Oracle Multitenant

Oracle Multitenantはデータベースの統合に最適な方法です。マルチテナント・アーキテクチャでは、これまでの統合方法に付きものであったトレードオフはなくし、それぞれの一番よい特性が結合されています。

Oracle Multitenantは統合やプロビジョニング、アップグレードなどを簡素化することにより、ITコストの削減を支援します。この新しいアーキテクチャでは、コンテナ・データベース(CDB)に多数のプラガブル・データベース(PDB)を保持できます。アプリケーションでは、これらのPDBはスタンドアロン・データベースとして認識され、PDBにアクセスするためにアプリケーションを変更する必要はありません。複数のデータベースをPDBとして1つのCDBに統合することにより、複数のデータベースを1つのデータベースとして管理できるようになります。ビジネスで必要な場合には、分離してPDBを操作する柔軟性もあります。

Oracle Multitenantは、非コンテナ・データベース(非CDB)と同様に、Oracle Real Application Clusters、Oracle Data Guard、Oracle GoldenGateなどの高可用性機能と互換し、それらの機能を直接利用できるため、どのOracle MAAリファレンス・アーキテクチャでも使用できます。同じ高可用性要件を持つPDBを同じCDBにグループ化すると、それらすべてのPDBとそのアプリケーションは同じテクノロジと構成で管理および保護されます。

Oracle Multitenantを使用する利点

  • 統合密度の高さ - 1つのCDBに、多数のPDBを格納できます。これらのPDBはバックグランド・プロセスとメモリー構造体を共有し、非CDBよりも多くのPDBを実行できます。これは、各非CDBのオーバーヘッドが削除または削減されるためです。CDBには最大4095個のPDBを格納できます。また、各PDBでは、同じCDB内の他のPDBと異なる文字セットを使用することもできます。この場合、CDBルートの文字セットはPDBのすべての文字セットのスーパーセットになります。ロジカル・スタンバイ・データベースは、この文字セットの混在もサポートして、一時ロジカル・スタンバイ・データベースを使用してローリング・アップグレード実行できます。

  • クローン、リフレッシュ可能なクローン、PDBの再配置を含むオンラインのプロビジョン操作 - PDBを1つのCDBから切断して別のCDBに接続できます。PDBを同じCDBまたは別のCDBにクローニングすることも可能です。DBaaSまたはSaaS環境では、クローニングにより、ゴールド・イメージやシード・データベースを作成できます。このPDBをクローニングすれば、新規顧客用にデータベース環境を簡単に設定できます。

    • 停止時間がゼロに近いPDB再配置 – この機能では、クローン機能を使用してPDBを別のCDBに再配置する停止時間を大幅に短縮します。再配置が行われている間、ソースのPDBは開いたまま機能し続けます。アプリケーションの停止は非常に短時間に短縮され、ソースのPDBは一貫性のある状態になり、宛先のPDBは同期されてオンラインになります。この機能は別の新機能であるリスナー・リダイレクトも利用します。これにより、アプリケーションで同じ接続記述子を維持し、再配置後も宛先PDBに接続できます。

    • オンラインのプロビジョニングとクローニング – ソースのPDBを読取り専用モードにする必要なく、PDBのクローンを作成できます。ソースのPDBは読取り/書込みモードのままにすることができ、クローン操作中もアプリケーションにアクセスできます。

    • リフレッシュ可能なPDBのクローン – PDBのクローンは、設定された間隔で自動的にまたは手動でソースPDBへの変更を適用してリフレッシュするのと同じ方法で作成できます。リフレッシュ可能なクローンの場合は、読取り専用モードで維持する必要があります。クローンは読取り/書込みで開くことで通常のPDBに変換できます。リフレッシュ可能なクローンは、Exadataストレージ・スナップショットのテスト・マスターとして使用するのに最適です。

  • パッチ適用およびアップグレードの新オプション - CBDをアップグレードまたはパッチ適用すると、そのコンテナのPDBもアップグレードまたはパッチ適用されます。分離が必要な場合は、PDBを切断し、後のバージョンでCDBに接続できます。

  • データベースのバックアップとリカバリ - 複数のデータベースをPDBとして統合することで、バックアップと障害リカバリなどの操作をコンテナ・レベルで実行できます。Oracle Multitenantでも、同じCDB内の、実行されているその他のPDBに影響を与えずに、個々のPDBを柔軟にバックアップおよびリストアできます。

  • Oracle Data Guardを使用した操作 - CDBレベルでは、Data Guard構成が維持されます。Data Guardのロール・トランジション(フェイルオーバーかスイッチオーバーのいずれか)が実行されると、すべてのPDBが新しいプライマリ・データベースに移行されます。単一データベースの場合には必要になりますが、PDBごとに複数のData Guard構成を作成したり管理したりする必要はありません。Data Guard Standby-First PatchやData Guard一時ロジカル・ローリング・アップグレードなどの既存ツールを使用して停止時間を短くすることが可能で、コンテナ・レベルで実行されるため、すべてのPDBを一度の操作でメンテナンスできます。

    • Data Guard BrokerでのPDBの移行 – Data Guard Brokerが拡張されて、PDBをプライマリ・データベースまたはスタンバイ・データベースのCDBから別のCDBに自動的に移行できるようになりました。これは、PDBを同じバージョンで実行中の別のCDBまた上位バージョンで実行中CDBのいずれかに直接移行してアップグレード・プロセスを開始するために使用できます。この自動化を使用すると、スタンバイ・データベースでPDBファイルを使用して同じバージョンの別のCDBに接続し、単一のPDBフェイルオーバーに影響を与えることもできます。

    • サブセット・スタンバイ - Oracle Multitenantのユーザーは、スタンバイ・データベースへのレプリケーション用のCDBでPDBのサブセットを指定できます。これにより、どのスタンバイ・データベースにどのPDBを含めるか細かく指定できます。

  • Oracle GoldenGateを使用した操作 - Oracle Multitenantには、Oracle GoldenGateで提供されているすべての機能があります。GoldenGateは、PDBレベルで柔軟に操作することができ、レプリケーションをCDB内のPDBのサブセットに対して実行できます。GoldenGateを使用して、CDBレベルまたは個々のPDBレベルで、停止時間が最小限またはゼロのアップグレードを実行できます。

  • リソース管理 - Oracle Resource Managerで単一データベース間のリソース使用率を制御できるのと同じように、コンテナ内の個々のPDBのリソース使用率も制御できます。これにより、1つのPDBが、割り当てられている量を超えてシステム・リソースにアクセスすることはありません。PDBの制限で、SGA、バッファ・キャッシュ、共有プールおよびPGAメモリーの保証された最小値および最大値を指定できます。

  • Oracle Flashback Databaseの操作 - 高速のポイント・イン・タイム・リカバリが必要な場合は、Oracle Multitenantの初期リリースを使用すると、CDBレベルでFlashback Databaseを使用できます。Oracle Multitenantでは、その他のPDBの可用性に影響を与えずに、個々のPDBでFlashback Databaseを使用できます。Flashback DatabaseはCDBレベルで実行でき、コンテナ内のすべてのPDBがフラッシュバックされます。プラガブル・データベースのフラッシュバック機能を使用して、個々のPDBをフラッシュバックできます。個々のPDBをフラッシュバックする場合、他のすべてのPDBは影響を受けません。

  • Data Guard Broker PDBの移行またはフェイルオーバー - マルチテナントのブローカ構成では、本番PDBをコンテナ・データベースから同じシステムにある別のコンテナ・データベースに移動する必要がある場合があります。また、本番PDBで障害が発生したが、コンテナ・データベースおよび他のすべてのPDBが通常どおりに機能している場合、Data Guardスタンバイ・データベースから新しい本番コンテナ・データベースにPDBをフェイルオーバーする必要がある場合があります。新しいData Guard BrokerコマンドMIGRATE PLUGGABLE DATABASEを使用すると、単一PDBを別のコンテナ・データベースに移動したり、単一PDBをData Guardスタンバイから新しい本番コンテナ・データベースにフェイオーバーする操作を簡単に実行できます(Oracle Database 12cリリース2の新機能)。

関連項目: