1 Oracle WebLogic Serverの新機能 15.1.1.0.0

このドキュメントでは、Oracle WebLogic Server 15.1.1.0.0リリースの新機能と変更された機能について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

Jakarta EE 9.1のサポート

Oracle WebLogic Server 15c (15.1.1.0.0)は、Jakarta Platform, Enterprise Edition (Jakarta EE)バージョン9.1の完全互換の実装です。

WebLogic Server 15.1.1.0.0の新機能をWebLogic Server 14.1.2.0.0と比較して理解するには、これらのバージョンでサポートされるJakarta EE仕様を理解することが重要です。

WebLogic Server 15.1.1.0.0はJakarta EE 9.1 Platform仕様をサポートし、WebLogic Server 14.1.2.0.0はJakarta EE 8 Platform仕様をサポートしています。次に、Jakarta EE 9.1 Platform仕様に導入された変更箇所の概要を、Jakarta EE 8 Platform仕様と比べて説明します。

Jakarta EE仕様は、オープンなJava Community Processによって定義された、Java Platform, Enterprise Edition (Java EE)仕様の後継仕様です。Jakarta EE仕様は、Eclipse FoundationのJakarta EE Working Groupによって管理される、オープン・コミュニティ・プロセスによって定義されます。Jakarta EE Platform仕様は、サーブレット処理、RESTサービス、メッセージング、データベース接続などの技術領域やその他の領域の個々の仕様を含む包括的な仕様であり、それら全体でJakarta EEアプリケーションをホストするプラットフォームを定義します。Jakarta EE 8 Platform仕様(Jakarta EE 8)は、Jakarta EE Working Groupが初めて提供したプラットフォーム仕様です。Jakarta EE 8は技術レベルでJava EE 8と完全に互換性がありますが、仕様名、仕様の公開に使用されるプロセスおよび仕様のライセンス条件は異なっています。Jakarta EE 8の主な目的は、将来のJakarta EE仕様を発展させることができるように、広く知られる、明確に定義された基盤を確立することでした。

Jakarta EE 9 Platform仕様は、Jakarta EE Platform仕様の次のバージョン・リリースです。Jakarta EE 9 Platform (Jakarta EE 9)仕様の主な目的は、Jakarta EE 8と機能的に同等なプラットフォーム仕様を提供することです。ただし、Jakarta EE APIの定義で使用されるパッケージ名の命名規則(ネームスペース)が異なります。Jakarta EE 8仕様ではAPIパッケージ名にjavax.*ネームスペースが使用されますが、Jakarta EE 9仕様ではAPIパッケージ名にjakarta.*ネームスペースが使用されます。たとえば、Jakarta EE 8のjavax.servletは、Jakarta EE 9では名前がjakarta.servletに変更されました。Jakarta EE 8に対するその他の変更は小さなものです。たとえば、以前Java SEで提供されていた特定の仕様の組込み、オプション仕様の識別、古い仕様(ほとんど使用されていない仕様や、Jakarta EEプラットフォームでは戦略的ではなくなった仕様)の削除などです。

Jakarta EE 9で削除された仕様:

  • Jakarta XML Registries (JAXR、以前のJava API for XML Registries) 1.0
  • XML RPC 1.1
  • Deployment 1.7
  • Management 1.1
  • Distributed Interoperability (EJB 3.2 Core仕様)

Jakarta EE 9.1は、Jakarta EE 9のマイナー・メンテナンス・リリースです。Jakarta EE 9で提供したJava SE 8サポートにJava SE 11ランタイムのサポートを追加します。

つまり、Jakarta EE 8からJakarta EE 9.1への主な変更点は、Jakarta EE APIネームスペースがjavax.*からjakarta.*に変わったことです。前述したその他の変更点もありますが、影響は比較的わずかです。これらを除くとJakarta EE 8仕様とJakarta EE 9.1仕様はほぼ同等の機能を備えており、高い互換性があります。ただし、WebLogic Server 15.1.1.0.0でのJakarta EE 9.1サポートの重要な特徴は、jakarta.*ネームスペースの使用によって、jakarta.*ネームスペースを使用する最新のサード・パーティ・ライブラリをWebLogic Serverアプリケーションで使用できることです。

JDK 17および21の動作保証

Oracle WebLogic Server 15c (15.1.1.0.0)では、JDK 21に加えて、JDK 17の使用が保証されています。サポートされたOracle WebLogic Server 15c (15.1.1.0.0)クライアントは、JDK 17とJDK 21での使用が保証されています。WebLogic Serverインストール・プログラムを実行するには、認定されたJDKが必要です。

JDK 17によって、多くの新機能、最適化およびバグ修正が導入され、アプリケーションのパフォーマンスと安定性を高めることができます。こうした機能強化は、ガベージ・コレクタの向上、JITコンパイラの強化、クラス・データ共有の改善に基づいており、起動時間の短縮と全体的なパフォーマンスの向上につながります。JDK 21には、キー・カプセル化メカニズムAPI、文字列テンプレートと構造化並行性のプレビューなど、15の機能が導入されています。JDK 21は、Java SE Platformの最新の長期サポート・リリースです。

次のトピックを参照してください。

証明書管理サービス

Oracle WebLogic Server 15c (15.1.1.0.0)には、ドメインで証明書を管理する新しい方法が導入されています。

ノート:

証明書管理サービスは、このリリースのWebLogic Serverのテクニカル・プレビューとしてテスト目的のみで使用できます。本番環境では使用しないでください。詳細は、『Oracle WebLogic Serverの新機能』証明書管理サービスの使用を参照してください。

証明書管理サービスは、証明書を取得するために、サポートされている証明書発行者にリクエストを送信します。これらの証明書はドメイン・キーストアに格納され、証明書管理サービスを使用するように構成されたすべてのサーバーがこれらを使用でき、必要に応じた証明書の配布とリフレッシュが簡単になります。

詳細は、『Oracle WebLogic Serverセキュリティの管理』証明書管理サービスの使用を参照してください。

アップグレードの改善点

Oracle WebLogic Server 15c (15.1.1.0.0)には、WebLogicアプリケーションのアップグレードを簡略化および自動化する新しいアップグレード・ツールが用意されています。

この機能については、次の各で説明します:

OpenRewriteレシピ

既存のWebLogic Serverアプリケーションが、新しいWebLogic Server 15.1.1.0.0のアプリケーション環境で実行するには変更する必要があります。WebLogic Serverのアプリケーション・アップグレード・ツールはOpenRewriteレシピを使用して、新しいバージョンのWebLogic Server、Java、Jakarta EE、および関連するバージョンのJakarta Server FacesとSpring Frameworkに対応するようにアプリケーションをアップグレードします。

WebLogicのリライト・レシピを使用して、次のように、アプリケーションのWebLogic Server 15.1.1.0.0、Jakarta EE 9.1、Java 17またはJava 21へのアップグレードに必要な変更を適用します:
  • アプリケーションのネームスペースをjavaxからjakartaに変換します。
  • デプロイメント記述子をJakartaスキーマで変換します。
  • アプリケーションをJava 8または11からJava 17または21にアップグレードします。
  • 非推奨または削除されたWebLogic ServerおよびJavaのAPIを識別します。
  • WebLogic Mavenプロパティ・バージョンをアップグレードします。
  • Spring 5.xアプリケーションをSpring Framework 6.2.xにアップグレードします。

WebLogicアプリケーション用のWebLogic OpenRewriteレシピの使用方法の詳細は、WebLogic Serverアプリケーション・アップグレード・ツールのドキュメントを参照してください。ハンズオン学習を開始するには、例とチュートリアルを参照してください。

XAリカバリ処理用の個別のデータベース資格証明

XAデータ・ソースDBのユーザーは、保留中のトランザクション・ブランチをOracleデータベースからリカバリするために特定のDBA表権限が必要です。現在、2つの異なるDB資格証明を使用することができます。1つはXAリカバリ処理用(DBA権限と併用)、もう1つのDB資格証明はアプリケーション処理用(DBA権限なし)です。

データ・ソース構成を使用すると、XAリカバリ処理用のJDBC接続の作成に使用するデータベース・ユーザーおよびパスワードを指定できます。これらの資格証明は、JDBCアプリケーション・データ用のデータベース・ユーザーおよびパスワードとは変えることができます。個別のXAリカバリ資格証明の構成は任意です。既存のデータ・ソース構成では、データベース・ユーザーに適切な権限が付与されていれば、引き続きXAリカバリがサポートされます。

XAリカバリ資格証明は、WLS内部ドライバ・プロパティweblogic.jdbc.xaRecoverUserおよびweblogic.jdbc.xaRecoverPasswordを使用して、XAデータ・ソース構成に指定します。XAリカバリ資格証明のプロパティがXA以外のデータ・ソース構成に定義されると、それらは無視されます。

WLS OpenID Connectプロバイダを介したOIDCトークンのアプリケーション処理

OIDC (Open ID Connect)に依存するアプリケーションが、認証プロセス中に使用されるトークンと要求にアクセスして処理できるようにします。

特定のユーザーによるWebLogic管理APIへのアクセスをブロックするフィルタ

このフィルタは、ユーザーがWebLogic管理アプリケーション(WebLogicリモート・コンソール、REST APIなど)にアクセスできないようにし、ユーザー・セッションを終了します。また、サーバー・ログにイベントを記録します。

JDBCデータ・ソースと接続プールのチューニングの拡張機能

新しい構成パラメータにより接続プールの縮小操作が最適化され、それによってパフォーマンスが向上します。

DBセッションがクローズしているためにアイドル接続のテストが失敗した際に、接続プール内の接続を削除するか置換するかを制御します。

AQJMSキューをホストするDBインスタンスがメンテナンスのために停止した場合のAQJMSメッセージの信頼性の高いリカバリ

コンテナ管理トランザクションとMDBを使用してAQJMSキュー内のメッセージを処理できないアプリケーションのために、WebLogic ServerメッセージドリブンBean (MDB)コンテナが、高度なメッセージ・リカバリ機能を提供します。これは、長時間実行しているメッセージ処理タスクをMDBが完了しようとしているときに、基礎となるAQセッションがデータベース・メンテナンスのためにクローズされる可能性があるという状況からのアプリケーションのリカバリを支援します。

実行時の改善点

Oracle WebLogic Server 15c (15.1.1.0.0)は、WebLogic Serverの以前のバージョンからのサポートに基づき、クラスタ環境、Oracleデータベースの機能およびマルチ・データ・センター・アーキテクチャの使用時に、WebLogic Serverアプリケーションの信頼性、可用性、スケーラビリティおよびパフォーマンスを向上させます。

これらの改善点については、次の項で説明します:

MDB用の高度なメッセージ・リカバリ

特定のAQ JMSとMDBの構成でWebLogic Server MDBを使用するOracle AQ JMSと統合したとき、同じメッセージが2つの異なるMDBスレッドによって同時に取得されて処理されることがあり、その結果、アプリケーションで予期しない動作が発生する場合があります。Oracle WebLogic Server 15c (15.1.1.0.0)は、高度なメッセージ・リカバリ機能を備えており、アプリケーションでこの状況が発生することを回避したり、この状況からリカバリしたりするのに役立ちます。

高度なメッセージ・リカバリ機能の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server JMSリソースの管理』MDBの拡張メッセージ・リカバリを参照してください。

管理性の向上

Oracle WebLogic Server 15c (15.1.1.0.0)では、WebLogic Serverのドメインおよびアプリケーションの構成、モニタリングおよび実行中の管理を簡素化する新しい管理機能を引き続き提供しています。

これらの機能については次の項で説明します:

ドキュメント更新履歴

Oracle WebLogic Serverドキュメント・ライブラリの更新履歴は、15c (15.1.1.0.0)に関して、様々なユーザー・ガイド、リファレンス・ガイドおよびオンライン・ヘルプに行われた更新をまとめたものです。

次の表は、15.1.1.0.0の初期リリースに関して、Oracle WebLogic Serverドキュメント・ライブラリに対して行われた更新をまとめたものです:

日付 更新の説明
2025年9月

初期リリース。ライブラリの変更点は次のとおりです。

  • 『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server JMSリソースの管理』に、高度なメッセージ・リカバリ機能について説明するMDBの拡張メッセージ・リカバリのトピックが追加されました。
  • 『Oracle WebLogic Server Enterprise JavaBeansの開発』のタイトルが『Oracle WebLogic Server Jakarta Enterprise Beansの開発』に変更されました。
  • 『Oracle WebLogic Server Enterprise JavaBeansバージョン3.2の開発』のタイトルが『デプロイメント記述子を使用したJakarta Enterprise Beansの開発』に変更されました。

標準のサポート、サポートされる構成、およびWebLogic Serverの互換性

Oracle WebLogic Server 15c (15.1.1.0.0)は、Jakarta EE 9.1フル・プラットフォーム・サポート、Java SE 17および21の動作保証、Webサービス標準のサポート、複数オペレーティング・システムとJVMプラットフォームのサポート、いくつかのセキュリティ標準のサポートを提供します。

次の項では、WebLogic Server標準のサポート、サポート対象のシステム構成、WebLogic Serverの互換性、WebLogic Serverインストールのサポートについて説明します:

標準のサポート

WebLogicサーバー15c (15.1.1.0.0)では、次の標準とバージョンをサポートしています:

Jakarta標準

表1-1に、現在サポートされているJakarta EE 9.1標準を示します。

ノート:

JAAS、JCE、Jakarta Authentication、Jakarta Authorization、Jakarta Securityなどの現在サポートされているセキュリティ標準の詳細は、『Oracle WebLogic Serverセキュリティの管理』WebLogic Serverのセキュリティ標準を参照してください。

表1-1 Jakarta EE 9.1標準のサポート

標準 バージョン

Jakarta Activation

2.0

Jakarta注釈

2.0

Jakartaバッチ

2.0

Jakarta Bean検証

3.0

Jakarta同時実行

2.0

Jakartaコネクタ

2.0

Jakartaコンテキストと依存関係インジェクション

3.0

Jakarta依存関係インジェクション

3.0

Jakarta EE

9.1

Jakarta Enterprise Bean (EJB)

4.0

Jakarta Enterprise Web Services (JAX-WS)

2.0

Jakarta式言語(EL)

4.0

Jakartaインターセプタ

2.0

Jakarta JSON Binding

2.0

Jakarta JSON処理

2.0

Jakartaメール

2.0

JakartaマネージドBean

2.0

Jakarta Messaging (JMS)

3.0

Jakarta Persistence (JPA)

3.1、3.0脚注 1

Jakarta RESTful Webサービス(JAX-RS)

3.0

Jakartaセキュリティ

2.0

Jakarta Server Faces (JSF)

3.0

Jakarta Server Pages (JSP)

3.0

Jakartaサーブレット

5.0

Jakarta SOAP with Attachments (SAAJ)

2.0

Jakarta標準タグ・ライブラリ(JSTL)

2.0

Jakarta Transaction (JTA)

2.0

Jakarta Web Services Metadata for the Java Platform

3.0

Jakarta WebSocket

2.0

Jakarta XML Web Services (JAX-WS)

3.0

OTS/JTA

OTS 1.2およびJTA 1.3

RMI

1.0

RMI/IIOP

1.0

脚注 1 デフォルトでは、WebLogic Server 15.1.1.0.0ではJPA 3.1が実装されますが、JPA 3.0を使用するようにWebLogic Serverを設定できます。『Oracle WebLogic Serverサーバーの起動と停止の管理』Jakarta Persistenceのバージョンの変更を参照してください。

その他のJava標準

表1-2に、現在サポートされているその他のJava標準および関連する標準を示します。

表1-2 Java標準および関連する標準のサポート

標準 バージョン

Jakartaデプロイメント

1.7

Jakarta Management

1.1

Java API for XML Processing(JAXP)

1.4.4

Java Naming and Directory Interface

1.3

JDBC

4.3

JDK

17.0および21.0

詳細は、JDK 17および21の動作保証を参照してください。

JMX

1.2

Streaming API for XML (StAX)

1.0

Webサービスの標準

WebLogic Webサービスで現在サポートされている標準のリストは、『Oracle WebLogic Server WebLogic Webサービスの理解』WebLogic Webサービスでサポートされる機能および標準に関する項を参照してください。

その他の標準

表1-3にWebLogic Server 15c (15.1.1.0.0)でサポートされるその他の標準を示します。

ノート:

SSL、TLSおよびXACMLなどのセキュリティに関連する標準の詳細は、Oracle WebLogic Serverのセキュリティの管理WebLogic Serverのセキュリティ標準に関する項を参照してください。

表1-3 その他の標準

標準 バージョン

X.509

v3

LDAP

v3

TLS

v1.1、v1.2

HTTP

2.0, 1.1

SNMP

SNMPv3

xTensible Access Control Markup Language (XACML)

2.0

Partial implementation of Core and Hierarchical Role Based Access Control (RABC) Profile of XACML

2.0

Internet Protocol (IP)

バージョン:

  • v6

  • v4

Fusion Middlewareの全製品へのIPv6サポートに関する詳細は、Oracle Technology NetworkのOracle Fusion Middleware Supported System Configurationsページを参照してください。

Jythonバージョン

WLSTはJythonをサポートしています。Oracle WebLogic Server 14.1.1.0.0では、Jythonバージョンがバージョン2.2.1から現行バージョン2.7.1にアップグレードされています。Jythonバージョンのアップグレードが原因で発生する問題およびその回避策は、『Oracle WebLogic Serverリリース・ノート』Jythonバージョン2.7の動作の変更に関する項を参照してください。

サポートされる構成

サポート対象の構成に関する最新情報は、Oracle Technology NetworkのOracle Fusion Middleware Supported System Configurationsページを参照してください。

ライセンス情報

最新のOracle Fusion Middlewareライセンス情報は、『ライセンス情報ユーザー・マニュアル』を参照してください。

WebLogic Serverの互換性

WebLogic Serverの現行バージョンと以前のリリースとの間の互換性に関する最新情報は、『Oracle WebLogic Serverの理解』WebLogic Serverの互換性に関する項を参照してください。

データベースの相互運用性

動作保証マトリックスおよびMy Oracle Support動作保証では、データベース・サポートのタイプを区別するために次の用語を定義します: