するたびに、注入されたconnectionオブジェクトを使用するようにします。
    Statement stmt1 = connection.createStatement();
    stmt1.execute(query);
    stmt1.close();

    ここで、connectionは、前のステップで注入したConnectionオブジェクトの名前です。

    これらのコード行は、参加側サービスが実行するDML操作ごとに挿入します。DML操作ごとにstmt1stmt2などの新しい文オブジェクトを作成しますが、MicroTxクライアント・ライブラリによって作成された同一のconnectionオブジェクトを使用します。

  10. 変更内容を保存します。
複数のSpring Bootサービスがある場合は、すべてのトランザクション参加側サービスでこれらのステップを完了します。

MicroTxライブラリおよびXAトランザクション・プロトコルを使用するサンプルSpring RESTトランザクション参加側アプリケーションのソース・コードは、microtx-samples GitHubリポジトリにあるdepartment-springフォルダにあります。これは、MicroTxライブラリとアプリケーションの統合時に参照として使用できます。