Oracleの移行フェーズ

Oracle Cloud Infrastructure Database Migrationの移行ジョブは、いくつかの操作フェーズがある1つの作業フローとして実行されます。

データベース移行のフェーズは、次の表のように、コンソールではわかりやすい名前(DMSフェーズ)、REST APIでは接頭辞「ODMS_」付きのコードで示されます。

データベース移行では、ゼロ・ダウンタイム移行ツールを利用して移行ジョブ・ワークフローを実行することに注意してください。そのため、ログでは、移行フェーズ名の接頭辞はZDM_になります。また、1つのデータベース移行フェーズが1つ以上のゼロ・ダウンタイム移行フェーズに対応するため、ワークフローをより詳しく確認できます。

表9-1データベース移行プロセスのフェーズの説明

DMSフェーズ名コンソール(APIコード) 説明 ZDMフェーズ名 説明

検証(ODMS_VALIDATE)

ソースおよびターゲット・データベース、GoldenGateハブおよびデータ・ポンプ構成の検証を実行します。

ソースの検証(ZDM_VALIDATE_SRC)

ソース・データベースのアクセス資格証明、データベース・パラメータ設定、ggadminユーザー権限、およびソース・データベース内のオブジェクトに対するGoldenGateキャプチャのサポートを検証します

ターゲットの検証(ZDM_VALIDATE_TGT)

ターゲット・データベースが存在し、データベース・タイプがAutonomous Databaseであることを確認し、アクセス資格証明、セキュリティおよび接続を検証します。

移行前アドバイザの検証(ZDM_PRE_MIGRATION_ADVISOR)

クラウド移行前アドバイザ・ツールが実行されます。

GoldenGateハブの検証(ZDM_VALIDATE GG_HUB)

GoldenGate MicroservicesのRESTエンドポイント、ソフトウェア構成、ヘルス、ソース・データベースとターゲット・データベースへの接続を検証します。

データポンプ・ソース設定の検証(ZDM_VALIDATE_DATAPUMP_SETTINGS_SRC)

エクスポート・ディレクトリ・オブジェクト(該当する場合)を検証し、ダンプのエクスポートに関して、十分な領域があることとソース・データベースの指定ユーザーの権限を確認します。指定されたOracle Cloud Object Storeバケット、データ・バケットおよびウォレット・バケットがソースからアクセスできるかどうかを確認します。また、プロキシ構成も検証します(該当する場合)。

データポンプ・ターゲット設定の検証(ZDM_VALIDATE_DATAPUMP_SETTINGS_TGT)

データ・ポンプのインポート・ディレクトリ・オブジェクトが存在することを確認します。

既存のDBLINKが指定された場合は、それが存在していて有効であるかどうかをチェックし、DBLINKおよびウォレット・ファイルのADB要件が満たされていることを確認します。

準備(ODMS_PREPARE_REPLICATION)

GoldenGate Extractプロセスを準備して開始し、サプリメンタル・ロギングを有効にします

GoldenGateハブの準備(ZDM_PREPARE_GG_HUB)

データベース接続の詳細および資格証明をGoldenGate Microservicesに登録します。

ZDM_ADD_HEARTBEAT_SRC

ソース・データベースにGoldenGateハートビート表を作成します。テーブルがすでに存在する場合は、更新頻度を60秒に設定します。

ZDM_ADD_SCHEMA_TRANDATA_SRC

スキーマ・レベルのサプリメンタル・ロギングを有効にすることで、ソース・データベース・スキーマのインスタンス化を準備します。

GoldenGateソースExtractの作成(ZDM_CREATE_GG_EXTRACT_SRC)

ソース・データベースでGoldenGate Extractプロセスを開始します

準備(ODMS_PREPARE_INITIAL_LOAD) データ・ポンプで必要なディレクトリ・オブジェクトを作成し、必要に応じてDBLINKを作成します。

ソース・データポンプの準備(ZDM_PREPARE_DATAPUMP_SRC)

必要に応じて、データ・ポンプの新しいディレクトリ・オブジェクトを作成します。必要に応じて、OCI OSSバケットにアクセスするためのOCI認証トークンを作成します。

ターゲット・データポンプの準備(ZDM_PREPARE_DATAPUMP_TGT)

必要に応じて、データ・ポンプの新しいディレクトリ・オブジェクトを作成します。セキュアなOSSアクセスのためにOCI認証トークンをデータベースに格納します。

DBLINKを介して移行するとき、DBLINKを作成する必要がある場合は、ソースにアクセスして新しいDBLINKを作成するために必要なデータベース資格証明を作成します。

DBLINK over SSLを使用して、Autonomous Databaseのセキュリティ要件が満たされるようにします。

データポンプ・ソース・エクスポート(ODMS_INITIAL_LOAD_EXPORT)

ソース・データベースでデータ・ポンプ・エクスポートを起動してモニターします。

データポンプ・ソース・エクスポート(ZDM_DATAPUMP_EXPORT_SRC)

ソース・データベースでデータ・ポンプ・エクスポートを起動してモニターします。

ソース・ダンプ・ファイルのアップロード(ODMS_DATA_UPLOAD)

データ・ポンプ・ダンプ・ファイルをソースからOCI OSSにアップロードします。

ソース・ダンプ・ファイルのアップロード(ZDM_UPLOAD_DUMPS_SRC)

データ・ポンプ・ダンプ・ファイルをソースからOCI OSSにアップロードします。

データポンプ・ターゲット・インポート(ODMS_INITIAL_LOAD_IMPORT)

OCI OSSバケットまたはDBLINKを介して、ターゲット・データベースへのデータ・ポンプ・ダンプのインポートを開始し、データ・ポンプ・インポートの進行状況をモニターします。

データポンプ・ターゲット・インポート(ZDM_DATAPUMP_IMPORT_TGT)

OCI OSSバケットまたはDBLINKを介して、ターゲット・データベースへのデータ・ポンプ・ダンプのインポートを開始し、データ・ポンプ・インポートの進行状況をモニターします。

データポンプの後処理(ODMS_POST_INITIAL_LOAD)

データベース移行によってデータ・ポンプ用に作成されたディレクトリ・オブジェクト、アクセス資格証明およびDBLINKを削除します。

ソース・データポンプの後処理(ZDM_POST_DATAPUMP_SRC)

データベース移行によって作成されたデータ・ポンプ・ディレクトリ・オブジェクトを削除します。

ターゲット・データポンプの後処理(ZDM_POST_DATAPUMP_TGT)

ターゲット・データベース内の無効なオブジェクトを修正します。移行用に作成されたデータベース・アクセス資格証明およびOCI OSSアクセス資格証明を削除します。データベース移行によって作成されたDBLINKを削除します。オプションで、OCI OSSバケットに格納されているソース・データベース・ダンプを削除します。

GoldenGateの準備(ODMS_PREPARE_REPLICATION_TARGET )

GoldenGateレプリケーションを準備します。

ZDM_ADD_HEARTBEAT_TGT

ターゲット・データベースにGoldenGateハートビート表を作成します。テーブルがすでに存在する場合は、更新頻度を60秒に設定します。

ZDM_ADD_CHECKPOINT_TGT

ターゲット・データベースにGoldenGateチェックポイント表を作成し、Replicatの進行状況を追跡します。

ZDM_CREATE_GG_REPLICAT_TGT

ターゲット・データベースに対してGoldenGate Replicatプロセスを作成します。

ZDM_START_GG_REPLICAT_TGT

ターゲット・データベースに対してGoldenGate Replicatプロセスを開始します。

GoldenGateラグのモニター(ODMS_MONITOR_REPLICATION_LAG)

GoldenGateのチェックポイントとハートビートのデータをポーリングして、必要なしきい値よりもラグが下がるまでエンドツーエンドの適用ラグを測定します。

GoldenGateラグのモニター(ZDM_MONITOR_GG_LAG)

GoldenGateのチェックポイントとハートビートのデータをポーリングして、必要なしきい値よりもラグが下がるまでエンドツーエンドの適用ラグを測定します。

アプリケーションのスイッチオーバー(ODMS_SWITCHOVER)

ソース・データベースがアイドル状態の場合は、GoldenGate Extractを停止し、GoldenGate Replicatの適用が完了するまで待機してからGoldenGate Replicatを停止します。

アプリケーションのスイッチオーバー(ZDM_SWITCHOVER_APP)

ソース・データベースがアイドル状態の場合は、GoldenGate Extractを停止し、GoldenGate Replicatの適用が完了するまで待機してからGoldenGate Replicatを停止します。

クリーンアップ(ODMS_CLEANUP)

GoldenGate ExtractおよびGoldenGate Replicatプロセスの削除、ソース・データベースとターゲット・データベースの接続詳細の削除、ウォレットへのAutonomous Databaseアクセスの削除などのクリーンアップ操作を実行します。

スイッチオーバー後の操作(ZDM_POST_SWITCHOVER_TGT)

ターゲット・データベースのスイッチオーバー後のアクションを実行します。

ZDM_RM_GG_EXTRACT_SRC

ソース・データベースのGoldenGate Extractプロセスを削除します

ZDM_RM_GG_REPLICAT_TGT

ターゲット・データベースのGoldenGate Replicatプロセスを削除します

ZDM_DELETE_SCHEMA_TRANDATA_SRC

ソース・データベースでスキーマ・レベルのサプリメンタル・ロギングを無効にします

ZDM_RM_HEARTBEAT_SRC

ソース・データベースのGoldenGateハートビート表を削除します(この表がデータベース移行によって作成された場合)。それ以外の場合は、更新頻度を元の設定にリセットします。

ZDM_RM_CHECKPOINT_TGT

ターゲット・データベースのGoldenGateチェックポイント表を削除します。

ZDM_RM_HEARTBEAT_TGT

ターゲット・データベースのGoldenGateハートビート表を削除します(この表がデータベース移行によって作成された場合)。それ以外の場合は、更新頻度を元の値にリセットします。

GoldenGateハブのクリーニング(ZDM_CLEAN_GG_HUB)

GoldenGate Microservicesに保存されているデータベース接続の詳細および資格証明を削除します

後処理(ZDM_POST_ACTIONS)

データベース移行からAutonomous Databaseアクセス・ウォレットを削除します。

ZDM_CLEANUP_SRC

ソース・データベース・サーバー上のクラウド移行前アドバイザ・ツール関連のバイナリを削除します。