税金および評価オプションについて

税金および評価オプションによって、課税払戻計算、および3つの戦略モデリング評価メソッドを使用するためのデータを構成および入力できます。「税金および評価」オプションで対象となるのは、税金、株主価値、配当還元、経済的利益およびその他の評価です。税効果を計算し、純営業損失の繰戻および繰越の年数を定義することもできます。

「税金および評価オプション」にアクセスするには、次のことを実行します。「データ」グルーピング・ラベルから、税金および評価オプションをクリックします。

営業損失の税効果の計算

「税金および評価オプション」を使用して、「税金払戻の計算」(v1640.00)に表示される税効果の計算ができます。このオプションを使用しない場合、純営業損失(NOL)関連の課税払戻を「追加税金払戻」(v1635.00)に手動で入力できます。例7-1を参照してください。NOL関連の入力を、ダイアログ・ボックスの残りの部分に入力します。

損失の税効果を自動計算するには:

  1. 「税金および評価オプション」にアクセスします。

    税金および評価オプションについてを参照してください。

  2. 「税金および評価オプション」で、「税金」タブを選択します。
  3. 「税効果を自動計算する」を選択します。

    このオプションを使用すると、NOLの繰戻しまたは繰越し、あるいはその両方による税金払戻が、これらの入力ボックスで指定された年別に自動的に計算されます。入力はこのオプションを使用した場合のみ適用されます。

  4. 「損失繰戻年数」に、NOLの繰戻し年数を入力します。

    米国では、内国歳入法で損失を2年間繰り戻すことが認められています。

  5. 「損失繰越年数」に、NOLの繰越し年数を入力します。

    米国では、内国歳入法で損失を20年間繰り越すことが認められています。

  6. 「OK」をクリックします。

例7-1 純営業損失の計算

総費用が総所得を上回る場合は、純営業損失(NOL)が発生します。戦略モデリングでは、「課税所得」(v3140.00)がマイナスとなる場合に、NOLが発生します。NOLは、数年間の結果に影響を与えます。

例7-2 NOL繰戻および繰越

NOLを繰り戻して、前年度の支払済税金の払戻を作成したり、NOLを繰り越して将来の収益と相殺できます。自動または手動でこれらの計算を実行できます。

戦略モデリングのデフォルト設定では、米国の現行税法を反映して、繰戻し期間が2年間となっています。分析用に年数を変更できます。NOLが繰戻し期間の最初の年に適用されます。

現在の年度のNOLが最も早い年度の課税所得よりも大きい場合は、2番目の年度、その年度も課税所得より大きい場合はさらにその次の年度、という順でNOLが適用されます。分析前の年度の収益とそれに関連する税金を管理するには、収益の上限と、繰戻し対象の税額の上限を入力します。

戦略モデリングでは、最初の履歴年度より前に収益と税金が発生していると想定しています。繰戻し期間内の損失については、繰戻し期間が分析以前にまで遡る場合に、分析開始前に支払われた税金の払戻を作成できます。

繰戻し可能なすべてのNOLを繰り戻してもまだ当年度のNOLを使い切らない場合(または繰戻し期間が0の場合)、戦略モデリングでは、NOLが繰越し期間にまで繰り越されます。戦略モデリングのデフォルト設定では、米国の現行税法を反映して繰越し期間が20年となっています。独自のモデルの場合には、この長さを変更できます。

分析を開始する前の年度にNOLが存在する場合は、NOLを入力して、それを繰り越せます。戦略モデリングでは、損失は最初の履歴年度より前に発生したものと想定されます。

払戻は、年間結果を使用して年1回計算されます。年度のNOLの繰戻しが複数の四半期にわたって発生している場合(年間で課税所得がマイナスとなっている)、払戻は最後の四半期に発生します。年度のNOLの繰越しが複数の四半期にわたって発生している場合(年間で課税所得がプラスとなっている)、払戻は最後の四半期にのみ発生します。

例7-3 NOL繰戻勘定科目

次の6つの勘定科目でNOLの繰戻しが表されます。

例7-4 課税損失過年度繰戻による法人税等払戻額(v3160.00)

当年度の損失の繰戻しに対する払戻は、過年度に戻されます。

例7-5 課税損失最大繰戻額(v3160.01)

期首時点で当年度に許容可能な損失の上限で、全額繰り戻されます。これは、繰戻し期間中の各年度の税利益のプールを加算して決定され、前に相殺された利益は控除されます。

例7-6 課税損失相殺額(v3160.02)

損失の発生した期間で実際に繰り戻された損失額です。損失額および繰戻しの上限よりも小さい額となります。

例7-7 課税利益プール額(v3160.03)

当期間に繰り越された純課税所得額です。これらの利益は、将来の損失がその所得に対して繰り戻されるため、繰戻しの原資となります。

例7-8 相殺使用済の課税利益プール額(v3160.04)

繰戻し期間中に他の損失の相殺に使用された利益の額を表します。

例7-9 課税プール(v3160.05)

損失の繰戻しによる所得税の純払戻に対する、当期の引当金です。この勘定科目には繰戻しにより払い戻された税が反映される点で、「課税利益プール額」(v3160.03)と似ています。

例7-10 NOL繰越勘定科目

次の6つの勘定科目でNOLの繰越しが表されます。

例7-11 損失繰越による税金払戻額(v3150.00)

損失が過去の年度から利益の出た年度に繰り越された場合に、払戻を計算します。

例7-12 最大繰越額(v3150.01)

期首時点で、当年度に利益と相殺可能な損失額の上限です。繰越し期間中に発生したすべての損失から計算され、利益と相殺された損失は控除されます。

例7-13 課税営業利益相殺額(v3150.02)

営業利益の発生した期間で、営業利益を相殺するために繰り越された損失額です。当期の課税所得および最大繰越額よりも小さい額となります。

例7-14 課税損失プール額(v3150.03)

繰戻しに充当された当期の純課税利益額です。これらは、繰越された損失額です。

例7-15 相殺使用済の課税利益プール額(v3150.04)

繰越し期間中に繰越しに充当された課税利益の額を表します。

例7-16 営業利益課税額合計(v3280.00)

戦略モデリングでは、「営業利益課税額合計」(v3280.00)を決定する場合のNOLについても、当年度の引当金を決定するのと同じ計算を行います。違いは、営業利益課税額合計では、利益の測定として「課税所得」(v31400.00)のかわりに「課税対象営業利益」(v3210.00)を使用して、3150.xxと3160.xxのかわりに3250.xxと3260を使用することです。