9 Oracle Key Vaultエンドポイントのアップグレード
この章では、エンドポイントのアップグレードを計画し、様々なシナリオでエンドポイントをアップグレードする方法について説明します。
- Oracle Key Vaultエンドポイントのアップグレードについて
このトピックでは、Oracle Key Vaultエンドポイントのアップグレード・プロセスについて説明します。 - エンドポイントのアップグレードの計画
エンドポイントのアップグレードの計画により、停止時間が最小限に抑えられ、スムーズなアップグレード・プロセスが促進されます。 - エンドポイントのアップグレードに関する考慮事項
次のトピックでは、エンドポイント・ソフトウェアをアップグレードするか、エンドポイントを再エンロールして、エンドポイントをアップグレードする方法について説明します。また、Oracle AI Database 26ai以降で使用するエンドポイント・ソフトウェアをインストールするために設定する必要があるオプションに関する情報も含まれています。 - TDE対応データベースのエンドポイント・アップグレードの理解
このトピックでは、TDE対応エンドポイントのアップグレード・プロセスについて説明します。 - 停止時間がほぼゼロのエンドポイント・アップグレード
Oracle AI Database 26ai以降で使用されるエンドポイントの場合は、データベースの停止時間がほぼゼロでアップグレードできます。 - エンドポイントのアップグレード
エンドポイント・ソフトウェアを更新するか、エンドポイントを再エンロールすることで、エンドポイントをアップグレードできます。
9.1 Oracle Key Vaultエンドポイントのアップグレードについて
このトピックでは、Oracle Key Vaultエンドポイントのアップグレード・プロセスについて説明します。
Oracle Key Vaultサーバー・ソフトウェア・アプライアンスをアップグレードするときは、エンドポイント・ソフトウェアもアップグレードして、最新の拡張機能にアクセスできるようにします。
Oracle Key Vaultクライアント・ソフトウェアには下位互換性があります。古いバージョンのOracle Key Vaultクライアント・ソフトウェアは、アップグレードされたOracle Key Vaultサーバーで完全に機能しますが、Oracle Key Vaultの一部の新機能は現在のクライアント・ソフトウェアでのみ使用可能です。たとえば、抽出不可能なTDEマスター・キーを使用するには、その機能をサポートするリリースにエンドポイント・ソフトウェアをアップグレードする必要があります。
9.2 エンドポイントのアップグレードの計画
エンドポイントのアップグレードの計画により、停止時間が最小限に抑えられ、スムーズなアップグレード・プロセスが促進されます。
- アップグレード・アプローチの選択: マイナー・バージョンのアップグレードでは、通常、エンドポイント・ソフトウェアの更新で十分です。メジャー・バージョンのアップグレードでは、再エンロールが必要になる場合があります。
- スケジュールおよび調整: 特にTDE対応データベースで使用されるライブラリを更新するためにデータベースの停止時間が必要な場合に、ビジネスへの影響を最小限に抑えるために、ピーク以外の時間帯にアップグレード・アクティビティを計画します。
- 停止時間がほぼゼロのオプションの活用: Oracle AI Database 26ai以降では、停止時間をさらに短縮または排除するために、停止時間がほぼゼロのアップグレード・スキームを使用します。
9.3 エンドポイントのアップグレードに関する考慮事項
次のトピックでは、エンドポイント・ソフトウェアをアップグレードするか、エンドポイントを再エンロールして、エンドポイントをアップグレードする方法について説明します。また、Oracle AI Database 26ai以降で使用するエンドポイント・ソフトウェアをインストールするために設定する必要があるオプションに関する情報も含まれています。
- エンドポイント・ソフトウェアのアップグレードまたはエンドポイントの再エンロール
エンドポイントをアップグレードするには、エンドポイント・ソフトウェアをアップグレードするか、エンドポイントを再エンロールします。 - Oracle AI Database 26ai以降のエンドポイント・ソフトウェア
Oracle Key Vaultには、Oracle AI Database 26ai以降で使用する新しいエンドポイント・ソフトウェアが付属しています。
9.3.1 エンドポイント・ソフトウェアのアップグレードまたはエンドポイントの再エンロール
エンドポイント・ソフトウェアをアップグレードするか、エンドポイントを再エンロールすることで、エンドポイントをアップグレードできます。
エンドポイント・ソフトウェアをアップグレードしても、既存のエンドポイント証明書やエンドポイント構成ファイルokvclient.oraには影響しません。エンドポイントを再エンロールすると、既存のエンドポイント証明書が無効になり、新しいエンドポイント証明書およびokvclient.oraがインストールされます。マイナー・バージョン(たとえば、21.xから21.yへ)のアップグレードについてはエンドポイント・ソフトウェアをアップグレードし、メジャー・バージョン間(たとえば、18.xから21.yへ)のアップグレードの際にはエンドポイントの再エンロールを検討することをお薦めします。
TDE対応データベースのエンドポイントを再エンロールする前に、データベースを停止する必要があります。
TDE対応データベース・エンドポイントのソフトウェアを更新する場合、データベースの停止時間を排除または最小化できます。
親トピック: エンドポイントのアップグレードに関する考慮事項
9.3.2 Oracle AI Database 26ai以降のエンドポイント・ソフトウェア
Oracle Key Vaultには、Oracle AI Database 26ai以降で使用する新しいエンドポイント・ソフトウェアが付属しています。
Oracle AI Database 26ai以降の新しいエンドポイント・ソフトウェアは、OpenSSLライブラリを使用してFIPSモードで実行されているデータベースと、改善されたバージョンのローカル自動ログイン・ウォレットをサポートするために必要となります。Oracle AI Database 26ai以降の新しいエンドポイント・ソフトウェアには、追加のライブラリが含まれており、Linux-x64プラットフォームでのみサポートされています。
Oracle AI Database 26ai以降で使用するエンドポイント・ソフトウェアをインストールするには、インストール時に次のオプションを指定します:
okvclient.jarファイルを使用してインストールする場合は、-arch db23aiオプションを使用します。okv admin endpoint provisionコマンドを使用してインストールする場合は、--arch db23aiオプションを使用します。
親トピック: エンドポイントのアップグレードに関する考慮事項
9.4 TDE対応データベースのエンドポイント・アップグレードの理解
このトピックでは、TDE対応エンドポイントのアップグレード・プロセスについて説明します。
TDE対応データベースのエンドポイントをアップグレードする場合は、次の手順を実行します:
- エンドポイント・ソフトウェアを更新するか、エンドポイントを再エンロールします。
root.shまたはroot.batスクリプトを実行して、PKCS#11ライブラリをインストールします。
Oracle Databaseでは、$OKV_HOME/libディレクトリのPKCS#11ライブラリは使用されません。PKCS#11ライブラリは、標準の場所、またはOracle Key Vaultのリリース固有の場所(Oracle AI Database 26ai以降の場合)にインストールできます。
- 標準の場所にあるPKCS#11ライブラリの使用
このトピックでは、標準の場所にあるPKCS#11ライブラリを使用する方法について説明します。 - Oracle Key Vaultのリリース固有の場所にあるPKCS#11ライブラリの使用
このトピックでは、Oracle Key Vaultのリリース固有の場所にあるPKCS#11ライブラリを使用する手順について説明します。
9.4.1 標準の場所にあるPKCS#11ライブラリの使用
このトピックでは、標準の場所にあるPKCS#11ライブラリを使用する方法について説明します。
/opt/oracle/extapi/64/hsm/oracle/1.0.0/liborapkcs.so標準の場所にあるPKCS#11ライブラリを更新するには、引数なしでroot.sh (またはroot.bat)スクリプトを実行します。
/opt/oracle/extapi/64/pkcs11/okv/<okv_version>/lib- 同じホスト上のそのようなすべてのデータベースでは、同じバージョンのエンドポイント・ソフトウェアを使用する必要があります。
- PKCS#11ライブラリを標準の場所にインストールする前に、ホスト上のそのようなすべてのデータベースを停止する必要があります。
root.shまたはroot.batスクリプトを実行する前に、ホスト上のそのようなすべてのデータベースのエンドポイント・ソフトウェアをアップグレードします。エンドポイントは1つずつアップグレードできますが、すべてのエンドポイントがアップグレードされるまで、root.shまたはroot.batスクリプトを実行しないでください。エンドポイント・ソフトウェアのアップグレード中に、データベースを停止する必要はありません。停止は、root.shまたはroot.batスクリプトを実行する前にのみ必要となります。このスクリプトは、ホストごとに1回のみ実行する必要があります。- この方法は、データベース・パラメータ
PKCS11_LIBRARY_LOCATIONをサポートしていないデータベースの場合に使用します。
9.4.2 Oracle Key Vaultのリリース固有の場所にあるPKCS#11ライブラリの使用
このトピックでは、Oracle Key Vaultのリリース固有の場所にあるPKCS#11ライブラリを使用する手順について説明します。
Oracle AI Database 26ai以降の場合、liborapkcs.soライブラリをOracle Key Vaultのリリース固有の場所にインストールすることをお薦めします。
--okv_pkcs11_library_locationオプションを指定してroot.shスクリプトを実行します:root.sh --okv_pkcs11_library_locationliborapkcs.soライブラリおよびその他のライブラリがOracle Key Vaultのリリース固有の場所にインストールされます:/opt/oracle/extapi/64/pkcs11/okv/<okv-version>/lib/opt/oracle/extapi/64/pkcs11/okv/21.12.0.0.0/libOracle Key Vaultリリース固有のパスにあるPKCS#11ライブラリを使用するには、PKCS11_LIBRARY_LOCATIONデータベース・パラメータを新しいライブラリの場所に設定します。このステップを実行すると、データベースの再起動が必要なのは、標準の場所からOracle Key Vaultのリリース固有のパスに初めて切り替えるときの1回のみになります。
後続のエンドポイント・アップグレードでは、リリース固有のパスにある新しいPKCS#11ライブラリに切り替えるときに、データベースを停止する必要はありません。ADMINISTER KEY MANAGEMENT SWITCHOVERコマンドを実行して、更新されたライブラリの使用を開始します。
- エンドポイントの停止時間がほぼゼロのアップグレードを実装できます。
- 同じホスト上の複数のエンドポイントをアップグレードする場合、他のエンドポイントに影響を与えずに、各エンドポイントを個別にアップグレードできます。各リリースで、リリース固有のパスにPKCS#11ライブラリをインストールするのは1回だけです。
- 同じホスト上のTDE対応データベースでは、異なるバージョンのOracle Key Vaultエンドポイント・ソフトウェアを使用できます。
9.5 停止時間がほぼゼロのエンドポイント・アップグレード
Oracle AI Database 26ai以降で使用されるエンドポイントの場合は、データベースの停止時間がほぼゼロでアップグレードできます。
エンドポイント・アップグレードは、初期設定時にデータベースを1回停止する必要があるだけであるため、停止時間がほぼゼロと呼ばれます。後続のエンドポイント・アップグレードでは、データベースを停止する必要はなく、事実上、停止時間なしでエンドポイントをアップグレードできます。
- Oracle Key Vaultリリース固有のディレクトリにPKCS#11ライブラリをインストールします。
- リリース固有の場所にあるPKCS#11ライブラリを使用するようにデータベースを構成します。
- Oracle Key Vaultのリリース固有の場所へのPKCS#11ライブラリのインストール
このトピックでは、liborapkcs.soライブラリをインストールして、停止時間がほぼゼロのエンドポイント・アップグレードを実装する方法について説明します。 - カスタムの場所にあるPKCS#11ライブラリを使用するためのデータベースの構成
このトピックでは、Oracle AI Database 26ai以降で停止時間がほぼゼロのエンドポイント・アップグレードを有効にする方法について説明します。 - 後続のエンドポイント・アップグレードでのライブラリの切替え
このトピックでは、データベースの停止時間なしで後続のエンドポイント・アップグレードを完了する方法について説明します。
9.5.1 Oracle Key Vaultのリリース固有の場所へのPKCS#11ライブラリのインストール
このトピックでは、liborapkcs.soライブラリをインストールして、停止時間がほぼゼロのエンドポイント・アップグレードを実装する方法について説明します。
停止時間がほぼゼロのエンドポイント・アップグレードを利用するには、liborapkcs.soライブラリをOracle Key Vaultのリリース固有の場所にインストールします。
root.sh --okv_pkcs11_library_locationliborapkcs.soライブラリおよびその他のライブラリがインストールされます:/opt/oracle/extapi/64/pkcs11/okv/<okv-version>/libOracle Key Vaultのリリース固有の場所に最新のliborapkcs.soライブラリをインストールしても、以前のOracle Key Vaultバージョンのliborapkcs.soライブラリは上書きされません。ライブラリの以前のバージョンを現在使用しているデータベースは、エンドポイント・ソフトウェアのアップグレードの影響を受けません。
親トピック: 停止時間がほぼゼロのエンドポイント・アップグレード
9.5.2 カスタムの場所にあるPKCS#11ライブラリを使用するためのデータベースの構成
このトピックでは、Oracle AI Database 26ai以降で停止時間がほぼゼロのエンドポイント・アップグレードを有効にする方法について説明します。
PKCS11_LIBRARY_LOCATIONデータベース・パラメータを設定して、指定した場所にあるPKCS#11ライブラリを使用するようにデータベースを構成する必要があります。
ALTER SYSTEM権限を持つユーザーとして、CDBルートにログインします。- 静的初期化パラメータ
PKCS11_LIBRARY_LOCATIONを、Oracle Key Vaultリリース固有のライブラリの場所にあるliborapkcs.soライブラリを指すように設定します。たとえば:ALTER SYSTEM SET PKCS11_LIBRARY_LOCATION=’/opt/oracle/extapi/64/pkcs11/okv/21.12.0.0.0/lib/liborapkcs.so’ SCOPE=SPFILE SID=’*’; - データベースを再起動してパラメータを有効にします。
再起動後、データベースは指定したOracle Key Vaultリリース固有のパスにあるPKCS#11ライブラリの使用を開始します。
データベースは、停止することなく新しいPKCS#11ライブラリに切り替わるように設定されました。
親トピック: 停止時間がほぼゼロのエンドポイント・アップグレード
9.5.3 後続のエンドポイント・アップグレードのためのライブラリの切替え
このトピックでは、データベースの停止時間なしで後続のエンドポイント・アップグレードを完了する方法について説明します。
PKCS11_LIBRARY_LOCATIONパラメータを使用して、指定した場所にあるPKCS#11ライブラリを使用するようにデータベースがすでに構成されている場合、データベースの停止時間なしで後続のエンドポイント・アップグレードを完了できます。
ADMINISTER KEY MANAGEMENT SWITCHOVER TO LIBRARYは、システムの停止時間を発生させずに、現在のPKCS#11ライブラリから新しいPKCS#11ライブラリに切り替えるようにデータベースに指示します。このコマンドを実行すると、データベースのフォアグラウンド・プロセスとバックグラウンド・プロセスが新しいライブラリに段階的に切り替わります。
データベース・ビューV$PKCS11_PATHを使用すると、各データベース・プロセスで使用されているPKCS#11ライブラリを監視できます。
親トピック: 停止時間がほぼゼロのエンドポイント・アップグレード