5.16 OEDACLIを使用したOracle VMでのOracle RACクラスタの拡張

Oracle VMに既存のOracle RACクラスタは、Oracle Exadata Deployment Assistantコマンドライン・インタフェース(OEDACLI)を使用してユーザー・ドメインを追加することで拡張できます。

OEDACLIは、目的のクラスタに適した既知のバージョンのOEDA XMLファイルがある場合に優先される方法です。

ノート:

この手順の実行中、既存のOracle RACクラスタ・ノードとそのデータベース・インスタンスでは、停止時間は発生しません。

この手順のユースケースは次のとおりです。

  • Oracle Exadataラックのデータベース・サーバーのサブセットのみを使用する既存のOracle RACクラスタがあり、現在クラスタによって使用されていないノードが使用候補になった場合。
  • データベース・サーバーを追加することで最近拡張したOracle Exadataに既存のOracle RACクラスタがある場合。
  • 完全なノード障害が発生たノードを削除して新しくイメージ化したノードに置き換えた、既存のOracle RACクラスタがある場合。

この項のステップを実行する前に、「クラスタへの新しいデータベース・サーバーの追加」の説明に従って新しいデータベース・サーバーを設定しておく必要があります。これには、次の項目も含まれます。

  • 管理ドメインが含まれるネットワークに、新しいデータベース・サーバーをインストールして構成します。
  • 最新のOracle Exadata Deployment Assistant (OEDA)をダウンロードします(ダウンロードするファイルのバージョンが2019年7月以降のリリースであることを確認します)。
  • 既存のクラスタ構成を正確に反映したOEDA構成XMLファイルを用意します。このXMLファイルを検証するには、そのファイルからインストール・テンプレートを生成して現在の構成と比較します。OEDACLIコマンドSAVE FILESを参照してください。
  • 現在のシステム構成についてのOEDAインストール・テンプレートのレポートを確認して、既存のノードのノード名とIPアドレスを取得します。新しく追加するノードのために新しいホスト名とIPアドレスが必要になります。次の新しいホスト名とIPアドレスが必要になります。
    • 管理ドメインユーザー・ドメインの管理ホスト名とIPアドレス(ADMINNETと表記します)。
    • 管理ドメインユーザー・ドメインのプライベート・ホスト名とIPアドレス(PRIVNETと表記します)。
    • 管理ドメインIntegrated Lights Out Manager (ILOM)ホスト名とIPアドレス。
    • ユーザー・ドメインのクライアント・ホスト名とIPアドレス(CLIENTNETと表記します)。
    • ユーザー・ドメインの仮想IP(VIP)ホスト名とIPアドレス(VIPNETと表記します)。
    • 新しいノードの物理ラック番号とラック内のでの場所(U番号単位)
  • それぞれの管理ドメインが、既存のデータベース・サーバーで使用しているイメージと同じになるようにイメージ化またはパッチ適用しておきます。現在のシステム・イメージが、新しい管理ドメインノードの/EXAVMIMAGES/ System.first.boot.*.imgファイルのバージョンと一致している必要があります。

    ノート:

    この後で参照される~/dom0_groupファイルは、既存のノードと新しく追加するノードのすべての管理ドメインのホスト名が含まれているテキスト・ファイルです。

    すべての管理ドメイン間でイメージのバージョンが同じことを確認します。

    dcli -g ~/dom0_group -l root "imageinfo -ver"
    
    exa01adm01: 19.2.0.0.0.190225
    exa01adm02: 19.2.0.0.0.190225
    exa01adm03: 19.2.0.0.0.190225

    イメージのバージョンに異なるものがある場合は、そのバージョンが一致するようにノードをアップグレードする必要があります。

    すべての管理ドメインSystem.first.bootのバージョンが、前のステップで取得したイメージのバージョンと一致していることを確認します。

    dcli -g ~/dom0_group -l root "ls  -1 /EXAVMIMAGES/System.first.boot*.img" 
    exa01adm01:  /EXAVMIMAGES/System.first.boot.19.2.0.0.0.190225.img
    exa01adm02:  /EXAVMIMAGES/System.first.boot.19.2.0.0.0.190225.img
    exa01adm03:  /EXAVMIMAGES/System.first.boot.19.2.0.0.0.190225.img

    いずれかのノードに、現在のイメージと一致するSystem.first.boot.imgファイルがない場合は、必要なファイルを取得します。My Oracle SupportのドキュメントID 888828.1で、対象のExadataリリース用の補足READMEノートを確認し、"DomU System.img OS image for V.V.0.0.0 VM creation on upgraded dom0s"という説明文に対応するパッチ・ファイルを見つけてください。

  • klone.zipファイル(gi-klone*.zipdb-klone*.zip)を、クラスタに追加する新しくイメージ化された管理ドメインノードの/EXAVMIMAGESの場所に配置します。これらのファイルは、最初にシステムをデプロイした管理ドメイン/EXAVMIMAGESディレクトリにあります。

このステップでは、exa01adm03という新しい管理ドメインノードを追加する方法を示します。このノードには、exa01adm03vm01という新しいユーザー・ドメインを含めます。このステップでは、OEDACLIコマンドを使用して、既存のOracle RACクラスタをユーザー・ドメインに拡張する方法を示します。既存のクラスタには、exa01adm01およびexa01adm02という管理ドメインノードと、exa01adm01vm01およびexa01adm02vm01というユーザー・ドメイン・ノードがあります。

  1. CLONE COMPUTEコマンドを使用して、管理ドメインの情報をOEDA XMLファイルに追加します。

    次の各例では、OEDA XMLファイルがunzipped_OEDA_location/ExadataConfigurationsにあると仮定しています。

    OEDACLI> LOAD FILE NAME=exa01_original_deployment.xml 
    
    OEDACLI> CLONE COMPUTE SRCNAME=exa01adm01 TGTNAME=exa01adm03
    OEDACLI> SET ADMINNET NAME=exa01adm03,IP=xx.xx.xx.xx
    OEDACLI> SET PRIVNET NAME1=exa01adm03-priv1,IP1=xx.xx.xx.xx,NAME2=exa01adm03-priv2,IP2=xx.xx.xx.xx
    OEDACLI> SET ILOMNET NAME=exa01adm03-c,IP=xx.xx.xx.xx
    OEDACLI> SET RACK NUM=NN,ULOC=XX 
    
    OEDACLI> SAVE ACTION
    OEDACLI> MERGE ACTIONS FORCE
    OEDACLI> SAVE FILE NAME=exa01_plus_adm03_node.xml

    この時点で、構成内に新しい計算ノードの管理ドメインが含まれた新しいXMLファイルを使用できます。このファイルは、後続のステップで使用します。

  2. CLONE GUESTコマンドを使用して、新しいユーザー・ドメインの情報をOEDA XMLファイルに追加し、そのゲストをデプロイします。
    OEDACLI> LOAD FILE NAME=exa01_plus_adm03_node.xml 
    
    OEDACLI> CLONE GUEST SRCNAME=exa01adm01vm01 TGTNAME=exa01adm03vm01 WHERE STEPNAME=CREATE_GUEST
    OEDACLI> SET PARENT NAME=exa01adm03
    OEDACLI> SET ADMINNET NAME=exa01adm03vm01,IP=xx.xx.xx.xx
    OEDACLI> SET PRIVNET NAME1=exa01db03vm01-priv1,IP1=xx.xx.xx.xx,NAME2=exa01db03vm01-priv2,IP2=xx.xx.xx.xx
    OEDACLI> SET CLIENTNET NAME=exa01client03vm01,IP=xx.xx.xx.xx
    OEDACLI> SET VIPNET NAME=exa01client03vm01-vip,IP=xx.xx.xx.xx
    
    OEDACLI> SAVE ACTION
    OEDACLI> MERGE ACTIONS
    OEDACLI> DEPLOY ACTIONS

    すべてのステップがOEDACLIで自動的に実行されるようにするには、CLONE GUESTコマンドのWHERE STEPNAME=CREATE_GUEST句を省略して、次のステップ3をスキップします。

  3. OEDACLIを使用して、クラスタを新しいユーザー・ドメインに拡張します。

    ノート:

    この例では、引き続き同じXMLファイルexa01_plus_adm03_node.xmlを使用します。次からのステップを進めながら、このファイルの更新を続けます。この手順の最後には、このXMLファイルはクラスタの新しい状態を正確に反映するようになります。
    OEDACLI> CLONE GUEST SRCNAME=exa01adm01vm01 TGTNAME=exa01adm03vm01 WHERE STEPNAME=CREATE_USERS

    OEDACLI> SAVE ACTION
    OEDACLI> MERGE ACTIONS
    OEDACLI> DEPLOY ACTIONS
    
    OEDACLI> CLONE GUEST SRCNAME=exa01adm01vm01 TGTNAME=exa01adm03vm01 WHERE STEPNAME=CELL_CONNECTIVITY

    OEDACLI> SAVE ACTION
    OEDACLI> MERGE ACTIONS
    OEDACLI> DEPLOY ACTIONS
    
    OEDACLI> CLONE GUEST SRCNAME=exa01adm01vm01 TGTNAME=exa01adm03vm01 WHERE STEPNAME=ADD_NODE

    OEDACLI> SAVE ACTION
    OEDACLI> MERGE ACTIONS
    OEDACLI> DEPLOY ACTIONS
    
    OEDACLI> CLONE GUEST SRCNAME=exa01adm01vm01 TGTNAME=exa01adm03vm01 WHERE STEPNAME=EXTEND_DBHOME

    OEDACLI> SAVE ACTION
    OEDACLI> MERGE ACTIONS
    OEDACLI> DEPLOY ACTIONS
    
    OEDACLI> CLONE GUEST SRCNAME=exa01adm01vm01 TGTNAME=exa01adm03vm01 WHERE STEPNAME=ADD_INSTANCE

    OEDACLI> SAVE ACTION
    OEDACLI> MERGE ACTIONS
    OEDACLI> DEPLOY ACTIONS

    OEDACLIは、各ステップが完了するたびに、次のようなメッセージを出力します。

    Deploying Action ID : 39 CLONE GUEST SRCNAME=exa01adm01vm01 TGTNAME=exa01adm03vm01 where STEPNAME=ADD_INSTANCE 
    Deploying CLONE GUEST 
    Cloning Guest 
    Cloning Guest  :  exa01adm03vm01.example.com_id 
    Adding new instance for database [dbm] on exa01adm03vm01.example.com 
    Setting up Huge Pages for Database..[dbm] 
    Adding instance dbm3 on host exa01adm03vm01.example.com 
    Successfully completed adding database instance on the new node [elapsed Time [Elapsed = 
    249561 mS [4.0  minutes] Fri Jun 28 13:35:52 PDT 2019]] 
    Done...
    Done
  4. 構成の現在の状態を保存して、構成情報を生成します。
    OEDACLI> SAVE FILES LOCATION=/tmp/exa01_plus_adm03_config

    前述のコマンドにより、すべての構成ファイルがディレクトリ/tmp/exa01_plus_adm03_configに書き込まれます。これらのファイルのコピーはクラスタへの変更を反映するようになっているため安全な場所に保存してください。

  5. Exachkレポートを収集して、クラスタの正常性に問題がないことを確認します。