定期推定の概要

定期推定は、適格な設備とその計量コンポーネントで、要求された期間内で受信しなかった欠落した測定があるかどうかをスキャンするプロセスです。欠落した測定が識別されると、その欠落した測定を埋める推定初期測定が生成されます。定期推定自体では実際には推定は実行されないことに注意することが重要です。これは、実行される推定VEEルールを介して推定を生成するために、推定初期測定に依存します。

定期推定プロセスは、次のとおりです。

  1. 計量コンポーネントが推定に適格であるかどうかを判別します。
  2. 対象期間で、欠落した測定があるかどうかをスキャンします。
  3. 設備が取り付けられていなかったか、切断されていた期間内に欠落した測定がないことを確認します。
    • スカラー計量コンポーネントの場合、切断期間については初期測定は作成されません。
    • インターバル計量コンポーネントの場合、切断期間について初期測定が作成されますが、インターバルは「検針なし - 切断済」(測定条件コード102000)としてマークされ、VEE処理による推定では無視されます。
  4. 欠落した測定の期間が対象となる進行中の初期測定がないことを確認します。
  5. 検出された測定のギャップごとに、初期測定または作業予定を生成します。

このプロセスは、各計量コンポーネントに保持される重要な日付に依存します。

  • 最新の連続する測定の日時: これは、計量コンポーネントが、ギャップのない完全な測定履歴を持っていた前回の時刻を表します。これは、本質的にその直後にギャップが発生したことを示します。

この日付によって、定期推定プロセスで、欠落した測定であり、推定する必要がある計量コンポーネントを効率的に識別できます。

注意: 関連付けられたサービス・ポイントで定期推定の適格性を更新することで、特定の設備の定期推定を無効にすることができます。これは、推定に対して適格にしないか、一時的に推定をオフにするワンオフのサービス・ポイントがある場合に便利です。

定期推定の機能構成

インターバルおよびスカラー定期推定の推定開始日は、機能タイプ「測定データ・オプション」(D1MD)の機能構成オプションの影響を受けることがあります。

「最新の使用可能測定を取得する過去の時間数」オプションが定義されている場合、定期推定には2つの影響があり、いずれも、計量コンポーネントのタイプに「推定する最大日数」の値が構成されていないときにのみ該当します。

  1. 最新の連続する測定日時がまだない計量コンポーネントに対して定期推定を実行する場合、このオプションは、使用可能な測定を見つけるための検索範囲の開始を計算するために使用されます。その日付はその後、推定を開始するために使用されます。

  2. 最新の連続する測定日時がすでに設定されている計量コンポーネントに対して実行する場合、このオプションは、推定を開始できる最も古い日付を計算するために使用されます。

どちらのシナリオについても、開始日時の計算は、現在の処理日時から、構成された値を減算することによって実行されます。たとえば、このオプションが744時間(31日)に設定され、処理日時が02/01 12:00:00AMであるとすると、開始日時は01/01 12:00:00AMとして計算されます。

また、このオプションを実装すると、スカラー計量コンポーネントの最新測定日時情報を保守する「スカラー計量コンポーネントでの最新日時の更新」アルゴリズム・タイプ(D1-UPDDTSCMC)は、既存の測定データ履歴があり、この機能構成オプションが構成されている計量コンポーネントの初期測定が受信されたときに、最新測定日時情報の初期化をスキップするよう指示されます。それらのシナリオについては、最新測定日時情報の初期化を「自動検針スカラー定期推定」プロセスまで遅延する必要があります。注意: これは、最新測定日時情報が以前に設定されておらず、初期測定が計量コンポーネントについて最初に受信された測定ではない状況にのみ適用されます。
注意: これは、インターバル初期測定の類似ロジックには適用されません。

インターバル定期推定

インターバル定期推定機能で欠落した測定が識別された場合、推定期間の一連の連続した欠落した測定ごとに推定初期測定が作成されます。

インターバル計量コンポーネントの推定には、2つの方法を使用できます。

インターバル定期推定

  • ローリング遅延: この方法では、定期推定プロセスの実行時間は、計量コンポーネントで各計量コンポーネントの推定がどれくらい離れているかを推定するための重要な要素です。この方法では、推定の最小の時間数がサポートされます(計量コンポーネント・タイプの推定の時間数で定義されたもの)。
  • 予測可能な締め時間: この方法では、計量コンポーネント・タイプのすべての計量コンポーネントで、指定した時点まで推定されます(計量コンポーネント・タイプの締め時間で定義されたもの)。この方法では、定期推定プロセスの実行時間ではなく、実行された推定がどれくらい離れているかが締め時間で判別されます。この方法には最小推定サイズはなく、単一のインターバルのみの場合でも、常に締め日時まで推定されます。

設備が法定時間でデータを送信するように構成されている場合(つまり、着信データ・シフトが常にローカルに設定されている場合)、締め時間でサマータイム(DST)が考慮されます。このような状況では、締め時間は、DSTに対して調整されるとみなされます。測定データは標準時で保存されるため、これは重要です。次に例を示します。

締め時間: 12:00AM

測定時間(標準時)

01/15/2010 12:00AM (DSTは無効)

01/15/2010 12:00AM

04/15/2010 12:00AM (DSTは有効)

04/14/2010 11:00PM

また、計量コンポーネント・タイプで定義された締め時間にはタイム・ゾーンは関連付けられないため、処理中の特定の計量コンポーネントのタイム・ゾーンで定義されるとみなされます。たとえば、12:00AMの締め時間は、それぞれの計量コンポーネントのタイム・ゾーンに基づいて、12:00AM UTC -08:00および12:00AM UTC -05:00とみなされます。これにより、単一の計量コンポーネントを複数のタイム・ゾーンに適用して、統一的に動作するようになります。

アルゴリズム・タイプ - 取付履歴に基づくインターバルIMDおよび作業予定の作成(D1-CIITBIH)

このアルゴリズム・タイプに基づくアルゴリズムでは、関連する設備構成が取り付けられている期間の推定範囲中に計量コンポーネントで最終測定が欠落しているかどうかが特定されます。最終測定が欠落している場合、推定初期測定が作成されるか、作業予定登録が作成されるか、またはその両方が行われます。

このアルゴリズムが使用されるシナリオがいくつかあります。

  1. 計量コンポーネントのサービス・ポイントに「不適格」の推定適用がある場合

  2. 計量コンポーネントのサービス・ポイントに、システム日時と重複するオープン推定抑制活動があり、かつメーター・データ管理マスター構成のフィールド「欠落データをゼロで埋める」が「Yes」に設定されていない場合

  3. 計量コンポーネントの最新の連続する測定日時が、処理日時から計量コンポーネント・タイプの待機の時間数を差し引いた日時より後である場合

推定範囲の開始日は、最初に初期範囲開始日時を決定することによって決定されます。

  • 計量コンポーネント・タイプの「推定する最大日数」が構成されている場合、次の2つの日付のうちの新しいほうになります。

    • 処理日時から「推定する最大日数」を差し引いた日時

    • 計量コンポーネントの最新の連続する測定日時

  • それ以外の場合で、「測定データ・オプション」機能構成タイプが「最新の使用可能測定を取得する過去の時間数」オプションの値を設定して構成されている場合は、開始が次のように計算されます。

    • 最新の連続する測定日時が移入されている場合は、次のうちの新しいほうを使用します。

      • 処理日時から「最新の使用可能測定を取得する過去の時間数」を差し引いた日時

      • 計量コンポーネントの最新の連続する測定日時

    • それ以外の場合、最新の連続する測定日時が移入されていない場合は、次のようになります。

      • 次の2つの日付の間の測定を検索します。

        • 開始: 処理日時から「最新の使用可能測定を取得する過去の時間数」を差し引いた日時

        • 終了: 処理日時

      • 測定が見つかった場合は、その日付が使用されます。それ以外の場合は、処理日時から「最新の使用可能測定を取得する過去の時間数」を差し引いた日時が使用されます。

  • それ以外の場合、計量コンポーネントの最新の連続する測定日時が使用されます。

  • それ以外の場合、設備が取り付けられている場合は、取付イベント(IE)の「取付日時」に設定されます。

推定範囲の終了日は、計量コンポーネント・タイプの「定期推定実行方法」に基づいて計算されます。

ローリング遅延:

次の日付のうちの新しいほうが使用されます。

  • 「最新測定日時」に、計量コンポーネント・タイプ(MCタイプ)に定義されている「推定時間」を加えた日時。

  • 処理日時から計量コンポーネント・タイプの待機の時間数を差し引いた日時

  • 推定は、設備構成の変更または取外によって制限されます。したがって、前述の決定された日付は、設備構成の「発効終了日時」と取付イベントの「取外日時」の早いほうに制限されます。

予測可能な締め時間:

予測可能な締め時間では、計量コンポーネント・タイプからの待機の時間数に基づいて経過した最後の締め時間までのみを推定することが目的であり、それ以上は推定されません。

最初に、計量コンポーネント・タイプに構成された待機の時間数に基づいて、処理日時が調整されます。たとえば、処理日時が01/15/2010 06:00PMで、待機の時間数が48である場合、調整された処理日時は01/13/2010 06:00PMです。

次に、最後に経過した締め時間が識別され、それが推定の終了日時になります。前述の例では、これは01/13/2010 12:00AMになります。

推定範囲の開始日時と終了日時が識別されたら、計量コンポーネントの設備構成の取付履歴に基づいて、それらをさらに小さい期間に分割できます。

例:

  • 推定範囲は、4月10日の午前12時から4月20日の午前12時までです

  • 計量コンポーネントの設備構成が4月1日の午前12時に1つのサービス・ポイントに取り付けられ、4月15日の午前12時に取り外されました

  • その後、計量コンポーネントの設備構成が4月18日の午前12時に新しいサービス・ポイントに取り付けられました

  • 前述の情報に基づいて、推定範囲は次の2つの期間に分割されます。

    • 4月10日午前12時から4月15日午前12時まで(これは最初の取付のものです)

    • 4月18日午前12時から4月20日午前12時まで(これは2回目の取付のものです)

取付履歴に基づいて決定されたそれぞれの推定範囲期間は、最終測定が欠落している連続する期間を特定するためにさらに調査されます。

例:

  • 4月10日から4月15日までの処理

  • 4月12日の午前8時から午前9時までに最終測定が1つ存在します

  • 次のサブ期間を生成します。

    • 4月10日午前12時から4月12日午前8時まで

    • 4月12日午前9時から4月15日午前12時まで

  • -見つかったすべての欠落期間について、

    • 非最終状態の初期測定を検索します。初期測定の期間が欠落期間と重複しています。

      • 見つかったそれぞれの初期測定について、

        • 初期測定の期間が欠落期間の境界内に完全に収まる場合は、欠落期間の推定初期測定の作成をスキップします。

        • 初期測定の終了日時が欠落期間の開始より前である場合は、初期測定の終了日時が欠落期間の開始になります。調整された欠落期間の推定初期測定の作成に進みます。

        • 初期測定の開始日時が欠落期間の開始より後である場合は、初期測定の開始日時が欠落期間の終了になります。調整された欠落期間の推定初期測定の作成に進みます。

定期推定が実行されるたびに、最新の連続する測定が検証され、更新される可能性があります。たとえば、それが取付イベントの「取付日時」より前である場合、取付イベントの「取付日時」に更新されます。
注意: 最新の連続する測定日時が以前の取付の取付期間内にある場合は、現在の取付イベントの「取付日時」に調整されません。

スカラー定期推定

スカラー定期推定は、適格となるために、少なくとも毎日スカラー計量コンポーネントが検針される必要があるため、自動的に検針されるスカラー計量コンポーネントに対してのみ使用可能です。

スカラー推定プロセスは、測定が欠落したタイミングを識別するために、計量コンポーネント・タイプからの詳細に強く依存します。これは、スカラー測定は、インターバル・データのような特定の境界内である必要がないためです。たとえば、毎日午前0時前後に検針されるスカラー計量コンポーネントには、12:00AM、11:55PM、12:01PMの測定、あるいはフィールド検針または現在値読取が実行された場合は日中の他の様々な時点の測定もある場合があります。

自動的に検針されるスカラー計量コンポーネント・タイプは、次の情報を提供するように構成されます。

  • 計量コンポーネントが検針される一日のうちの時点を識別します。これは、計量コンポーネント・タイプの測定間の時間数と初回日次測定時間の組合せです。
  • 特定の予期される測定日時に該当しない測定の許容可能な範囲を識別します(たとえば、11:55PMと12:05AMは可、9AMは不可)。これは、計量コンポーネント・タイプの早期測定しきい値と後期測定しきい値によって定義されます。

これにより、スカラー定期推定プロセスで、測定が予期される一日のうちの時点を識別でき、測定が見つからない場合は推定初期測定が生成されます。

インターバル定期推定とは異なり、それぞれの欠落した測定が、個々の推定初期測定として作成されます。

「早期測定しきい値」フィールドと「後期測定しきい値」フィールドでは、ヘッドエンド・システムが各日の一貫した時刻に検針をレポートできない状況がサポートされます。たとえば、ヘッドエンド・システムで次のように検針が送信される場合があります。

  • 3/1 11:55PM

  • 3/3 12:01AM

  • 3/4 12:00AM

  • 3/5 12:02AM

  • 3/6 11:59 PM

これらのフィールドにより、予期される検針の前後の期間が作成され、その期間内に受信したものが予期される検針を満たします。次に例を示します。
  • 「早期測定しきい値」が00:10:00 (10分間)の計量コンポーネントの場合、3/1 11:55PMの検針は、3/2 12:00AMの予期される検針の早期しきい値を満たします。

  • 「後期測定しきい値」が00:10:00 (10分間)の計量コンポーネントの場合、3/3 12:01AMの検針は、3/3 12:00AMの予期される検針の後期しきい値を満たします。

計量コンポーネントが推定に適格であるかを判別するために、最新の連続する測定日時から十分に時間が経過しているかどうかがプロセスで評価されます。特に、最新の連続する測定日時から経過した時間数は、計量コンポーネント・タイプの「推定までの時間」以上である必要があります。

注意: 設備が法定時間でデータを送信するように構成されている場合(つまり、着信データ・シフトが常にローカルに設定されている場合)、初回日次測定時間でサマータイム(DST)が考慮されます。このような状況では、初回日次測定時間は、DSTに対して調整されるとみなされます。測定データは標準時で保存されるため、これは重要です。次に例を示します。

初回日次測定時間: 12:00AM

測定時間(標準時)

01/15/2010 12:00AM (DSTは無効)

01/15/2010 12:00AM

04/15/2010 12:00AM (DSTは有効)

04/14/2010 11:00PM

また、計量コンポーネント・タイプで定義された初回日次測定時間にはタイム・ゾーンは関連付けられないため、処理中の特定の計量コンポーネントのタイム・ゾーンで定義されるとみなされます。たとえば、12:00AMの初回日次測定時間は、それぞれの計量コンポーネントのタイム・ゾーンに基づいて、12:00AM UTC -08:00および12:00AM UTC -05:00とみなされます。これにより、単一の計量コンポーネントを複数のタイム・ゾーンに適用して、統一的に動作するようになります。

アルゴリズム・タイプ - 自動検針スカラー定期推定(D1-ARSPE)

このアルゴリズム・タイプに基づくアルゴリズムでは、関連する設備構成が取り付けられている期間の推定範囲中に計量コンポーネントで最終測定が欠落しているかどうかが特定されます。最終測定が欠落している場合、推定初期測定が作成されるか、作業予定登録が作成されるか、またはその両方が行われます。

このアルゴリズムが使用されるシナリオがいくつかあります。

  1. 計量コンポーネントのサービス・ポイントに「不適格」の推定適用がある場合

  2. 計量コンポーネントのサービス・ポイントに、システム日時と重複するオープン推定抑制活動があり、かつメーター・データ管理マスター構成のフィールド「欠落データをゼロで埋める」が「Yes」に設定されていない場合

  3. 計量コンポーネントの最新の連続する測定日時が、処理日時から計量コンポーネント・タイプの待機の時間数を差し引いた日時より後である場合

推定範囲の開始日は、最初に初期範囲開始日時を決定することによって決定されます。

  • 計量コンポーネント・タイプの「推定する最大日数」が構成されている場合、次の2つの日付のうちの新しいほうになります。

    • 処理日時から「推定する最大日数」を差し引いた日時

    • 計量コンポーネントの最新の連続する測定日時

  • それ以外の場合で、「測定データ・オプション」機能構成タイプが「最新の使用可能測定を取得する過去の時間数」オプションの値を設定して構成されている場合は、開始が次のように計算されます。

    • 最新の連続する測定日時が移入されている場合は、次のうちの新しいほうを使用します。

      • 処理日時から「最新の使用可能測定を取得する過去の時間数」を差し引いた日時

      • 計量コンポーネントの最新の連続する測定日時

    • それ以外の場合、最新の連続する測定日時が移入されていない場合は、次のようになります。

      • 次の2つの日付の間の測定を検索します。

        • 開始: 処理日時から「最新の使用可能測定を取得する過去の時間数」を差し引いた日時

        • 終了: 処理日時

      • 測定が見つかった場合は、その日付が使用されます。それ以外の場合は、処理日時から「最新の使用可能測定を取得する過去の時間数」を差し引いた日時が使用されます。

  • それ以外の場合、計量コンポーネントの最新の連続する測定日時が使用されます。

  • それ以外の場合、設備が取り付けられている場合は、取付イベント(IE)の「取付日時」に設定されます。

推定範囲の終了日は、次の日付のうちの最も古いものになります。

  • 処理日時 - 「推定までの時間」 + 「推定時間」

  • 設備構成の発効終了日時

  • 設備構成の取付イベントのオフ日時。

次に、このアルゴリズムでは、最終測定または進行中の初期測定がない予測測定日時が識別されます。それぞれの欠落した測定について、推定初期測定が作成されます。推定は、設備がサービス・ポイントに取り付けられている期間についてのみ行われます。取付イベントのオフ期間の評価パラメータが「N」に設定されているか、空白のままになっている場合は、設備をオンにする必要もあります。

欠落した最終測定が推定範囲中にあるかどうかを特定するために、このアルゴリズムでは前述の予測測定日時という概念が使用されます。早期しきい値および後期しきい値によって決定された最終測定でカバーされない予測測定がある場合は、初期測定が生成されます。