通貨換算は、多国籍の財務モデルを作成する場合にデータを国際通貨で表示します。例:
各国の支店を含む財務モデルでは、データは異なる通貨で表示されます。
他国の提携企業や金融機関は、自国の通貨でデータを表示する必要があります。
通貨換算を使用して、財務モデルに為替レートを追加し、その追加したレートを外貨建勘定科目に割り当てて、データを新しい通貨に換算します。換算後は、結果のレポートを表示したり印刷したりできます。
高インフレが起こっている国の企業のデータを換算する場合は、データを換算する前に通貨換算の計算を確認してください。先にデータを再測定する必要があります。
注:
レートを外貨建勘定科目のみに適用するには、通貨換算を使用します。アイテムまたは比率で表現された勘定科目にはレートを適用できません。
通貨換算の使用
通貨換算を使用するには:
「データ」グルーピング・ラベルから、「通貨換算」をクリックします。
戦略モデリングがモデルに通貨換算勘定科目を追加することを伝える警告が表示されます。
「OK」をクリックして、「通貨換算」を表示します。
実際の為替レートは、勘定科目スプレッドシートに追加された通貨換算のメモ勘定科目で定義されています。
v100.00.000加重平均為替レート
v105.00.000期末為替レート
v110.00.000純資産取得原価の為替レート
v115.00.000ユーザー定義の為替レート - サブ勘定科目にできる唯一の通貨換算調整勘定科目です。
デフォルトでは、すべてのサブ勘定科目でv115のレートが使用されます。
「全般情報」を選択して、基本的な通貨換算情報を定義します。現在のモデルに関する要約情報の管理を参照してください。
「為替レートの割当て」を選択して、為替レートを定義します。通貨換算の為替レートの設定を参照してください。
「OK」をクリックします。
通貨換算についての一般情報の設定
「一般情報」では、ソース通貨とターゲット通貨、為替スケール、レート名を定義します。
通貨換算の一般情報を設定するには:
「通貨換算」にアクセスします。
「全般情報」を選択します。
「為替レートの定義」で、通貨から通貨への換算のタイプを選択します。
最初のボックスは変換先通貨です。
通貨換算は、「要約情報」のデフォルトの通貨が換算通貨であることを前提とします。
2番目のボックスはソースの通貨です。
たとえば、ペソからドルへの換算を行うとします。メモ勘定科目にあるレートは、1ペソ当たりのドルの数値になります。
リストに通貨が表示されない場合は、通貨名を入力します。
オプション: 「スケール」で変換後のデータのスケールを変更します。
複数の通貨をこれよりも少なくする場合は、スケールを変更します。たとえば、スケールを百万または千に変更して、ゼロの数を減らします。
デフォルト通貨の場合と同様に、「ファイル」、および「サマリー情報」にデフォルトのスケールを入力して、次のリンクを参照してください。
オプション: 予測レートをインポートするには、「現在のソース・ファイルのレートの使用」を選択し、「参照」をクリックしてファイルを選択します。
ファイルを選択し、「レートのインポート」をクリックしてレートをロードします。これによって動的リンクが作成され、ソース・ファイルに対する変更が、換算後のファイルに反映されるようになります。「前回インポートされたソース・ファイル」と「最終インポート日」は、最新のインポートを反映します。
為替レートを設定します。通貨換算の為替レートの設定を参照してください
「換算」をクリックします。
通貨換算の為替レートの設定
通貨換算の為替レートを設定するには:
通貨換算にアクセスします。
「為替レートの割当て」を選択します。
「勘定科目/ダイアログ変数」で勘定科目を選択します。
「為替レート」で、為替レートを選択します。
加重平均為替レート
期末為替レート
純資産取得原価の為替レート
ユーザー定義の為替レート - スプレッドシートにカスタムの為替レートを入力します。
「換算」をクリックします。
再評価
通貨換算では、最初の期間と変更した値のある期間のみが換算され、他の期間は計算されます。これにより再評価してすべての資本コンポーネントの為替レートを使用する必要なく、正確な結果を出せます。
たとえば、次の値が米ドルであるとします。
年 | ドル | 為替レート |
---|---|---|
2003年度の普通株式 |
100 |
為替レート: 3 |
2004年度に発行された普通株式 |
50 |
為替レート: 4 |
2004年度の普通株式 |
150 |
為替レート: 3 |
標準的な方法で米ドルからドイツ・マルクに換算する場合は、これらの値は次のようになります。
2003年度の普通株式 | 300 | 3で換算 |
---|---|---|
2004年度に発行された普通株式 |
200 |
4で換算 |
2004年度の普通株式 |
450 |
3で換算 |
株式の再評価 |
-50 |
- |
換算後の値:
資本 - 100から300
発行 - 50から200
合計は500のはずですが、換算後は450になります。これは-50の再評価差分があるためです。このようなエラーは、変更の有無に関係なくすべての期間を計算すると発生します。
このエラーを避けるため、為替換算では純資産取得原価の為替レートで最初の期間の資産を換算してから、値が変更されている場合にのみ後続の期間が換算されます。それ以外の場合は、最初の期間の値が使用されます。次が正しい値となります。
表12-1 通貨換算
2003年度の普通株式 | 300 | 3で換算 |
---|---|---|
2004年度に発行された普通株式 |
200 |
4で換算 |
2004年度の普通株式 |
500 |
計算済 |
株式の再評価 |
0 |
- |
資本勘定科目の再評価の回避を参照してください。
資本勘定科目の再評価の回避
資本勘定科目の場合、通貨換算では最初の期間の残高と後続のすべてのフローが換算されます。この結果、.04勘定科目には値がありません。換算前に.04勘定科目に値がある場合は、換算後は元の通貨のままになります。資本勘定科目は再評価しないよう設計されているため、すべての資本勘定科目の.04の値はゼロになります。
通貨換算ファイルのローカルからサーバーへのコピー
ローカル・ファイルをサーバーにコピーし、そのファイルで他のローカル・ファイルの換算レートが使用されている場合、最後に換算処理を実行したときの残存レートを使用するようデフォルト設定されます。次にサーバーにコピーしたファイルを取得するときは、ローカル・クライアントにより換算レートを含むローカル・ファイルが検索されます。
通貨換算での利益剰余金の修正
通貨換算では利益剰余金の為替レートで勘定科目の履歴が反映され、履歴期間の利益剰余金が換算されます。利益剰余金が計算され、換算後のデータと比較されます。これらの値が一致しない場合は、資金フロー・レポートの貸借を一致させるため換算後のデータが調整されます。
通貨換算では、利益剰余金は次のように計算されます。
利益剰余金= | 利益剰余金(前の期間) |
---|---|
- |
+普通配当金に適用できる収益 |
- |
-普通配当金 |
- |
+資金フロー調整:ソース |
- |
-資金フロー調整:使用 |
利益剰余金の修正 = | 利益剰余金 |
---|---|
- |
-利益剰余金(前の期間) |
- |
-普通配当金に適用できる収益 |
- |
+普通配当金 |
- |
-資金フロー調整(ソース) |
- |
+資金フロー調整(使用) |
戦略モデリングでは、利益剰余金の修正は勘定科目構造に追加されるため、計算方法を確認できます。換算では金額が修正され、利益剰余金の修正勘定科目(v2853.0.000)と呼ばれる勘定科目が作成されます。
例:
ドイツ・マルク
(修正は、最初の履歴期間以外の、すべての履歴期間に適用されます)
項目 | 2003 | 2004 |
---|---|---|
利益剰余金 |
500 |
2000 |
純利益 |
- |
2100 |
配当金 |
- |
600 |
純資産為替レート |
.7 |
.7 |
年度末為替レート |
.667 |
.75 |
加重平均レート |
.72 |
USドル - 換算後
項目 | 2003 | 2004 |
---|---|---|
利益剰余金 |
350 |
1400純資産取得原価の直接換算レート |
純利益 |
- |
1512加重平均レート |
配当金 |
- |
432加重平均レート |
通常の利益剰余金の計算式で計算された利益剰余金は、次の通りです。
350 |
---|
1512 |
(432) |
1430 |
利益剰余金は1400では計算されません。差分の30は、利益剰余金の修正額です。