A データ・タイプの予測

固定資産の入力

3つの財務勘定科目が、固定資産(v2170.00)、除・売却済資産の総帳簿価額(v2170.03)および固定資本投資(v2170.01)の固定資産を計算します。固定資本投資は、裁量および非裁量の、新規および買替え機器すべての資本支出を表します。

履歴期間における固定資産の入力

履歴期間に、固定資産(v2170.00)と資本支出(v2170.01)の履歴の値を入力します。総除却額(v2170.03)が計算されます。履歴期間では、勘定科目が次のように計算されます。

操作 固定資産(期首) 入力 $100

+

資本支出

入力

50

-

固定資産(期末)

入力

130

 

総除却額

計算

$20

固定資産の予測

固定資産勘定科目

固定資産の期末残高の予測の結果、総除却額が次のように計算されます。

操作 固定資産(期首) 入力 $100

+

資本支出

入力

50

-

固定資産(期末)

入力

130

 

総除却額

計算

$20

総除却額勘定科目

総除却額の予測の結果、固定資産が次のように計算されます。

操作 固定資産(期首) 入力 $100

+

資本支出

入力

50

-

総除却額

入力

20

 

固定資産(期末)

計算

$130

このメソッドでは、減価償却がすべて終わっている資産のみを除却することを前提として、実際の除却額と将来のすべての期間の固定資本投資額を別々に予測できるようにしています。

減価償却累計額

減価償却累計額の入力

3つの財務勘定科目が、減価償却累計額(v2190.00)、減価償却累計額(除却分)(v2190.03)および減価償却費用(v2190.01)の減価償却累計額を計算します。減価償却費用はすべての固定資産のすべての減価償却費用を表します。

履歴期間における減価償却累計額の入力

履歴期間に、減価償却累計額(v2190.00)と減価償却費用(v2190.01)の履歴の値を入力します。減価償却累計額(除却分)(v2190.03)が計算されます。履歴期間では、勘定科目が次のように計算されます。

操作 減価償却累計額(期首) 入力 $70

+

減価償却費用

入力

30

-

減価償却累計額(除却分)

入力

10

 

減価償却累計額(期末)

計算

$90

予測の減価償却累計額

予測期間では、次のオプションを指定して減価償却累計額を予測します。

減価償却累計額の予測

減価償却累計額勘定科目の期末残高の予測の結果、減価償却累計額(除却分)が次のように計算されます。

操作 減価償却累計額(期首) 入力 $70

+

減価償却費用

入力

30

-

減価償却累計額(期末)

入力

90

 

減価償却累計額(除却分)

計算

$10

減価償却累計額(除却分)の予測

減価償却累計額(除却分)の予測の結果、減価償却累計額の残高が次のように計算されます。

操作 減価償却累計額(期首) 入力 $70

+

減価償却費用

入力

30

-

減価償却累計額(除却分)

入力

10

 

減価償却累計額(期末)

計算

$90

このメソッドでは、除却する資産はすべて減価償却が終わっていることを前提として、除却に関連する実際の減価償却額と、将来のすべての期間の減価償却費用の額を別々に予測できるようにしています。

利息勘定科目

受取利息と支払利息は、詳細または要約として入力できます。たとえば、支払利息は合計要約額として入力し、詳細は貸借対照表の各債務証書に表示して予測できます。

利息は、現在の期間、前の期間、平均債務残高または平均投資残高のパーセントに基づいて詳細を予測して、履歴の合計額として入力できます。これは、履歴の利息情報は通常集計されており、予測期間の利息は債務残高および投資残高に適用される利率で詳細に示されるためです。

利息要約勘定科目

受取利息(v1210.00)では、履歴または予測(あるいはその両方)における受取利息合計を集計できます。この勘定科目は他の受取利息にも使用できます。

支払利息(v1210.00)では、履歴または予測(あるいはその両方)における受取利息合計を集計できます。この勘定科目は他の支払利息にも使用できます。

特定利息勘定科目

特定の利息の勘定科目は、それぞれ特定の債務勘定科目または投資勘定科目に関連するため、予測期間で債務残高または投資残高に基づいて受取利息と支払利息を予測できます。定義済の10の予測方法のいずれか、またはフリーフォームの式のメソッドで利息を予測できます。次のメソッドのいずれかを適用できます。

  • 別の勘定科目のパーセント

  • 前期間の勘定科目のパーセント

  • 平均勘定科目のパーセント

ここで、各利息の勘定科目に関連勘定科目は関連する債務勘定科目または投資勘定科目で、入力されたパーセントは利率です。債務勘定科目または投資勘定科目がサブ勘定科目として設定されている場合、関連する利息の勘定科目がサブ勘定科目として設定され、様々な債務勘定科目または投資勘定科目の利率を予測できます。

特定の利息の勘定科目および関連する債務勘定科目または投資勘定科目は次のとおりです。

勘定科目 名前 関連する勘定科目

2010.05

有価証券受取利息

2010.00

2015.05

利息: 超過分有価証券

2015.00

2460.05

長期金融資産受取利息

2460.00

2510.05

利息: 現在分長期債務

2510.00

2520.05

支払手形利息

2520.00

2660.51

長期債務利息: スケジュール

2660.00

2690.05

長期債務(超過)にかかる利息

2690.00

非現金支払利息

非現金支払利息(v2660.03)では、定期債務勘定科目の支払利息の非現金部分を計算します。非現金支払利息は、通常ゼロ・クーポン債(ディープ・ディスカウント債)またはPIK(現物支給)の形式をとります。履歴では、非現金利息をドル金額で入力します。予測では、選択する予測方法に応じて、(前期間の勘定科目のパーセント予測方法による)利率として、またはデフォルト通貨額としてこのアイテムを入力します。

この勘定科目に入力された金額は支払利息合計の一部を表し、関連する定期債務勘定科目である、予測期間の長期債務: 定期(v2660.00)に対して発生します。

注:

予測方法(別の勘定科目のパーセントまたは平均勘定科目のパーセント)で非現金支払利息を予測する場合、長期債務: 定期の現在の期間の期末の残高は非現金支払利息に基づいて計算されるため、計算時に循環参照が発生します。

みなし課税額(v1610.00)

この勘定科目では、税務当局に支払う税額を測定します。履歴期間では、通貨額を入力します。予測期間では、税金として支払う課税所得のパーセントを入力します。戦略モデリングでは、この税率を課税所得(v3140.00)に乗算して、支払う税額を算出します。

繰延所得税引当金(v1660.00)

この勘定科目では、資産/債務が逆転するときに一時差異で支払う税額を測定します。帳簿所得が課税所得を超過する期間では、繰延税金引当額は正の値になります。課税所得が帳簿所得を超過する期間では、繰延税金引当額は負の値になります。履歴期間では、通貨額を入力します。予測期間では、一時差異が逆転する見込みの時点で実際の税率を入力します。新規税率が制定されているが、まだ施行されていない場合を除き、通常これはv1610と同率です。

一時差異(v3120.00)

この勘定科目では、将来の期間に逆転する帳簿所得と課税所得の差を測定します。履歴期間では、税率を入力します。戦略モデリングでは、特定の履歴期間の繰延所得税引当金(v1660.00)をこの税率で除算し、繰延引当金に対して発生する一時差異の額を求めます。通常、該当期間の実際の法定税率です。課税所得(v3140.00)の主要コンポーネントであるため、履歴期間の一時差異を把握することは重要です。予測期間では、これは計算で求められます。

利子税控除額(v3220.00)

この勘定科目では、債務のある場合の税制上の優遇措置を測定します。履歴期間では、通貨額を入力します。予測期間では、追加の収入に対して支払う税率である、限界税率を入力します。これは、v1610.00で使用する税率です。戦略モデリングでは、この率を支払利息合計(v1420.00)に乗算して、利子税控除額を求めます。

営業外利益課税額(v3230.00)

この勘定科目では、営業外収入への課税額を測定します。履歴期間では、通貨額を入力します。予測期間では、営業外利益に対する税率を入力します。すべての収入に対して同じ税率が課されている場合には、v1610と同じ税率になります。戦略モデリングでは、この利率を営業外利益(v3225.00)に乗算して、営業外利益に対する税額を求めます。

残余価額の税率(v4.00.560およびv5.00.800)

この勘定科目では、割引キャッシュ・フローと経済的利益の両方のアプローチで評価に使用される永続営業利益(v5100.00)に対する税率を測定します。割引キャッシュ・フローでは、デザイン・オプション、税/評価オプションおよびSVAを選択することによって、税率を入力します。経済的利益では、デザイン・オプション、税/評価オプションおよびEPを選択することによって、税率を入力します。

課税所得

課税所得を分析する開始点となるのは、税引前利益(EBT)(v1600.00)です。この勘定科目は、収入と費用のすべてのアイテムを集約し、帳簿(GAAP)所得を測定します。GAAPと税法の間の相違点は、大きく2つに分類できます。GAAPは、この2つを区別するために永久差異と一時差異という用語を使用します。

永久差異は、課税所得に含まれるがEBTには含まれないか、EBTに含まれるが課税所得に含まれないかのいずれかです。永久差異の例として、地方債の受取利息があげられます。地方債の利息は、EBTに含まれますが課税されません。

一時差異は、あるアイテムの財務上の扱いと税務上の扱いの差が結果的に逆転する場合に発生します。アイテムの有効期間全体を通じては、差は生じません。特定の年では、差が生じる場合があります。従来からある例として、固定資産の減価償却があげられます。資産が財務用には定額法で、税務用には加速法で減価償却される場合、GAAPと課税所得の間に差が生じます。資産の耐用期間全体では、それぞれの方法での減価償却の合計額は同じです。

戦略モデリングでは、EBT (v1600.00)を使用し、永久差異(v3130.00)と一時差異(v3120.00)を減算して課税所得(v3140.00)を算出します。

一時差異

戦略モデリングでは、2つの勘定科目を使用して一時差異を表します。

  • (v3110.00)その他一時差異

  • (v3120.00)一時差異

その他一時差異(v3110.00)は、すべての期間の入力です。

履歴期間では、一時差異(v3120.00)は税率として入力されます。税率は、繰延所得税引当金(v1160.00)を税率で除算した値が、該当期間の一時差異と等しくなります。

予測期間では、税率は次のように計算されます。

v3100.00 - v2190.01 + v3110.00

ここで:

v3100.00は税務上の減価償却、

v2190.01は減価償却費用(資金)、

v3110.00はその他一時差異です。

一時差異が複数ある場合、その他一時差異(v3110.00)をサブ勘定科目にして、サブ勘定科目が一意の一時差異を表すようにできます。予測期間に何が発生するかを最も適切に予測できる予測方法によって、各サブ勘定科目をモデリングできます。

永久差異

永久差異は、永久差異(v3130.00)に入力します。この勘定科目では、デフォルトのフリーフォームの式を次のように使用します。

- (v2410.03)無形資産の償却

永久差異(v3130.00)は、EBT(v1600.00)から減算して課税所得(v3140.00)を求めます。

追加の永久差異があってそれぞれ別々にモデリングする場合は、サブ勘定科目を作成し、各永久差異を個別にモデリングします。最初のサブ勘定科目は、デフォルトのフリーフォームの式を継承します。フリーフォームの式については、変更するか削除します。永久差異(v3130.00)は、すべてのサブ勘定科目の合計です。

繰延税金

次の勘定科目を使用して、貸借対照表上で税金をモデリングします。

  • (v2080.00)繰延税金資産(流動)

  • (v2080.01)繰延税金資産(流動)の増加

  • (v2380.00)繰延税金資産

  • (v2380.01)繰延税金資産の増加

  • (v2580.00)繰延税金負債(流動)

  • (v2580.01)繰延税金負債(流動)の増加

  • (v2770.00)繰延所得税

  • (v2770.01)繰延所得税の増加

繰延税金勘定科目の増減は、通常、一時差異の増減によって生じます。これらの勘定科目と一時差異(v3120.00)の間の関係が適切ならば、繰延税金の状態は適切に表されます。

戦略モデリングでは、入力勘定科目として繰延税金資産(流動)(v2080.00)、繰延税金資産(v2380.00)、繰延税金負債(流動)(v2580.00)および繰延所得税(v2770.00)を使用します。繰延税金資産(流動)の増加(v2080.01)繰延税金資産の増加(v2380.01)繰延税金負債(流動)の増加(v2580.01)および繰延所得税の増加(v2770.01)は、関連する勘定科目の現在の期間値を取得し、前の期間値を差し引きます。入力勘定科目がゼロの場合、算出勘定科目はゼロです。

戦略モデリングでは、予測期間において、該当期間の一時差異の関数として繰延税金の引当金を計算します。戦略モデリングでは、貸借対照表上の繰延税金の勘定科目と損益計算書上の繰延税金の引当金の間の関係がデフォルトでは設定されていません。キャッシュ・フロー・レポートの一貫性を内部的に保つためには、この関係が強化される必要があります。強化するための最善の方法は、次の等式をすべての期間で維持することです。

v1660.00 = v2770.01 + v2580.01 - v2080.01 - v2380.01

繰延税金の照合(v4180.00)は、前述の式で計算されます。直接および間接キャッシュ・フロー計算書では、この勘定科目は営業外収入(v4200.00)を分析することによって取得できます。FAS 95キャッシュ・フロー計算書では、この勘定科目は営業外資金流入(FAS 95)(v4520.00)を分析することによって取得できます。

履歴平均

履歴平均に基づいて勘定科目を予測できます。戦略モデリングでは、勘定科目の履歴平均を計算し、予測期間のすべてに適用します。

たとえば、ファイルに3つの履歴期間があり、それぞれの売上高が、100、110、121であったとします。予測期間の場合、履歴の成長率として売上高を予測することもあります。戦略モデリングでは、予測期間に適用する履歴の成長率を計算します。データ入力がない場合、戦略モデリングではすべての期間で売上高が10%増加します。

これは、動的な予測方法です。履歴の年のいずれかを変更した場合、ファイルを再計算すると新しい履歴平均が適用されて、売上高の予測が変化します。履歴の年の合計を変更した場合、ファイルを再計算すると履歴平均に応じてデータが変化します。

履歴平均の年の合計は、履歴平均の年の合計を設定する「時間」ダイアログ・ボックスによって決まります。成長率の場合、2つの成長率を取得するには3年分の履歴を選択する必要があります。履歴平均に使用する期間の合計を決定するのは、「勘定科目のステータスとグループ化」ダイアログ・ボックスです。「履歴平均」タブでは、勘定科目ごとに履歴平均の計算に使用する期間の数を指定できます。

履歴平均の計算は、加重平均の計算です。たとえば、売上高の履歴平均のパーセントとして売上原価を予測するとします。次のような2年分の履歴データがあります。

売上高 100 200

COGS

70

110

履歴平均の計算では、すべての売上高の値とCOGSの値を合計し、パーセントを計算します。この場合、180(70 + 110)を300(100 + 200)で除算すると、60という履歴平均のパーセントが求められます。別の方法では、各期間のパーセントを計算し、パーセントの履歴平均をとります。この場合、62.5という履歴平均のパーセントが戻されます。加重は優れた計算方法です。