使用状況のトラッキング

使用状況トラッキングにより、管理者はコンテンツに対するユーザー・レベルの問合せをトラッキングできます。

使用状況トラッキングは、問合せの頻度やレスポンス時間に基づいて、パフォーマンスのボトルネックの原因となっているユーザー問合せを特定する上で役立つ方法です。管理者は、ユーザー問合せをトラッキングする基準を設定したり、データベースの最適化、集計統計、または消費されたリソースに基づくユーザーまたは部門への請求などの様々な方法で使用可能な使用状況レポートを生成します。

使用状況トラッキングについて

エンタープライズ・モデリング機能を提供するサービスで使用状況トラッキングを構成できます。使用状況情報は、詳細なユーザー問合せレベルでトラッキングされるため、次のような質問に回答できます。

  • ユーザーはOracle Analytics Cloudとどのように関わっていますか。
  • ユーザーはどこで時間を費やしていますか、または費やしていませんか。
  • ユーザーは各セッション内、セッション間、および問合せ間でどれくらいの時間を費やしていますか。
  • セッション内の問合せ、セッション間の問合せ、およびユーザー全体にわたる問合せは互いにどのように関連していますか。
  • ユーザーは分析内でドリルアップおよびドリルダウンしていますか。
  • 問題が報告されたときにどのような問合せが実行されていますか。

収集した使用状況統計は、システムの使用状況とパフォーマンスの監視に役立つため、ユーザーの行動をよりよく理解し、予測できます。システムがどのように使用される可能性が高いかを事前に認識すると、効率が上がり、エラーが削減されます。

使用状況トラッキングを有効にすると、システムによって、実行される各問合せのデータ・レコードが収集され、それらがすべてデータベース表に書き込まれます。論理問合せと物理問合せの両方がトラッキングされ、問合せの実行にかかった時間や、ユーザー問合せの処理中に検索された行数などの各種パフォーマンス測定値とともに、別々の表に記録されます。

使用状況トラッキングの前提条件

使用状況のトラッキングを行う場合は、次の前提条件を満たしていることを確認します。

  • 現在、セマンティック・モデラーまたはモデル管理ツールを使用して、セマンティック・モデルを管理している。

    使用状況トラッキングを構成するには、セマンティック・モデラーまたはモデル管理ツールを使用して、使用状況トラッキング・データベースの詳細をセマンティック・モデルに追加する必要があります。

  • 使用状況情報を格納するデータベースに対する適切なアクセス権限がある。

    データベース・スキーマに使用状況トラッキング表を作成し、その表に使用状況データを書き込む権限を持つユーザーの資格証明が必要です。

  • データベースで使用状況トラッキングがサポートされている: Oracle DatabaseまたはOracle Autonomous Data Warehouse
  • 使用状況トラッキング・データベースへのデータ接続が、次の設定で作成されている。データへの接続を参照してください。
    • システム接続 - 「システム接続」チェック・ボックスを選択します。

      「システム接続」チェック・ボックスを選択すると、接続がセマンティック・モデラーで使用可能になります。モデル管理ツールでも同様に、「システム接続」オプションを使用すると、「データ・ソース名」フィールドに接続の詳細を手動で入力するのではなく、「データ接続の使用」を選択して、接続のオブジェクトIDを入力できるようになります。使用状況トラッキング・データベースの指定を参照してください。

    • 「ユーザー名」および「パスワード」 - ユーザー名は、使用状況トラッキングに使用するデータベースのスキーマ名と一致する必要があります。たとえば、使用するスキーマがUT_Schemaの場合、「ユーザー名」はUT_Schemaにする必要があります。

    注:

    モデル管理ツールを使用している場合は、コンソールを使用して、セマンティック・モデルおよび使用状況トラッキング・データベースのデータベース接続を定義することもできます。Oracle Cloudデータベースのデータへの接続を参照してください。コンソールを使用する場合、「データ・ソース名」フィールドに接続の詳細を入力するのではなく、モデル管理ツールに使用状況トラッキング・データベースを指定する際に、コンソール接続の使用を選択して、接続の「名前」を選択できます。

Oracle Autonomous Data Warehouseを使用状況トラッキング・データベースとして使用する場合は、セマンティック・モデルに使用状況トラッキング・データベースを指定する前に、次に示す追加のタスクを実行してください:

使用状況トラッキング・データベースについて

システムでは、指定したデータベースに使用状況トラッキングの詳細が格納されます。データベースは、Oracle DatabaseまたはOracle Autonomous Data Warehouseのいずれかです。セマンティック・モデラーまたはモデル管理ツールを使用して、セマンティック・モデル内のデータベースおよび接続プールの詳細を指定します。

使用状況トラッキング・データベースの指定を参照してください。

使用状況トラッキング・パラメータについて

使用状況トラッキング情報を格納するデータベースを指定した後、コンソール(「詳細システム設定」ページ)を介して、様々な使用状況トラッキング・パラメータを設定する必要があります。

使用状況トラッキングの構成に必要なパラメータは、次のとおりです:

  • 使用状況トラッキングの有効化
  • 接続プール名
  • 物理および論理問合せロギング表名
  • 使用状況トラッキング表内の問合せ行の最大数
これらのパラメータを設定して変更を適用すると、Oracle Analyticsでは次が行われます:
  • セマンティック・モデル内に指定されたデータベースで物理および論理問合せロギング表を作成します。表名は、物理および論理問合せロギング表名パラメータに指定する名前に基づいています。
  • これらの表への使用状況トラッキング・データの記録を開始します。

使用状況トラッキング・パラメータの設定を参照してください。

使用状況データの分析について

システムを使用して、物理および論理問合せロギング表に追加したトラッキング・データから役に立つ使用状況レポートを作成できます。

データベースに接続し、表からデータセットを作成し、レポートおよびビジュアライゼーションを作成することにより、ユーザーの問合せを理解し、パフォーマンスを改善するための適切なアクションを実行しやすくなります。

使用状況トラッキング表の理解

システムでは、使用状況トラッキング・データが3つのデータベース表に格納されます。

使用状況トラッキング・プロセスでは、「システム設定」ページでの設定を介して指定する表名を使用してこれらの表が作成されます。

  • 使用状況トラッキング論理問合せロギング表
  • 使用状況トラッキング物理問合せロギング表
  • 使用状況トラッキング初期化ブロック表

使用状況トラッキング・パラメータの設定を参照してください。

使用状況トラッキング論理問合せロギング表

次の表で、論理問合せをトラッキングするデータベース表の各列について説明します。該当する場合、可変文字フィールド(varcharおよびvarchar2)と長さなどのデータ型を指定します。この表の説明を参照すると、特定の時間関連の列を加算または減算することで、正確な値と等しくできると考えられるかもしれません。たとえば、TOTAL_TIME_SECEND_TSからSTART_TSを減算した値であると考えたとします。しかし、次の理由により、列にはそのような正確な値はありません。
  • 様々なプロセスが並列して実行され、それらの速度は負荷やデータベースのパフォーマンスによって異なります。サーバーベースの操作は軽い場合や集約的な場合があります。
  • すべての接続がいっぱいである場合、問合せはキューに入り、処理されるまで待機します。タイミングは、負荷や構成によって異なります。

ユーザー、セッションおよびID関連の列

説明

ID

論理問合せ表で、この列は一意の行識別子を示します。物理問合せ表で、この列はLOGICAL_QUERY_IDという名前で示されます。

NODE_ID

<hostname>:obis1を含みます。たとえば、examplehost:obis1 (単一のインスタンスの場合)です。

PRESENTATION_NAME

カタログの名前を示します。デフォルトはNullで、データ型はVarchar(128)です。

IMPERSONATOR_USER_NAME

偽装ユーザーのユーザー名を指定します。リクエストが偽装ユーザーとして実行されない場合、値はNoneです。デフォルトはNoneで、データ型はVarchar(128)です。

USER_NAME

問合せを送信したユーザーの名前を指定します。

ECID システム生成の実行コンテキストIDを示します。データ型はVarchar2(21024)です。
TENANT_ID 初期化ブロックを実行したユーザーのテナント名を指定します。データ型はVarchar2(2128)です。
SERVICE_NAME サービスの名前を指定します。データ型はVarchar2(2128)です。
SESSION_ID セッションのIDを示します。データ型はNumber(10)です。
HASH_ID 論理問合せのHASH値を示します。データ型はVarchar2(2128)です。

問合せ元関連の列

説明

QUERY_SRC_CD

リクエストのソース。

リクエスタはQUERY_SRC_CDを任意の文字列値に設定してそれ自体を識別できます。

使用可能な値は次のとおりです。
  • Report - ソースが分析または任意のエクスポート操作である場合。
  • ドリル - ドリルアップまたはドリルタウンが原因でディメンション内のソースが変更された場合。
  • ValuePrompt - ソースがフィルタ・ダイアログまたはダッシュボード・プロンプト内の「値」ドロップダウン・リストである場合。
  • VisualAnalyzer - ソースがデータをビジュアル化するワークブックである場合。
  • DisplayValueMap、MemberBrowserDisplayValuesまたはMemberBrowserPath - ソースが分析の表示に関連する値である場合。
  • SOAP - ソースがDataSetSvcなどのWebサービスからのコールである場合。
  • Seed - ソースが、分析サーバーのキャッシュをシードするエージェントである場合。
  • Null - ソースが管理ツール物理表または列行数、またはビュー・データである場合。

SAW_DASHBOARD

ダッシュボードのパス名を示します。問合せがダッシュボードを介して送信されなかった場合、値はNULLです。

SAW_DASHBOARD_PG

ダッシュボード内のページ名を示します。リクエストがダッシュボード・リクエストでない場合、値はNULLです。デフォルトはNullで、データ型はVarchar(150)です。

SAW_SRC_PATH

分析のカタログ内のパス名を指定します。

問合せ詳細関連の列

説明

ERROR_TEXT

バックエンド・データベースからのエラー・メッセージが含まれます。この列が適用されるのは、SUCCESS_FLAGが0 (ゼロ)以外の値に設定されている場合のみです。複数のメッセージが連結され、システムによって解析されません。デフォルトはNullで、データ型はVarchar(250)です。

QUERY_BLOB

切捨てなしに論理SQL文全体が含まれます。QUERY_BLOB列は、Long型の文字列です。

QUERY_KEY

論理SQL文からシステムによって生成されるMD5ハッシュ・キーが含まれます。デフォルトはNullで、データ型はVarchar(128)です。

QUERY_TEXT

問合せに対して送信されたSQL文を示します。データ型はVarchar(1024)です。

この列の長さは(ALTER TABLEコマンドを使用して)変更できます。ただし、この列に書き込まれるテキストは常に物理レイヤーに定義されているサイズに切り捨てられます。セマンティック・モデル管理者は、この列の長さを、バックエンド物理データベースによってサポートされている問合せの最大長より大きい値に設定しないようにする必要があります。たとえば、Oracle DatabaseではVarcharの最大値を4000に設定できますが、4000文字ではなく4000バイトに切り捨てられます。複数の文字セットを使用する場合、使用されている文字セットおよび文字に応じて、実際の最大文字サイズの文字数は変化します。

REPOSITORY_NAME

問合せがアクセスするセマンティック・モデルの名前を指定します。

SUBJECT_AREA_NAME

アクセスしているビジネス・モデルの名前が含まれます。

SUCCESS_FLG

次のリストに定義されている問合せの完了ステータスを示します。

  • 0 - 問合せがエラーなしで正常に完了しました。
  • 1 - 問合せがタイムアウトになりました。
  • 2 - 行制限を超えたため、問合せが失敗しました。
  • 3 - その他の理由のため、問合せが失敗しました。

実行タイミング関連の列

説明

COMPILE_TIME_SEC

問合せをコンパイルするのに必要な時間(秒単位)が含まれます。COMPILE_TIME_SECの値はTOTAL_TIME_SECに含まれます。

END_DT

論理問合せが完了した日付を示します。

END_HOUR_MIN

論理問合せが完了した時間と分を示します。

END_TS

論理問合せが完了した日時を示します。開始および終了タイムスタンプには、リソースが使用可能になるまで問合せが待機するために費やした時間も反映されます。問合せを送信したユーザーが問合せの終了前にページを離れた場合、最終フェッチは一切行われず、タイムアウト値の3600が記録されます。ただし、タイムアウト前にユーザーがページに戻った場合、フェッチがその時間に完了し、これがend_ts時間として記録されます。

START_DT

論理問合せが送信された日付を示します。

START_HOUR_MIN

論理問合せが送信された時間と分を示します。

START_TS

論理問合せが送信された日時を示します。

TOTAL_TIME_SEC

クライアントが分析に対するレスポンスを待機している間にシステムが問合せの処理に費やした時間(秒単位)を示します。TOTAL_TIME_SECには、COMPILE_TIME_SECの時間が含まれます。

RESP_TIME_SEC 問合せレスポンスにかかった時間を示します。データ型はNumber(10)です。

実行詳細関連の列

説明

CUM_DB_TIME_SEC

データベースに送信されたすべての問合せの累積時間が含まれます。問合せは並列して実行されるため、累積問合せ時間は、データベースに接続されている合計時間以上です。たとえば、論理リクエストによって4つの物理SQL文が生成されてデータベースに送信され、3つの問合せの問合せ時間が10秒で、1つの問合せが15秒である場合、問合せは並列して実行されるため、CUM_DB_TIME_SECには45秒が表示されます。

CUM_NUM_DB_ROW

バックエンド・データベースから返された行の合計数が含まれます。

NUM_DB_QUERY

論理問合せリクエストを満たすためにバックエンド・データベースに送信された問合せの数を示します。問合せが成功した(SuccessFlag = 0)場合、この数は1以上です。

ROW_COUNT

問合せクライアントに返される行数を示します。問合せから大量のデータが返される場合、この列はユーザーがすべてのデータを表示するまでは移入されません。

TOTAL_TEMP_KB 問合せで受信された合計KBを指定します。データ型はNumber(10)です。

キャッシュ関連列

説明

CACHE_IND_FLG

Yの場合、問合せのキャッシュ・ヒットを示し、Nの場合、キャッシュ・ミスを示します。デフォルトはNです。

NUM_CACHE_HITS

問合せに対してキャッシュ結果が返された回数を示します。NUM_CACHE_HITSは32ビットの整数(または10桁の整数)です。デフォルトはNullです。

NUM_CACHE_INSERTED

問合せによってキャッシュ・エントリが生成された回数を示します。デフォルトはNullです。NUM_CACHE_INSERTEDは32ビットの整数(または10桁の整数)です。

使用状況トラッキング物理問合せロギング表

次の表で、物理問合せをトラッキングするデータベース表について説明します。このデータベース表には、論理問合せロギング表に格納されている論理問合せの物理SQL情報が記録されます。物理問合せ表には、論理問合せ表に対する外部キー関係があります。

ユーザー、セッションおよびID関連の列

説明

ID

一意の行識別子を指定します。

LOGICAL_QUERY_ID

論理問合せロギング表内の論理問合せを参照します。データ型はVarchar2(250)です。

HASH_ID 論理問合せのHASH値を示します。データ型はVarchar2(2128)です。
PHYSICAL_HASH_ID 物理問合せのHASH値を示します。データ型はVarchar2(2128)です。

問合せ詳細関連の列

説明

QUERY_BLOB

切捨てなしに物理SQL文全体が含まれます。QUERY_BLOB列は、long型の文字列です。

QUERY_TEXT

問合せに対して送信されたSQL文が含まれます。データ型はVarchar(1024)です。

実行タイミング関連の列

説明

END_DT

物理問合せが完了した日付を示します。

END_HOUR_MIN

物理問合せが完了した時間と分を示します。

END_TS

物理問合せが完了した日時を示します。開始および終了タイムスタンプには、リソースが使用可能になるまで問合せが待機するために費やした時間も反映されます。

TIME_SEC

物理問合せの実行時間を示します。

START_DT

物理問合せが送信された日付を示します。

START_HOUR_MIN

物理問合せが送信された時間と分を示します。

START_TS

物理問合せが送信された日時を示します。

実行詳細関連の列

説明

ROW_COUNT

問合せクライアントに返される行数が含まれます。

使用状況トラッキング初期化ブロック表

次の表で、初期化ブロックの情報をトラッキングするデータベース表について説明します。

注:

現在、初期化ブロック使用状況トラッキング表に含まれるのはセッション初期化ブロックのみであり、セマンティック・モデル初期化ブロックは含まれません。

ユーザー、セッションおよびID関連の列

説明
USER_NAME 初期化ブロックを実行したユーザーの名前。データ型はVarchar2(128)です。
TENANT_ID 初期化ブロックを実行したユーザーのテナント名。データ型はVarchar2(128)です。
SERVICE_NAME サービスの名前。データ型はVarchar2(128)です。
ECID システム生成の実行コンテキストID。データ型はVarchar2(1024)です。
SESSION_ID セッションのID。データ型はNumber(10)です。

問合せ詳細関連の列

説明
REPOSITORY_NAME 問合せがアクセスするセマンティック・モデルの名前。データ型はVarchar2(128)です。
BLOCK_NAME 実行された初期化ブロックの名前。データ型はVarchar2(128)です。

実行タイミング関連の列

説明
START_TS 初期化ブロックが開始した日時。
END_TS 初期化ブロックが終了した日時。開始および終了タイムスタンプには、リソースが使用可能になるまで問合せが待機するために費やした時間も反映されます。
DURATION 初期化ブロックの実行に要した時間の長さ。データ型はNumber(13,3)です。

実行詳細関連の列

説明
NOTES 初期化ブロックとその実行に関するノート。データ型はVarchar2(1024)です。

使用状況のトラッキングの一般的なワークフロー

ここでは、Oracle Analytics Cloudへのユーザーレベルの問合せをトラッキングするためのタスクを示します。

タスク 説明 詳細情報

使用状況トラッキング・データを保存する場所の決定

使用状況トラッキングに使用できるデータベース・タイプを把握します。

使用状況トラッキング・データベースについて

使用状況トラッキング・データベースへの接続の設定

使用状況トラッキング情報を格納するデータベースへのデータ接続(またはコンソール接続)を作成します。

使用状況トラッキングの前提条件

使用状況トラッキング・データベースの指定

セマンティック・モデルでの使用状況トラッキング・データベースを定義します。

使用状況トラッキング・データベースの指定

使用状況トラッキング・パラメータの指定

システムの使用状況トラッキングを有効化し、使用状況トラッキング・データベースの接続の詳細と表名を指定します。

使用状況トラッキング・パラメータの設定

使用状況トラッキング・データの分析

使用状況トラッキング・データから使用状況レポートを作成します。

使用状況トラッキング・データの分析

使用状況トラッキング・データベースの指定

システム上のレポート、ダッシュボードおよびデータ・ビジュアライゼーション・ワークブックの使用状況をトラッキングする前に、セマンティック・モデルの使用状況トラッキング・データを格納するデータベースを指定する必要があります。

指定するデータベースには、少なくとも1つのスキーマが定義されている必要があります。システムは、データベース接続の詳細で指定したユーザー名が名前と一致するスキーマ内に使用状況トラッキング表を作成します。たとえば、使用状況トラッキング・データベースのスキーマの名前がUT_Schemaの場合、接続の「ユーザー名」フィールドにUT_Schemaを指定する必要があります。使用状況トラッキング表は、UT_Schemaという名前のスキーマに作成されます。

セマンティック・モデルの物理レイヤーでデータベースおよび接続プールの詳細を構成する必要があります。セマンティック・モデラーまたはモデル管理ツールを使用して、使用状況トラッキング・データベースを構成します。

Oracle Autonomous Data Warehouseを使用状況トラッキング・データベースとして使用する場合は、使用状況トラッキング・データベースを指定する前に、次に示すOracle Autonomous Data Warehouse関連の追加のタスクを実行する必要があります。使用状況トラッキングの前提条件を参照してください。

セマンティック・モデラーによる使用状況トラッキング・データベースの指定

現在、セマンティック・モデラーを使用してセマンティック・モデルを開発している場合は、セマンティック・モデラーを使用して、使用状況トラッキング・データベースを構成します。

  1. まだ行っていない場合は、「システム接続」オプションを選択して、使用状況トラッキング・データベースへのデータ接続を作成します。
    データベース・タイプはOracle DatabaseかOracle Autonomous Data Warehouseのいずれかにし、データベースへの接続に使用するユーザー名は、ユーザー・トラッキング表を格納するスキーマの名前と同一にする必要があります。使用状況トラッキングの前提条件を参照してください。
  2. ホーム・ページで、「ナビゲータ」「セマンティック・モデル」の順にクリックします。「セマンティック・モデル」ページで、セマンティック・モデルをクリックして開きます。
  3. 使用状況トラッキング・データベースのデータベース・オブジェクトを作成します。
    1. 「物理レイヤー」をクリックします。
    2. 「物理レイヤー」ペインで、「作成」「データベースの作成」の順にクリックします。
    3. 「名前」に、セマンティック・モデルのデータベースの名前(UsageTrackingなど)を入力して、「OK」をクリックします。
  4. 使用状況トラッキング・データベースに接続するための接続プールを追加します。
    1. 「データベース」タブで、「接続プール」をクリックします。
    2. 「ソースの追加」をクリックします。
    3. 「名前」フィールドをダブルクリックして、接続プールの名前を入力します。UTConnectionPoolなどです。
    4. 「接続」フィールドをダブルクリックして、使用するデータ接続をリストから選択します。MyUTDatabaseなどです。

      注:

      • システム接続 - セマンティック・モデルで使用できるのは、「システム接続」オプションが選択されているデータ接続のみです。次を参照してください。

      • 「ユーザー名」および「パスワード」 - データ接続に指定するユーザー名は、使用状況トラッキングに使用するデータベースのスキーマ名と一致する必要があります。たとえば、使用するスキーマがUT_Schemaの場合、「ユーザー名」はUT_Schemaにする必要があります。使用状況トラッキングの前提条件を参照してください。

    5. 「詳細を開く」をクリックします。「接続プール」ペインで、「完全修飾表名が必要」チェック・ボックスが選択されていないことを確認します。
  5. 変更内容を検証します。次を参照してください。
  6. 変更内容を保存します。

モデル管理ツールによる使用状況トラッキング・データベースの指定

現在、モデル管理ツールを使用してセマンティック・モデルを開発している場合は、モデル管理ツールを使用して、使用状況トラッキング・データベースを構成します。

既存のデータベースまたは接続プールでの使用状況をトラックする場合、セマンティック・モデルに更新を行う必要はありません。これらのステップはスキップできます。既存のデータベース、接続プールおよび表を、使用状況トラッキング・システム構成の一部として使用できます。表スキーマが古い表と新しい表で一致する場合、使用状況トラッキングによって、既存の表が削除され、同じ名前の新しい表が作成されることはありません。
  1. モデル管理ツールで、クラウド内のセマンティック・モデルを開きます。
    「ファイル」メニューから、「開く」「クラウド内」を選択し、インスタンスの接続情報を入力します
  2. 使用状況トラッキング・データベースを指定します。
    1. セマンティック・モデルの物理レイヤーで、右クリックして新規データベースを選択します。
    2. 「データベース」ダイアログで、セマンティック・モデルのデータベースの名前(SQLDB_UsageTrackingなど)を入力し、データベース・タイプ(Oracle 12cなど)を指定し、「OK」をクリックします。
    3. 新しく作成したデータベースを右クリックし、「新規オブジェクト」「接続プール」の順に選択します。
    4. 「接続プール」ダイアログで、接続プールの詳細を入力し、次の値を指定します:
      • コール・インタフェース: 「デフォルト」(Oracle Call Interface (OCI))を選択します。
      • 完全修飾表名が必要: このチェック・ボックスが選択されていないことを確認します。
      • データソース名**: この接続プールを接続して物理問合せを送信する対象のデータ・ソースを指定します。例: (DESCRIPTION =(ADDRESS = (PROTOCOL = TCP)(HOST = <DB Host>)(PORT = <DB port>))(CONNECT_DATA =(SERVER = DEDICATED)(SERVICE_NAME = <Servicename>)))
      • ユーザー名およびパスワード: 使用状況トラッキング・データベースで使用可能なスキーマの名前と一致するユーザー名を入力します。

      **データ・ソース名を指定するかわりに、「接続プール」ダイアログで、既存のデータベース接続を名前で参照することも可能です。

      • データ接続 - 使用状況トラッキング・データベースとして「データ」タブから定義したデータベースの接続の詳細を使用するには、「データ・ソース名」フィールドに接続の詳細を手動で入力するのではなく、「データ接続の使用」を選択して、接続のオブジェクトIDを入力します。使用するデータ接続は、「システム接続」オプションが選択された状態で作成されたものであることを確認します。
      • コンソール接続 - モデル管理ツールを使用する場合は、コンソールを使用して、セマンティック・モデルのデータベース接続を定義できます。使用状況トラッキング・データベースとしてコンソールから定義したデータベースの接続の詳細を使用するには、「コンソール接続の使用」チェック・ボックスを選択して、「接続名」フィールドにデータベース接続の名前を入力します。

      例:

      GUID-1A533EBC-8DC0-46F0-82AE-2A9251BBA01E-default.gifの説明が続きます
      .gifの説明
  3. 「ツール」「整合性チェッカの表示」「全オブジェクト確認」の順にクリックし、変更を検証します。
  4. オプション: 「ファイル」「保存」の順にクリックし、変更をローカルに保存します。
  5. 「ファイル」「クラウド」「公開」の順にクリックして、編集したセマンティック・モデルの.rpdファイルをアップロードします。

使用状況トラッキング・パラメータの設定

使用状況の情報の記録を開始するには、使用するデータベースの接続の詳細、および使用状況のトラッキングに使用するデータベース表の名前を指定する必要があります。これらのパラメータはコンソール(「詳細システム設定」ページ)から設定します。

  1. サービスにサインインします。
  2. 「コンソール」をクリックします。
  3. 「詳細システム設定」をクリックします。
  4. 「使用状況トラッキング」をクリックします。
  5. システムの使用状況トラッキングを有効化します。「使用状況トラッキングの有効化」がオンになっていることを確認します。
  6. 次のプロパティを設定します。
    • 使用状況トラッキング接続プール

      使用状況トラッキング・データベース用として作成した接続プールの名前で、<database name>.<connection pool name>という書式で示されます。たとえば、UsageTracking.UTConnectionPoolなどです。

    • 使用状況トラッキング初期化ブロック表

      初期化ブロックの情報を格納するために使用するデータベース表の名前で、<database name>.<catalog name>.<schema name>.<table name>または<database name>.<schema name>.<table name>という書式で示されます。たとえば、UsageTracking.UT_Schema.InitBlockInfoです。

    • 使用状況トラッキング物理問合せロギング表

      物理問合せの詳細を格納するために使用するデータベース表の名前で、<database name>.<catalog name>.<schema name>.<table name>または<database name>.<schema name>.<table name>という書式で示されます。たとえば、UsageTracking.UT_Schema.PhysicalQueriesです。

    • 使用状況トラッキング論理問合せロギング表

      論理問合せの詳細を格納するために使用するデータベース表の名前で、<database name>.<catalog name>.<schema name>.<table name>または<database name>.<schema name>.<table name>という書式で示されます。たとえば、UsageTracking.UT_Schema.LogicalQueriesです。

    • 使用状況トラッキング最大行数

      使用状況トラッキング表に必要な最大行数。最小値は1、最大値は100,000です。0は無制限を意味します。行数が最大行数を超えると、使用状況トラッキング・プロセスにより、超過した行がタイムスタンプの古いものから削除されます。

  7. 「適用」をクリックします。

Oracle Analyticsにより、使用状況トラッキング表が作成され、ユーザー問合せの記録が開始されます。

使用状況トラッキング・データの分析

使用状況レポートを作成して、ユーザー問合せを理解し、適切な操作を行います。

データセットの作成による使用状況トラッキング・データの分析

ユーザーの問合せを理解するために、物理および論理問合せロギング表のデータでデータセットを作成することで、使用状況レポートを作成します。

  1. 「ホーム」ページで、「ページ・メニュー」をクリックし、「クラシック・ホームを開く」を選択します。分析を作成し実行します。
    システムにより、使用状況トラッキング・データベース内の使用状況トラッキング表に問合せが移入されます。
  2. ホーム・ページで、「作成」「データセット」の順にクリックします。
  3. 「データセットの作成」で、使用状況トラッキング・データベースへの接続をクリックし、「システム設定」内の物理問合せおよび論理問合せロギングの表名で指定されているスキーマを選択します。たとえば、物理問合せおよび論理問合せロギングの表名の<database name>.<schema name>.<table name>で指定されているスキーマ名です。
    これは、使用状況トラッキングを設定するために作成したデータベース接続です。使用状況トラッキングの前提条件を参照してください。
  4. 「データセットの追加」で、使用状況トラッキングの物理問合せロギング表を検索し、すべての列を追加し、データセットに名前を付け(たとえば、Physical Queries)、「追加」をクリックします。同様に、使用状況トラッキングの論理問合せ表を検索し、すべての列を追加し、データセットに名前を付け(たとえば、Logical Queries)、「追加」をクリックします。
  5. データセットの「結果」ページで、「ワークブックの作成」をクリックします。両方のデータセットをワークブックに追加します(たとえば、Physical QueriesデータセットとLogical Queriesデータセット)。ワークブックに名前を付けます(たとえば、Usage Tracking)。
  6. ワークブックの「準備」タブで、「データ・ダイアグラム」をクリックし、ID列などの列を使用してデータセット間の結合を作成します。
  7. 「ビジュアル化」で、データをドラッグして、要件に基づいてビジュアライゼーションを作成します。
    「使用状況トラッキング表の理解」内の使用状況トラッキング表の説明を参照して、適切な列を選択します。たとえば、何件の問合せにどのくらいの時間がかかったかを示すビジュアライゼーションを作成できます。

セマンティック・モデルのサブジェクト領域を使用した使用状況トラッキング・データの分析

ユーザーの問合せを理解するために、セマンティック・モデルのサブジェクト領域を使用して使用状況レポートを作成します。

メタデータをインポートして、物理データとメタデータが確実に同期されるようにする必要があります。スキーマが不一致になる問題を回避するために、新しい列を使用状況トラッキング表に追加してカスタマイズしないでください。
  1. 「ホーム」ページで、「ページ・メニュー」をクリックし、「クラシック・ホームを開く」を選択します。分析を作成し実行します。
    システムにより、使用状況トラッキング・データベース内の使用状況トラッキング表に問合せが移入されます。
  2. 使用状況トラッキング表を問合せ結果で更新するセマンティック・モデルをインポートします。セマンティック・モデルを作成するためのデプロイ済モデルのインポートを参照してください。
  3. ホーム・ページで「データ」をクリックし、「データセット」の下で使用状況トラッキング表に対応するサブジェクト領域を選択して、ワークブックを作成します。
  4. 「新規ワークブック」ページの「ビジュアル化」で、データをドラッグして、要件に基づいてビジュアライゼーションを作成します。
    「使用状況トラッキング表の理解」内の使用状況トラッキング表の説明を参照して、適切な列を選択します。たとえば、何件の問合せにどのくらいの時間がかかったかを示すビジュアライゼーションを作成できます。