Oracle Cloud Infrastructure Database Migrationの概要
Oracle Cloud Infrastructure Database Migrationサービスについて学習します。
次のトピックでは、Oracle Cloud Infrastructure Database Migrationによって何ができるのかを示し、このサービスについて知っておく必要のある概念を説明します。
サービスの詳細は、OCI Database Migrationを参照してください。
Oracle Cloud Infrastructure Database Migrationについて
Oracle Cloud Infrastructure Database Migrationは、完全なマネージド・サービスとして、データベースをOracle Cloud Infrastructure (OCI)に移行するための高パフォーマンスのセルフサービス・エクスペリエンスを提供します。
データベース移行は、テナンシおよびリソースとは別に、マネージド・クラウド・サービスとして実行されます。このサービスは、データベース移行サービス・テナンシでマルチテナント・サービスとして動作し、プライベート・エンドポイント(PE)を使用してリソースと通信します。PEはデータベース移行によって管理されます。
データベース移行には、次の機能があります:
-
オンプレミス・データベース、Oracle CloudデータベースおよびAmazon RDS Oracleデータベースから共同管理、Autonomous Data WarehouseまたはOracle Cloud Infrastructure上のAutonomous Transaction Processingサービスへのデータの移行
-
単純なオフライン移行のオプション、またはダウンタイムを最小限に抑えたエンタープライズレベルの論理移行のオプション
-
業界をリードするOracle GoldenGateレプリケーションに基づき、ゼロ・ダウンタイム移行エンジンを利用
-
Oracle Maximum Availability Architecture (MAA)に準拠し、Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.4)以降のデータベース・リリースをサポート。
-
初期ロードからストリーム・レプリケーションへのシームレスな遷移
-
ソース・データベースで変更データ取得を実行し、それらの変更をターゲットにレプリケートします
-
ジョブ・サブシステムを使用して、フリート・スケールでデータベース移行を実行および管理します。
-
一時停止と再開の機能を使用し、必要に応じて移行を一時停止して再開できます。メンテナンス・ウィンドウに合せる場合などに役立ちます
-
ジョブの終了を使用して、実行中の移行ジョブの完了を待たずに、ジョブを終了できます
-
移行ジョブを障害発生時点から再実行(再開)します
-
移行タスクのジョブ事前チェックにより、データベース移行中のエラーを防ぎます
データベース移行の新機能
新機能および拡張機能の詳細は、Oracle Cloud Infrastructure Database Migrationサービスの新機能およびOCIのデータベース移行リリース・ノートを参照してください。
データベース移行の用語
Oracle Cloud Infrastructure Database Migrationサービスの操作には、次の概念が不可欠です。
- 移行
- 1つの移行操作を表し、移行の実行に使用する必要がある仕様が含まれています。移行の仕様には、一括データ・コピーを実行するかどうか、進行中の変更を取得するかどうか、さらにソース・データベースとターゲット・データベースの選択が含まれます。
- 移行ジョブ
- アクティブな移行実行または過去の移行実行を表します。移行を開始すると移行ジョブが暗黙的に作成されます。移行ジョブは、移行に関するランタイム情報を含むスナップショットです。この情報を使用して、ログを監査し、失敗を調査します。
- 検証ジョブ
- ソース・データベースとターゲット・データベース、Oracle GoldenGateインスタンス、およびOracle Data Pumpの前提条件と接続性を検証します。検証ジョブは、移行を評価するときに作成されます。
- データベース接続
- データベース・メタデータおよび接続の詳細を含む、データベース・インスタンスを表します。データ・アセットには、移行する必要があるデータベース内のすべてのスキーマを含めるために1つ以上の接続を含めることができます。
- エージェント
- Oracle Cloud Infrastructureから、OCIで直接アクセスできないソース・データベース(OCIの別のリージョンまたはテナンシ内のデータベース、オンプレミス・データベース、または手動でインストールされたクラウド・データベースなど)への接続を確立するために必要な詳細が含まれます。
- プライベート・エンドポイント
- 仮想クラウド・ネットワーク(VCN)およびオンプレミス・ネットワーク内のホストに、目的のOracleサービス内の単一リソース(共有Exadataインフラストラクチャを使用する1つのAutonomous Databaseなど)へのアクセス権を付与します。移行のソース・データベースまたはターゲット・データベースへの接続は、現在サービスでサポートされています。セキュリティ・ルールまたはネットワーク・セキュリティ・グループが、データベース移行ジョブに必要なトラフィックを許可していることを確認してください。詳細は、データベース移行ポートの要件を参照してください。
- スキーマ
- データベース・オブジェクト(表、ビュー、ストアド・プロシージャなど)を保持するデータベースの編成上の概念。
オフライン移行
オフライン移行方法を使用するときは、移行を開始する前にソース・データベースの更新を停止する必要があります。
オフライン移行方法を使用すると、データベース移行サービスは、優先転送メディアを使用してソース・データベースからデータを転送し、Oracle Data Pumpを使用して、選択した転送メディアからクラウドのターゲット・データベースにデータをインポートします。
オンライン移行
オンライン移行では、ソース・データベースの停止時間なしでデータベース移行を実行できます。
- オンライン移行は、次のステップで構成されます。
- 初期ロード
- リアルタイム・レプリケーション
- オンライン移行方法を使用する場合、移行を開始する前にソース・データベースの更新を停止する必要はありません。
- Oracle GoldenGateのレプリケーション・テクノロジによってオンライン移行が容易になり、ソース・データベースの停止時間をゼロにできます。
並列性を利用して最適なデータ転送パフォーマンスを実現するために、サイズが50GBを超えるデータベースでは、オブジェクト・ストアを使用してデータを転送することをお薦めします。データベース・リンク転送メディアは小規模なデータベースでは便利です。ただし、この選択肢ではパフォーマンスが不安定になることがあります。転送の間、ネットワーク帯域幅に依存するためです。
移行ジョブの一部として、データベース移行はGoldenGateのレプリケーション・テクノロジを使用して、ソース・データベースとターゲット・データベース間のデータベース・レプリケーションを容易にします。
アプリケーションがターゲット・データベースにスイッチオーバーすると、データベース移行によってレプリケーションが停止され、クラウド内のターゲット・データベースが本番データベースとして使用できるようになります。双方向同期は現在サポートされていないことに注意してください。常にソース・データベースからターゲット・データベースに対して同期されます。
GoldenGateマーケットプレイス・インスタンスを使用したオンライン移行には、ターゲット・テナンシで実行されているGoldenGateホストからソース・データベースへのSQL*Net接続が必要です。
初期ロード時の移行内容
Oracle Cloud Infrastructure Database Migrationサービス移行ジョブ・ワークフローの初期ロード・フェーズでは、ソース・データベースのすべての選択したスキーマの内容をターゲット・データベースの同じ名前のスキーマに移動します。
移行を作成するときに、特定のオブジェクトを含めたり除外したり、オブジェクトの名前を変更したりすることができます。
オブジェクト選択ルールの構成方法およびデフォルトで除外されるオブジェクトの詳細は、Oracle移行するオブジェクトの選択を参照してください。
データ・レプリケーション
Oracle Cloud Infrastructure Database Migrationサービスの移行ジョブのワークフロー・レプリケーション・フェーズでは、初期ロード後にコミットされたトランザクションのすべてのデータおよびメタデータ操作は、レプリケーション・ラグのモニター・フェーズ後に移行ジョブを再開するまでレプリケートされます。
移行ジョブの間は、高速なデータベース・レプリケーションに最適な環境を提供するために、データベースでデータ定義言語(DDL)操作を実行しないようにすることをお薦めします。DDLがレプリケートされると、Oracle GoldenGate Replicatによってデータがシリアライズされて、同じオブジェクト上のDMLとDDLの間にロックの問題がないことが確認されます。
デフォルトでは、Oracle Cloud Infrastructure Database Migrationサービスは、ソース・データベース上のすべてのDDL操作をターゲット・データベースにレプリケートするようにGoldenGateを構成します。
次のオブジェクトはサポートされていません:
- 外部表の変更
- Oracle GoldenGateでサポートされないタイプ(サポート対象の理解を参照)
ゼロ・ダウンタイム移行について
Oracle Cloud Infrastructure Database Migrationサービスは、内部的にはゼロ・ダウンタイム移行サーバーによって駆動されます。このサーバーは、Oracle Zero Downtime Migration製品に欠くことのできない部分です。
ゼロ・ダウンタイム移行構成はデータベース移行によって自動的に処理されるため、ゼロ・ダウンタイム移行の設定を実行する必要はありません。
ゼロ・ダウンタイム移行の詳細は、Oracle Help Centerのゼロ・ダウンタイム移行およびOracle Database TechnologiesのWebサイトのOracle Zero Downtime Migrationを参照してください。
リソース識別子
データベース移行リソースには、Oracle Cloud ID (OCID)と呼ばれる、Oracleが割り当てる一意の識別子があります。
データベース移行リソースは、OdmsAgent
、OdmsConnection
、OdmsMigration
、およびOdmsJob
です。
たとえば、OdmsJob
のOCID形式はocid1.odmsjob.oc1.[REGION][.FUTURE USE].<UNIQUE ID>
です。
OCIDのフォーマットおよびその他のリソース識別方法の詳細は、リソース識別子を参照してください。
サービス制限
Oracle Cloud Infrastructure Database Migrationサービスでは、10接続、5移行および5エージェントに制限されます。
テナンシには、使用可能なリソースの最大数に制限があります。Oracle Cloud Infrastructure Database Migrationサービスのテナンシの制限を表示するには、サービス別の制限を参照してください。適格なアカウントの管理者は、OCIコンソールでサービス制限の引上げをリクエストできます。サービス制限の引上げのリクエストを参照してください。
コンパートメント割当て
Oracle Cloud Infrastructure Database Migrationサービスで割当て制限を作成すると、コンパートメント内の移行リソースの数を制限できます。
例:
set database-migration quota odms-migration-count to 10 in compartment compartment_name
詳細は、コンパートメント割当て制限の概要を参照してください。
測定および請求
Oracle Cloud Infrastructure Database Migrationサービスの測定と請求は、経過した移行時間に基づいています。
移行時間は、移行ジョブが実行されている時間として定義されます。ここで、実行の定義は、移行ジョブがIN_PROGRESS
またはWAITING
の状態であることです。かかった移行時間が1時間未満であれば、最短1分ずつ請求されます。
移行ジョブが測定されるのは、次のいずれかに当てはまる場合のみです:
- 移行ジョブが、作成後183日(6か月)を超えて実行しています
- 移行ジョブの実行がアイドル状態になった60日を超えています(データが転送されていません)
移行時間は秒単位まで請求されます。請求される最小時間は1分です。つまり、リソースの使用時間が60秒未満の場合でも、顧客は1分間として請求されます。使用が1分を超えると、すべての使用が秒単位まで追跡されます。
コンソールの「ガバナンスと管理」の「コストおよび使用状況レポート」で、移行ジョブの移行時間をモニターできます。移行請求メーターをサービス名DATABASEMIGRATIONとしてレポートに含める必要があります。
ソース・データベースの要件
Oracle Cloud Infrastructure Database Migrationを使用するため、ソース・データベース環境は次の要件を満たしている必要があります。
サポートされるソース・データベースのバージョン
次のOracle Databaseバージョンは、データベース移行を使用して移行できます。ソース・データベースは任意の構成にすることができます。
- Oracle Database 11g リリース2 (11.2.0.4)
- Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.2)
- Oracle Database 12cリリース2 (12.2.0.1)
- Oracle Database 19c
- Oracle Database 21c
- 後続のすべてのOracle Databaseリリース
- OCI MySQL HeatWave
- MySQL Database Server
- Amazon RDS for MySQL
- Azure Database for MySQL
- Amazon Aurora MySQL
- MySQLのGoogle Cloud SQL
Oracle Database 19cより下位のソース・データベース・バージョンがあり、Oracle Database 23aiへのオンライン移行を実行する場合は、2ステップの移行を実行する必要があります:
- Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.4)以上のバージョンをOracle Database 19cに移行します。
- Oracle Database 19c以降のバージョンにOracle Database 23aiに移行します。
この制限は、オフライン移行には適用されません(Data Pumpのみ)。
サポートされているソース環境
- Oracle Cloud Infrastructureの共同管理データベースまたはオンプレミス環境
- Amazon Web Services RDS Oracle Database (オフライン移行とオンライン移行の両方)
ノート
Amazon Web Services RDS Oracle Database Multitenantアーキテクチャ(CDB)は現在、オンライン移行ではサポートされていません。 - Linux-x86-64、IBM AIXおよびOracle Solaris。
ターゲット・データベースの要件
Oracle Cloud Infrastructure Database Migrationを使用するため、ターゲット・データベース環境は次の要件を満たしている必要があります。
サポートされる移行ターゲット
データベース移行では、移行ターゲットとして次のOracle Cloud Infrastructure Database Service製品がサポートされます。
-
Oracle Autonomous Database Serverless
-
専用Exadataインフラストラクチャ上のOracle Autonomous Database
-
Oracle Cloud Infrastructureの共通管理Oracle Base Databaseサービス(Oracle Base Database (VM、BM)およびOracle Public Cloud上のExadata)
-
Oracle Database@Azure
- OCI MySQL Heatwaveは、MySQL移行で現在サポートされている唯一のターゲット・データベースです。
ターゲット共同管理データベースは、マルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)のプラガブル・データベース(PDB)、または従来の非CDB Oracleデータベースのいずれかです。
ベア・メタルおよび仮想マシン・データベース・システムの場合、ユーザーは環境の保護、パッチ適用および強化の責任を負います。詳細は、ベア・メタルおよび仮想マシンDBシステムを参照してください。
Oracle Database Editionのサポート
Oracle Cloud Infrastructure Database Migrationサービスは、ソースおよびターゲットに対するStandardおよびEnterprise Edition Oracleデータベースの移行をサポートします。
統合サービス
データベース移行サービスは、様々なOracle Cloud Infrastructureサービスおよび機能と統合されています。
IAM
データベース移行は、コンソール、SDK、CLIおよびREST APIの認証および認可のために、Identity and Access Management (IAM)サービスと統合されています。
IAMの詳細は、IAMの概要を参照してください。
モニタリング
Oracle Cloud Infrastructure Monitoringを使用すると、Oracle Cloud Infrastructure Database Migrationのリソースおよびアラームを能動的および受動的にモニターできます。
データベース移行メトリックは、CPU使用率、OCPU消費、メモリー使用率、デプロイメント・ヘルス、およびインバウンド・ラグとアウトバウンド・ラグを取得します。これらのメトリックは、モニタリング・サービスを使用して表示できます。
リソース・ステータスのモニタリングおよびログへのアクセスに関するトピックは、データベース移行サービスのトラブルシューティングを参照してください。